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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
マイヤーに向けて
82/87

78.依頼を受けたよ!

 私たちは今、馬車に揺られている。夏の暑さを含んだ風が吹き抜ける。

 馬車と言っても屋根のないリアカーに馬を付けたような荷馬車だ。

 さんさんと降り注ぐ太陽。夏本番はもうすぐ。。。

 私たちはそれでもインナーに速乾素材のものを着ている。

 でもタフは着ていない。さぞかし暑かろうと見れば涼しい顔をしていた。


「タフ、暑くないの?」

「暑いよ?ただ、慣れてるし自分の周りだけ風を回してるから少し楽」

 タフのそばににじり寄る。

 あ、ほんとだ。そよそよと馬車による風とは別のそよぎを感じる。


 昨日はやっとタフのための涼しい服を作ったんだけどな、要らないか?

 商業ギルドで売る?

 ちなみに私の首元にはマーブルが張り付いている、そうあのスライムだ。

 だから涼しい。つるんぷるんひやんの3拍子、最高ー!


(ぐほっだから不意打ちはやめろって…)


 安定のレイキの吹き出しだね。


(つるんぷるんひやん…)


 サナエのつぶやきも健在だ!


 今、私たちは依頼を受けている。

 冒険者の依頼だ。鉱物の採取。ここマイヤー周辺には鉱山が点在していて国が管理している。

 依頼はその鉱山での鉱物採取。鉱物は国の物だから採取の手間賃しか入らない。

 ただ、今回はレイキとサナエの杖、タツキの双剣を作るのに必要なつなぎとなる鉱物が必要。

 で、その採取。


 採った人には買取の優先権があるからね。

 バーキンと話をしてローブや杖に剣も作ってもらえることになった。

 だから依頼を受けた。


 タフも魔法を弾くワイバーンの皮の防具が欲しいといったので5人で依頼を受けた。

 パーティーとしては4人とタフは臨時の扱い。

 で、その鉱山に向かっている最中。


 タフの隣でちゃっかり涼みながら

「タフ、暑いのキツい?」

 私を見て乱れた髪の毛を整えてくれながら

「そりゃな」

 何かを期待する目だ。私はマーブルを見てタフを見る。

 目の動きだけで察したのか

「マジで?」

 マジですよ、と頷く。

 首元のマーブルをそっと指で突くと

「仲間だもんな!」


 調子のいいことを。珍しいスライムを仲間にしたと散々な言いようだったのに。ジト目でみるとあ、と言う顔をする。

 そして私を見るとぎゅうぎゅう抱きしめて来た。

「シーちゃん大好き!」

 頬にキスまでされた。


 はぁ仕方ない、美形はいつだって狡いんだから。ポーチから何着か取り出す。

「シャツの下に着ると汗が乾くから…」

 手に取って嬉しそうに笑うとすぽんとシャツを脱いだ。

 こらこら、サナエがいるでしょ?

 サナエは…顔を覆った指の間からしっかり見てますね。割れた腹筋が眩しい。細身の割に良くしまっている。


 渡した速乾のシャツを着てシャツを着直す。

「うわっ冷んやりだ!凄い、凄いよシーちゃん。んちゅう…」

「なっタフ離し…て…」

 思いっきりキスされた。全くもう。首元のマーブルにすりすりする残念イケメン。

 そのまま顔を傾けて見上げて

「スライムは俺の為?」

 期待している顔がちょっとムカつくけど、間違ってない。


「じ、自分たちの為?タフはおまけ?」

「もう、可愛いんだから!」

 またぐりぐりされた。助けを求めてサナエに手を出すと、何故だか優しく握られた。

 違う、助けて欲しいの。


(ぐはっ…握手…)

(くほっ…握ってるし)

(うふふっ握手だよ!)


 もしや最強なのはサナエでは?


 そんなこんなで目的地の鉱山に着いた。この暑い時期に、鉱物を採りに来る人は疎ら。私たちがやって来た鉱山も静かだ。


 それぞれにツルハシとかハンマー、麻袋を持って中に入る。うわ、明るい!

「これはまた、沢山いるな」

「凄い…」

 タツキとサナエは首を傾げる。ん?

「普通、だよな」

「うん。何が沢山なの」


 見えないの?無数の光が乱舞する様子が。あ、もしかして。タフを見ると頷いた。私はタツキとサナエの手を握る。伝わるかなぁ…映像として。

「あっ」

「うわっ」

 伝わった!

「凄い…」

「これが鑑定の力か、凄いな」


 どうやら私とレイキの目に見えた無数の光は妖精。鑑定眼がないと見えないようだ。

「鍛治の妖精だな。しかしこんなにいるとは…」

『見えるの?』

『僕たちが?』

『凄い!』

『お願いがある』

 口々に話し始める。びっくりしているとレイキの目の前にふよふよ飛んで来た。


『こっちだよー!』

『来て来てー』

 みんなで顔を見合わせて進む。

(大丈夫か?)

(多分…)

 悪気はないと思う。ラビもマンティも反応しないから。ちなみにあーちゃんはマンティの背中で立ってる。頭に前脚、背中に後ろ脚で。しっぽふりふりだ。


 お立ち台かな?あーちゃん…

(お立ち台…)

(ジュリアナ…)

 くはっタツキ、分かってるね!世代じゃないけどさ、世の話題を攫ったもんな。


『ここー』

『ここだよー』

『掘って!』

『お宝ー』


 レイキは言われた場所に手をつくと目を瞑る。魔力が岩の中に浸透して


 ズズズン


 せり出した。

 流石だなぁ。で、えっとそれは…?


『ミスリルー』

『ミスリルだよ!』

 妖精たちがその銀色に群がる。飛び回ってはしゃぐ。

 何してるのかな?


(ミスリルから漏れる魔力を取り込んでる)


 なるほど?鍛治の妖精は鉱物から魔力を貰うのか。

『美味しい!』

『久しぶりのミスリルー』

『満腹!』

 それは良かった。私たちも適度な大きさになるように割って麻袋に入れる。


 何故かタフが私を撫でる。何?

「やっぱりシーちゃんは凄いな。こんな当たりを引くなんて」

 そうなのかな。

「前にも来たことがあるけど、こんなにたくんの妖精は見なかったよ」

 それは、レイキかな?


『癒しの魔力ー』

『優しい魔力!』

『だから出て来たー』

 わらわらと私の周りを取り囲む。

『いい匂い』

『大好きな魔力』


 …えっと。すすすっとレイキの側による。分散させよう。


『この子もいい!』

『ミスリル取ってくれた』

『お礼するー』

『付いて来て!』


 タフは肩をすくめた。一度鉱山の外に出ると少し山を登る。木が生い茂ったそこに、穴があった。

『どうぞー』

『お招き!』

『いつもは隠してるからー』

 …何も聞こえないよ?


 中に入ると周りは一面の…これは水晶?と、あちらの銀色は…もしかして?


『ミスリルー』

『高純度の!』

『最高級なのー』

『採れるだけあげるよぉ』

『あげる!』


 タフがまた私の頭を撫でる。耳元で

「やっぱりシーちゃんだね?」

 ふん、今回はレイキだよ!


 タツキとサナエはフリーズ中。

(高純度のミスリルだって…)

「高純度の…」

「ミスリル…」

「「えぇーーー!」」

 たぶん、2人の反応は正しいよ、うん。


(シエルだな)

(レイキでしょ)

(癒しの魔力だぞ?)

(採れるのがね?)

(いや、シエルだ)

(レイキだよ!)


 押し付け合いをしていた。




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