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17:テレパシー


Japan shrine


毘楼勒叉びるろくしゃ毘楼博叉びるばくしゃは鬼に囲まれている、残りの鬼は全てが神社を拠点として、そこにいる者全てが鬼、力がある鬼をなんとしても守るタメだ。

鬼達は毘楼博叉びるばくしゃ毘楼勒叉びるろくしゃを待っていたかのように集まって来た、二人は腕輪に触れて構える、得物は2本のハンドアックス、名は毘楼勒叉びるろくしゃが右京、毘楼博叉びるばくしゃ左京。


「いっぱいいるね」

「量だけで僕達に勝てるとでも思ってるの?」

「だとしたら笑えるね」

「「アハハハハハハ!」」


二人は天使の笑みで笑った、しかし中身は鬼をも恐る悪魔。


「殺し放題!」

「斬り放題!」

「「逃げるなら今のうち!」」


二人は同時に左右に走った、物凄い勢いで鬼を斬っていく、毘楼勒叉びるろくしゃが後方に物凄い勢いで右京を投げると血まみれで手元に戻ってきた、否、鬼を貫いた左京が飛んで来たのだ。

二人はテレパシーにも似た意思疎通で相手を見ずに得物を投げて、鬼を殺すのと同時に相手の投げた得物を受け取る、毘楼勒叉びるろくしゃ毘楼博叉びるばくしゃしか出来ない高速ジャグリングだ。


毘楼博叉びるばくしゃ!楽しい!?」

「楽しいよ!毘楼勒叉びるろくしゃは!?」

「最高!血の臭いでむせかえりそうだよ!」

「アハハハ!僕も!」


鬼達は目の前のホーリナーだけではなく、後ろや横から飛んで来る得物を気にしなければいけないので、相手が二人でも思うように動けずにいる。

鬼が戸惑ってるうちに二人の白かった団服は真っ赤に染まっている、真っ赤に染まった顔は無邪気な笑顔を浮かべ、鬼が近付くのを戸惑うくらい異様。


二人が徐々に近付くにつれ鬼が減っていく、最後の一体になった鬼は逃げ出そうとしたが右京と左京が頭に刺さり倒れた。


「「しゅーりょー!」」


二人が背中合わせでガッツポーズをすると、境内から一番偉そうな坊主が出てきた、二人は笑顔で腕輪に触れて坊主を睨んだ。


毘楼博叉びるばくしゃ、ラスボスだぞ」

「ホントだ、死にに来た」


坊主は鬼の死体の中に立ってる二人を見て迷わず鬼と化した、スラッとした人に限りなく近い鬼、鬼は黒い穴から刀を取り出すと構えた。


「何か楽しそう」

「どっちが殺せるか勝負だ!」

「良いよ」


鬼は二人の事を無視して地面を蹴った、毘楼勒叉びるろくしゃが横に避けると、毘楼博叉びるばくしゃは鬼の上段からの攻撃を受け太刀する、鬼が一瞬止まった時に毘楼勒叉びるろくしゃが横から走ってきた。

鬼はバックステップで避けるが毘楼博叉びるばくしゃが前に踏み出しながら横薙に払う、鬼が左京を受け太刀すると右京が顔面めがけて飛んで来た。

鬼は片手で得物を持つと右京をもう一方の手でキャッチした。


「ナイスキャッチ」

「アンドがら空き」


毘楼博叉びるばくしゃは空いた脇腹をもう一方の左京で斬ろうとした、しかし鬼は掴んだ右京で受け太刀をしようとする。


「「残念だね」」


右京は銀色の液体になると鬼の手元から消えた、左京は鬼の脇腹に刺さるが鬼に腕を掴まれて振りきれなかった。

鬼は毘楼博叉びるばくしゃの腕を掴んだまま、毘楼勒叉びるろくしゃの方に投げ飛ばした。

毘楼博叉びるばくしゃは凄まじい勢いで毘楼勒叉びるろくしゃに飛んで行くが、二人は目を見て笑うと、毘楼勒叉びるろくしゃが横に少しズレ、右京と左京をひっかけた。

毘楼博叉びるばくしゃ毘楼勒叉びるろくしゃを軸にしてそのまま鬼に方向転換する。

毘楼博叉びるばくしゃは勢いを殺さずに地面を蹴ると、力一杯左京を振り下ろした。

鬼は圧されながらも受け太刀すると毘楼博叉びるばくしゃを弾き飛ばした。

上空に上がった毘楼博叉びるばくしゃの下から毘楼勒叉びるろくしゃが現れ、横薙に斬りかかる、鬼はそれよりも速く毘楼勒叉びるろくしゃの肩から脇にかけて斬った。


「クハッ!」

毘楼勒叉びるろくしゃ!」


毘楼博叉びるばくしゃは鬼に左京を投げて毘楼勒叉びるろくしゃから遠ざけると、毘楼勒叉びるろくしゃの隣に行った。


毘楼勒叉びるろくしゃ!早くこれ飲んで!」


毘楼博叉びるばくしゃはポケットから出した水薬を毘楼勒叉びるろくしゃに飲ませた、それは医療班が作った血止め薬、生き長らえるための悪あがきだ。


「休んでて、僕がアイツを殺してあげるから」




ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ




毘楼博叉びるばくしゃの天使の笑顔が禍禍しく歪む、それは身も心も悪魔に染めた神の怒り、始めて怒り溺れた神だ。







「エクスペンション【拡大】」







毘楼博叉びるばくしゃの左京が巨大化する、その大きさは2mをゆうに越える大きさ、しかし毘楼博叉びるばくしゃにかかる重量は全く変わらない。


「死ね」


毘楼博叉びるばくしゃは地面を蹴った、毘楼博叉びるばくしゃは巨大化した左京を振り下ろすが鬼に避けられた、しかし地面が砕けその破片が鬼の体を傷付ける。

毘楼博叉びるばくしゃは振り下ろした左京を持ち上げるのと同時に、もう一方の左京を横薙に払った。

鬼は何とか刀で受けるがそのまま境内に突っ込んだ、埃などで鬼は見えないが、相当弱っているハズ、毘楼博叉びるばくしゃは無表情で境内に近付いた。

毘楼博叉びるばくしゃが覗くとそこには何もない、そして毘楼博叉びるばくしゃがそれに気付くのと同時に隠れていた鬼が斬りかかって来た。

毘楼博叉びるばくしゃは巨大化した左京で受けるがあっという間に鬼は後ろに周りこんでいた、鬼は突こうとしたが毘楼博叉びるばくしゃがなんとか受けた、しかし不安定な体制で防御したために体制を崩し、鬼に蹴り飛ばされた。


「クッ!」


毘楼博叉びるばくしゃは境内の壁をぶち抜き外に出た、左京を地面に突き刺しその上に乗ってブレーキをふんだ。

しかし鬼はあっという間に毘楼博叉びるばくしゃの目の前まで来ていた、毘楼博叉びるばくしゃは片手で防御して、鬼を弾き飛ばすとそのまま鬼に左京を振り下ろした。

鬼は左京を避けて、地面に突き刺さった左京の上を走っている、片方は自分の足場、もう片方は目の前で突き刺さっている、そして今から手を離し新しい得物を出したとしても遅い。

毘楼博叉びるばくしゃは逃げる思考回路を無くした時、鬼は何かを見つけて左京から飛び下りた、そして鬼のいた場所をハンドアックスが素通りする。

鬼ど毘楼博叉びるばくしゃがその方向を見ると毘楼勒叉びるろくしゃが立っていた、顔には大粒の汗を浮かべている。


毘楼勒叉びるろくしゃ、復活」

「良かったぁ、これで一気に有利になったね」

「ふ〜ん、神域に達したんだ」

「そうだよ」


二人は不気味な笑みを浮かべると横に並んだ、そして先に飛び出したのは毘楼博叉びるばくしゃ毘楼博叉びるばくしゃが巨大化した左京を振り下ろすと、既に鬼は上空にいた、毘楼勒叉びるろくしゃがもう一方の左京に捕まると毘楼博叉びるばくしゃは思いっきり左京を振った。

毘楼勒叉びるろくしゃは鬼まで到達すると、空中で素早く斬りあう、そして毘楼勒叉びるろくしゃがわざと力を抜いて地面に落ちた時、鬼に向かって巨大化な左京が飛んできた。

鬼は受けるのと同時に強く弾かれ、地面に叩き付けられた。


「「双子を甘くみるな」」


二人は笑顔でハイタッチして鬼を見る、鬼はしぶとく立ち上がり懲りずに走って来た。

毘楼博叉びるばくしゃは引き付けて左京を振り下ろす、鬼は避けようとはせずにそのまま左京を掴んだ、そして力任せに左京ごと毘楼博叉びるばくしゃを投げ飛ばした。


「えぇえぇぇ!?」


毘楼博叉びるばくしゃは地面に左京を突き刺してブレーキをしてそのまま走って鬼に向かった。

鬼は毘楼勒叉びるろくしゃと斬りあっている、純粋に斬りあえば毘楼勒叉びるろくしゃは不利だが、双子なら形勢逆転。

毘楼勒叉びるろくしゃが口角を上げると鬼はバックステップをした、行き違うように左京が目の前に振り下ろされる。

左京が持ち上がると毘楼勒叉びるろくしゃは一目散に走った、そして毘楼勒叉びるろくしゃの間合いに入る前に毘楼勒叉びるろくしゃは上に跳んだ、毘楼勒叉びるろくしゃの足下を左京が通り鬼に斬りかかる、鬼は足を踏ん張って受け太刀をした。


「力持ちだね」

「関心してる場合?」

「違うね」


毘楼博叉びるばくしゃが左京を引くと、鬼は毘楼勒叉びるろくしゃめがけて走って来た。

毘楼博叉びるばくしゃ毘楼勒叉びるろくしゃの手前で鬼に左京を振り下ろすが避けられた。

鬼は左京をジャンプして刀を振り上げている、完璧なタイミング、このタイミングならば左京に邪魔されずに毘楼勒叉びるろくしゃを斬れる。

しかし鬼は毘楼勒叉びるろくしゃを見て顔が引き吊った、毘楼勒叉びるろくしゃの右京が左京同様に巨大化している、毘楼勒叉びるろくしゃは満面の笑みで鬼に向かって右京を振り下ろす、鬼は受け太刀をするが、後ろから左京が来ている。


「「死ねぇ!」」


鬼は二人の合わさったハンドアックスの真ん中で斬られている、二人は得物を戻すと同時に倒れた。


「双子って便利だね、なんでも共有できる」

「神域もね」

「アハハハ」

「「疲れたね」」


二人は目を瞑った、子供のような寝顔、血で真っ赤に染まった団服を華やかに見せる寝顔がそこにある。

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