9.初めての買い物
後書にサナエのイメージイラスト載せてます…
買い物を終えるとちょうどお昼ごろだった。お腹も空いたので中央にある屋台が出ている公園に行くことにした。
町の中心部より少し南にある公園。その周りには屋台村みたいに常時、屋台が出ているそうだ(魔法通信検索による)
「やっぱりここ(異世界)の定番は串焼きだよな?」
「そうだな、他には何かあるのか?ラノベとか読んでなくて知らん」
レイキとタツキが話をしている。
「串焼きしか知らない。美味しい食べ物があるといいね」
サナエがほわほわと言う、うん可愛い。
「お魚と野菜が食べたい」
「健康志向だな」
タツキにからかわれた。
「違うよ、ほら年取るとさ、栄養とか考えるでしょ?それで」
「あー、まぁ分かるな」
話をしていると公園に着いた。おーあるね屋台。
覗いていくと串焼きとスープ、パンなどのお店が多い。残念だけど野菜とか魚は無かったよ。
ただ、コーヒーらしき飲み物を発見。テンション上がるね!
一緒に屋台を見ながら各自欲しいものを買っていく。
こういう時はマイ財布からだ。
私はやっぱり定番の串焼きとスープとパンを買った。食べきれなければ亜空間に入れたらいいし。
みんな買い終えたのでベンチに並んで腰かける。
さり気なく私とサナエを真ん中にしてくれる辺り、やっぱりタツキもレイキもいい子だ。
「お前なぁ、だから聞こえてんだよ!」
真っ赤な顔でタツキが言う。あら可愛い。あ、タツキが撃沈した。
ちなみにみんな串焼きとスープとパンを買った。ただ違うお店で買ったから微妙に違う。
まずはスープ。うん、塩味だね…不味くはないよ。ただ味気ないけど。
次はパン。うん、ボソボソだね、これも仕方ないかも。ペラくないだけマシ?
最後は串焼き。うん、う…うん。硬い!金槌?歯折れないかね?
いや、その前に顎がヤバい。咬んでも噛んでも…ふぅやっと飲み込めた。
私は硬い肉を選んだのかな?
みんなを見る。微妙な顔をしている。
「そんなに硬いのか?」
タツキが聞いてくる。涙目で頷くとタツキが私の手から串焼きを取って一口食べた。
もっしゃもっしゃしている。
「硬いけど食える。こっちの方が柔らかいから」
そう言って交換してくれた。ありがとう。やっぱりいい子やわぁ。
「だから聞こえてんだよ!」
真っ赤になりながらもしゃもしゃ食べている。
サナエはふふっと笑っていた。
それにしても私の心の声だけ聞こえてるのかな?
「あーそれな、多分お前は無意識にみんなに語り掛けてるんだよ」
タツキに言われる。
「無意識?まぁ確かに…聞こえてないと思ったら聞こえてたりするし」
「だよな、話しかけるときあ、あー、聞こえますかーとか言ってるしな」
うんうん頷く。
「そうそう、カバンで思い出した!みんな私みたいな小さなのじゃなくてもいいから肩掛けのカバンあった方がいいよ」
「そうか、収納だな」
「そうそう」
「さっきの店にあったか?」
「どうだったかな」
考えるけど覚えてないな。
「普通のカバンでもいいんじゃないか?」
「そうだね、でもあまり軟なのより皮の方がいいかも?」
私の肩掛けカバンはワニ皮で比較的軽くて丈夫だ。
「革屋か、カバン屋を探すか?」
「そうだね、調べるよ」
魔法通信で確認しよう。人気の革屋さん。うん、あるね!
ここで買い!人気の革屋10選だってさ。ふむふむ、一番人気は職人気質の手堅いお店。
二番目はファッション重視のお店。三番目は、おぉここいいんじゃない?デザインが斬新で質も上々だって。
そのまま歩いていく。ちなみになぜかタツキに手を繋がれている。
なぜだ?
「ふらふらしそうだしな、後ろだと小さくて見失うんだ。誰かに攫われても気が付かない」
だそうだ。でも小さな子供じゃないんだけど?
「背だけみたら小学生並みだろ?」
ぐぬぬっ否定できない。
ぐはっ、後ろから噴き出している音が聞こえた。レイキ、だから笑い過ぎだよ!
そう言えばいつの間にか全員が当たり前に念話出来ているよね?
(それな、お前のせいで鍛えられた)
(うん、まあ秘密なことが多いってのもあるよな)
(そうね、でも便利だし)
そうだよね、でも何で私だけ心の声が駄々洩れなんだろうか?
(だから自然に話しかけてんだよ!毎度毎度俺の腹筋が試されてるんだぞ?)
レイキに文句を言われた。解せない。
お、ここだよ。小さなお店だけど清潔感があっていい感じ。
「ここだよ!」
タツキが扉を開けて入る。見やすく並べられた色とりどりの革小物たち。これテンションあがるね!
テンション上がるね!
みんなで見て回る。サナエが共用のお金を管理してて、お財布を欲しがってたし。
すると奥から大きなお姉さんが出てきた。
「いらっしゃい!何か探してるの?」
私を見て聞く。
「お財布と肩掛けのカバン」
「お財布なら紐付きがいいね、失くさないよ!」
えっと子供じゃないんだけど?
ぐはっ…ってだからレイキ、失礼でしょ?後ろを向いて睨む。顔をプルプルさせてるし。
お姉さんは横の壁に飾られていた小さなポーチを手に取って
「これはね、首から下げられる。ここにお金とか入れておくと、いざって時に安心だよ」
屈んで目線を合わせてそう言って、頭を撫でられた。
ぐふっ…またレイキが笑いを堪えている。いや、堪えてないな。
うん、このお財布は触った感じは柔らかいヌメ革だ。
(上質な革の切れ端を使用。魔除け効果もある)
おぉ〜魔除け効果付きだって。
「それはね、少しだけ魔除けの効果があるからちょっと高いけど。お嬢ちゃんにはいいと思う。1500ガロンだよ」
1ガロンがだいたい1円換算。紐も革だしむしろお安いのでは?
「お姉さん、買いたい!色は?」
「これなんてどうかな?」
可愛いピンクだった。
ぐふぅ…ってレイキ、酷くない?確かに似合わないけど。
「紺色がいい」
渋い色が好きなんだよね。
「おっ渋好みかい?でも清楚なお嬢ちゃんには似合うよ」
げほっ…、いい加減慣れてよ!もう。
(うわ、マジでやめて…俺の腹筋を崩壊しにきてる)
(清楚ですが何か?)
(ひーひーやめろ…)
ついにレイキが崩れ落ちた。サナエが背中に手を当てて介抱するフリして笑いを堪えている。酷いよね?
タツキを見れば歯を食いしばっていた。そんなに?
憮然としたのだった。
なんとか復活した3人は色違いを購入することに。タツキは赤、レイキは黄色、サナエは緑だ。
他にも普通のお財布を見せてもらう。
コインケースみたいなお財布。うん、欲しい。
こちらもカラバリが豊富だ。
みんなも欲しいって言うから色違いで選ぶ。私は白、タツキはやっぱり赤、レイキは青でサナエがピンク。共用のお財布はなんと金。
こちらは3000ガロン。でも、革は染色してるからそれを考えると決して高くはない。
さらに私以外の3人は肩掛けカバンも買うことに。
男性陣は少し大きめの斜めがけバック。メッセンジャーバックみたいなの。こちらも軽い革製。
サナエは肩掛けポーチ、おうなかなかだね。胸の間に斜めになるから…ボリューム注意だ。
タツキもレイキも少し顔を赤くしていた。それに気がついたらお姉さんがサナエに
「バックを前側にすると胸が強調されない」
と教えてくれた。そう、お姉さんもかなりのバインさんだったからね。私は…タツキとレイキの目線が何かを物語っている。ジトっとした目で見ると
(まぁ引っ掛かりがなくて楽だよな?)
レイキ、フォローしてるつもりかな?ん?
睨むと慌てて目線を逸らした。そしてサナエに
(メッ)
て言われてたよ。サナエが可愛い。
「お姉さん、剣帯ある?」
「ん?お嬢ちゃんは剣を使うのか?」
「護身用にね」
「ならこれがいい」
見せてくれたのは細い革を2重に巻くタイプの剣帯。おっ、カッコいい。
「重さが分散されるからね、子供にはこれがお勧めさ」
ぐふぅ…レイキは懲りないな?笑い過ぎだよ!
「じゃあそれ、色は?」
「茶色か紺色だよ」
「紺色が欲しい」
お値段は5000ガロン。もちろん買いですよ。
結局、男性陣も剣帯を買った。ただ、彼らは太いベルト式の剣帯だ。男性が腰に付けるとカッコいいな。
「ありがとねー」
お姉さんに見送られて店を出た。