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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
マイヤーに向けて

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88.カニクリームコロッケ

 さて、まずはアレの解体だな。大きな寸胴にお湯を沸かす。もちろん魔法でサクッと時短。

 そこにタツキがザバザバと洗ってくれたアレをドボンと投入。お塩をひとつまみ。

 茹でるのも時短でエイヤ!として、ほかほかの内に取り出して…風魔法で乾かすとタフの出番。

「中身だけだよ?しっかり取ってね!殻は捨てないで」

 ん?と言う顔をしたけど、殻を空いたお皿に載せる。


 じゃんじゃんね、流れ作業で。

 茹でた身をパクリっ、んー美味しい!ヤバいね。お手伝い組はタフ以外、つまみ食い。タフは首を傾げてるから

「はい!」

 もぐもぐしてから

「美味い!えっ、凄い。シーちゃん大好き」

 私じゃないよ?マンティのお手柄。

「誰も食べないで邪魔だって漁師に嫌われてるんだぞ?」

 マジで?勿体無いお化けが出ちゃうよ。


 そう、マンティが取ったのはズワイガニ。とても立派な奴。それが邪魔とかね?世界が変われば、なのかな。

『たくさんおったぞ』

 マンティが海にダイブして採ってきたのだ。たくさん。

『これらはなかなか美味いのだ』

 どうやら生で殻ごと齧ってたらしい。たしかにね、生も美味しいよ?でも、茹でも焼き物大変美味なのだ。

 とくとご賞味あれ。


 茹で汁もしっかりと濃縮させて取っておく。缶詰の汁の代わりだね。で、お次はホワイトソース。

 お鍋に姫バター(少量だけ自作)、溶けたら小麦粉。そして姫牛乳。弱火にして木べらで丁寧に混ぜる。

 ここの宿には魔道具のコンロがある。それがまた便利でね?3口あるからさ、助かるのだ。

 その脇ではサナエの出番がやってきた。盛り付けだけど思ってたけどあったよ、これ。

 パン粉作り。堅パンを使えばソフトパン粉があら簡単。サナエはミンチにするのが得意だからね。任せたよ!


 もったりとしてきたな、そろそろ味付け。お塩とほんの少し胡椒。スプーンで味見。ん、いい感じ。

 隣でマンティが口を開けている。立派な牙がお見えしてますよ?その口にスプーンで少しだけ入れてあげる。

『ん…良いな。おかわりだ!』

 キリッとしてるけどホワイトソースのおかわりだよ…でもね、使うからダメ。

 口を閉じて背中を向けてしっぽの先端で私のふくらはぎをツンツンする。

 仕方ない、少しだけだよ?

 スプーンに茹でたカニとホワイトソースを掬ってマンティに

「はい、今はこれだけ」

 と回り込んで見せたらガバリと口を開けた。


「くはっ…マジで食われる1分前の絵面なのに…」

 レイキが吹き出した。

 知らない人が見たらそうかもね?

 マンティの口にスプーンを入れるとペロリと舐めた。口の周りを舌で舐めてご満悦。

『少ないが、我慢してやろう』

 上からですね?


 ホワイトソースが出来上がったから、コンロから降ろして茹でカニと混ぜ合わせる。タフがそばで風魔法を使ってくれるから少し冷めた。

 それをバットにナラしておく。

 サナエに(また出番があったよ!)ほんの少し凍らせてもらったら、それを等分に分けて。


 ここからが勝負だ!

「レイキは小麦粉をまぶして!それをこっちの卵が入ったボウルにどんどん入れてね。私が卵を付けたらパン粉の入ったボウルに入れるからタツキはパン粉をまぶす。で、タフは最後の仕上げてパン粉をしっかりと押さえて形を整える。オッケー?」

「「「おう!」」」

「サナエはコンロの油が180度になったら4個ずつ揚げて」

「はい!」


 レイキ、私、タツキ、タフ、そしてサナエと順番に繋げていく。まるでリレーのようだ。チーム一丸となって美味しいカニクリームコロッケを作るぞ、おー!

 1人心の中でえいえいおーしていたらレイキに睨まれた。

 すんまそん。



 なんでこんなにチーム蒼の氷柱総出で頑張っているか?それは数が多いから。

 育ち盛り(タフとマンティ)がいるからね、中途半端な数では足りない。なので、めっちゃ作った。

 ドヤっ!

 なので、最後は人海戦術ですよ、数は力だ。


 って事で…疲れたぁ。

 こんがりといい色に揚がったカニクリームコロッケ。最アンド高だね!

(おいっ、疲れてるところに気が抜けること言うな)

 えへへっ。

 みんなで半分に割ったコロッケを試食。

「あふっ、サクッと。あふいほっ…はふっ」

 口の中が大火事だよ。

「熱いっ、でも美味い!」

「熱っサクッ…ヤバいな」

「美味しい!」

 サナエさん熱くないの?平気なんだね…さすが氷魔法のジョブ持ち。


 マンティにも私の半分を味見であげる。

『なんと…美味あい!』

 だよね?

「生も美味しいけど揚げたのもいいでしょ?」

『最高だ、シエル。デカしたぞ!やっぱり付いてきて正解だな』

 かもね?わたしも嬉しいからウィンウィンだ。

 たくさん揚げたのはそのまま各自の亜空間に収納。そして、食べる分だけ盛り付け。


 キャベツの千切りとカニクリームコロッケ、そしてお味噌汁と大根の昆布浅漬け。

 実は昆布もカニと一緒にマンティが採ってきた。カニにくっついてただけなんだけどね?

 揚げ物もたまにはいいよね。カロリーとかは考えないよ!まだ若いしね。


 テーブルに並べて座って

「頂きます!」

「「「「いただきます!」」」」

 もぐもぐ、うん、あふいけどやっぱり美味しい。ソース少なめで食べるのもありだね。

 黙々と食べ進めるみんな、そしてマンティ。

 もちろんあーちゃんもラビもだよ。姫と王子、リリには後で持っていく。宿の馬房で休んでるからね。

 そう言えば、黒馬たちも普通に食事を食べる。人参とかじゃなくて食事を。

 グルメだね?って言ったらタフに笑われた。

 魔獣だからなんでも魔力に変換できるらしい。そうなんだね?どうりで視線がささると思ったよ。


「シエルの料理は本当に美味しい。家庭料理なんだけど、味もしっかりしてるしサクサクで」

 タツキが褒めてくれる。普通に嬉しい。きっと家庭の味を良く知ってるだろうから。

「ほんとだよな、家でカニクリームコロッケとか出たことないぞ!」

 レイキ、それは蟹缶はとってもお高いからね、お歳暮とかで貰わないと作れないんだよ。

「うんうん、お店でしか食べたことない」

 私も数えるくらいしか使ってない。普段はコーンクリームコロッケでお茶を濁してたから。


「シーちゃんの料理はあちらの世界で普通に食べられるの?」

 普通、なのかな。

「家庭料理の枠には収まらんな」

「だな、ここまで作れるのは珍しいだろう」

「お金と時間をかけてやろうと思えば誰でも出来るけどね、外で食べた方が早いし美味しいから。普通は家で作らないかな」

「うんうん、手間がね…」

「シーちゃんはその年で出来るんだね…」

「ぐほっ…けほっ」

 レイキが吹き出した。もう、気を付けて!


 タツキが目配せする。私は頷いた。タフになら話してもいいよ。それで私と距離を置くならそれも仕方ない。

「あータフ、俺たちはそのな…あちらの世界で生きた時間より若くなってるんだ」

 タフは目をパチパチさせる。

「それって」

 タツキは頷くと

「俺とシエルはあちらでは52才だった。立派な大人だったんだ」

 タフがこれには流石に驚いたみたいで

「52?俺より年上…」


 下を向いて考えている。そして顔を上げると真剣な目で私を見て

「シーちゃん?」

「なに?」

 ガバリと抱きつかれた。ぎゅうぎゅうされる。どしたの?

「良かった…より安全になったよ」

 顔を起こすと

「いやー俺っていい男だからさ、万が一シーちゃんが本気で惚れたらってどうしようって。お母さんで娘で妹で…最高だよ!」

 良かった、平気と思っててもやっぱりそんな年寄りだったのか!とか言われたら傷付くし。


「くすっ、俺はそんな年くらいでシーちゃんを嫌ったりしないよ。むしろなんて言うか、腑に落ちた。料理の腕前も、ね」

 嬉しそうにニコニコする。

「タツキもみんなを引っ張っててさ、凄いな!あ、でももしかして2人とも子供がいた?」

 タフが聞いてくる。私は首を降りタツキは頷いた。

「ちょっと安心かな、シーちゃんに息子がいたら嫉妬してたかも。タツキはなんか分かる気がする」





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