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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ネタ帳

生徒会長の小さな冒険(仮)

おはこんにちばんは。

主人公チートものが書きたい! と思い、少しナナメ下に走った設定をつくってみました。

……と言いつつ初めも初めで、チート設定出てきませんが。

いつもより1000字多いですが、よろしかったらどうぞ。こんがりチキン


 ピチ、ピィチチと鳴かれる声に男は慣れた様に頷き返し、言葉を送った。

「それじゃあ、ここまで導いて(つれて)きてくれるかい」

 了承したと言う様に一声鳴いてみせた声の主はバサっと羽を広げ、止まっていた男の肩から飛び立った。

 ようやく人に出会える、とどこか満足気に歩いていた男はふと思い出した様に足を止めた。

「…ーーステータス・オープン」

 言葉に反応して、男の目の前に半透明に光った板状のものが出てきた。

 ++++++++++

 name ユーマ・ミナヅキ

 sex 男

 active ???

 passive ???

 title 『無上』

 ++++++++++

 男ーーーユーマは、己のスキルが表示されてないことを確認し、安心して歩みを再開した。



 チッ、と鋭く舌を打つ音がした。

 その音が自身から発生したことは自覚していたが、ただ男にとってはもう一度舌を打つことの誘発にしかならなかった。

 苛々している自覚がある。もう三日も森に閉じ込められている上に、目当ての獲物に間一髪で幾度も逃げられているという事実が男にとっては屈辱で舌を打つ原因となっていた。

 しかも、それだけではない。男は自分の身体を見下ろし、見慣れた筈の己の身体でないことに溜息を溢した。これでは慣れた動きも完璧に出来なければ、力を十全にだすこともできない。そりゃ獲物に逃げられる筈だともう一度溜息を溢した瞬間だった。

 ガサリ、と目の前の茂みを揺らし現れたのは幾度も逃げられた獲物。

「ッ、」

 咄嗟に剣に手を掛けたものの、獲物も鈍感ではない。すぐさま踵を返し逃走した。

 しかし、それを易易と見送る己ではない。だるい身体に鞭を打ち、追いかけた。



 ユーマは目を瞑り、耳を澄まし、待っていた。

 閉じた目の先には美味しそうに焼けた肉塊と、青色の果実を絞ったジュースが二組並んでいた。

 そろそろの筈だが、と思っていたらピィと鳴き声がした。合図に目を開けると、此方を見て目を見開いている少年(・・)がいた。

「まさか少年とは思わなかったが……、しかし、歓迎しよう」

 驚いたのは此方もだったが、それを分かりやすく見せることはしない。故意にする場合もあるが、今はその場面ではないと微笑んだ。

 瞬間、目の前の少年の顔が予想通り顰められたのだからユーマに本心からの笑みが浮かんだ。



 男は獲物を追いながらも上空から見られていることに気付いていた。拭えぬ違和感にどうやら誘導されている、と勘付いた時にはもう遅かった。

 飛び込んだ先には、美味そうな匂いを放つ肉塊とアポルを絞ったであろうジュース、それらの前に座り此方を見て微笑む男の姿があった。

 初めこそ衝撃に驚きはしたものの、こんな森の中、しかも奥深くに一人でいるなど怪しいことこの上ない。

 警戒を強めて顔を顰めたが、目の前の男は萎縮するどころかさらに笑みを輝かせてきた。

「……おい、なんでお前みたいな奴がこんなとこに一人でいんだ」



「さてね……。その質問は俺がしたい所だが、その前にまずは腹ごしらえと行こう」

 腹が減っては戦は出来ぬと言うし、と続けると不審な目で見られた。

「別に君に何かをするつもりはない。変なものなど入ってない只の焼いた肉で良ければ食べるといい。君が食べないと言うのなら俺の腹に入るだけだが」

「……」

 未だ警戒はされているものの、美味しそうな匂いには勝てなかったのだろう少年は対面に座り食べ始めた。

 食べながら観察していくと、だいたい五歳くらい年下だろうか。それにしては背は平均少し上の俺より頭一つ下という発育ぶりだ。森の中で行動するに相応しそうな長袖、長ズボンはけれどもどこかサイズが合っていないように見える。お下がりかな、と考えたところで強い視線で見返される。同じ様に観察されている様だ、ととりあえず微笑んでおいた。



「……」

 よくわかんねぇな、こいつ。

 というのが男が抱いた、目の前の男の印象だ。

 見たことのない生地とデザイン、一般人には見えない食事作法、何よりこれこそが完璧な黒だと主張している髪の毛は艶やかで手入れを欠かしていないように見える。

 貴族だ、と身なりや言葉遣い、所作などの雰囲気から訴えるものの、貴族ならば森の奥深くに一人でいる筈がないと経験は言う。だからこそ、わからないのだ。

 獲物を取り逃がしていた苛々の所為か、毒など大して効かぬ身体を持つ怠慢故か、警戒している男の用意したものだろうと遠慮なく肉を食べながら観察していた結果が、わからない。

 同じように観察されていたみたいだが、目の前の怪しい男は己のこの姿に何を思っただろうか。とりあえず一つ、勘違いしていることは確実だろうと男は顔を顰めながら肉を喰らった。



 ユーマが食べ切るのを見て、少年は漸く口を開いた。

「まず、食事に対しては礼を言う。助かった。だが、お前みたいな奴がなんでこんなとこにいて生きていられんだ」

 どうやら頭は悪くないらしい、と少年を見る。見ず知らずの怪しい男からの食事を何の躊躇いもなく食べたことには顔に出さず驚いたものの(用意した此方が言うことではないが)、それに対して礼を言えるならば教養がないわけではないのだろう。引きの強さは世界を越えても鈍ってはいないようだ、とユーマは満足気だ。

「お粗末様。さて、どうして生きていられるかと問われても何と返すべきかな」

「…見たところ武器も持ってねぇようだが、魔法遣いだとしても媒介は必要だ。それらしいものも見当たらねぇ」

 魔法遣い? 成程、やはり此処は俺の生きていた世界ではないな、と確信したユーマは淡々と言った。

「それはそうだろう。何せ俺は三日前に此方の世界に転移してきた様だから、な」



 今、目の前の男は何と言った?

 三日前? 転移?

「……」

 思い当たる節がないわけではない。というのも己の身体の現状は男の言った言葉に少なからず原因があると気付いたからだ。だからといってすぐ理解できることではないが。

「三日前、俺は普段通りに過ごしていた。まあ、いつもより忙しかったし煩わしいこともあり、いい加減休ませろと願ったのは否定しない。その瞬間だった。瞬きをした間に見える風景がガラッと変わって、この場にいた。君の様にすぐ理解はできなかったさ。何せ非現実的だからね。俺の世界でも研究が進んでいない分野だし。ただ三日も過ごせば理解せざるを得ない。どうやら自分は世界を渡ってしまったらしい、とね」

 目の前の男はべらべらと喋るが、その情報全てを遮断したかった。しなかったが。

 突飛だと、頭のおかしい奴だと嗤って取り合わずに逃げても良かったが、頭の中に知識がないわけではない。

「君に望むのは知識だよ。俺はこの世界に産まれて三日目の赤子の様なものだからな。自立するまで面倒を見て欲しいとまでは言わないが、」

 そこで言葉を切った男は俺の目を見て、そして何もなくなった俺の目の前を見る。

「食べた分の働きはしてもらおうか」

 諦めた。

 この森に来た時から巻き込まれる運命だったのだ。そうとしか思えない。

 男が溢した溜息はこの三日の中で、いや人生の中で一番深かったことだろう。



 溜息を吐いた少年は、割り切った様だった。顔付きが違う。素晴らしい、信じてもらえる様だとユーマは一度頷く。

「……お前の言う“世界を渡った”という表現は合っている。その分野の研究者曰く、神の采配とも言われるそうだが」

 続けて、と声なく促す。

「三日前、ここら一体で巨大な魔力災害が起こった。おそらくお前の“渡り”に必要な魔力を吸収していたんだろう」

「魔力災害…」

「ああ。まあ、お前が来たことによって一応魔力災害は収まっているが、二次災害がないわけじゃない。魔力が集まるところには魔獣という人を害す生き物が集まり、生まれやすい」

 だからなんで生きているのかを聞いたんだ、と少年は言った。

 ユーマ自身半信半疑で説明もあまりしたくない。何も語らず、先を促した。

「……チッ、此処はアリティアの中心部(セントラル)南部(サッテラ)の間にある森の迷宮の内の一つだ。迷宮を出て、一日歩けば中心部最南端の町に着く」

「成程」

「…………おい」

「何かな」

「お前の足元で寛いでる奴をくれたらその町まで案内してやってもいい」

 ユーマの足元には少年に幾度も狙われ、逃げ切った一羽のウサギがいた。

「そいつが欲しくて俺はこの森に来た。だからそいつを渡してくれんなら町まで世話してやる」



お粗末様でした。

この後、少年(・・)を伴い町へ行ってチートが明らかになるといった所で力尽きました。orz

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