81.依頼を受ける
その情報は要らなかったかなぁ…魔法通信さん。
最近、魔法通信さんと鑑定さんがガッシリとタッグを組んで情報を教えてくれる、気がする。
要らない情報までね?
知りたいことだけ教えて欲しいんだけどなぁ。
(必要な情報を選別して伝えているよ!)
人化したの?意思とか持っちゃったらそれはAIだよね?ま、深く考えるのはやめよう!
さて、今は商業ギルドに来ている。追加納品希望の石けんとビーフジャーキーにハンカチタオルだ。
入り口で金色のカードを見せると恭しく奥の部屋に倒された。今日はタフも一緒だ。全てを話したわけじゃ無いけど、知ってて貰った方がいいから。
部屋に入って待っていると、ダンディ×渋メンのダンディがやって来た。
「大変お待ちしておりました!」
深々と頭を下げるダンディ×ダンディ、朝からご馳走様です。拝んだらレイキに小突かれた。
「追加納品の分を持って来たの」
サナエが話す。なんかあんまり喋るなって言われたから。
「ありがとうございます!いかほど?」
「石けんは各種追加で100、ジャーキーが30とふわふわは普通の50と高級品が30」
「それは、助かります!」
シュタっと立ち上がると直角にお辞儀した。
そして買取と検品が無事に終わった。そこで追加納品の布を出す。大きめの布が希望って聞いたからね。
はい、出ましたーパフパフ!
温泉タオルー!
ドラえもん風にね。
そう、あの旅館なんかでお部屋についてくるアレですよ。工事現場のお兄ちゃんが頭に巻いてるアレです、アレ。薄いタオル。
汗拭きで劣化したら頭に巻いて。さらに劣化したら雑巾に。一つで3度美味しい!
(ぐほっ…)
安定のレイキだ。
「追加で見てもらいたいものがあるの」
くわっと目を開く渋メン。
サナエが温泉タオルを取り出す。薄いけどパイル生地だ。この世界では珍しい筈。
「こ、これは…。広げても?」
頷くサナエ。
フェイスタオルだから細長い。渋メンの手が震える。
「す、素晴らしい!あなたはマイヤーの救世主です!!何枚ですか?1000、いや5000」
1000から飛びすぎじゃ無い?それに流石に目立つし無理かなぁ。実は、レイキが作ったあるものも持参した。これがあれば分散するかな?
「その前に、見て欲しいものがある」
レイキが身を乗り出す。
そう、パイル生地製造機。針がパイル状に刺さって作る。この機械があれば…この世界でも作れるよね、タオル。
タフにも相談して、故郷で使っていた機械が再現できたと言えば大丈夫だろうと言われたから。機構は単純だからね!動力を魔石にしたから、この世界でもあり得る。
糸は魔蜘蛛の糸が丈夫でいいけど、普通に綿でも大丈夫。綿はこの世界にもあるから、試しにこちらの綿で作った。ちゃんと出来たよ!
「もしや…?」
「故郷で使っていた機械を再現出来たんだ。糸は綿を使ってる」
試しに糸をセットしてその機械を動かす。
ミシンみたいなものなので、針が動いてパイル生地を作っていく。渋メンの目がすごい。
えっとあんまり近いと顔が縫われちゃうよ?
(くはっ…シエル、今はやめろ)
今まさに腹筋が鍛えられている…ファイト!
手を止めたレイキにおでこをペチリとされる。ごめんごめん。
「これを…売って下さると?」
「そう、今はこれしか無いけどな」
「買うます!」
かみかみだね?しかもレイキとちゅーするの?くらいの顔の近さ。レイキは若干腰が引けつつも
「値段がな…」
そう、単純に分からない。
タフとそれからバーキンにもこの機械を見て貰った。
「僕にだけ製法を開示して欲しい。まず、技術登録が必要で。開示の有無を決める。これは非開示案件だ。もっとも重要だと思われる登録は非開示でも10年で開示扱いになる」
特許みたいだね?
「まずは技術登録が必要です。さらに開示を…」
「非開示で!」
レイキが被せて言う。うっと詰まる渋メン。
「し、しかし…」
「知り合いの鍛治師1人と…後はそうだな、リーブラン商会のブブカさんの店には特例で開示も考えるぞ」
「う、はぁ。そうですな、こんなに革命的なもの。簡単に開示は出来ませんよね。承知しました!ではさっそく登録を」
そそくさを部屋を出て行った。
レイキと顔を見合わせる。
「レイキも商業ギルドに登録したら?」
「それな…。タツキもタフも登録しないか?」
タフもタツキも頷く。レイキなりの優しさだ。分散するからね!
「そうだな、そうしよう」
渋メンさん、ロンタールさんはレイキ、タツキ、タフを登録した。そしてレイキが機械を登録。
さっきの温泉タオルはまた別で100納品した。お値段は…1つ800ガロン。えっと実は100枚で5000円也。良いのか?温泉マーク付きだけど。
ロンタールさん曰く
「このマークが堪りませんな…ブランド品です」
(ぐほっ…)
(温泉マークブランド…)
やめてサナエ、それは嫌だ。
そこでとんでもない提案をされる。
「か、考えます…」
にっこり笑うロンタールさん。困ったなぁ。
で、機械は少し預からせてくれと言われたからタツキがすかさず
「預かり証の発行を」
だよね?あとで預かってませんと言われてもね。ロンタールさんはもちろんです!と魔法契約付き(何やら重要なのは取引に使うらしい)の預かり証を発行してくれた。
タツキが登録したのは姫牛乳を使ったチーズを納品するため。今はまだやってないけどね、時間促進とかを駆使したら安定的に作れるかなって。
こっちにもチーズはあるから目立たないし。
タフは薬草からポーションを作れるから。しばらく私たちと一緒だからタフにも色々と背負ってほしくてね。
なので、私たちは同郷でタフは私と血縁ということにしたら初回から登録料は免除でゴールドカード。
凄いな。
その後は農業ギルドに向かった。リリの卵と姫牛乳の納品もしたからね。
その後は冒険者ギルドで依頼を受ける。何かあるかな?
見てると薬草採取があった。後は鳥の捕獲。鳥は湖にいる茶色い鳥で、番を希望だって。
いけそうだねって事で2つ受けた。タフが
「シーちゃん、あれ…」
タフが指差す先を見るとそこには
リバイアサンと討伐
とあった。Sランクの依頼書だ。たしかマンティが狩ってきたのがリバイアサンだね。
タフと顔を見合わせる。
「納品しちゃうか?」
「何か素材になるの?」
「多分な、それ自体が超貴重品だ」
「でもさ、討伐だよ」
「それな…探りを入れるか?」
で、なんでギルマスの部屋にいるの?私。しかもギルマスさん…背が高くて顔が長い。どこかで見たことがある顔。なんだろう…?
「やぁバーバ、久しぶりだな!」
バーバ、バーバ、馬場か!ジャイアントだ。
「よお、グスタフか。元気そうだな!」
(シエルやめろ…)
タツキにツボに入ったらしい。
16文キーック!
「ぐはっ…」
リアルでタツキが崩れ落ちた。
「大丈夫かい、君?」
軽々とタツキを抱き上げる馬場。
(馬場呼びはやめろ!)
「バーバはな、世界の巨人とかビックババって呼ばれてんだぞ?209センチもあるからな!」
「ごふっ…けほけほっ」
「大丈夫か?君。ゆっくり休みなさい」
まんまジャイアントじゃないか、凄いな。
「なぁ、バーバ。Sランクの依頼の」
「ん、あぁリバイアサンだな」
「どこかに出たのか?」
「そりぁ海だ。サウナリスから東に向かう途中の海にな、出て。それで舟がやられるって話でよ?」
タフと顔を見合わせる。間違いないな。
「あーと、その…狩ったぞ」
「…なんて?」
「だからな、そのリバイアサンを狩ったぞ」
「誰が?」
「俺?」
なんで疑問系?
「はぁ??」
そうねるよね?実際にはマンティだけどさ。ってか猫科なのに潜れるんだよ、凄いね。
「えっとな、サウナリスから来たんだ。そしたらな…海から飛び上がって来て」
「はぁ?!」
ですよね。
「黒馬がな、何故か雷魔法が使えて」
もう馬場は完全にフリーズしてる。
「そしたら飛び上がって」
どうやらマンティの事を話すより、黒馬の方が危険が少ないと判断したみたいだ。
「あるのか?ブツは」
強面の大男が言うとそれはもう人殺しの話にしか聞こえない。
(おいっやめろ…)
(人殺しの面)
そんなこと言ってないよ?サナエ。
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