生存理由
ここは…。
天井が真っ白だ…。
祠で挨拶して…その後が覚え出せない…。
死んだのか?死んだなら何故真白なんだ?
いや待てよ…転生作品では、空間が真っ白だったり、赤子になってたりするよな。
手を見れば分かるか?
<マヤラが腕を挙げた時だった>
「マヤラさん起きたんですか!?」
何処かで聞いたような…。
だけど…身体を起き挙げる力が出ない…。
「すみません。
貴女は誰ですか?」
「自己紹介がまだでしたね。
ライルン·サエリと言います」
「王女様!?」
<マヤラが身体を無理に起こそうとした時だった>
「無理に起こさないでください。
不眠不休で魔物討伐をしていたのです。
骨にまでダメージが行っています」
「そうでしたか…すみません」
「謝らなくて大丈夫ですよ」
「そういえば、村の人達は生きているんですか?」
「マヤラさん以外死にました」
「そう…ですか…。
何故俺は生きているんですか?」
「その説目がまだでしたね。
説明出来る方を連れてきますね」
「分かりました」
説明出来る方って誰だ?村人全員死んでるんだろ?
もしかして…いや…そんなわけないか…。
<ドアが開いた時だった。
「マヤラ!」と泣き叫びながら近付いて来る2人の声が聞こえた>
「もしかして…ララ様とワワ様ですか?」
「そうだよ!マヤラ!やっと目が覚めたー!」
「本当だよ!…1週間も…眠りやがって!…」
「1週間も寝てたんですか?」
「そうだよ!眠り魔!」
「そうなんですか、すみません。
でも…やっとお二人の顔をみれました」
「そうだね…あの時は…声だけだった…もんね…」
「それじゃあ、なんでマヤラだけが生き残ってるか言うね」
<伝えようとしているララだが、少し落ち込んでいるような顔だった>
<1週間前>
「マヤラ眠らせたけどどうする?」
「マヤラ…以外…殺す…」
「急に物騒だな」
「ララは…嫌?…」
「嫌なわけないだろ?賛成に決まっている!
数分後には魔物が攻め込んでくるしな」
「じゃあ…マヤラの家と…ここと…墓に…結界張ろうか…」
「そうだな。
なあ、ワワ」
「なに?…ララ…」
「マヤラの事襲えるよな?」
「襲えるね…」
「襲っちゃ駄目?」
「駄目!…寝顔で我慢!…」
「ちぇー」
はあ、なんでだ!寝ているマヤラが居るのに!
襲ったらいけないのは分かるけどさ。
好きな人が居たら襲いたいじゃん!しかも寝てるのに!
なに?そういうプレイ?あー!寝かせたのは俺らだけど、無防備じゃん!襲えるじゃん!
なんで人間界のルール守らないといけないんだよ!俺は神なのに!
我慢つらい…人間界の…ルール…守るの嫌!…。
だけど…ルールはルール…我慢我慢…。
キスは…許される?…いや…許されない!…。
抱くのは…?それも駄目!…。
眠らせたの…僕らだけど…我慢するの…キツイ!…。
飼い主に…待て!って…言われてる…犬って…こんな…気持ち…なのかな?…。
辛い…辛すぎるよ…。
<眠らせたは良いものの、自分達の欲望を抑えなければならなくなった神達。
そして30分が経過した>
「さあ、始まったね。
ハイレンス村の村民達はどう立ち回るのか」
「生存率…0%…だけどね…」
<村の周りの木が次々に折れていく。
高ランクの魔物から逃げる低ランクの魔物。
その低ランクを追いかける高ランクの魔物。
そして…魔物から自分の住みかを守ろうとする人間。
人間は魔物と戦おとしない。
自分達を守ると信じている場所に向かった>
「村民達が来たね」
「予想は…つく…」
<時代が進むにつれ、祠の場所を知る人間、祠を掃除する人間は減っていく。
神様はそれを理解している。
何百何千何万と生きているから。
だが、今までなにもして来なかった村民達は、祠を綺麗にしていたマヤラに罵詈雑言。
そんな人間に神様は力を使うのか。
クズに誰が優しくする?力を使うわけがない>
<村民達は祠の前で願った。
「自分だけでも救ってください」「皆を救ってください」「子供だけでも救ってください」「援軍が到着しますように」
村民達の願いは神様に届いている>
「人間が使う運と奇跡。
それは今までの行いの褒美」
「ここで…何を…言われても…。
こいつらに…褒美を…あげる…わけがない…」
<村民達は救われると信じ願った。
だが救われる事もなく、魔物に食われていく。
魔物に食われた村民の悲鳴。
それを聞いた村民達は願うのを辞め、生きる為に逃げていく。
だがもう遅い。
周りには魔物がうじゃうじゃ居る。
ハンレイス村は10分もたたずに、血と人間や魔物の部位の海になった>
「魔物達が腹一杯になったみたいだね」
「Eが…12体…Dが…34体…Cが51体…Bが73体…Aが…94体か…」
「魔物処理もしないとだな」
「そうだね…野放しに…すると…他の…村に…行くからね…」
<王国の救援がハイレンス村に着いた。
1人の女性が祠に近付いた>
「ララ様ワワ様初めまして。
ライルン·サエリと言います」
「王女が救援に来るなんてな」
「ライルンが…言ってたよ…今の王女は…人助けが…好き…だって…」
「そうだったか?
それで、なんで1人でここに来たんだ?
他の救援者を村の門に置いてきて」
「こんな現状で長くは居たくないでしょう」
「それもそうか」
「そして、そこに眠っている方は?」
「サユウ·マヤラだよ」
「そうです。
それじゃあ、マヤラさんを連れていってもいいですか?」
「駄目!…」
「この手紙を見せてもですか?」
<ララは王女の手紙を受け取った>
<ララとワワへ
村の近くでスタンピードが起きたらしいわね。
マヤラが不眠不休で討伐するだろうから、体調が心配なのと、2人が眠っているマヤラを襲わないか心配。
なので、救援にマヤラを預けてね♪︎
預けなかったら、後遺症が酷すぎて生活出来ないかもよ!
マヤラの事が好きなら分かるわよね?
もちろん2人も国に来て良いわよ。
ライルンより>
「分かった。
マヤラを預けるよ」
「ありがとうございます」
<マヤラがどうして生きているのか話し終わった>
「ララ様とワワ様は何故そんな顔をしているんですか?」
「だって…故郷や…村人を…守らな…かったんだよ?…」
「ララ様とワワ様分かってるでしょ?
俺が村に居たのは、ララ様とワワ様と居たかったからですよ。
だからこんな事を言うのはあれだけど…村や村人が居なくなって悲しいという感情が無いんです」
「そうだったな。
今まですまなかったな」
「謝らないでください。
俺がしたかったから、祠を綺麗にしていたんです」
<マヤラの言葉を聞いて、ララとワワは泣き叫びながらマヤラに飛び乗ろうとした時だった。
ララとワワの声が聞こえなくなった>
「ララとワワがすまなかったね」
ララ様とワワ様に敬語を使わないという事は…。
「もしかして…ライルン様ですか?」
「そうだよ。
あのまんま飛び付いていたら、身体を治すのが遅くなるからね。
あとでキツく言っておくよ。
それじゃあ、後の事はサエリに任せたよ」
「分かりました。
マヤラさんは、入院生活をしてもらいます」
「入院生活っていつ頃まででしょうか?」
「1ヶ月ぐらいだと思います」
「1ヶ月…」
「それだけ身体への負担があったという事です」
<数時間後>
「マヤラ、トイレとか1人で行けるか?」
「1人で…ご飯…食べれる?…」
「ララ様とワワ様大丈夫ですよ。
補助道具もありますし、ベットだって動かせますから」
<そういって、ベットの半分が少し上に動いた。
そして、マヤラは初めて2人の姿をみる>
幼い顔をしていたから全身を見ると、ララ様とワワ様ショタだな。
「今ショタだと思ったね!」
「なんで分かったんですか!?」
「そういう…顔…してた…」
「全身はショタに見えるが、年齢は500歳は行ってるからな!」
「分かっています。
あの…無理だったら良いんですけど、抱き付いても良いでしょうか?」
「俺達にか?」
「はい。
やっぱり駄目ですよね」
「駄目…じゃない!…する!…」
<マヤラは補助道具を使って立ち、ララとワワに抱き付いた>
「それじゃあ安静にしてろよな!」
「また…会いに…来る…」
「待ってますね」
抱き付こうとしてたから、これで大丈夫かな?
マヤラが抱き付きたいって言った!
これって…好きだから言ったんだよな?
あー!入院生活じゃなかったら普通に襲ってた!
なんで今言うんだよ!いや…仕方ない!好きすぎて言ったんだから!
俺はいつでもウェルカムだからな!
マヤラが…抱き付き…たいって…言った!…。
襲いたい…だけど…駄目…。
速く…治って…そしたら…襲える…。
てか…抱き付いた時…我慢…するの…大変…だった…。
押し…倒して…襲えてた…。
<マヤラの行動は正しかったのだろうか。
抱き付けなくて可哀想と思ったマヤラが、2人に抱き付きたいと言った。
だが…マヤラはとってはいけない行動だったかも知れない。
そして、この光景を心配だから透明な防犯カメラで観ていたライルンは>
マヤラ何してるの!
あの2人に抱き付きたいってなんで言ったの!
ヤバイ…普通にマヤラ襲われる…。
てか…2人共掟覚えてるのかしら?