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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
異世界転移?

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54.ふわふわは大人気?

 外で待ってたタフと一緒に商業ギルドに向かう。

「なぁ、先に冒険者ギルドに寄っていいか?素材の買取と解体を頼みたい」

「いいよ!」

 タフと手を繋いで冒険者ギルドに入った。今日はタフもフードを被っている。でもやっぱり気が付かれたみたいで

「鉄拳だ」「鉄拳よ」

「カッコいいな」「素敵」

 ざわざわとする。タフは聞こえないフリをして買取の窓口のお姉さんに声を掛ける。

 お姉さんはにこやかにタフに微笑んで、私をギロリと睨んだ。

「これな、今日中に買取出来る分だけ頼む。少し出るから、また寄る」

 受付のお姉さんは

「はい!まだぜひ来てください!!」

 めっちゃ張り切ってた。そして目が怖い。 

 ちなみにここの冒険者ギルドは基本、個別の依頼を受けていない。常設依頼か緊急依頼のみだ。だから王都からサウナリスまでの護衛を雇ったのだ。


 タフと手を繋いでギルドを後にし、隣の商業ギルドに入って行く。

「あ、もしかして石けんの?」

 頷くと隣のタフを見てから個室へ案内された。

「私は買取担当のジゼルと申します。カードを拝見できますか?」

 自分の金ピカカードを出すと驚いている。タフも目を丸くしていた。

「お売り頂けるのは?」

「こちら、です。この手拭き布はノースナリスでも人気だと聞きました」

「こ、これは…商品名が「ふわふわ」でしたね?もう在庫切れと聞いております」

 えっ、そうなの?50枚卸したはずなのに。しかも1200ガロンで卸したから売値はもっと高いはず。

「100枚…お願いします」


 机に着くほどに頭を下げる。うーん100枚は…目立つしなぁ。

「その…あまり目立ちたく無いので。数は抑えたくて」

 ガバッと顔を起こしたジゼルさんは

「売りに出すタイミングをずらせば良いのでは無いかと…それならここを出たシエル様だと気が付かないのでは?」

 まぁ確かに?お金は欲しいし。

「分かりました!」

 そんな事もあろうかと、多めに買ってあるから大丈夫。

 100枚、ランダムカラーのタオルハンカチを取り出した。ジゼルさんは一つを手に取って

「素晴らしい」

 頬ずりしそうな勢いだったよ?

 後は牛さん石けんとウタマル石けんを各100個納品した。

 ビーフジャーキーは30袋。どれも喜ばれた。

 深々を頭を下げられ、見送られて商業ギルドを後にした。


「農業ギルドにも行くよ!」

 ?な顔をされたけどタフは嫌がらずに来てくれた。

 入り口を入ると

「ご用件は?」

「卵…」

 ハッと鋭い奥の個室に案内された。

 やっぱり真ん中にはおおきなトレイ。

「こちらへ」

 恭しく差し出される。そこに魔鳥の卵と魔牛の牛乳をダンッと置く。職員さんはフリーズした。マジマジと卵を見た後、

「こ、こ、こ、」

 ゴクンと唾を飲み込み

「魔鳥の卵に魔牛の牛乳…」

 はい、正解ーパフパフ!おいくら万円?

(ぶはっ…なんだそりゃ)

 いつも通りのお値段で購入して貰った。


 それなりにいい時間になったのでご飯を食べて帰ることにした。

「あーその、魚が美味い店があるんだが?」

「行きたい!」

「泣くなよ?」

「保証は出来ないけど、努力する!」

「なら行くか!」

 連れて行かれたのは裏路地のお店。小さいけど賑わってる。

 扉を開けて入ると

「らっしゃい!」

 イキのいい掛け声がする。タフがフードを軽く上げると店主は頷いて奥の個室へと案内する。

 椅子に座るとタフが

「盛り合わせの特大と小、俺にはエール、この子にはジュースな」

「おう、元気そうだな?隠し子か?ガハハッ」

 店主はタフの肩をバンバンと叩いて部屋を出て行った。

「盛り合わせ?」

「来たら分かるさ!昔馴染みなんだが、隠し子か…それくらいの年か…」

 タフが35で私が14なら確かに父親とも言える歳の差だ。


 思案顔のタフを放って部屋を見回しているとノックと共に扉が開く。

 トレイに載っていたのはなんと、海鮮丼だ!生魚?私がマジマジと見てると

「生魚だ!ちゃんと新鮮なままだから美味いぞ?

 このタレを掛けて食べるんだ」

 それは醤油?いや違うな…ナンプラー、いわゆる魚醤だ。でも嬉しいかも。

「食うぞ?いただきます!」

「いただきます!」

 スプーンに魚を乗せる。魚な下はお米みたいだけど違う。小麦粉を丸く潰して茹でてある。すいとんみたいな感じかな?

 一緒にすくって食べる。美味しい!魚醤の旨みが魚と合う!

「美味しい!」

 温かい海の魚って脂がならないからどうかと思ったけど、しっかり脂が乗ってて身は引き締まってて美味しい。下のすいとんももっちりとしてて、意外と合う。

 夢中で食べた。

 これ、でも凄く量がある。少な目なのに…半分食べた所でギブアップ。スプーンを置くと、それを見越してたのか…すでに特大を胃に収めたタフが私の残りをさらって食べた。ほんと良く食べるね?

 残さなくて良かった。せっかく美味しいし。


「美味かったろ?」

「うん、お魚がとっても美味しかった」

「今から市場に行けば売れ残りを安くしてくれるぞ?」

 えっと…鮮魚だよね?カバンは時間遅延だし、どうしよう。

「おい、今さらだろ?」

 タフに苦笑された。バレてる?

「時間停止だよな?」

 亜空間はね。カバンは時間遅延だよ。まぁカバンから亜空間にしまえるからわからないだろうけど。

「ど、どうしてそれを…」

「おいおい、無自覚か?あんなに鮮度がいい食材をポンポン出しといて…」

「…安心しろ、他の奴らはそこまで気が付いてない」

 チラッとタフを見る。いいの?安心して?

「だからそんな顔するなよ…小さい子には弱いんだって」

「そんな顔?」

「今にも泣きそうな顔だ」

「ほんとに信じていいの?」

 タフは笑うと軽くキスして

「俺の唇に誓って…」

「なんか…軽そう」

 ひでぇと言って笑うと私を抱きしめた。大丈夫だよ、ほんと。だって。ふん、顔がいいからってさ…でもそれなら信じるよ?タフ。


 って事で市場を歩いている。閉めた店も多い中を進んで行く。

 すると声がかかる。

「よお、お嬢ちゃんとお父さん!残りをまとめて1000ガロン、買わねえか!」

 お嬢ちゃん…お父さん…、お互いに呟きながらその店を見る。台の上には雑多なお魚や貝が置かれていた。

 アレってまさかの…?で、あっちは…。

「買う!」

 タフに頭を叩かれた。

「少しは値切れよ!」

「あはは、父ちゃんしっかり者だなぁ。仕方ない、800で持ってけ!」

「おうよ!」


 鑑定さんによると、真鯛、牡丹海老、ハマグリ、鱧だったよ。これはまさに大漁ー!

 真鯛はお刺身と炊き込みご飯に残りは鯛茶漬けに。

 牡丹海老はお刺身と残りはフライに、ハマグリは浜焼き、鱧は炙りと天ぷら、残りは鱧鍋だい。


 その後も市場の残りを買い占める勢いで買った。なんとマグロやハマチ、ヒラメまで。アジも売ってたし。

 アサリにイカやタコもあって、鮮魚店?ってくらい買った。

 タフが一緒だと親子に間違えられる。私たちの顔は見えないけどフードから除く髪色が同じ。で、手を繋いでいれば確かに親子に見える。

 ふふっと笑いながら市場を後にした。

「親子だってさ」

「親子だったね」

 仲良く手を繋ぎながら宿に向かって歩いて行く。

 タフは笑顔のまま、サッと路地に入って私を後ろに庇う。タフ案件かな?


「やっと見つけたぞ!アンナの倅だな?例のブツを出せ」

「何の話だ?私は娘と買い物をしてただけだ」

 いやいやいや、巻き込まないで!

「逃げられるお思うなよ?娘が可愛いならな!ふはっ、お前から例のブツを奪った後は好きにしていいと言われている。くくっ好きなだけ抱いてやるぞ?ん?」

 下卑た笑いが路地にこだまする。

「待て…いいのか?本当に?」

「お前の娘ならさぞかし美形だろう。そっちも可愛がってやるぞ?幼女好きも多いからな!ふはっ」

 キモ、その前に幼女じゃないわ!

 ムカつくな、どう考えても弱そうな相手なのに。

 あれ、タフの様子が変だ…震えてる?

「ふふはっ…エルフの血に反応する薬だ…体が動かなくなるだろう?どんなに強くても、動かなきゃ同じさ」


(タフ、どうしたらいい?)

(…シエル、ごめん。身体が動かない)

(応えて!掴まりたいの?掴まりたく無いの?)

(捕まりたく無い…)

(コイツらは?殺す?生かす?)

(こ、殺す、な…)

 それだけ応えてタフから力が抜ける。


(中毒状態…程度は中 急いで治療が必要)


『ラビ、タフをお願い』

『ぷもーん』

『あーちゃん、行くよ?』

『わん!』




※読んでくださる皆さんにお願い※


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