19:共振
Japan shrine
迦楼羅は一人で敵に囲まれている、緊那羅神社の屋根から迦楼羅を観察してる、迦楼羅は緊那羅に逆らえず無理矢理放り込まれた。
迦楼羅は毎度の事ながら緊那羅のスパルタは悩みの種だ、緊那羅は本当に死にかけ無いと手出しはしない。
迦楼羅は腕輪に触れた、得物は鎖鎌、名は首切。
迦楼羅は鎌の方を回しながら鬼を品定する。
「緊那羅、遊ばない?」
「あんたはこんなか弱い女の子を血で汚すの?」
「(か弱い女の子は屋根の上から観戦なんてしないよ)」
迦楼羅は心に思っても決して口には出来ない、四天王が出てきても助けてくれない可能性があるからだ。
「迦楼羅、いきま〜す」
迦楼羅は鎌を投げて戻す時に鬼を斬り殺す、次々と上半身だけの死体と下半身だけの死体が出来上がる、緊那羅は予想通りと欠伸をしながら眺めた。
しかし欠伸をしている緊那羅の後ろから忍び寄る鬼、緊那羅は眠そうな目をしながら迦楼羅を眺める、鬼が拳を振り上げるが体に鎖が巻き付く、そのまま鎖に引きずられて地面に落とされた。
「自分の事くらい自分でどうにかしろ!」
「守ってくれるだろうが」
「(可愛くねぇ)」
緊那羅は腕輪に触れた、得物は納刀された刀、名は羅刹。
緊那羅は屋根の端に立つと体を前に倒した、頭から落ちると腰で羅刹を構える、そして鬼の頭めがけて抜刀した、鬼は体をずらして避けると隣に一回転して着地する、そして並ぶように立ち鬼を睨んだ。
「迦楼羅、終わったか?」
「終わったけどよぉ、お前少しは緊張感持て」
迦楼羅の鎖は鬼の腕に巻き付いている、そのお陰で緊那羅は殴られずに済んだ、しかしこれは慣れた事、緊那羅を極力戦い易くするのが迦楼羅の役目。
「さぁて、久しぶりにやりますか」
「私の足を引きずらないでよ」
「分かってるよ」
緊那羅が鬼の腕に絡まっている鎖を掴んだ、迦楼羅は鎖をほどくと緊那羅ごと引き寄せた。
緊那羅は迦楼羅の隣に行くと腰を低くして構える、迦楼羅は分銅を回すと緊那羅と鬼の両方の動きをうかがう。
緊那羅は思いっきり地面を蹴るとあっという間に鬼の懐に潜り込む、鬼は拳を緊那羅に向かって放つが迦楼羅が分銅で弾いた。
緊那羅は抜刀の鞘走りを利用して、右の脇腹から左肩にかけて切り上げようとする、しかし羅刹は脇腹を軽く斬ると羅刹は鬼の体に食い込んだまま動かなくなった。
「………最悪」
鬼は腕を大きく振り上げると緊那羅を殴り飛ばした。
緊那羅は何とか鞘で直接の攻撃を防ぐが体は軽々と宙に浮く、緊那羅の体はあっという間に首切の鎖が巻き付き、迦楼羅の方に引っ張られた。
迦楼羅は飛んで来た緊那羅の体を片手でキャッチすると鬼を睨む、緊那羅は埃を叩き羅刹を納刀した。
「少しは考えて行動しようよ」
「不可抗力だ、それにあんたがいるから無茶出来る、信頼してるからな」
「そこまで言われたら死んでも死なせられないな」
緊那羅は口角を上げて上体を起こす、そして羅刹を抜刀すると右手に羅刹、左手に逆手に持った鞘、これが示すのは緊那羅が本気という事。
緊那羅は地面を蹴ると再び鬼の懐に潜り込む、鬼はサイドステップで避けると緊那羅を真上から叩き潰そうとする、しかし緊那羅軽々と避けると思いっきり跳び上がった。
緊那羅は羅刹を思いっきり振り上げて鬼の頭に振り下ろした、鬼は右腕で防御するが羅刹が刺さる、鬼は左腕を大きく振り緊那羅を薙払うが左腕は空を切った。
緊那羅は鬼が防いだ瞬間に迦楼羅によって戻されていた、緊那羅が後方に引っ張られてる時に迦楼羅とすれ違う、迦楼羅は首切の鎌で斬りかかった、首切は鬼の太ももに刺さり止まる。
「そういう事、確かに不可抗力だな」
鬼は首切が刺さって動けない迦楼羅を右腕で弾き飛ばした、迦楼羅は首切をしっかりと握っていたために緊那羅が鎖を引っ張り迦楼羅を引き寄せた。
迦楼羅はなんとか緊那羅の隣に着地すると息を整えた、緊那羅の額から先ほど鬼に殴られた時の傷がある、迦楼羅も然り。
「ありえない装甲だな」
「鬼はそんなもんだろ」
「便利な生き物だな」
「憎たらしくだけだ」
迦楼羅は軽く笑うと地面を蹴った、緊那羅は羅刹を納刀すると腰で構え体制を低くする。
迦楼羅は鬼の5mくらい前で分銅を投げる、鬼は顔の手前で分銅をキャッチすりといつの間にか迦楼羅が後ろに回り込んでいた。
迦楼羅は背中に鎌を突き刺した、鎌は例の如く刺さったまま抜けなくなった、迦楼羅は一旦間合いを取り、体重全部を乗せて鎌を殴る。
鎌が深く刺さると声にならない悲鳴を上げて、振り向き様に迦楼羅を殴り吹き飛ばす。
「グフッ!」
「ベロシティ【光速】!」
鬼は緊那羅の攻撃をギリギリで右腕で防御した、羅刹は鬼の右腕の骨で止まる、左腕を振り上げた鬼は苦しみながらも緊那羅は睨む、目があった緊那羅はにっこりと微笑んだ。
「ヤバめ」
最大まで振り上げた時、鬼の左腕に鎖が絡みつき一瞬止まる、その間に緊那羅は羅刹から手を離し間合いを取る。
鬼は左腕を思いっきり振ると鎌を持った迦楼羅が宙に浮いた。
迦楼羅は人形のように飛ばされると鬼の右手に納まる。
「迦楼羅!」
「来るな!…………大丈夫だから」
迦楼羅は辛うじて空いていた右手で鎌を持ち、鬼の顔に鎌を投げた、鎌は真っ直ぐに鬼の左目に刺さり、鬼は迦楼羅を手放した。
迦楼羅は間合いを取ろうとしたが鬼に左腕腕を掴まれる、鬼は左腕を持ったまま持ち上げる。
バキバキバキバキ!
「グワアアアァァァ!」
「迦楼羅ぁ!」
迦楼羅の左腕の骨が砕ける音、緊那羅は怒りに歪んだ顔で走り出す、その間に腕輪に触れて羅刹を抜刀した。
鬼は迦楼羅を離さずに迦楼羅の体を掴んだ。
「…………きん、なら」
「辞めろぉぉぉ!」
鬼はそのまま左腕と迦楼羅の体を逆方向に引っ張る、迦楼羅の筋繊維が切れる音と共に迦楼羅の左肩から先は引き千切られた。
その瞬間迦楼羅は気を失い、鬼は迦楼羅の体を緊那羅に投げつけた。
緊那羅は迦楼羅を受け止めると勢いで吹き飛ばされた。
「迦楼羅!迦楼羅!」
緊那羅は鬼から間合いを取ると迦楼羅に呼びかけた、しかし迦楼羅は苦悶の表情を浮かべたまま動かない、その間でも迦楼羅の肩からはとめどなく血が流れ出す。
緊那羅は迦楼羅のポケットから水薬の血止め薬と丸薬の増血剤、丸薬を迦楼羅の口に入れ水薬を流し込むがすぐに吐き出してしまった。
「クソ、高くつくわよ」
緊那羅は自分の水薬と丸薬を口に含み顔を迦楼羅に近付けた、緊那羅は顔を真っ赤にしながら迦楼羅と唇を合わせる、そのまま迦楼羅の口に直接薬を流し込んだ。
緊那羅は顔を離すと顔を真っ赤にして鬼に振り返った、しかし振り返った時には怒りに満ち溢れた表情。
鬼は不気味な笑みを浮かべ左腕が無く横たわる迦楼羅と怒りに満ちた緊那羅交互に見る。
「許さない、鬼なんて許さない、私の大切なモノばかり奪う、……………絶好に殺す!」
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!
「シンパシー【共振】!」
キイイイィィィン
耳の奥を直接振動させるような高い超音波のような音が響き渡る、緊那羅は羅刹を抜刀し構える、音は小さいが鳴り続けている。
「あんたには生易しい死に方は提供出来ない、あんたで奏でてやる」
緊那羅は地面を思いっきり蹴った、懐に飛び込み大きく沈むが鬼の拳が降ってくる、緊那羅は鞘で防ぐと一瞬音が大きくなり拳が弾かれる。
緊那羅は弾かれた腕の肘に羅刹を突き刺す、羅刹はやっと切っ先が刺さったくらいで止まった。
キイイイィィィン!
音が辺りを支配し地面がビリビリと揺れる、鬼の肘から先が大きく揺れ始め、肘から爆発するように千切れた、鬼は地面を揺らしながら図太い悲鳴を上げる。
「振動で破裂させた、あんたは私に触れる事は出来ない」
鬼は大きく悶えながらももう一方の手を振り上げる、緊那羅は鬼を睨んだまま佇む。
鬼の手が緊那羅の横顔を殴ろうとすると羅刹が拳に突き刺さる、再び大きな音をさせると拳が破裂する。
緊那羅は徐々に鬼の血で赤く染まるが、表情は全く変えず鬼を睨み続けた。
「それくらいで騒ぐな、迦楼羅は肩から無い、あんたにもその苦痛、提供してあげる」
緊那羅は鬼の肩に飛び付くと羅刹を肩に突き刺した、高音と共に鬼の肩が破裂し血が吹き出す。
緊那羅はそのまま頭を軸にして反対に行くのと同時に、肩に羅刹を突き刺した、肩は同じように破裂し、緊那羅は飛び下りた。
「まだ意識があるの?鬼の生命力の強さもここまで来ると邪魔でしょ?でもまだ殺さない」
悶え苦しむ鬼を嘲笑うかのように緊那羅はゆっくりと鬼に近付く、鬼の表情は恐怖と苦痛に歪み更に醜くくしている。
緊那羅は手を伸ばせば簡単に鬼に届く距離まで近寄った、鬼は恐怖と苦痛から何も出来ずにいる、緊那羅が羅刹を思いっきり太ももに突き刺すと、太ももは簡単に破裂した。
鬼はバランスを崩し横に倒れると冷たい目で睨む緊那羅を見上げる状態になった、緊那羅は構わずもう一方の足に羅刹を突き刺した、鬼の最後の足も突き刺さるのは切っ先だけだが破裂する。
緊那羅は胴体と頭だけの鬼を血まみれな体で嘲笑う。
「可哀想だから殺してあげる、私は鬼じゃないから」
緊那羅が羅刹を鬼の頭に突き刺すと鬼は胴体だけになり息絶えた、血まみれの緊那羅は羅刹に付いた血を振り落とすと納刀した。
「迦楼羅は頼んだわよ」
そう言って緊那羅が走り出すと、どこからともなく救護班が現れ、迦楼羅を手当しはじめた。
あり得ないくらい遅れてすみません、色々と用事があり投稿が遅れました。
これからも遅いながらもに投稿します、最低でももう一回くらいは続編を出します、それまでは頑張りますのでよろしくお願いします。