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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
マイヤーに向けて

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68.押しかけ…

「もう大丈夫?」

『ダメじゃな!』

 はい?ケガ治ったよね。


「シーちゃん、さっき普通の食事では空腹が満たされないって」

 あ、言ってたかも。

『お主の食事は美味い!そこらの不味い飯は食う気にならんからな!よし決めた。ついて行くぞ!!』

「…」

 困ってタフを見る。ニッコリ笑うと

「それは食事を提供するかわりに、何かをしてくれると?」

『もちろんじゃ!我が守護に付くぞ』


「タフ、タフ…なんか大事になってない?」

 袖を引っ張って聞けば、またニッコリ笑う。

「守護されるのはシーちゃんだからね!」

「…えぇーー」

『当たり前じゃろ?食事にはお主の魔力が宿っておるからな。少しだが癒しまでのぉ。守護はお主じゃ』

「えっと…お断りとかは…」

『何か言ったかのぉ?』

「いや、ぶっちゃけ面倒…」

『耳が遠くてのぉ…』

「…」

 全力で被せてきたぞ。


「シーちゃん、諦めて?」

 イケメンは狡い。

「よ、よろしく?」

『相分かったぞ。我はマンティと言う』

 安直すぎやしないか…?


『分かりやすくて良いじゃろ?』

「確かに、マンティよろしく!シエルだよー」

(幸子だな、よろしくの。そっちはグスタフか…)

 なんで本名が?それにこれは念話か?

(我は聖獣じゃからのぉ)

(タフには秘密だよ?)

(ほほぉ…まだちと腹が減っておるなぁ)


 ぐっ、仕方ないな。アイスクリームの出番だ。

 お皿から冷えたアイスクリームを取り出す。奮発して3人前だ。

 それを見ると目を輝かせて

 ペロリと舐める。

『美味い!』

 ペロリペロリと舐めて、口の周りを舐め回して前脚で顔を洗ってご満悦だ。

『シエルについて行くぞ!』

 はいはい。なんかタフに続いて食べ盛りが増えたわ。

「ちゃんと役に立ってよ!」

『任せろ!』


 って事でマンティを連れて戻る。

 リリと姫、王子は少し毛が逆だったけど、私がマンティを撫でると安心したのかまた眠りについた。

 ふぁぁ私も眠い。タフはさっさとテントに入って行った。

 朝起きてそこにマンティがいたらみんなは驚くよね?

 仕方ないか。

「マンティ、一緒に寝る!」

『良いぞ?我の翼の中に来い』

「はーい」

 おじゃまだよーっと。

 大きなふわふわの体に乗っかって翼で包まれる。おっふかふかだね…これはいいぞ。翼で私とあーちゃんとラビもくるんでくれた。

 おやすみなさい…。




「えっ…シエル?」

「しーまだ寝てる」

「グスタフ、これは?」

「色々あったんだよ。襲われてるわけじゃない」

「ん…うわぁ」

「静かに…」

「マンティコアか…って名前がマンティとかベタだな…」


 ん?レイキか。もぞもぞするとマンティが

『良く寝れたか?』

「うん…ふかふかであったかくて…お母さんみたい」

『ふはっそれは良かったぞ!』

 翼が畳まれる。あーちゃんと伸びをした。ふわぁ気持ち良かった。


「「聖獣!?」」

「おはよー!どうしたの?」

「どうしたってシエル、聖獣と寝たのか?」

 んと、そうなるね。頷く。

「恐れおおい…」

「さすがシエル」

「俺も希望」

 タツキは常識人だね?サナエは可愛い!レイキは…だよね?ふかふかだよ!


『シエルの仲間か?なかなか面白いのぉ。タツキにレイキにサナエか…これは楽しめそうじゃ』

「「えっ?」」

 レイキは驚かない。鑑定で見えてるのかな。

『シエルの守護をするマンティコアのマンティだ。名を呼ぶことを許そうぞ』

 あれ?私は許されてない…。

『守護に付く時点で特別じゃ。名前を呼ぶなど当たり前、我の背にも乗れるぞ!』

「空を飛べるの?」

『そうじゃ!』

 あーと、どやってるとこ申し訳ない。私は乗り物酔いが酷くてね…無理。


『ずこっ…』

 古いギャグ知ってるね?

『神会の知識だからの…』

 憮然としてる。

「ぐほっ…」

 レイキはチャレンジャーだね?マンティの前でリアルに吹き出したよ!

『なら今はなんて言うんじゃ!』

 マンティが反撃に出たぞ。

「ガクッ?」

「…」

『…』

 何故にみんな無言?


 その後はマンティのそばに恐々とリリと姫に王子、サナエの肩のルーが挨拶していた。マンティは鷹揚に頷くと

『よろしくだぞ、魔獣たちよ』

 さすがは王者の風格。でも王子はなかなか豪胆でマンティの匂いを嗅いで頭をすりすりしていた。後ろで姫が心配そうに見てたけど、マンティはしっぽで王子を相手していた。子育て上手なのかな。


 さてと、みんなとも仲良しになったし私は朝食を作ろう。マンティの胃袋がどれほどか。

 まずはお米かな。

「タツキータフー手伝って!」

「「おう!」」

 タツキにはお米を鍋で炊いて貰う。

 私の好きなバタクラフトの7層構造のお鍋だ。それを買ってレイキにメモリを付けてもらった。


 お米の量とお水の量が分かるメモリ。炊飯器とか電化製品はそもそも電気が無いし、代替品があったとしてもやっぱり目立つからね。

 で、タフにはカットをね。風魔法の操作がとにかく上手。私の包丁よりも上手い。だから野菜のカットとかお肉のカットもお任せだ。

 今日は焼きサーモンにタルタルもどきを合わせたもの、後はボア肉をタレに付けて焼いたもの。

 ほら、マンティはお肉が食べたそうだし。


 私はタフが切った野菜と茹でビックバードをドレッシングで和えた。ドレッシングは醤油と酢と油に塩と砂糖でね。1番簡単な奴。

 後は魚と肉を焼いて、タルタルもどきをゆで卵と玉ねぎで作ればいいかな。


 ちょうどそんな頃合いに…ってえぇと?

「マンティ、少しやりにくいんだけど?」

 私の肩から鼻先を出してガン見してるし…鼻息は顔に掛かるし…なんなら涎もね?肩の先から地面に落ちてて…やりにくい!

『そんなにいい匂いがするのが悪い!』

 顔を横に向けたらマンティの鼻がある。鋭い牙も見えるんだけど?


 ペロン…


「うわぁ!」

 顔舐められた…もう。

「マンティ、涎が鍋に入ったらどうするの?」

『我慢できぬ…』

 しょぼんとしてしまった。

「少しだけだよ?」

 嬉しそうに口を開ける。

 お魚をその口に放り込む。

『美味いの…』

 また口を開ける。仕方ない。次はお肉だな。

『美味いのぉ…生きてて良かったわい』

「ほら、もう出来るからね。お座りして待ってて?」

『分かったのじゃ!』


 しっぽをフリフリして少し離れてお座りした。

 ヤバい、可愛いかも。

 急いで盛り付ける。

 自分たちのは机の上に、姫と王子にリリ、あーちゃんとラビは小さな専用の台にお皿を載せる。

「マンティは?」

 自分の前をテシテシする。はい、そこね。

 大きなお皿に山盛りにしてご飯と野菜、お魚にお肉を盛り付けたワンプレートだ。


「頂きまーす!」

 さっきそれなりに食べたのにね?マンティはもりもり食べた。

 タフと一緒におかわりに並ぶマンティにみんなは密かに悶絶していたよ!

 私?もちろん私も…!


 レイキが

「なぁ、マンティコアってライオンの胴にコウモリの羽で人面の合成獣じゃなかったか?」

「詳しくは知らないけど…キメラだよね?なんか、ライオンにきれいな翼付けた感じだよね」

「しかもさ、猫科なのにお座りも待ても出来るぞ!」

 確かに、あーちゃんと並んで待て、してるもんね。

「聖獣らしいし、いても困らないから」

「だな…」



 そんな事がありつつも順調に進み、やがて海沿いの街道から分岐して北へ進路を取った。ここまでサウナリスから8日。

 マンティが海に突っ込んでリバイアサンという魔物を狩ったり、何処かでワイバーンの群れ(5匹)を狩ったりということはあったけど、多分きっと順調に旅は進んだ。


 どうやら翼は収納可能で、だから私はテイマーとしてマンティを登録をする必要がある。

 ライオンのペットでいいかな?翼が無ければ普通にライオンだし。


 海からサヨナラして北へ進む一行。

 最初は4人だったのに、ラビと姫に王子、リリとルーそしてあーちゃん。

 王都を出発してからいつの間にかタフが加わって。

 黒馬3頭にマンティまで増えた。なかなか賑やかだ。あ、マンティだけじゃ無くて黒馬も登録がいるのか。


「タフー黒馬たちは何か登録がいる?」

「魔獣だからいるぞ」

「誰が登録するの?」

「ん?シーちゃんだよ?」

「タフは?」

「シーちゃんでしょ!」

「タフも!」


 結局、黒馬は私とタフとレイキで登録することになった。レイキは黒馬とも意思疎通が出来る。登録までに名前も決めないといけない。考えよう!




*読んでくださる皆さんにお願いです*


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