16:前夜
Japan VCSO Japapn branch office
迦楼羅、摩醯首羅、摩侯羅迦は日本支部に戻って来ていた、理由は鬼の情報を掴み、最後の戦いの邪魔となる鬼を排除しおえたタメ、着々と日本支部では鬼を一掃する準備が出来ている。
しかし部長室には誰もいない、ココに迦楼羅達を呼んだのは金色孔雀、呼んだ張本人がいない事に摩醯首羅はイライラしていた。
「アイツは抜けている、緊張感が足りない」
「まぁ良いんじゃないの、ゆっくり休んでようよ」
「そうだぞ摩醯首羅!そんなにイライラしてたら将来つるっぱげ」
最初は摩醯首羅の出す負のオーラに着いて行けなかった迦楼羅だが、最近はそれを受け流す事を覚えた、慣れとは怖いモノだ。
「何だよ、お前らもいたのか」
「久しぶり!」
エレベーターからの階段を上がって来たのは毘楼勒叉・毘楼博叉ペア、二人も金色孔雀に呼ばれた。
毘楼勒叉は金色孔雀がココにいない事を聞いてキレた、そしてそれをなだめる毘楼博叉、いつもの光景だ。
「あの女ったらし、僕達を集めて自分が来ないなんて何様のつもりだ」
「そういえば摩和羅女の車はあったよな、っていうことは摩和羅女・緊那羅・阿修羅と金色孔雀が何かしてるんじゃないのかな?」
迦楼羅の言った事に全員が反応した、そして各々が各々の思考を廻らせる。
「(女だけに美味いモノ食わしてるのか!?)」
「(ついにホーリナーにも手を出したか)」
「「((もしかして僕達に内緒で秘密の特訓とか!?))」」
「皆の考えに水をさすようで悪いけど帰って来たよ」
迦楼羅が指差した方には笑顔の金色孔雀がいる、そして後ろからは衰弱しきった3人が歩いて来て、真ん中で全員倒れた。
「(そんなに食わされたのか!?)」
「(そんなにハードなのか!?)」
「「((そんなに戦ったの!?))」」
金色孔雀は笑顔で座ると迦楼羅と女3人以外がデスクの前に集まる、その表情は全員が険しい。
「「「「何があった!?」」」」
迦楼羅は4人をシカトして倒れてる3人の方に行った、3人は衰弱しきりピクリとも動かない、乱れた団服に髪の毛、そして頬の涙の痕。
「実は3人に備蓄倉庫―――」
「「「イヤァァァァ!!」」」
‘備蓄倉庫’という一言で3人は起き上がった、そして3人は抱き合いお互いを慰めるように震えている。
「ボス、3人を備蓄倉庫に入れた?」
「掃除してもらったんだぁ」
迦楼羅は呆れて頭を抱えた、他の4人は備蓄倉庫を想像して震えている、全員が備蓄倉庫の事を知っているからだ。
「とりあえず、みんなに集まってもらったのは備蓄倉庫の話をするからじゃない、迦楼羅達が入手した鬼に関する情報の整理、考察、対象だ」
その瞬間部長室にいるホーリナー全員の顔が変わった、今まで脅えていた阿修羅達も、震えてあた摩醯首羅達も、頭を抱えていた迦楼羅も、おちゃらけていた金色孔雀も。
「鬼は全てを統括する親分が1体、そして四天王と呼ばれる鬼達、計5体で牛耳られている、そしてその四天王の1体は阿修羅達が倒してくれた」
阿修羅達は神社での戦いを思い出した、異常に強い鬼、それと同じようなのがあと3体にそれより強いのが1体、部長室に緊張が走る。
「今から言うことを頭に入れて阿修羅達と鬼の戦いの結果を聞いて、阿修羅は既に日本支部最強だ、そして2番手だけど強さは明白な緊那羅、そしてこの最強の前衛にホーリナー最強クラスのバックの摩和羅女、この3人のグループは恐らく神選10階には及ばないものの、VCSOの各国支部でも最強クラスだ。
そして鬼との戦いの結果、確かに勝った、鬼の群れと四天王を相手にしてだ、しかし摩和羅女は背中全体を負傷で重体、緊那羅は腕を砕かれ重傷、阿修羅も脇腹と肩を突き刺され重体、分かるな?奴らの強さは異常だ」
全員が息を飲む、そして残りの鬼の多さと強さに絶望感が生まれた、いつになく真剣な金色孔雀の顔がそれを物語っている。
「この鬼共を明日殺す」
「ちょっとまてよ、それなら神選10階に頼んだ方が得策だろ、そんなに急ぐ必要があるのか?」
迦楼羅が金色孔雀の提案を拒否した、それくらい今行くということは無謀な事。
「鬼は気付き始めてる、もう時間が無いんだ、神選10階の派遣には1週間以上かかる、このままだと総攻撃をされて日本支部は墜ちる、だから俺達でやるしかないんだよ」
神選10階は任務等が世界全土なタメに要請してから派遣までに時間がかかる、この自体に気付くのに時間を食い過ぎた。
「今回は2人一組で動いてもらう、これは俺が考えられる被害を最小限に抑えるペアだ。
毘楼勒叉と毘楼博叉、緊那羅と迦楼羅、摩醯首羅と摩侯羅迦……………」
当然のペアだ、毘楼勒叉と毘楼博叉は言わずもがな、緊那羅には長年同じ隊の迦楼羅、摩侯羅迦の野生的な動きと連携が取れるのは摩醯首羅だけ、そして………。
「阿修羅と摩和羅女、それに俺だ」
全員驚きの表情を隠せない、金色孔雀が任務に出るのはしょうがない、しかしそれが何故このグループなのかだ。
「俺と阿修羅と摩和羅女は親分を相手にする、他の奴らは四天王を相手してもらう」
最強の3人と呼ばれた阿修羅達でも瀕死だった四天王にたった2人で相手する、全員が息を飲み覚悟した、万が一を。
「って事で今日は前祝いだよ!皆で食事会だ、そんで明日は後夜祭で食事会、遅刻者ないし欠席者は備蓄倉庫の掃除、分かったね?」
全員が返事をする、コレは金色孔雀の遠回しの願いだという事が全員が分かったからだ、そして全員はエレベーターに乗り込んだ。
食堂ではいつもの光景が広がっている、迦楼羅がとった料理を緊那羅が横取りし、毘楼博叉が毘楼勒叉の分までとり、摩侯羅迦の制御をしながら摩醯首羅も食べる。
しかし摩和羅女だけは違った、阿修羅が取り分けた食事すら手をつけようとしない。
「どうしたの?」
「怖いんだ、阿修羅や緊那羅、他の皆がいなくなるかもしれない、もう会えないかもしれない、それが怖い」
「大丈夫よ、私達があっという間に倒して助けに行けば良いじゃない」
「そうだ!そうだな!うん!そうだ!」
摩和羅女は何かがふっきれたように食べ始めた、全員が怖い、今隣にいる人が明日にはいなくなってるかもしれない、しかし全員の答えは出ている、勝ち、それ以外の何物でもない。
「阿修羅!帰って来たらくれーぷを食べに行こう!緊那羅もだ!」
「そうね、ゴマの団子も食べたいし」
「邪道じゃないの?」
「邪道も一興」
3人はクスクスと笑った、再び食べ歩きをする事を誓い。
ラストスパートです、最後まで読んで頂けたらありがたいです。