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東亜思成

私立檸檬女学園

明治時代に創立されたこの学園は、もとは華族の令嬢のためにつくられたという、伝統あるお嬢さま学校である。が平成を迎えると厳しい校風が生徒に不評であったためか深刻な経営難に陥った。

そこに目を付けた某有名企業の社長が学園に私財を投じ、独特のシステムを有する学園を再建。

それから早20年余りが経とうとしている…



「お嬢様、入学式から遅刻なさるおつもりですか」

メイドの声であわてて飛び起きる。

「いまおきますっ」

叫びつつ階段を駆け下りる。今日から私は高校生。全寮制の女子高、檸檬女学園の一年生となる。

しっかり熱いお湯のシャワーを浴びて人生で初めてのセーラー服の制服に着替え、念入りに髪をとかす。よし準備おっけー。

仕事が忙しい両親は入学式には来ない。気楽でいい。

「松野おまたせっ」

うちのお抱え運転手である松野の車に乗り込む。なんとか間に合った。

「お嬢様、寝坊されたとのことでしたので厨房にサンドイッチを作らせておきました。よろしかったらお召し上がりください」

「さっすが松野!気が利くわありがとう」

サンドイッチとともに紅茶まであるあたり本当によく仕事ができると思う。

おなかいっぱいで寝不足。うとうとしながら学園まで車で二時間弱。うーん疲れた。

校門の前に車を横付けなんてことはしないで学校の近くでおろしてもらう。

入学早々庶民に嫌味を言われるのも面倒だし。小学校や中学校でもその辺なかなか大変だった。

我が東亜家は江戸時代からつづく医者の家系でそこの本家の長女が私である。

まあ一言でいえば超名門のお家。

私立中学校には裕福な家庭の子が集っていたけどその子たちのお家の財産はせいぜい数十年で築いたものなので我が家には到底及ばない。当たり前だよね。そこをやっかむなんて本当に下賤というかなんというか…うんざりした。

檸檬女学園はもとは良家の子女しか入学できなかったらしいが今では入学資格を満たしていれば誰でも入学できる。一般家庭の子女もきっと多いはずだ。気を付けるに越したことはないだろう。

山道にうんざりしながら校舎まで急ぐ。せっかくの新しい制服がよごれたらどうしてくれるのかしらまったく。


これから始まる寮生活と学校生活の不安を悪態でごまかしつつ さあいざゆかん檸檬女子学園!




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