92.冒険者ギルドの依頼
冒険者ギルドを後にして私とサナエとタフは商業ギルドに向かい、レイキとタツキは農業ギルドに向かった。
冒険者ギルドでワイバーンのお肉を受け取っていたからね。前にタフが狩ってきたワイバーンのお肉もまだあるし、そちらも売ることに。
タフが、だよ?
で、商業ギルドでは石けんとジャーキーとハンカチタオルも前回と同じ数だけ納品。もうお金はかなり貯まってる。ありがたやーと渋メンさんを拝んでいたらサナエにメッと言われた。
可愛いぞ?
タフもワイバーンのお肉を売って、渋メンさんにえらく感謝されてた。貴重品みたいだからね?
まだまだあるんだけどな…。
渋メンさん、お名前はラッセルさんと言うんだけどね…私の頭上を見ようとしていけないと思って、また自然と頭上に目線が…となってて。
可哀想になって
「懐かれて…」
と言うと
「それはそれは…美少女が好きな鳥なんですなぁ」
はい、美少女です!
思わず渋メンさんと固い握手を交わしてタフに頭を叩かれた。えへへっ。
ちなみに前回の反省を活かして髪の毛はルーの糸で作ったリボンでまとめている。前の世界から持って来たハンドメイドの素材にヘアゴムがあったからね!
ルーの糸を丁寧に巻き付けて、最後はヒラヒラとするように長くしてカット。
サナエも可愛いと絶賛してくれたから。
で、これがまたね。使った分が翌朝には補充されてたんだ。ただ、ヘアゴムはこちらにあるか分からなくて。
タフに聞いたら髪の毛を結ぶ用途には使ってないけど、防具なんかには使ってるみたい。
輪ゴムじゃなくて線みたいなゴム。
ヘアゴムは有り?って聞いたらギリセーフだけど、少なくともこの国では売らない方がいいと言われた。
話を戻すと、フードからは髪の毛がはみ出さない。
完・璧!
フンスとしていたら何故かタフになでなでされた。
商業ギルドを出るとちょうど農業ギルドから出て来たタツキたちと合流して、厩舎からリリと姫に王子、チョコたちを引き取って依頼へゴー!
の前にバーキンの工房に寄った。相変わらず自信なさげだけどね。
「ん…後3週間はかかるかな」
人数分の装備やら剣やら杖やら頼んだからな。これは要相談だ。流石に時間がかかり過ぎる。
オークションの素材も仕入れたら、そちらでも何か作って欲しいし。
ひとまず、後で相談だと声を掛けて今度こそ依頼へゴー!
北門から出るとマンティ、チョコ、カーリス、ブルワとリリはとっとと走って行った。馬房にいるのはちょっとキツイんだろうな。
楽しそうに走り回って…マンティさんや、何か狩ってませんかね?大きな猪みたいなのが見えましたけど?
黒馬さんたちも…それは何かな?お空を飛んでるはずだよね…ビックバードは。なんで5匹も地面に脱落してるのかな?ん…?
ツノから雷魔法でビリビリだって!?隠蔽必死じゃないか。もう。
リリは…私は何も見てないよ?
タツキを見れば、拍手をしていた。はい?
「リリたん、凄いぞ!」
オークの頭の上でぴょんぴょん跳ねるリリ。もちろんオークはすでにご臨終だ。
(ぐほっ…)
(リリたん…)
レイキとサナエだ。もう安定の吹き出しと呟きだ。
カオスだ、私のラビとあーちゃんはそれに比べて大人しい。大人しいよね?
腕の中のあーちゃんはお尻を上げてしっぽをフリフリ。この体勢は…と思ったら勢いよく飛び降りて、背中にはラビがお立ち台よろしく後ろ脚で立っている。
しかもあの動かない師匠(鳥さんの名前)が飛んだ。まるであーちゃんを誘導するみたいに、先陣をきって。
いや、待て待て。普通でいいんだよー!
聞こえていないな…すでに豆粒サイズだよ。隣でレイキはお腹を抑えて崩れ落ちている。
「師匠って…ぐはっ」
「大物感が半端なかったもんね?」
タフはフォローしてるのかね、それは。
あーレイキくん、君の姫と王子も何やら無双ってるよ?いいの、放っておいて。
今まさに頭からツノが生えたウサギの群れを追い込んでいるけど。
「姫、王子…立派になって」
レイキくんはいつ子育てをしたのかな?姫はすでに成人ならぬ成獣だったよね?
なんて感じて進んだ。
進んだ先ではあーちゃんがラビを背中に、頭に師匠を乗せて待っていた。師匠はあーちゃんの小さな頭の上に脚で立っている。座るほどの面積ないからね。
その脚元には…こんもりと蛇と蜘蛛。お山だね?
それを見てタフとタツキは驚いて、レイキは安定の吹き出し。サナエはまぁと呟き…タフは私を撫でた。だから何で?
「終わったな…」
「終わったね…」
「瞬殺」
「絵面が…ぶほっ笑える」
「…」
とまぁ本当にあっという間に二つの依頼が終了。ポーチに収納してから途方に暮れる。ムササビまで時間があるんじゃないか、と。
(森の奥に進めば大丈夫)
おっ久々の魔法通信さんだ。夜じゃないの?
(森の奥は暗いから昼間でも活発に動く)
危険はないのかな?
(…てへっ)
はぁ?笑って誤魔化した?待って、それは危険ってことだよね?なしだよ?安全第一だ。
「シーちゃん?」
「森の奥に行けば暗いから…ムササビが動いてるかなって」
「あーあるかもね」
タフが頷く。
「行ってみる?みんなの力も、隠してないやつだよ?見たいし」
タツキを見ると頷く。
「じゃあ行くか」
タツキ、私とレイキ、サナエのいつもの並びで進む。ただ、私の隣にはマンティが、先頭にはカーリス、最後尾にはチョコとブルワがいる。
あーちゃんはマンティの背中(なんでやねん!)、師匠は相変わらず私の頭。ラビは肩だ。
リリはタツキの斜め前、王子と姫はレイキの斜め前と斜め後ろ。
私たちに魔獣回って来るのかね?
そしてそれがフラグだったよ…
進んだ先でオークとゴブリンの群れに挟まれた。
で、タフと私たちはまた離されてしまった。まぁマンティもいるし…と思ったらマンティは何かに気が付いて居なくなった。
やるか!タツキが双剣を抜き放ち、レイキと私も剣を構える。サナエはバーキンの店で買った杖だ。
タツキが流れるように踊るように、魔獣を切り刻む。魔獣といえど、生き物を屠ることにはまだ戸惑いはある。でも生きる為に覚悟を決める。
サナエが杖を向けるとあるものは凍りつき、あるものは突然倒れる。レイキは剣を振ってるけど直接斬ってはいない。斬撃を飛ばしてるのか?
私は魔法通信で技術を調べ、体現する。剣の振りはまだまだ甘いけど、剣筋は間違いなく。
バーキンの剣はスルリと魔獣を斬り裂く。怯むな、幸子。守るべきもののために。
リリも姫も王子も、そしてあーちゃんに黒馬たちも蹴りや突進で果敢に攻める。
必死で気が付かなかったけど…我にかえると静かだった。いつかみたいにタツキに抱っこされ、サナエは背中にレイキは肩に手を置いて、4人で固まって地面に座って居た。
「終わったの…?」
ポツリと呟く。まだ少し手が震えていた。深呼吸する。
「みんな、よく頑張ったな!」
タフの声がした。
血の匂いももうしない。
「お前たちが座り込んでる間にマンティが魔獣を収納して姫が匂いを消してたぞ!」
マンティと姫がドヤっている。
「ありがとう…」
『ふっ少し離れておったからな…これしきのこと、容易い』
眉間と耳の根元を撫でるとしっぽがふにょんと揺れた。
姫はブモーと鳴いてレイキに擦り寄って居た。
「姫、ありがとな!」
「タフは大丈夫?」
「おう、途中からは合流したんだがな…戦い方を見たくて静観してたぞ」
まぁ過剰戦力だとは思うよ?
「反省会はまた後でな。少し先の木の上を見ろ」
みんなが見上げる。あ、いた!
木の穴から顔を出してるのは間違いなくムササビだ。大きな黒目が可愛い。
そういえば、捕獲の方法は?
(ルーに蜘蛛の糸を張って貰えばいい)
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