2:興味
16年後
Japan Girls' high school
「天獅子小町、いざ勝負!」
場所は廊下、敵は空手の胴着にベリーショートの髪の毛、得物は拳。
対峙するは天獅子小町、真っ黒な腰まで届く髪の毛、Yシャツのボタンを第三ボタンまで開け、短い灰色のスカートの下にはスパッツ、得物はこちらも拳、しかし戦意はゼロ。
「辞めませんか、木野先輩」
「うるさい、いざ勝負!」
空手部の主将こと木野は小町の言う事など無視して正拳突きを放つ、小町は首を左右に傾けるだけで軽々と避ける。
木野は何発もの攻撃を繰り出すが、かすりもしない、腰に巻くは黒帯、それが示すは絶対的な力、そしてそれを上回る小町の身体能力。
小町は正拳突きを手でいなすと、ミドルキックで木野を一撃で仕留める。
「はぁ、また保健室か」
小町は肩に木野を担ぐと保健室に向かう、ココは3階、突き当たりにある階段を一番下、1階まで降り渡り廊下を通る、突き当たるは体育館、体育館の隣は剣道場。
そこに佇むセミロングの少女、袴に胴着、胴と垂と小手を付け、面はつけていない、得物は竹刀、その手に持つもう一本の竹刀を小町の前に投げる。
「小町さん、今日こそは勝たせてもらいます」
「はぁ、またですか、柳井先輩?」
小町は体育館の横に木野を座らせ、地面に転がる得物を手にする、敵は剣道部大将柳井、柳井は正眼に構え、小町は切っ先を斜め下に向けて背筋を伸ばす、凛と立つその様は不動の真理、小町は動かずに相手の攻撃を待つ。
「面!!!」
柳井の面を体を横に動かし避ける、すれ違い様に胴を打ち抜き再び構えなおす、勝敗は歴然、しかし引き下がらないのが柳井。
再び面を打とうとした柳井の竹刀を弾き、体を一回転させて背後に周りこみ、後頭部を打ち抜き気絶させる。
「はぁ、増えた」
木野を肩に担ぎ柳井と竹刀を脇に抱えて保健室に向かう、体育館から保健室は約5m、眼前に広がるゴール。
小町は足で保健室の扉を開け、慣れた手付きでベッドに二人を放る。
疲れたとソファーに座り対峙するは保健室の先生、妖しい美貌とはだけた胸、ミニスカートはが更に妖しさを増す、得物は色気。
しかしココは生粋の女子高、男子禁制の教員から清掃員にいたるまで女性、色気はただの趣味、女色がいるのも女子高、保健室の先生と小町は絶好の相手。
「また喧嘩?」
「違います、一方的な果たし状を半強制的に執行されてるだけです」
「小町ちゃんは運動神経が良いからねぇ、それに…………」
先生は立ち上がり小町の隣に座る、手の平で小町の顔を舐め回すように触り、顎を掴み顔を自分に向けた、相手が男ならば手の平で踊っているだろう。
「物凄く可愛い、食べちゃいたいくらい」
「はぁ、私はノーマルです」
「でも男を知らないんでしょ?16歳になってもキスもしたことない女の子なんてダサいわよ」
先生は小町の組んでる足を跨ぎ、上から見下ろす、小町ソファーに背を預け先生を見上げ、クール、悪く言えば冷めた目で見る。
「興味がないんです」
「つまらないわね」
先生は前髪を持ち上げ、小町の額に軽く唇を当てた、小町は顔色一つ変えずに先生を下ろし、保健室を後にした。
一年の小町は女色の強いお嬢様学校のこの燈泉女子学園高等部(セン女)で既に的になっていた、スポーツ万能でクールな風貌、お嬢様達には男よりも興味を奪われる、そして強いが故に闘技系の部活からの野試合がたえない。
しかし小町は女も男も闘技も興味がない、今までに興味を持ったモノなど皆無に等しい、所属している陸上部は体を動かすのが目的。
セン女は山を切り開いた土地に作った女子高、初等部から高等部、グランドや競技場、寮やコンビニに至る全てが一つの敷地に納められいる、故に皆初等部の頃から男に触れる機会が無く、男と話した事すらない生徒が大半を占める。
プライベートは全てが自由なのだが、彼氏持ちというのはほんの一握りの生徒だけ。
小町は部活が終わると一人の同級生に呼び止められた、真っ黒な髪の毛のポニーテール、制服は小町よりちゃんと着ているが今時の服装である。
「小町、これから街に行かない?」
「何しに?」
「ちょっと買い物」
「まぁ良いわよ」
小町の心許せる数少ない親友の志穂、小町の事を友達として見てる数少ない人物である、他の人間は憧れや好意の眼差しで見る、小町はそれがたまらなく嫌だった。
セン女の生徒が遊ぶ時は電車に乗って遊びに行く、小町と志穂も例外ではない。
セン女の生徒は他校の生徒の憧れの的である、電車に乗っていても男性の視線が突き刺さる、二人はそんな事にも慣れ、全く気にしていない。
「小町って養子だったよね?」
「うん、小さい頃道に捨てられていたのを孤児院に引き取られて、今の親に養子として迎えられた。
今の親は子供が出来ないから世間を気にしてなんだけどね、厄介払いに全寮制のセン女に入れられたって訳」
小町は育ててくれた両親に感謝はしても、尊敬はしていなかった、生きさせてもらっているだけでそれ以上でも以下でもない、その事を引け目に感じた事も無かった。
「健気ねぇ」
「そうでもないわよ」
「何かしんみりしちゃった!着いたから行くよ!」
志穂は小町の手を引いて電車を降りようとした、しかし志穂が掴んでいるのは小町の手だけ、小町の手には志穂の手と二人分のバッグが掴まれていた。
街に行くと徐々に学生が集まり、活気を帯てきた、その中でも二人の容姿は人の目をひく。
志穂は誰もが認める美人顔、アイドルのような笑顔が周りの目をひく。
小町は真っ黒な長い髪の毛が凛々しさを際立たせる、ラフな制服とスパッツがボーイッシュさを加える。
二人は服等を見て回っていた。
「ねぇ小町、これ可愛くない?」
「似合ってるわね」
「小町も似合うんじゃない?」
志穂は自分に合わせてた服を小町に合わせてみた、志穂はそれを見るとはしゃいで喜んだ。
「小町可愛いよ!」
「私はいいよ」
「何で?小町も女の子っぽい服装すればもっと可愛くなるよ」
小町は‘も’というのが引っ掛かったが、あえてツッコミはしなかった、志穂が自分の事を可愛いと自覚してるのは、小町も知っていたからだ。
「何で可愛くしないの?」
「他が騒ぐし私の趣味じゃないから」
「えぇ、つまんない」
「はぁ、私は志穂の着せ変え人形じゃないのよ」
「へへへ、すみません」
志穂は頭を掻きながら舌を少し出す、そのまま志穂は手に持っていた服と一緒にレジに向かった。
志穂と小町は人通りが少ない道を歩いている、これから志穂はバイトで帰り道と被らせるために、あえて人通りの少ない道を選んだ。
二人は楽しそうに話していると止まる小町、そして電柱を見る、その表情を見て志穂は小町の後ろに隠れた、志穂には電柱しか見えないが小町が見ているモノが何かは知っている。
「小町、いるの?」
「子供、泣いてる」
小町には霊がハッキリと見える特異体質、この事を知っているのは志穂ただ一人。
小町には何も出来ないのでその場から立ち去ろうとした。
その時、小町の向かう先には白いロングコートを来た男性、右の裾には長い口を覆う髭を生やし、パーマのかかった長い髪の毛の中世以前の初老の男性の刺繍、長い髪の毛に冷たい瞳。
その男性は見た途端、小町は動けなくなった、男性は二人を無視して霊の前に立つ、志穂は何ともなく小町にずっとしがみついている。
男性は袖を捲るとそこからは不気味な腕輪が現れた、その腕輪の中心にある赤い宝石のようなモノに触れる、その瞬間銀色の液体のようなモノが現れ、得物と化す、得物は大剣。
大剣が現れたのと同時に霊は歪な形をした化け物と化した、小町はあまりの光景に指一本も動かない。
男性は大剣を構える事もせずに一瞬で化け物を切り裂く、化け物は血を吹き出して消えた、男性の大剣も同時に消え、何事も無かったかのように歩き去った。
小町は緊張の糸が切れ、その場に座り込んだ。
「小町!どうしたの!?」
「志穂は今の人見てなかったの?」
「人?誰もいなかったよ」
小町は人と霊の区別は出来る、今の男性は確かに人間だ、しかし何故か志穂には見えない、小町は男性に興味を抱いた。
「志穂ゴメン、私用事思い出した」
「あっ、小町!」
小町は志穂を置いて走り出した、男性を追いに、方向は分かる、それにあれだけ派手な服は他にいない。
小町は大通りに出ると小町は一発で白いコートの男性を見つけた、異様な光景だが誰も振り向かない、肩が強く当たっても何も言われない、小町はその光景に疑問と興味を抱いた。
小町はバレないように自然を装い後ろを付けた。
「(はぁ、私ストーカーみたい)」
小町は自分が悲しくなった、しかし始めて他人に感じた興味、それを封じる事ができなかった。
男性は駅に入っていく、しかし男性は改札に切符を通さず、駅員の横を普通に素通りした、小町は駅員がよそ見していたのと判断して、一番安い切符を買って男性を追い掛けた。
駅のホームは禁煙なのに男性はタバコを吸っている、駅員は見て見ぬふり。
「(おかしい、この人絶対におかしい、服装も周りの反応も。
もしかして私ってヤバい事に首突っ込んでる?)」
小町は必死に目の前の光景を理解しようとしたが可能性が思い浮かばない。
電車が来ると男性はタバコを吸ったまま電車に乗り込んだ、男性はボックスに一人で座り、前の席に足を置いた、小町はボックスの隣の二人がけの席に座って、男性の行動を観察する。
「(非常識な人、でも不思議な人)」
暫く観察していると頭をつけていたボックスの背持たれに強い衝撃が加わった、小町は頭を付けていたために、頭に痛みが襲う、男性は足を置いてる側の背持たれを蹴った
『おい!女』
「(英語?もしかして日系とか?)」
『英語しゃべれねぇのかよ、こっちはこれしか知らねぇのに』
『喋れるわよ』
セン女では英会話に力をいれているので、小町は英語が話せた、外国人教師にネイティブに近いと言われたくらいだ。
男性は小町の前に立ち、壁に手を付けて覆い被さるように見下した、小町は見上げる、冷たい二人の目が睨みあう。
「これやるから着いて来い」
男性はポケットからネックレスを取り出した、そのネックレスを小町が持った瞬間、ネックレスが強く光り液体のようになって小町の手首に巻き付き、腕輪と化した。
「やっぱりな」
「やっぱりって何よ!?何なのコレ!取れない」
小町は腕輪を必死に外そうとするがビクともしない、そしてこの腕輪、男性の腕輪と同じモノ。
「とりあえず来い」
「えっ?あっ!ちょっと!」
男性は無理矢理小町の手を引っ張り電車を降りた、小町の手を引く男性は再び改札を通らずに駅員の隣を通る、その時小町は駅員と目が合ったように思えたが、何故か見られていないように思えた。
男性はひたすら小町の手を引いて歩いている、何が目的なのか、何がしたいのか小町には理解出来なかった。
「ちょっと!貴方誰なの!?」
小町は無理矢理手を振りほどいて、その場に立ち止まった、感情を表に出さない小町が怒る事など皆無に等しい。
「神徳は護法神・名は帝釈天、これで満足か?」
「護法神?帝釈天?」
小町には男性もとい帝釈天が言ってる事が理解出来なかった、そして小町の中で帝釈天は痛い人の部類に入ったのは言うまでもない。
帝釈天は山の中に入ると立ち止まった、小町にも立ち止まった理由が理解出来る、そこには男性の霊がいる。
「見えるな?」
「見えるわよ」
「コイツらは武器を向ければ本性を現す」
「武器?」
「得物の事だ」
「はぁ、そうじゃなくて」
「見てろ」
帝釈天は腕輪の宝石に手を当てた、その瞬間、腕輪からは銀色の液体が現れ得物、大剣と化す、そしてその瞬間霊が化け物と化した。
小町は先ほどと同じ光景に後退りして、身構える。
「何コレ!?」
「ダークロードの一種だ、これは霊の部類、見れば分かるな」
「分かる訳ないでしょ!早く倒してよ!」
「頼んだぞ」
帝釈天は手を上げて立ち去る、帝釈天の進む先には丸く黒い大きな穴が生まれ、その中に入って行った。
化け物は敵を小町に定める、得物は大きな爪、身体能力その他は未知数。
化け物は手を大きく振り上げ、爪を剥き出しにして小町に振り下ろす、小町は何とか震える体を動かして避けた。
「(何よコレ、任したって無理に決まってる………、ちょっと待って、この腕輪、帝釈天とか言う奴のと同じ、ていうことは私もあのデッカイ剣が使えるの?ダメ元ね、やってみるだけの価値はあるわ)」
小町は腕輪の宝石に手を当てた、何か武器になること願って。
遂に本編が始まりました、主人公の小町がこれからどうなって行くのか?楽しみにしてて下さい。
それとコメントを下さりありがとうございます、まだまだ評価など待ってますので皆さんよろしくお願いします。




