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20:再生


Japan shrine


阿修羅あしゅら摩和羅女まわらにょは屋根の上から鬼達を眺めてる、下には大量の鬼の真ん中に真っ白なコートに銀髪のメガネ、二人の上司であるはずの金色孔雀こんじきくじゃくだ。

二人は日頃自分達が頑張っているからお前がやれと鬼の海に付き落とした、阿修羅あしゅら金色孔雀こんじきくじゃくを楽しんで見ている、摩和羅女まわらにょは上から鬼の体に針を投げて遊んでいる。


阿修羅あしゅら、頭だ!100点だぞ!」

摩和羅女まわらにょなら全部100点でしょ?」

「そうでもないぞ、瞳は200点だし海馬は170点だ!」


阿修羅あしゅらは吐き気を覚えた、しかし摩和羅女まわらにょも子供、摩和羅女まわらにょにとっては走りながらでも1ミリのずれもなく当てられる、呼吸をするくらいに容易な事だ。


摩和羅女まわらにょぉ!俺も助けて」

摩和羅女まわらにょ、助けたら嫌いになるわよ」

「ボス頑張れ!」


摩和羅女まわらにょはボスを捨て阿修羅あしゅらを取った、金色孔雀こんじきくじゃくは泣く真似をしながら鬼に同情を求めた、しかし鬼にとって金色孔雀こんじきくじゃくはただの敵ですらない。


「頑張って」

「応援してるぞ!」

「俺は良い部下を持ったな」


金色孔雀こんじきくじゃくは凹みながら腕輪に触れた、金色孔雀こんじきくじゃくの得物は金色孔雀こんじきくじゃくと同じくらいの金棒、名は砕骨。


「「初めて見た」」

「初めて見せた」


金色孔雀こんじきくじゃくは大きく砕骨を一振りをする、鬼は上半身だけが無くなり倒れる、砕骨に当たった鬼は異次元に上半身が消えたかのように無くなる、それだけ金色孔雀こんじきくじゃくの一振りが強大という事。


「強いわね」

「…………ずるい」

「何が?」

「あれなら全部300点だ!あんなのルール違反だぞ!」


阿修羅あしゅらはまだ鬼でゲームをしていた摩和羅女まわらにょに呆れた、砕骨の棘には肉片がついている、それに阿修羅あしゅらは吐き気すら覚えた。

摩和羅女まわらにょの遊びも酷いが金色孔雀こんじきくじゃくの戦い方も酷い、阿修羅あしゅらには到底足を踏み入れられない世界だ。

あっという間に下にいた雑魚鬼達は肉片と化した、この圧倒的強さが日本支部の支部長たる理由。


阿修羅あしゅら摩和羅女まわらにょ!終わったよ!」

「頑張ったな!偉い偉い」

「今降りる―――!」


阿修羅あしゅらが気を抜いた一瞬、足下の屋根から太い腕が現れ阿修羅あしゅらを境内に引きずりこんだ。


「「阿修羅あしゅら!」」


中で壮絶な音が鳴り響いている、そして若干建物が傾く、摩和羅女まわらにょは危険と判断して金色孔雀こんじきくじゃくの隣に降りた。

徐々に境内から埃が立ち込め、境内を覆い隠してきた、その時、大きな爆発のような音と共に阿修羅あしゅらが壁を突き破って出てきた。

阿修羅あしゅらは地面に得物、長刀、夜叉丸を地面に突き刺しブレーキを踏んだ、阿修羅あしゅらは擦り傷がある程度で大きな怪我は無い。


阿修羅あしゅら、大丈夫か?」

「大丈夫よ、室内だから戦い難かっただけ」

「あらら、出てきちゃったよ」


金色孔雀こんじきくじゃくの一言で二人が壊れた境内の方を見ると、再び爆発のような音と共に鬼が出てきた、2mくらいの筋肉が浮き上がった鬼、鬼が地面に足を着くと同時に大きな境内は崩れ落ち、小さな瓦礫の山と化した。

鬼は空中に出来た小さな黒い穴に手を突っ込むと何かを掴み引き抜いた、得物は大斧、鬼と同じくらい大きな斧。


「さてと、俺達でボコボコにしちゃいますか」


金色孔雀こんじきくじゃくは肩に砕骨を担ぎ状態を低くする、阿修羅あしゅらは切っ先を斜め下に向け背筋を伸ばした、摩和羅女まわらにょは両手の指の間に3本ずつ針鬼を挟んだ。


「鬼に金棒とはこの事だね」

「ボスが鬼ならね、間違ってもバンパイアにニンニクと同じような意味じゃないわよ」

「……………そうなんだ」


金色孔雀こんじきくじゃくがダメージを受けていると鬼は、瓦礫の山を大斧で弾くと阿修羅あしゅら達めがけて木や瓦が弾丸のように飛んできた。


摩和羅女まわらにょ、頼んだわよ」

「了解!」


摩和羅女まわらにょは無数の針鬼を投げると全てを打ち抜き砕け散った。

それと同時に阿修羅あしゅら金色孔雀こんじきくじゃくが地面を蹴った、阿修羅あしゅらの方が速く先に鬼に斬りかかる、鬼は軽々と大斧の刃の平面で防いだ。

阿修羅あしゅらはそのまま押そうとはせず、バックステップで鬼から遠ざかると、阿修羅あしゅらの頭の上から砕骨を振り上げた金色孔雀こんじきくじゃく鬼の方へ飛んできた。

金色孔雀こんじきくじゃくは砕骨を思いっきり振り下ろすと、鬼は阿修羅あしゅらの時と同じように受け太刀するが、砕骨の重さに押されて片膝を地面に着いた。

金色孔雀こんじきくじゃくはジリジリと鬼を追い詰めていく、鬼が粘りピタッと止まった時、横から針鬼を構えた摩和羅女まわらにょが両腕を大きく振ると一瞬で鬼の急所を貫いた。

金色孔雀こんじきくじゃくは仕留めたと思い鬼から遠ざかる、しかし鬼は何事も無かったかのように立っている。


摩和羅女まわらにょ、本当に急所をついたの?」

「当然だ!一瞬で死んでるハズなのに………」

「まぁ鬼だからね、急所が人間と違っても不思議じゃないでしょ」


金色孔雀こんじきくじゃくが二人を無理矢理納得させて構えた、阿修羅あしゅらはため息を吐き再び構える、摩和羅女まわらにょはそんな事はあり得ないとブーブー文句を言いながら構えた。


「はぁ、急所が無いなんて、………でも、急所が無くても斬り刻めば死ぬわよね?」

「やっぱりグシャクシャでしょ」

「蜂の巣だ!」


先に飛び出したのは金色孔雀こんじきくじゃく、そして摩和羅女まわらにょは横に走る、阿修羅あしゅらは切っ先を後ろに向けて深く沈んだ。

金色孔雀こんじきくじゃくは砕骨で横薙に払う、鬼は大斧で防ぐが体制を崩した、金色孔雀こんじきくじゃくも砕骨弾かれる、否、そのまま切り返し上段から振り下ろした。

鬼は持ち堪えたが横からは摩和羅女まわらにょが構えている、摩和羅女まわらにょは出来るだけ多くの針鬼を放つ、人間の急所や急所に成り得る場所、その他諸々を貫く、しかし鬼は顔色一つ変えずに砕骨を受け続けた。


「ボス、行くわよ」

「えっ、嘘!?ちょっとヤバいって―――」

「ベロシティ【光速】!」


金色孔雀こんじきくじゃくが横に避けたギリギリの所を阿修羅あしゅらが横切る、夜叉丸は鬼の腹を捉えると豆腐を切るように綺麗に振り抜いた。

鬼の体は上半身と下半身で綺麗に別れ、上半身は地面に落ちる、下半身は地面に確りと足を突き、断面は天を仰いでいる。


「ちぇ、結局阿修羅あしゅらか」

摩和羅女まわらにょはまだマシだよ、俺なんて一発も当たって無いよ」

「はぁ、倒せたんだから良いで――――!」


阿修羅あしゅらは斬れた鬼を横目で見て固まった、鬼の下半身の断面は泡が噴いたように膨らみ、泡は徐々に大きくなる。

そしてそれは消えた上半身を形成しはじめた、1分も経たない内に泡は体の形を成す、泡が弾けるのと同時に鬼は元の体に戻った。


「鬼って便利なんだね」

「今までアタシ達が戦ってきた鬼は違ったぞ」

「はぁ、それより、この鬼どうやって殺すの?」


金色孔雀こんじきくじゃく摩和羅女まわらにょは真剣な顔付きで考えている、阿修羅あしゅらは考える前に諦めの方が早かった、斬って駄目なら粉々にするしかない。


「何を考えている?」

「「喋った!」」


鬼が喋った事に金色孔雀こんじきくじゃく摩和羅女まわらにょはあり得ないくらいビックリしている、しかし阿修羅あしゅらは冷静だ、人間に化けれるのなら喋れてもおかしくはない、緊那羅きんならの鬼が良い例だ。


「私は殺しても死なない、原子単位で粉々したんなら話は別なんだがな」

「じゃあ粉々にするまでね」

「どうやって?」

「ボスのその金棒で擦り潰すってのはどう?」


鬼は大口を開けて笑い始めた、太い声は阿修羅あしゅら達の体をビリビリと振動させる。


「それくらいでは死なない、それに私はまだ力を出しきっていない、私が本気を出せば君達の勝目はゼロだ」

「じゃあ俺達も本気出そうか」

「そうね」


阿修羅あしゅらは右手で夜叉丸を持ち、腕を力を抜いて垂らす、体を揺らしながら前に倒した、倒れそうになりながら足を前に出し地面蹴る。

阿修羅あしゅらは鬼の懐に潜り込むと体ごと腕を振る、遠心力を付けて素早く斬りつけた、鬼は避けようとはせずに腕を一本落とした。


「痛くない!それくらいで私を殺せると思うな」


鬼は無くなった左腕を気にせず、大斧を右腕一本で持ち阿修羅あしゅらを横薙に払う、しかし大斧は阿修羅あしゅらに触れる前に砕骨に当たった。


「俺の阿修羅あしゅらは傷付けさせないよ」

「はぁ、いつから私がボスのモノに?」

「出会った時から」

「おい、それで防いだつもりか?」


鬼は右腕一本で強引に振り抜いた、金色孔雀こんじきくじゃく阿修羅あしゅらは軽々と吹き飛ばされ、鬼の目は摩和羅女まわらにょに向けられた。

摩和羅女まわらにょ阿修羅あしゅらを吹き飛ばした鬼を怒りの目で睨む。


「君は接近戦は苦手だろ?」


摩和羅女まわらにょは黙ってしまった、そして一瞬目を反らし、再び鬼に目をやった瞬間既に鬼はいなくなっていた。


摩和羅女まわらにょ後ろ!」


摩和羅女まわらにょは後ろを振り向くと大斧を振り上げた鬼がいる、不適な笑みを浮かべ、そのまま振り下ろした。

若干体を後ろに反らしたお陰で刃先だけが当たったが危険な事に変わりない。


「よくも俺の可愛い部下を傷付けてくれたね」


倒れた摩和羅女まわらにょを眺めてた鬼の後ろにはいつの間にか金色孔雀こんじきくじゃくが周りこんでいた、金色孔雀こんじきくじゃくは砕骨を鬼の頭上から振り下ろす。

鬼は頭と胴体がグチャグチャになり、両腕と両足だけがその場に落ちた。

金色孔雀こんじきくじゃくは急いで摩和羅女まわらにょを担いで遠ざける、そして鬼から見えない所に置き止血剤を飲ませ阿修羅あしゅらの基へ向かった。

鬼の体は腕から徐々に体を形成しはじめてきた。


「はぁ、これじゃあきりがないわよ」

「あの再生してる質量は何処から来てるんだよ?」

「さぁ?鬼だからね」

「まぁ、鬼だもんね」

二人は鬼という事だけで納得した、そして鬼は完璧に体を元に戻すと嘲笑うような目で二人を睨む、それに警戒をして二人が構えた瞬間、目の前から消えて気付いた時には二人の後ろで大斧を振り上げている。

阿修羅あしゅらは反応しきれなかった金色孔雀こんじきくじゃくを蹴り飛ばし、鬼の上段からの攻撃を受け太刀した。

しかし力の差は歴然、徐々に押され始めた時、倒れていた金色孔雀こんじきくじゃくが鬼を払おうとした。


「甘い」


鬼は片手で砕骨を止めると大斧を阿修羅あしゅらから離し、金色孔雀こんじきくじゃくの脇腹めがけて振った、砕骨で防ぐ暇も無く、ギリギリのところで腕輪で防いだがそのまま豪快に吹き飛ばされ、瓦礫の山に埋もれてしまった。


「最後は君だけだ」

「許さない」

「だからどうした?」

「許さない」

「許さないとどうなるんだい?」

「許さない」

「鬼の私でも会話が出来るのに人間の君は会話も出来ないのかい?」










ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!







「アブソルペーション【吸収】!」


阿修羅あしゅらは腕をだらんと垂らして、いつものように体を揺らしながら倒し、地面を蹴った。

あっという間に鬼の懐に潜り込むと素早く斬りつける、鬼は阿修羅あしゅらの素早さに若干圧されるがギリギリで防いだ。

夜叉丸は弾かれ、阿修羅あしゅらの背後を通り、右手から左手に移されがら空きの鬼の右腕を斬りつけた。


「まだ分からないのか?私は不死――――!」

ズズズズズズズ


夜叉丸が血をすするような音をたてると、鬼の左腕は徐々に干からびてきた、そしてそれと同時に夜叉丸が黒みを帯てくる。

鬼は慌てて阿修羅あしゅらから離れるが、左腕は干からびたまま。


「何をした!?」

「貴方の霊体を吸ったの、自然に生きるモノや死んで現世をさ迷うモノ、全てに流れる霊体をね。

いくら貴方でも霊体が無ければ再生は出来ないでしょ?」


鬼は苦虫を噛み潰したような顔をした、それが示すのは図星、そして焦り。

初めて覚えた恐怖というモノに若干たじろいだその時、阿修羅あしゅらは懐に潜り込み、そのまま腹に夜叉丸を突き刺した。


ズズズズズズズ

「死というモノに追われるのを楽しみなさい」

「辞めろ!やめろ、ヤメロ、……………ヤ…………メ……」


鬼はミイラのようになり夜叉丸から落ちた、そして阿修羅あしゅらが一息ついた時、パチパチと手を叩く音が、音の主を捜すと瓦礫の山の上で赤黒いローブを着た男性が一人。


「やはり本物か」

「貴方は………」


阿修羅あしゅらはこの男性に一度会った事がある、そしてこの男性から阿修羅あしゅらの全てが狂った、この男性のせいで天獅子小町という人間が消えた。


「…………帝釈天たいしゃくてん

「懐かし名前だ、しかし時代は移ろい行くモノ、お前が天獅子小町から阿修羅あしゅらになったように。

俺の名前はルシファー、今ココから始まる、お前達ホーリナーへの反逆がね。」











あと2話で最終回です、当初の意気込みとは裏腹にグダグダになってしまいましたが、まだ続きます。

今回の霊鬼編は序章にしか過ぎません、次回から加速して行きます。

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