売店
「よしっ着いた!」
春に全力ダッシュは、少し涼しさを残しているのだろう。
ひざに手をおいて息切れをしている。
「おばちゃん!焼きそばパン」
どうやら、焼きそばパンはまだ残っていたらしい
売店の店員は「はいよ」と軽く返事して焼きそばパンを取り出した。
すると、突然彼女は叫びだした
「いやー!なんで150円?」
「なんでって言われてもねー」
どうやら、彼女は所持金が150円に達さなかったようだ
「おねさ~ん、130円で手を打ちませんか?この通りっ!」
そう言って頭の上で両手を合わせて拝んでいる。
おねえさんと呼ばれた50代のおばさんは困りはてている。
その時、呼び出しで定番のメロディーが流れた。
『合唱部の藤村明香さん、至急!職員室まで』
彼女の名前が呼ばれた。
呼ばれた彼女はというと、放送中は顔を青ざめ放送が終了後 早口で
「おねえさん!たのむー」
拝んでる彼女の隣から 長身の黒髪男子が150円をカウンターに置き、焼きそばパンを取り
ニヤリと笑い、彼女の頭に腕を置いた
「おばさん!もらうでー」
関西弁の彼は 橋本優真 彼女と同じクラスの友好的な男子だ。
彼を見て彼女は頬を膨らませ
「私のなんですがー」
「130円の持ち主が買えるわけないやろー」
そう言った瞬間、彼女の拳は彼 橋本の腹部に当たった。
「うっ。藤村ー。。おらっ」
彼は彼女の頭をさわって髪型をくずした
「橋本ー乙女の髪になにすんじゃボケェ」
「そないなことより、放送で呼ばれたやないか。」
彼は焼きそばパンを頬張りながら、気だるそうに言った。
そして、彼女は「だった!」と言い、再び走って職員室へ行った。
「あっ!橋本ー早く帰れよー」
一言残して。