7.町を出ようよ
年齢を訂正しました14→13
2025.07.31
昨日予約忘れたので本日2話投稿します
少し歩いていかにも宿屋って感じの建物が増えて来た。その中で、鶏?をかたどった看板を見つけた。ここだ。赤いトサカ亭。うん、鶏だね。
タツキが扉を開けて入る。奥からのっそりと、本当にその言葉がピッタリの登場で大きなおじさんが出て来た。ジロリとこちらを見る。
「宿泊か?」
「あぁ」
「ここには着いたばかりか?」
「そうだ、みんな同郷なんだ」
「2人部屋なら1泊朝食付きで3500ガロンだ」
「それなら2人部屋2つで、2泊頼む」
無言で頷くと鍵をカウンターの下から取り出して渡してくれる。
「2階の奥二つだ。14000ガロン」
「おう、これな。あとよ、冒険者ギルドに行きたいんだが」
「あぁ?」
「冒険者になる予定は無いんだが、まだ旅を続けるんだ」
「ちょうどだな、身分証か?」
「そうなんだ、それに少し遠くまで行くからな。護衛が雇えたらと」
「宿の前の大通りを右に行って突き当たりのデカい建物だ。剣と盾の看板がある」
「分かった、後で行ってみる」
会話を終えて階段を登り、部屋に入る。
女性は奥の部屋だから、そこにひとまず入ってから男性の部屋に集合した。
「コワモテだったな」
「でもあの人がいたら変な人が入って来ないんじゃない」
「かもな…」
「まずは朝食だな。パンは貰ったぞ」
「お湯沸かすね」
「ん、シエルもう大丈夫か?」
「あーごめん。なんかもう堪えられなかった」
「仕方ない、泣きたい時は泣けばいい」
「うん、ありがとう」
気まずい思いをしながらお湯を沸かしてパックの紅茶を入れる。
みんなで貰ったパンをもそもそと食べる。朝から何も食べてなかったからね?
「みんな、ごめんね。自分でもまさかあんなに泣くとは思わなくて」
「演技にしてはな、流石にガチかと思って」
「面目ない」
「平気なわけないよな、お疲れさん」
なぜかタツキにも頭をポンポンされた。見た目が中学生だからかね?
食べ終わると、コンビニのスナック菓子を出す。
みんなでポリポリ、無言の時間が過ぎた。
「ふぅ、もう帰れない。確定だ。だからここで生きるしか無い」
タツキがみんなを見回して言う。
「俺はみんなここで会えて良かった。まだ先の事は分からないが、しばらく一緒にいたいと思う。どうだろうか?」
真剣な顔だ。
「わ、私も。私は暮らしに関わるような能力は無いんだけど。でも、みんなとならって思うから。だから一緒にいて欲しい」
サナエも続く。必死な顔だ。
「俺も、そのな…シエルがいなかったら⭐︎無しで悲惨な思いをしただろう。タツキは俺を気遣ってくれた。サナエもだ。だからこの4人でいたい」
レイキもだ。
みんな本当にいい子だ。
「私は、突然念話した私に素直に従ってくれたレイキも、周りを気遣えるタツキもサナエも。このメンバーで良かったよ」
ふふふっそれはちゃんと心からの笑顔だった。
ちゃんと心から笑えた。
「よし、じゃあ泣き虫も泣き止んだし…冒険者ギルドに行こう!」
「「「おー」」」
泣き虫は余計だけどね!
こうして私たちは冒険者ギルドに向かった。
今着ている服は主に冒険者が着る服だ。スカートは断ってパンツスタイルの服を貰った。
だから、ゴワゴワしたシャツにポケットがたくさんついたズボン、編み上げの脛までのブーツにベスト。その上からフード付きのマント?ローブかな。
ごく普通の旅行者の装い。魔法通信で調べたから間違いない。
この国は顔立ちも髪の色もバリエーション豊かだからそこまで目立たない。一番目立つのがレイキの黒髪。私の銀髪もまぁまぁ目立つみたい。灰髪のタツキと茶髪のサナエは完全に馴染んでいる。
ギルドが見える前、大通りでタツキにサナエと私はフードを被るように言われた。
タツキは身体が188cmと大柄で肩幅もあって腰もしっかりしているが太ってはいない。だから凄く堂々として見える。若返ったから筋肉もしっかりと付いているとはタツキ談。
レイキは身体が182cmで細身。でも高校生までバスケをしていたそうで、しっかりと筋肉は付いてるとのこと。鋭い目つきもあって舐められそうにない。
それに比べてサナエは背こそ163㎝と女性の平均よりは高いけど手足が長くて細身。さらにボンキュっだ。腰は細いけど男性からも女性からも理想と思える体系。優し気な顔立ちもあって一番危険。
私は154㎝と小柄で胸もペタペタ。痩せてるけど筋肉質でウエストは細いけどお尻は大きめでザ、日本人って感じ。顔は微補正がかかったけど体形はそのままだった。がっくり。でも小さいから危険ではあるみたいだ。なので顔を隠すためのフード。
ギルドの建物は確かにすぐ分かった。朝とお昼の間ぐらい?だから人はきっと少な目かも。
タツキが扉を開けて中に入る。
すぐに入り口付近にいた強面のお兄さんがこちらに近寄って来た。
テンプレか、ギルドで絡まれるテンプレ来たか?と思っていると
「何か用か?お嬢ちゃん」
私の前で屈んで聞いてきた。あれ?テンプレじゃないの…?しかも目線まで合わせて実はいい人?
「登録に来た」
代わりにタツキが答える。
「あぁ?」
やっぱりテンプレ?
「冒険者の活動をするというより、身分証が欲しくてな。ここに着いてから知り合いが他の町にいることが分かって」
「同郷か?兄弟じゃないよな」
「あぁ同じところの出身だ」
頷くと
「登録なら左の窓口だ、おう、おっさん。登録だとよ!」
「おい、お前におっさんと言われたくないぞ」
鋭い目つきのお兄さん?が強面さんに答えた。
私たちがその窓口に行くと
「登録だな?」
タツキと私を見て聞く。
「あぁ4人ともだ」
「こちらの紙に名前とか書けるところを書いて」
紙と羽ペンを渡される。
(あー文字なんだけど、名前はローマ字で、数字はアラビア数字で書けば勝手に変換されるみたい)
(((分かった)))
そんなやり取りをしていると、羽ペンを持って困っているように見えたのか
「代筆もできるが」
あれ?鋭い目つきだけどこの人も優しい系?
「ぐふぅ」
レイキ、だからさ…慣れなよ、もう。
(いや、無理だろ!)
さいですか。
名前はシエル、年齢は13
それを見た受付のお兄さんが
「えっ?」
驚いている。
それは年齢の割に大人びているっていう驚きだよね?
(おい、やめろ!腹筋がヤバいだろ)
隣をちらっとみるとタツキの顔が歪んでいる。
「えっと、何か?」
受付のお兄さんを見て聞く。
「いや、その…よく頑張ったね」
何が?目をぱちぱちとしているとうんうん頷いている。
なんかのスイッチはいったかな?登録できればいいんだけど。
みんな書き終わった紙を見て
「ジョブやスキルは分からないか?」
首を振る。
「神殿でしか調べられないし、お金もかかるからな」
お兄さんがしみじみと言う。
「今はすぐに冒険者として活動はしないから、住む場所が決まって落ち着いたら考える」
すかさずタツキがフォロー。
「それがいい。じゃぁ登録料がひとり5000ガロン。これは初回だけ、でカードを紛失したり活動を1年以上しないと再度登録料がかかるから注意して。あとはこの冊子に書いてあるから読んで、分からないことは聞いてくれ。えっと字は読めるか?」
サナエが共通のお金から20000ガロンだしてお兄さんに渡す。さっき部屋の中で共通のお金として各自5万ガロンを集めていて、それをサナエが管理してくれることになったのだ。
「あぁ読める。ひとまず帰って読んでみる。それで、南西の町サウナリスに行きたいんだが、中継となるミドルナリスまでは馬車があって、でもそこには冒険者ギルドがないんだよな?ここでサウナリスまでの護衛を頼みたいんだ」
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