48.旅は続く
15日目
間違えて一話飛ばしました…
うん、いつもと違う朝。サナエとラビとあーちゃんと…レイキとタツキがいる。テントの中にはリリ、姫に王子もいるし。
目が覚めると少し離れたベットでタツキが目を覚ましていた。うーん、良く寝た。サナエのぽよんを名残惜しく感じながら起きる。
「おはよう」
小さな声で話をする。
一応、テントの中は寝室と居間に区切ってある。タツキと居間に移動した。
なんか今日は朝からロイヤルミルクティーの気分。
「甘い紅茶飲むけど?」
「俺にもくれ」
2人でまったりロイヤルミルクティーを飲む。ふー甘くて美味しいね。
今日も歩くぞ。当初予定だと後3日で着くんだけど、速度が出ないからな。もしかしたら1日遅れるかもね。仕方ないけど。
さて、朝食の準備をしよう。今朝は白ごはんに魚の干物、お味噌汁にサラダだ。
希望者には納豆もあるよ!えっ…いらない?ガーン。私だけかぁ、健康食なのに…。
食べ終わったらテントの片付け。この村で、何か仕入れられるかな?
レイキと集会所に向かう。みんな起きて干し肉(マズイ方)を齧っていた。
「おはよ、ここで何か買えるの?」
「あぁ、肉があれば野菜と交換してくれるってさ」
「分かった!」
「一緒行く」
レイノルドとライルが付いて来た。村長に話をして、オークの肉と採れたての野菜と交換した。トマト、採れたてのトマト!わちょーい。果物もあって梨みたいなのだった。いいね。もちろんオーク肉と交換したよ。
で、出発。
ゆっくりゆっくり進む。
例のケガした人と初めて話をした。名前はミリオンさん。Bランクの冒険者さんだ。25才で明るい金髪に青目のお兄さん。一見、キツメの見た目に反して柔らかな話し方の筋肉質な人。
きっとかなり体力があるんだろうなぁ。キングにやられても生きてたし。
聞けば、なくなった人たちはパーティーではないんだって。4人パーティーに臨時でミリオンさんが入って、護衛任務を受けたとか。彼らはCランクのパーティー、ミリオンさんはソロだって。
「ねぇ、みんなで協力して助けてくれたって聞いた。君たちは先行して足止めしたんだって?まだEランクなのに。ほんとうにありがとう。先行してくれなかったら、僕は死んでた」
そう言ってしっかりと頭を下げた。
「俺らが足止めをして、荷馬車を逃す予定が…商人が馬車を置いて逃げ出したんだ。魔獣は逃げるものを追う習性がある。そこからはもうカオスだよ。逃げた商人はすぐにやられて、浮き足だった所で魔法で崩された。さすがはネームドだ。討伐ランクはAAA。参ったよ。Bランクパーティーにまさかの鉄拳までいなければ、僕は今頃あの世への特急馬車で終着点に着いてたな。運がいいのか悪いのか…」
そう言って苦笑した。護衛依頼は失敗扱いとなり、ペナルティが課される。荷馬車は守った上で、ネームド。かつ依頼主の逃走と同情の余地はあるから大きなペナルティにはならないってみたいだけど。
一応、オークキングを倒したのは空かける翼とタフってことになってる。やっぱり私たちで倒したとはね、言えないからね。
話しながら歩いてあると肩の上のラビが
ぷもん(仲間を助けて…)
と言った。だからミリオに声を掛けて
「白うさぎ、助けて!」
その手を握って走り出す。後からはレイキも着いてくる。
すかさずミリオさんに抱えられた。少し先の森の中で、白うさぎと蛇がいた。うさぎは動かない。
すかさずミリオが蛇を剣で切る。
ラビが素早く飛び降りると白うさぎに近寄って鼻をツンツンした。するとピカンと光る。
そして、倒れていた白うさぎは耳をぴくりと動かすと目を開けラビを見上げる。鼻と鼻で挨拶をして
「きゅっきゅっ…」
「きゅっきゅうぅ…きゅう」
うさぎ語?で会話している。一応、ミリオと一緒だけど心配したガルが走って来た。
「どうした?」
「きゅい!」
応えたのはラビだ。後ろ脚で立ち上がって胸をそらしている。胸毛がもふもふだ。撫でていい?えっ、今は取り込み中?はい、後でね。
「おい、シエル。なんて言ってる?」
「ん?仲間の危機だった」
「…はぁ」
私のせいではない。
「こ、この子は大丈夫なのか?」
ミリオが血のついた毛皮を見て心配そうに聞く。だから血の汚れを魔法で取ってあげた。
「きゅい…♪」
なんだって?ミリオは白うさぎにモテモテだな。
私の愛しいご主人様…名前を下さいってさ。
白うさぎ的な美形なのかな?ミリオは。
「えっとシーちゃん、なんて言ってるの?」
「ぐほっ、シーちゃん…」
ガルを睨んでからミリオに
「名前をつけてって」
「えっえっ、それはその…一緒にいてくれるの?」
「きゅうー(もちろん♪)」
「うん、だって」
「ど、どうしよ、名前、名前…うさこ?」
「ぶはっ…ないない!」
ガルに即否定されてた。可愛いのにね?
「あーそれはない」
追いついたレイキにもダメだしされてる。
「ぎゅう…(却下)」
「その子はラビがで、メッシが連れてる子はフォルだよ」
「うさみ…うさえ…ぶつぶつ」
「「ぐはっ…」」
そうなるよね?悩み始めると堂々とめぐりになる。
なぜか涙目で私を見るので
「テンは?私たちの故郷の言葉で山、それの略称」
マウンテンの略だ。
「テン?」
「きゅっきゅうー♪」
「テンちゃん!」
「きゅい♪」
決まったね。良かった。するとやっぱりテンはピカンと光った。ラビの時ほどでは無いけどね。テンの方がラビよりも小さいし。
「ひ、光った…」
(白魔うさぎの子供)
子供?ラビやフォルは子供じゃなかった。だから小さいのか?私はミリオの手の中の小さなテンを撫でる。うわぁまだ産毛?柔らかいなんてもんじゃ無い。
助かって良かったよ。
『テン、仲間は?』
『…僕だけ…』
まさかのオスだった。
こうしてちょっとした騒動はあったものの、予定していた野営場に辿り着いた。
テンが子供って分かって、改めてラビを見た。
(ラビ 白魔大うさぎ(進化系) 称号 守護者new
スキル 風魔法 治癒魔法 気配感知max 守備結界new 火魔法new 聖魔法new)
…進化したのかな?で、称号。まぁね?お仲間を救出したりミリオを助けたりね?ガチの治癒魔法が付いてるね。うん、成長著しい。大うさぎはあれかな?2mになるやつかな?うんうん。私より成長してるんだね…。はぁ。これで大きくなれるのはラビだけと判明した。よし、全力で隠蔽だ!
ラビはミリオの肩の上でテンと寄り添って世話を焼いている。頭を舐めたり耳の中を確認したり。守護者だもんね?
ママは少しだけ寂しいよ…あーちゃんを抱きしめる。緩くしっぽを振ってくれるアイカ。可愛い。その温もりを感じて一息ついた。
テントも組み立ててまったり。男性陣と女性陣は別のテントだけど、レイキの空間魔法で繋げられることが分かった。入り口は別だけど中でも繋がるコネクティングルームだな!
さて、夕食の準備だ。ちなみにラビは帰って来なかった。いいさ、いいさ。ラビはもうミリオの子だ。
なんだかやる気が起きないなぁ。もうステーキ丼でいいか。タレをエオンで買って肉を焼いて白ごはんにもやしとほうれん草、その上にステーキ。後は味噌汁。
手抜きだ!
「美味いな!」
「うん、美味い。シエルにいつもやらせてごめんな」
「私は料理苦手で」
「好きでやってるし、適当に手抜きしてるから大丈夫」
この日も早々にテントに籠って寝た。ラビはやっぱり帰って来なかった。
翌朝はおかゆ。お供は塩昆布と海苔の佃煮。後は焼きサケも用意した。私はおかゆだけでいいかな。
ホカホカと心も満たされて出発。
私たちのパーティー以外はだんだんと顔色が悪くなり口数も減ってるけど知らないもん。
ラビは今日もミリオの肩の上だ。なんだかなぁ。
見なかった事にして黙々も歩く。
(なぁ、ラビは戻って来ないのか?)
(そうだね…)
(ミリオさんは何か声をかけてるけど、ラビはテンを構いたいみたいだな)
(子供だからかな?)
そんな会話をしていた。
ラビがぷもんと鳴いた。私には聞こえたけど、だからどうしたらいいのか。気配は特に感じないし。声は聞こえるけど、それだけ。
そのまま進むとまたぷもんとラビが鳴いた。
やはり気配は感じない。ラビが何かを訴えかけてるみたいだけど何も聞こえないよ?
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