67.タツキと秘密の話しそして…
割り込み投稿は失敗するので順番に投稿出来るようにここまで投稿しておきます
色々とお騒がせしました
パイを完食した。美味しかった…ハル兄ちゃん。美味しく食べてるかな?
また一つ、あの世であった時の話題が出来たよ…。
食べ終わって解散する…前にタツキとお散歩だ!
「お散歩…」
手を差し出せば、握ってくれるおとんなタツキ。
2人で馬車から少し離れる。
歩きながら
「タツキは、気が付いてた?」
「なんとなく、な」
「記憶はある?」
「俺は何が起きたか分かってるぞ。シエルは?」
「分からない。電車の床が光った事しか分からない」
「そうか…」
タツキは敢えて言わないでくれている。
「前にさ、レイスが出て…私がしばらく起きなかった事、覚えてる?」
「ん?あぁ…あれな」
タツキのキスで起こすとかそんな話をしてたからね。忘れてはないか。
苦笑するタツキ。
「あの時、神様に会った」
「はっ…?」
「知らない場所に連れて行かれて…そこで凄くきれいな神様に会ったの」
目が点だよ、タツキ。
「そこで言われた。若返らせたのは僕だよって。もっと生きて欲しかったから、もうあの世界では生きられないからねって」
「そんな前から…か」
タツキは黙ってから
「電車に乗っていた。俺は駅に停まる前に減速した電車で、ヨロケながら立ち上がったおじいさんに手を差し伸べたんだ。その時だった。多分、電車が脱線した。一瞬体が浮いて…次の瞬間に叩きつけられた。それがあちらの記憶にある最後だ」
だとしたら、私たちは同じ電車に乗ってた?
「タツキはどこに住んでたの?」
「明石だ」
「でも、言葉が…」
「仕事で全国に行くからな、自然と標準語が身に付いた。地元の奴らとだとあちらの言葉になるぞ」
「サナエもレイキも標準語だよね?」
「理由は分からんな…」
「コーズィーコーナーを知らないってことは関東圏じゃない。でも言葉は関西圏じゃない」
「地元から出て来て関西で就職した、とか?」
「サナエと話ししたことがあるけど、実家から仕事に行ってたって」
「レイキは一人暮らしだな?」
「確かせやな」
「急にやなぁ」
「懐かしいやろ?」
「まぁな…久しく使ってないしなぁ…変な感じや」
「私は関東の出身だからね、関西弁も多少使える程度で…使わなくても違和感はないから」
「あーまぁな、やっぱりイントネーションとか使い方が違うからな」
「な?」
「ふはっ。ま、2人はその辺りに気が付いていないか、気がつきたくないと無意識に思ってるからだろう」
「自発的に知りたいと言うまでは黙っておこうか」
「なぁ、グスタフがお前の料理を食べてる時…泣きそうな顔してるの知ってるか?」
「えっ…?」
「だからさ、やっぱりアンナは俺たちの同郷だと思う。使える材料が限られていても、料理の根本は同じだ。お前の料理はタフの、思い出の料理なんじゃないか?」
「全然気が付かなかった」
「多分、気が付いてるのは俺だけだ」
「そうか…凄いんやなぁタツキは」
「だから急やろ!」
「ふふっ」
「ふはっ」
それからは会話をせずに手を繋いで歩いて、馬車に戻った。
いつの日か、転移の真実が明らかになるとしても…それはきっと今じゃない。
移動中は安全面に配慮して2人で寝ている。サナエはお留守番のラビとあーちゃんとルーと戯れていた。
ん?あーちゃんはママの時と違ってやたらと甘えん坊じゃないか?
「あーちゃんはサナエに懐いたね?」
『色々と柔らかいから…』
「…あーちゃんはメスだよね?」
『柔らかいの大好き…』
ぐっ羨ましいぞ!
ま、仕方ない。どうやらぽよんになる未来はなさそうだし。私も寝る前のあーちゃんのお腹まふまふとラビのふわ毛すりすりをして寝袋に包まった。
この辺りはこれから夏を迎えるせいか、じめっと暑い。だからサナエと寝袋は連結していない。
あーちゃんを抱きしめてラビは首元に丸まって…
今日も平和だったなぁ。
即、睡眠に落ちて行った。
口元を舐めるあーちゃんの気配に起きた。
「なに、アイカ…?」
ペロンペロン…
「アイカ…何かあった、の…」
眠い。
「ぷもん…」
ラビまで…ん?待ってこれは…。
隣のサナエを起こさないように寝袋から出ると馬車を降りる。
やっぱりか、タフは起きていた。
リリと姫に王子も遠くを見ている。不安そうではないけど、何かを感じてる?
タフは唇に指を当てると遥かに向こうを指差す。私には何も見えないけど確信を持っているみたいだ。
寄って行くと
「あそこ…掴まって」
小声で囁くと私を抱き上げた。その首に捕まる。あーちゃんは胸元に、ラビは首元にしがみ付く。
ヒュン
凄い勢いで走る。私は軽いとはいえ、人だ。それをまるで重さを感じてないみたいに走る。そのきれいな横顔は疲れも感じてないの?くらいに整っている。
「そんなに見つめられると照れるな!」
全く照れてないくせに…棒読みだよ。
あ、そろそろだな。いた!
くぁーーーー!
威嚇された。
それは…鳥とライオン?みたいな見た目の翼のあルーきれいな生き物だった。
(飛獣…マンティコア)
はい?マンティコアってラノベのキメラじゃなかった?
ペガサスは言い過ぎだけど…本当にホワイトライオンに翼が生えてるみたい。
私は治癒魔法は使えない。でも、治癒魔法に近いことは出来る。それに、薬ならある。
(ケガをして弱っている…お腹が空いている)
どっちが先かなぁ。
それに、何を食べる?
(食事が先 お勧めは七面鳥とワイバーン 好物)
私はポーチから七面鳥の丸焼きとワイバーンのゆで肉を取り出して少し近づいてお皿に載せたそれを置く。そしてまた離れてタフのそばまで戻る。
タフの手を引いてしゃがむ。
くぅ…
飛獣のお腹が鳴った。
「お食べ…美味しいよ!」
私は同じものをお皿に出して口にする。タフも横から七面鳥の丸焼きを齧る。普通にほかほかしてて美味しい。
しばし無言で見つめあったけど、遂に匂いに負けて低姿勢でそろそろすすみ、肉を一欠片食べた。
その目が開く。
そこからはガツガツバクバクと食べた。お皿を空にして口の周りを舌で舐めとる。
やっぱり足りないか?
前脚でお皿をこちらに押す。おかわりかな?
ポーチからおかわりに肉と魚も取り出してそっと近づく。逃げない。
そのままお皿にこんもりと載せると飛獣に向かってお皿を押す。
そのまま少しだけ下がって見つめる。
飛獣は警戒しながらも今度は躊躇なく食べた。
ガツガツバクバクと。
食べ終わると前脚でお皿を押す。またおかわり?
(お水が飲みたいと思ってる)
…魔法通信はツールだよね?なんでマンティコアの感情を読み取れるのかな?このジョブもまだ謎が多い。
水筒から並々とお皿にお水を入れる。
もうお皿を押さなくても直ぐそこまで来て、飲み始めた。触れるほど近くにいる。でも触らない。
そのまま見つめていると
『美味であった…。聖なる力が僅かに宿っておるな!助かったぞ…普通の食事では空腹が満たされないからな』
「喋った…」
『ぬ?当たり前であろう?我は聖獣ぞ!』
ドヤってるけど…空腹で弱って動けなかったんだよね?しかもケガまでして。
『う…ケ、ケガは…不運じゃ!』
あれ、わたし喋ってないけど…?なんで会話が成立してるの!?
『ダダ漏れじゃな…』
えぇ…そんなぁ。
『うわっはっは。仕方ないの。ほれ、お前の力で我のケガを治せ』
「治癒魔法じゃないよ?」
『治れば構わぬ』
「触るけど…いいの?」
翼の付け根を見せてくれる。翼が半ばまで千切れかけてる。これは無理やり翼をもぎ取ろうとした?なんて酷い。
治れ…そのきれいな翼を元の姿へ…と優しく撫でる。
ピカン
ラビも手伝ってくれたんだね?肩の上のラビに頬ずりする。
『小さな子も、助かったぞ?そこなふわふわもな!』
そこなふわふわだって…ラビ。
「ぷぷもん…」
抗議の声だ。ラビは怖くないんだね?
『怖いないよ!優しいおじちゃんだもん』
おじちゃん…?
『ふははっふわふわはすぐに潰れてしまうからなぁ。ん?エルフもおったか…やれ、助かったわい』
体を起こすと身震いした。
すると翼は虹色に輝いた。うわぁすごくきれいだ。
なんだか神々しく見える。
『たわけ!神々しくじゃない、神々しいんじゃ』
いやね、お腹空かせて弱ってたしね?ケガしてたしね?なんて言うか…さ。
『ぐぬっそれはアレじゃな。隙があったのは認めようぞ』
「もう大丈夫?」
『ダメじゃな!』
はい?ケガ治ったよね。
「シーちゃん、さっき普通の食事では空腹が満たされないって」
あ、言ってたかも。
『お主の食事は美味い!そこらの不味い飯は食う気にならんからな!よし決めた。ついて行くぞ!!』
*読んでくださる皆さんにお願いです*
面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪
モチベーションになります!




