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それでも、想っていたい

作者: 巳ノ星 壱果
掲載日:2026/04/12

たぶん、このままの距離がちょうどいい。

近づけば壊れるものもあると、知ってしまったから。

だから私は、何も言わない。

この想いは、まだ渡せない。

 誰かの一番になりたいわけじゃない。



 ただ、その彼にとって、

 私が一番大切に想っていてあげられる相手でありたい。

 そう思えたのは、人生で初めてだった。



「人を本当の意味で思いやること」

 そんな気持ちを、彼が気づかせてくれた。



 でも私は、彼の心のほんの一部分すら知らないのだと思う。



 何気ない会話だって

 何も思っていない相手になら、言葉を選ばずに話せる。




 なのに、彼に対してはうまくできない。




 大切だからこそ軽くしたくない。

 好きだからこそ雑に扱いたくない。




 やっと見つけた、「たった一人の人」だから





 そんな簡単な関係じゃないのもわかっている。



 ゆっくりでいい。

 少しずつでもいい。



 緊張して、何も話せなくなる私に気を遣って会話をふってくれる。そのさりげない優しさが、ただ心地よかった。




「あれ、私の恋愛偏差値ってこんなに低かったっけ?」




 そんなことに気づいてしまった。


 それは、遅すぎる初めての恋だったから。




 もしあの時、あの瞬間に戻れたなら?

 せめて後もう一言、彼に何か言えたら?

 帰り際に、いつもそんなことを考えてしまう。




 私が彼に見合う女性になるまでは、この気持ちを伝えることはできない。



 彼に見合う女性にはなれなくても

 たとえ叶わない恋だとしても、後悔はない。



 この気持ちに気づけたことに意味があって、彼を好きになれたことに意味がある。



 彼を想う時間が、無駄だとは思えない。



 そう思える相手に出会えたことがただ幸せなんだ。



 彼が辛い時に一番最初に



「大丈夫?」



 と声をかけてあげられるような関係になれたなら

 それ以上に幸せなことはないのかもしれない。




 少しずつでいい。まだ慣れていないから。



 心臓が脈を打つたびに、胸の奥が何度も高鳴る。




 一度だけ手が触れた時、どうしようもなく恥ずかしくなった。



「もしかして、彼は私の気持ちに気づいているのかな?」



 そんなことをふと思いながら私はまた、ひとりで考えてしまう。



 微笑む笑顔も


 さりげない優しさも


 全部が恋しい。



 またいつか会える日まで

 この気持ちは大切にしまっておこう。




 この想いは

 私だけの、かけがえのない宝物だから


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― 新着の感想 ―
文章読んで、尊死するかと思いました。 その恋、応援しています。
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