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21:第1階


Japan shrine


「ルシファー?」


ルシファー、それは悪魔の中でも最上級の悪魔、それに阿修羅あしゅらと初めて会った時の白いコートもカミゥムマーンの刺繍もない、その代わりに血のように赤黒いローブを着ている、そのローブの色と鋭い目付きで怪しさが増す。

帝釈天たいしゃくてんもといルシファーは静かに立ち上がった、阿修羅あしゅらは警戒して構えたが、あっという間に目の前にルシファーが来て腕を掴まれた。


「俺と一緒に来い、お前が必要だ」

「嫌よ」


阿修羅あしゅらはルシファーの手を振りほどいて間合いを取った、腕の力を抜き構える。

ルシファーはため息をつきローブの下から腕輪を覗かせた、しかしその腕輪はホーリナーのモノとは異なる形をしている。

ルシファーは腕輪に触れた、得物は大剣クレイモア、名は髭切。


「お前の血が必要だ、千切ってでも連れて行く」

「貴方達はバンパイアなの?」

「お前の血のタメならバンパイアも一興だ」


阿修羅あしゅらは鼻で笑うと倒れるように地面を蹴った、ルシファーは顔色一つ変えずに阿修羅あしゅらを眺める。

阿修羅あしゅらは体全体を使って、ルシファーの左側から横薙に斬りつける、ルシファーは軽々と夜叉丸を弾くが、阿修羅あしゅらはそのまま左手に持ち変えルシファーの右側から斬る。

寸前まで阿修羅あしゅらは髭切に注意していたが、ルシファーは左手に持ったまま、阿修羅あしゅらが口角を上げて右腕を斬ろうとしたが、何故か髭切に阻まれた。

左手には髭切が握られたまま、しかし右手にも髭切が握られている。


「あり得ない、何で二振りも?」

「神の決めた摂理など悪魔には関係ない」


ルシファーは左手に持った髭切を振り上げた、阿修羅あしゅらは逃げようとしたが腕を掴まれ全く動けない。


「ベロシティ【光速】!」


金属音と共に緊那羅きんなら阿修羅あしゅらと髭切の間に体を入れた。


「ありがとう、助かった」

「それより何で帝釈天たいしゃくてんが?」

「久しぶりだな緊那羅きんなら、今は帝釈天たいしゃくてんではない、ルシファーだ」

「ルシファー?あんた悪魔に堕ちたの?」

「そんなもんだな」


緊那羅きんならは舌打ちをしてルシファーを蹴って阿修羅あしゅらと離れた、緊那羅きんならは羅刹を抜刀して構える、阿修羅あしゅらは体の力を抜いて構えた。


「俺は緊那羅きんならには興味が無い、阿修羅あしゅらが欲しい」

「それなら尚更退けないわね、悪魔に堕ちたあんたなんかには絶対に渡さない」

「まぁ良い、緊那羅きんならは殺せば良いだけだ」


大剣を両手に持って不適に笑うルシファー、不気味の何者でもない、神の造った摂理を全く無視した得物、全てが未知数だ。


「シンパシー【共振】!」

キィィィィィン

「アブソルペーション【吸収】!」

「面白くなりそうだな」


不気味に唸る羅刹、黒みがかり血に飢えた夜叉丸、先に地面を蹴ったのは緊那羅きんならだった、その後ろを追うように阿修羅あしゅらが走り出す、ルシファーは全く動じる事なく他人事のように二人を眺める。

緊那羅きんならの横薙の斬撃をルシファーは防ぐが、物凄い振動と共に弾かれた。


「面白い神技だな」


ルシファーに出来た若干の同様の隙に夜叉丸がルシファーの右腕を傷付けた。


ズズズズズズズ


ルシファーの腕が干からび夜叉丸が黒みを帯びる、ルシファーは流石に危険と考えバックステップで間合いを取った。


「なかなかやるな」

帝釈天たいしゃくてんも弱くなったのね、私の全く届かない存在だと思ってたのに」

「私達二人だし」

「強くなったしね」

「そんなに愉快か?」


ルシファーはクスクスと笑い始めた、そして左腕一本で髭切を持つと怒りに満ち溢れた表情で二人を睨んだ。


「お前ら、調子乗るな」

「負け惜しみか?見苦しいから辞め、ぐふぇっ!」


ルシファーは一瞬で消えて、次に現れた時には緊那羅きんならを蹴り飛ばしていた。

二人が全く反応出来ないスピード、緊那羅きんならは地面に倒れるいつの間にルシファーを見上げていた、またあり得ないスピードで移動したきたのだ。


「弱い、弱すぎる」

緊那羅きんなら!」


ルシファーは羅刹を握り緊那羅きんならの肩を貫き地面に突き刺さる。


「グワァァァァ!」


先ほどの蹴り一発で体の骨が何本か折れた上に羅刹が突き刺さった肩、痛みなどで意識が飛びそうになるのを堪えるが、今は指一本動かすのもやっとだ。


「そのままでいれば生かしてやる」


ルシファーは緊那羅きんならに背を向け阿修羅あしゅらに向かって歩きだした、阿修羅あしゅらは夜叉丸を両手でしっかり握り八相に構える。


「チェンジ【転化】!エミッション【放出】!」


阿修羅あしゅらが夜叉丸を横に払うと真っ黒な刃がルシファーに向かって飛ぶ、夜叉丸は元の色に戻っている。

ルシファーは髭切で軽々と黒い刃を弾くと阿修羅あしゅらを睨んだ。


「それで終わりか?」

「あり得ない、強すぎる」


ルシファーは口角を上げると一瞬で阿修羅あしゅらの目の前まで移動した、そして阿修羅あしゅらの足に髭切を突き刺す、阿修羅あしゅらは叫びながらその場に倒れた。


「ハァ、……ハァ」

「腕が動くな」


ルシファーは髭切を振り上げ阿修羅あしゅらの腕に狙いを定めた、阿修羅あしゅらは諦めて目を瞑り覚悟した。
















「ベロシティ【光速】!」


閃光がルシファーに襲いかかる、ルシファー振り上げた髭切で何とか防ぐが力で押し負け吹っ飛んだ。


「誰だ!?もう動ける奴はいないハズだ」

「俺ッスか?俺は神選10階、第1階、太陽神のヘリオス、カミゥムマーンの命に来たんスけど、大物が釣れたみたいッスね」


神選10階の太陽神ヘリオス、小麦色の肌に金色のハネッ毛で前髪だけは上がっている、真っ白なダウンベストの右側にカミゥムマーンの刺繍、紺色のポケットの多いハーフパンツ。

得物は刀身の広い片手剣、名はレーヴァテイン、半身になりレーヴァテインを波打つように動かしている。


「鬼がいるって聞いたんスけど、悪魔がいるとは思わなかったッスね」

「神選10階か、楽しめそうだな」

「インフェルノ【烈火】」


レーヴァテインが激しく燃え始めた、それと同時にヘリオスは地面を蹴る、素早い動きでルシファーに近付くと素早い剣筋でルシファーに斬りかかる、ルシファーは若干顔をしかめ受け太刀した。


「俺に防御は通用しないッスよ」


レーヴァテインを受けた髭切が徐々に溶けてレーヴァテインがめり込んでいく、ルシファーは髭切から手を離しヘリオスから間合いを取った。


「片腕が使えないから不利だ、一旦退かしてもらう」

「もう来なくて良いッスからね」


ルシファーは空中に出来たら黒い穴に吸い込まれるように入って行った、ヘリオスはレーヴァテインを戻すとそのまま何処かへ走り去って行った。

残されたのは瓦礫の山と血まみれのホーリナー達、しかし阿修羅あしゅらはそんな事より神選10階の強さに惹かれていた、あれ程強く感じたルシファーを軽々と撤退させる異常なまでの力、それが10人もいる、まさに怪物の集まりだ。

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