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7:神域


Japan VCSO Japapn branch office


阿修羅あしゅらが地下室からバイクで飛び出すと、最初に目に映るは霊、阿修羅あしゅらは飛んでいる途中に腕輪に触れる、得物は長刀、名は夜叉丸。

霊は体の骨格が変わり、今まで阿修羅あしゅらが戦ってきた霊とは違う変化を見せる、2mくらいの巨人となり、空間に出来た黒い穴から得物を取り出す、得物は大斧。


「楽しそう」


阿修羅あしゅらは空中ですれ違い様に斬りつけた、しかし霊は軽々といなす。

阿修羅あしゅらはそのままバイクを横になりながら停止させ、バイクから降りて構える、しかし阿修羅あしゅらが構えきる寸前に霊は大斧を振り下ろした。

阿修羅あしゅらは間一髪で避けると今度はちゃんと構える、そして阿修羅あしゅらが霊の振り下ろした大斧を見た瞬間固まった。


「あ、貴方、私のバイク…………」


霊の大斧は阿修羅あしゅらのバイクを両断している、阿修羅あしゅらはうつ向いたまま震え、何かをブツブツ喋ってる。


「せっかく貰ったのに、気に入ってたのに、私のバイクだったのに、貴方が入って来なきゃ良かったのに、貴方なんて死んじゃえば良いのに。」


完全にダークサイドに入った阿修羅あしゅらの独り言に霊も固まる事しか出来ない。

阿修羅あしゅらは夜叉丸を右腕一本で持った、そしてそのまま力が抜けたようにダランと腕を垂らす、体をフラフラと揺らし前に倒れそうになるのと同時に地面を蹴った。

阿修羅あしゅらが走った跡は刀傷がついている、阿修羅あしゅらは霊の前に行くと体全体を使い、そのまま切り上げた、霊が受け太刀すると、阿修羅あしゅらは夜叉丸を右手から左手に持ち変え、一回転して霊の腕を斬った。


「ギャアアアアァァァァ!!」


つんざくような悲鳴が日本支部の森にこだまする、しかし霊の腕は完全に斬れていない、腕一本故に力が入らないからだ。

阿修羅あしゅらは間合いを取ると、背筋を伸ばし切っ先を斜め下に向ける、目を瞑り全ての神経を霊に向けた。

霊は大斧振り上げながら走って来る、阿修羅あしゅらはギリギリまで引き付け胴を切り抜こうとした、しかし大斧の引っ掛かり止まってしまった。


「ヤバい」


阿修羅あしゅらは夜叉丸から手を離し避けようとした、しかし霊は左手で阿修羅あしゅらを薙払う。

阿修羅あしゅらは地面に体を擦りながら止まった。

脇腹は大きく切り裂かれ血が流れ出す、阿修羅あしゅらは腕輪に触れ夜叉丸を出した。


「ハァハァ、ちょっと痛いわね」


霊は大きな音をたてながら阿修羅あしゅらに向かって走って来る、阿修羅あしゅらは構える事が出来ずに霊の大斧を防ぐので精一杯だった。

阿修羅あしゅらは踏ん張りきれずに吹き飛ばされた、夜叉丸を地面に突き刺しブレーキを踏むが、体中が軋み体制を崩した、うつ伏せに倒れ、右手で持っている夜叉丸と握りながら傷口を押さえた。

霊は容赦なく阿修羅あしゅらに向かって走って来る、阿修羅あしゅらは立ち上がる力もあるかないかの状態だった。



ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ。



阿修羅あしゅらと夜叉丸が強く共鳴する、そして阿修羅あしゅらの視界はスローモーションとなった。


「(何これ?………夜叉丸?………うん、分かった、やってみる)」


阿修羅あしゅらは右足を引き左足を前に出した、大きく沈んで夜叉丸の切っ先は左後ろを向く、そして阿修羅あしゅらは夜叉丸を両手で強く握り霊を睨んだ。







「ベロシティ【光速】!」










阿修羅あしゅらは一閃となり霊の横を抜けた、あまりの速さに霊も監視カメラで見てた科学班も阿修羅あしゅらを捉えられなかった。

暫くすると霊の体に亀裂が入り、上半身がズレて地に落ちた、いつの間にか霊は両断されていた。


「何これ?」

阿修羅あしゅら様!今の技はいつ習得なされたのですか!?』

「今、夜叉丸に語りかけられるような感覚の後、気付いたらこんな事してたの」


阿修羅あしゅらは状況把握は出来ていたが、何故自分がこういう事が出来たのかは理解できなかった。

そして身体中ボロボロの阿修羅あしゅらはその場で気を失い倒れた。


阿修羅あしゅら様!医療班を直ちに向かわせろ!患者のレベルは4、重傷ないし重体、速やかに処置しろ!』


科学班の班長が医療班に命令する、医療班はスタンバイしていたタメにすぐに駆けつけ、ストレッチャーに阿修羅あしゅらを乗せた。

阿修羅あしゅらの脇腹は大きく切り裂かれ未だに出血している、身体中擦り傷だらけで危険な状態なのは一目瞭然だ。









3日後


阿修羅あしゅらは真っ白ベッドの上で寝ている、あれから一度も目を覚まさずに眠ったまま。

昨日任務から帰って来た摩和羅女まわらにょ阿修羅あしゅらの横に付きっきり、シーツのシミは摩和羅女まわらにょの涙である。


「う、………んん、…………ううん………」

阿修羅あしゅら!?」


阿修羅あしゅらが弱々しく目を開けると、目の前には目を腫らした摩和羅女まわらにょがいる、摩和羅女まわらにょ阿修羅あしゅらが起きたのを確認すると、阿修羅あしゅらに抱きついた。


阿修羅あしゅら!アタシは心配したぞ、無事で良かった!」

摩和羅女まわらにょ、痛…………くない?」


阿修羅あしゅらは傷口に摩和羅女まわらにょが乗っていたので退けようとした、しかし傷口は全く痛まない、それどころか傷口が無いように感じられる。


「傷口は完治したぞ!」

「これも神の力?」

「そうだ!神様が阿修羅あしゅらを守ってくれた」


摩和羅女まわらにょが大声で喋っているせいで、金色孔雀こんじきくじゃくが病室に入って来てたのに二人とも気付かなかった。


「もうそろそろ良いかな?」

「うわっ!いるならいると言え!驚くだろ」

「驚かそうと思った訳じゃないんだけどな。

それより阿修羅あしゅら、話が聞きたいんだけど、良いかな?」


阿修羅あしゅらは無言で頷いた、摩和羅女まわらにょ金色孔雀こんじきくじゃくのタメに阿修羅あしゅらと話せるスペースを作り、自分は隅の方に行った。


「神域に達したって本当かい?」

「神域?」


阿修羅あしゅらは初めて聞いた言葉に首を傾げた、金色孔雀こんじきくじゃくはそれを見て頭を掻きむしる。


「ベロシティ【光速】って使ったでしょ?」

「あぁそれの事ね、何なのそれ?」

「俺達は‘神技’と呼んでる、神技っていうのは神域、つまりある程度の力に達した者だけが使える技だ、普通神域に達するには1・2年かかるもんなんだが、どういう訳か阿修羅あしゅらは一ヶ月でやってのけた。

ちなみに神選10階の条件の一つに『神技を2つ習得していること』ってのがある、神技2つとかは化け物だ、まぁ俺はその資質が阿修羅あしゅらにはあるとふんでるけどね」


阿修羅あしゅらにこの申告は嬉しい半面微妙な気分でもあった、更に激しい運動が出来るのは楽しみでもある、しかし化け物よばわりされるのは嫌だった。

阿修羅あしゅらはステージ4との戦いを思い出し興奮していた、しかしあるシーンを思い出すのと同時に深く落胆する。


阿修羅あしゅら、どうした?」

「はぁ、バイク貰ったのに壊された」

「そんな事か!それなら科学班の人達に言えば一週間で新しいのを作ってくれるぞ!」

「本当に?」

「本当だ!」


阿修羅あしゅらの顔はパアッと晴れた、その笑顔を見て摩和羅女まわらにょも笑顔になる、忘れられた金色孔雀こんじきくじゃくはノソノソと部屋を後にした。


「やっぱり阿修羅あしゅらは凄い!こんなに早く神域に達するなんて、アタシでもつい最近やっと神技が使えるようになったばっかりだ」

「そうなんだ、そんなに凄い事なんだね」

「そうだぞ!でも前に神選10階の人が日本に来た時、あの人は怖かった、大鎌をもって敵を楽しそうに殺すんだ、ステージ4の群れがゴミのように斬り刻まれるあの光景は今思い出しても怖い、アタシは阿修羅あしゅらにあんな風になって欲しくはない」


阿修羅あしゅら摩和羅女まわらにょの言った事を想像して、鳥肌が立った、阿修羅あしゅらは戦闘自体を楽しんでいるのではなく、戦闘の過程、そこで行われる運動をたのしんでいる。

しかし摩和羅女まわらにょの言った神選10階は敵を斬る事を楽しんでいる、強大な力に溺れてその力を使う事で自分の欲求を満たす、それが阿修羅あしゅらとシンクロする事を想像した摩和羅女まわらにょは不安にさいなまれていた。


「大丈夫よ、私は強くなりたいんじゃないの、もっと動きたいだけ、それを叶えるのが力ってだけでそれ以上の欲求はない、相手を傷付けずに運動出来るなら私はそっちを選ぶよ」

「やっぱり阿修羅あしゅら阿修羅あしゅらだ!強くなっても阿修羅あしゅらに変わり無い、良いことだ!」


阿修羅あしゅらは抱きついてきた摩和羅女まわらにょの頭をそっと撫でた。



阿修羅あしゅらが求めるは動、利用するは力、望むは和、そして行うは戦。

全てがサイクルし、全てがお互いを殺す、何処に身を置くかで、鬼神とも女神とも化す。

戦闘シーンが短くなってしまった事をお詫びします、作者の力不足です。

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