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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
マイヤーに向けて
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71.お宿へゴー

「俺の腹の方が痛いわ!」


 ニヤリと笑った。レイキの腹筋は私が作ったと言っても過言ではない。

(過言だろ!)

(シエル作の腹筋…)

(…)  


 おぉ、レイキを黙らせるサナエの呟き。完成度が上がってるね!サムズアップしたらレイキに頬をつねられた。

「ん?柔らかいな…もちもちだ」

「いはいほ(痛いよ)」

「ふばっ。腹筋のお返しだー」

「ひゃらひへ(離して)」

「嫌じゃー」

「ほともは(子供か)!」

「会話が成立してるのが謎だな」

「シエルだから」

「レイキだしな」


 納得しないで助けてー!


 生暖かい目でダンディーが見てるじゃないか…もう。

(ブブカさんの名前忘れそうだからやめろ)

(鳥人…)

 サナエも名前呼んでないよ?


 なんてやり取りをしていると宿に着いた。

 おーこれはまた珍しい3階建だ。堅牢な感じのドッシリした建物。そういえばその町はあまり装飾がない。その代わり機能的というか…シンプルというか。

 個人的にはル・コルビュジェとかアントニオ・ガウディよりはフランク・ロイド・ライトの作品が好きな私。

 機能美というのかな…それに惹かれる。


 うんうん頷いていたら

「シーちゃんが好きそうな宿だな」

 頷くとタフの手を振りながら宿に入る。

「ようこそいらっしゃいました!」

 迎えてくれるのは…筋骨隆々のおじ様たち。えっと…宿に筋肉いるの?

(ぐほっ…)

 ここは筋肉の宿?

(サザンカの宿みたいに言うな!)

 古いね?

 で、ダンディーがすでに話を通していたらしく、部屋に案内される。


 なんでこうなった…?


 隣を見る。タフだ。私を抱きしめて寝ている。残念イケメンの横顔。


 私たちはお高い部屋に案内された。

 そこは部屋が4つ。当然、タフは1人部屋だと思った。

 なのに、当然みたいに筋肉さんに案内されたのは大きなベッド(多分キングサイズ)が入った部屋。

 他の部屋はセミダブルくらいのベッド。

 なんで?

「親子は同室希望と伺っています」

 …色々言いたい。まず親子じゃないし。同室を希望していないし。

 それと誰がそんな事言ったの!

「俺だよー、シーちゃんは抱き枕だからさ」

 おいこら、私は抱きぐるみじゃない。

 でもタフの少し高い体温は心地良くて…よく眠れた。なんか悔しい。


 そうそう、寝る前にチョコたちの話をした。

「あの子達は魔法バンバン使うよね?」

「雷魔法でリバイアサン討伐してたしな…」

「ついでに魔魚も大漁だったよね?感電して」

「特殊な個体だから群れから追い出されたんだろうな」

 あーそれでね。とそんな話をした。なるべく隠すように、と決めて寝たよ。



 昨日はまさかのタフと同室に色々と物申したい気持ちもありつつ

「一緒にお風呂も入ったし?」

 と言われると納得してしまった。

 夕ご飯は宿の食事処が個室だったからね、そこで食べたよ。中華っぽい料理なんだ、ここは。


 これなら鶏ガラとかの調味料とか売ってそう。期待大だね。餃子を見たタフが一瞬固まったのを見逃さなかったけど。

「何これー変な形!」

 無邪気にはしゃいでみた。

(棒読みだぞ?)

 あら?

(演技下手すぎ…)

 サナエの呟きがく、苦しい。


「な、何だろうなこれ…おっ中は粒の肉だ!」

 棒読みでもっしゃもっしゃ食べるタフ。仕方ないのでタフの膝に乗ると

「あーん…」

 と言った。私のライフはゴリゴリ削られるけど、タフの為に人肌ならぬ一肌脱ごう!

 実際には裸の付き合いだしね。


 タフは驚きながらも半分に切って私の口に放り込む。

 もぐもぐもぐ…美味しい!

「美味しい!」

「だよな?」

 2人で向かい合ってもぐもぐだ。

 食べ終わるとまた口に放り込むタフ。俯いたその目が光っていたことは私しか知らないよ?


 その頭をギュッと抱きしめる。

 タフも私に抱きついて目を瞑った。やっぱり顔がいいのは反則だよな…もう。

 しばらくすると

「あっちのも食べたい!」

 タフを叩けば取って口にくれてくれる。仕方ないおとんだな。

 そんな風においしさに感動しながら食べ終わった。


 お風呂は共同で、家族風呂みたいにこじんまりしてる。だからサナエと入ったよ。

 部屋にはシャワーがあるけどお湯に浸かりたいからね。

 お風呂が終わると各室へ。タフがいるから夜のスイーツ会はお休み。

 で、タフに抱っこされてお休みなさいした。


 その翌朝、宿の部屋に朝食を運んでもらう。ちなみに姫と王子、リリとマンティ、もちろん黒馬たちは宿の馬房でお休み。

 マンティはもちろん、他の子を襲ったりしない。ちゃんと鼻鼻挨拶できたしね。

 タツキと見に行くと、マンティとリリに姫と王子は寄り添ってチョコたちの足元で寝ていたよ!

 そのもふもふに私がダイブしたのは仕方ないと思う。

 で、マンティのザリザリの舌に舐められて悲鳴を上げたのはご愛嬌だ。


 今日は朝からレイキとサナエがそわそわしてる。杖を作ってもらうからね。

 実は私も杖を作ってもらうつもり。でもね、防具とか剣もせっかくだし作ってもらおうかと。

 それはレイキもサナエも同じだ。

 タツキはもちろん双剣でね!


 鍛治工房はどこがいいか分からない。ダンディーに聞いてもいいけど、どうしたもんか。

「タフ、どこがいいとかある?」

「あーマイヤーなら有名なのはビッケル親方だが…ちとなぁ。堅物で」

 あれ、それは無理か。

「他には?」

「そうだなぁ大きな工房はそこそこあるが…歩いてみるか?」


 と言うことで、みんなで南門の方に歩いていく。工房街だ。

 トントンカンカン音がする。

 タフが言ったビッケル親方の工房はかなり大きい。これは無理かな?

「見てみるか?」

 タツキが見たいと言うので、工房に入る。

「一見はお断りだ!」

 入ってすぐに入り口近くの若者に凄まれた。でも全然怖くない。

 タフはそれをまるっと無視してズンズンと中に入って行く。まってタフ…私の手を離して!

 私まだ引きずられて工房へ。


「誰だ!ってなんだ、グスタフか。久しいな」

「ビッケル、随分と立派になったな」

「当たり前だ!俺を誰だと思ってやがる?」

 ビッケル親方でしょ?

(ぐはっ…おいシエル!笑わすな)

 だってさ…誰って言うから。

 タフは肩をすくめた。そして私を見ると首を振る。

(なんだか随分天狗になってるな…他所に行こう)

「邪魔したな!天下のビッケル」

 手を上げてまたスタコラと工房を出た。


「昔気質ではあったが、あんなじゃなかったんだがなぁ」

 と言うことで他を探す。

 でもね、この通りの工房は入ると

「一見お断り!」

 って言われてさ。なんかサナエとレイキのテンションがダダ下がりで。切なくなる。


 少し休憩をして路地に入ってみた。

 こちらは個人でやってる工房みたいだ。その通りは工房の中が見えるし、お店を兼ねてるので入りやすい。

 歩きながら気になった店があった。

 いかにも自信なさげなお兄さんの工房。一見すると細身で背が高くて頼りなげな風貌。


 でも、なんだか置いてある品物に目が行く。レイキも私と一緒に立ち止まる。

 タフを見上げれば

「入ろう」

 先頭で入って行く。

「い、いらっしゃい…」

 言葉も頼りなげなだ。





投稿中の別作品 長生き魔法使い…の72にルイとライの双子、イメージイラスト載せました…よろしければそちらも!


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