(序)あしたのゆめ
あ。――ふふ。
うん、だって、今のこの子のかお。
あなたに、そっくりだったんだもの。
うん、そうだね。髪も瞳の色も私似だけど…でも、こころは、あなたと似てるのかも。
光に映える、この綺麗な目も。
不思議…。
あなたとこんなふうになるなんて、あの頃は、想像もつかなかった。
あのひとも、こんなふうに…大好きなひと達と一緒にいるんだね。
嬉しそうだったね、あのひと。大好きなひとの話をしてくれた時、本当にきれいだった。
私もいつか誰かに、あんなふうに話す時が、来るのかな。
あ。でもその前に。
あと二、三年くらいしたら、この子に話して聞かせちゃうんだからね。お父さんになる前のあなたがどんなひとだったか、あんなことやこんなことの数々をぜーんぶ。ふふ…。
――ん…ふああ、眠い。私も、もう少し寝るね…って、何してるの。
え。だって、あなたはお仕事中でしょ、ほっぽり出したらみんな困るじゃない。
え?
え…と、うん、その…それは嬉しい、けど…。もう、近頃のあなたの溺愛っぷり。ちょっと前までのあなたとは、完全に別人だわ。
うん。私も。
――愛してる。
そして薔薇は、追憶の夢をみる。