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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
マイヤーに向けて

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91.朝ごはんの後そして

 朝食にワッフルを堪能した後、みんなに少しアンナさんの日記の話をした。

 アンナさんは星なしと言われて王宮を出されたこと。その後は苦労して王都で生活し、また王宮に呼ばれて働いた事。そして本気の逃亡と王宮の動き、陰謀。

 その話を聞いて流石にみんな黙ってしまった。

「まさかな、星なしの可能性について王たちは知ってた可能性があるってことか…」

「そうなるね。放逐して後で親切そうに回収して使い潰すつもりだったのか…」

「タフに来ていた追っ手は、王宮からか?」

 タフは

「可能性はある?そもそも母さんの空間拡張カバンを知っているのはごく少数だ」


 タツキを見ると頷いた。

「タフ、そのアンナさんの空間拡張カバンは…正確には少し違う。時間停止も」

 タフはタツキを見てみんなを見る。

「やっぱり…か」

 気が付いてたのかな。

「表示が違うんだ。なんと言うかな、()()()()()()()、そんな気がしてな」


 鋭いな、空間拡張カバンと亜空間。私たちは自分自身の亜空間だからもしかすると気にならないだけ。タフはアンナさんから受け継いだから…表示が分かれてる。

 多分、そう言う事。

「時間停止の方は、アンナさん自身の固有空間である亜空間に繋がっている」

 タフは弾かれたようにタツキを見て私を見た。頷けば

「母さんの固有空間…それはまだ生きてる?」

「空間魔法の一種だからね、消滅させなければ違う空間に残ったままなんだと思う。アンナさんはそれをタフに託した、そういうことじゃないかな」

「母さんが俺に、自分の亜空間を残した」


 ちなみに、他人の亜空間には干渉出来ない。それは私がレイキやサナエの亜空間から収納も引き出しも出来なかったから分かった。2人のカバンを借りてやってみたけどダメだった。中身すら見えない。

 魔力依存だとしたら、それこそ血を分けた家族にしか使えないのかもしれない。

「他人の亜空間へは干渉出来ない」

 タフは驚いた顔でタツキを見つめる。


「アンナさんのカバンを例え取られても、取った人は亜空間からは何も取り出せないし中身すら見れない」

「空間拡張カバンの中身は取り出せる?」

「セキュリティを入れなければ、ね」

「セキュリティ?」

「防犯装置?取られても本人以外では中身を取り出せなくするの」

 タフはとても驚いていた。

「出来るのか?」

「うん、帰巣本能も付けたら…取られても戻ってくるよ!」

「…シーちゃん凄い!」

 手を握られてブンブン振られた。子供か?!


「タフもまだしばらく一緒なら、付けるか?防犯と帰巣本能」

「付ける!」

 レイキが手を出すとタフはとても大切そうにその手にカバンを乗せた。

 レイキは目を瞑って魔力を込める。防犯と帰巣本能と、後は追跡阻害と認識阻害かな。防汚とか状態保存も掛けたね。ならば、私も!

 レイキの手の上から手をのせると魔力を流す。元の持ち主の記憶を留めるように。

 レイキが目を開くと何故かデコピンされた。何故だ?


 タフにカバンを返すとまじまじと見つめて匂いを嗅いだ。そして僅かに震えて…私を見る。

「シーちゃん、反則だよ」

 私があーちゃんの匂いで気持ちが安らぐのと同じだよ、タフにもそういう安心できる匂いが必要だと感じたからね。

 その後はやっぱりぎゅうぎゅう抱きしめられた。慣れって怖い。寧ろ心地良くすら感じる。


「でだな、話を戻すと。追っ手が王宮なら俺たち自身も追われている可能性を考えて…なるべく早くマイヤーを出るべきだ」

 タフには私たちが王宮から無事に放逐された事実は伝えてある。

「そうだな、バーキンに出来上がりの時期を聞かないとな」

「後は冒険者ギルドの査定とオークションだね」

「査定はそろそろ出るだろ。オークションについても聞くか」

 ということで、冒険者ギルドにみんなで向かう。ついでに商業ギルドに寄って追加の石けんとジャーキー、タオルも少し追加納品することにした。


 リリたちの運動不足解消に、依頼を受けることも考えて従魔たちもぞろぞろ。黒馬たちは留守番にしようとしたら全力で、連れて行けと。なので馬も引いて。

 宿を出ようとしたちょうどその時、冒険者ギルドからお使いが来た。リバイアサンとワイバーンの査定が終わったとか。ちょうどいいタイミングなので、連れ立って冒険者ギルドへ向かった。


 馬やリリたちは厩舎に預け、ギルドに入る。うん、人がいっぱいだね。

 朝の依頼を受ける時間なんだろう。

 タフとタツキが話を聞きに窓口へ、私たちは依頼がある掲示板に向かった。

 私たちはまだ全員がDランク。もちろんパーティーも。ワイバーンの常駐依頼とリバイアサンの討伐依頼でレベルがDに上がった。

 カードは査定後に書き換えだから今はまだEだ。


 タフは公式にはAランクで私たちはパーティーが組めない。なので、正式に護衛依頼をマイヤーで出した。

 そうすると、臨時でタフがパーティーの一員として登録される。だからパーティーでの実績はタフが関わった依頼の半分だけ査定に含まれる。

 寄生させない為の、予防線だ。それでもリバイアサンはSランクの討伐依頼。

 今回は黒馬だけど、流石に一気にランクを上げるのは目立つからとDランクとなった。

 タフが言うにはレイキと私はBランクは固くて、タツキとサナエも使い方次第でB、今はCランク相当なんだって。


 で、話を戻すとDランクだから一つ上のCランクの依頼までは受けられる。

 リリたちも動きたいだろうし、討伐系がいいかな。だとしたらCランクの依頼か。

 んー何がいいんだろう。あれは…?また捕獲か。ムササビの番。依頼者はもちろん分からないけど、嫌な予感。

 でもな、きっと可愛いよね?

 レイキを見上げると

「討伐も受けよう!ムササビは夜だろ?」

 それもそうか。


 結局、ムササビの捕獲依頼と蛇と蜘蛛の討伐依頼を受けようかと思い、戻って来たタツキとタフに相談して決めた。魔獣じゃないみたいだけど害獣らしくてね。

 で、ギルマスに呼ばれてるからとまた移動した。

 ちなみに、私の頭にはいつもの鳥さんが鎮座中だ。お陰でみんなに二度見される。

 珍しいスライムたちは透明化というスキルで私たち以外には認識出来ていない。

 でも頭の鳥さんは堂々としている。目立つ…なんとかして欲しい。


 ギルマスの部屋に着くと

「おう、来たな。早速だが…」

 と話し始めた。

 結果、リバイアサンの素材はもう桁がよく分からない金額になりそうだ。ギルドが買い取る分だけでも凄い。

 マンティにはもりもりのお肉を献上しよう。

 ワイバーンもギルドの買取は商業ギルドのお肉だけより遥かに高価だった。


「オークションなんだがな、お前たちの要望通りで参加資格を絞った。凄かったぞ!毎日苦情の嵐でな。だから言ってやった。「お前らが一見だと門前払いした冒険者が狩ってきたんだぞ」ってな。「期待して工房に入って、ろくに話も聞かずに追い出された冒険者の気持ちになってみろ!お前たちには皮一枚たりとも売りたくないだろうよ」ってな。流石にそれ以降は何も来てないぞ!普段、アイツらが使ってる素材だって殆どが冒険者が持ち寄ってるんだ。見た目だけで判断したんだ、少しは反省したらいい」


 と大声で笑うバーバ。まぁ気持ちはわかるし、私たちの代わりに言ってくれて有り難い。


「で、オークションは3日後だ。お前たちも参加出来るがどうする?」

「遠慮しとくよ」

 代表してタフが答えた。

「おう、まぁ期待しとけ。最低価格は決まってるからな、悪いようにはならん」

「バーバさん、よろしくね?」

 驚いて私を見るとニカッと笑って

「おう、お嬢ちゃんに大金持たせてやるぞ!」

 頼りにしてますって拝んだらタツキにおでこを叩かれた。何故だ…。




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