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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
異世界転移?

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43/127

43.昨日の出来事を聞いた

13日目

 肩を震わせて泣く私を見て、渋面のロドリゲスさんやレイノルド、ライルが慌てて立ち上がったり、タフがオロオロと歩き回ったり、ガルが挙動不審になったりしたらしい。


「みんな、夕食は食べられたの?」

「俺たちがまぁ普通に食べてるのを見て、食べ始めたぞ?甘えたなんですって言っておいた」

 ニヤリ笑うタツキ。

「はぁ?誰が…甘え…えぇ…」

 頭を抱えた。欠席裁判か?うわぁぁ、恥ずかしい。小さな子供みたいじゃない。

 むうと睨めば、ふふんと笑われた。


 すると何かが横切って、えっ…?とリリ?私の頭の上に座っている。寝転んだらわたしの頭にリリのお尻が当たっている。ん?

 姫と王子もやって来て鼻を私に近づけて匂いを嗅ぐ。

 ん?

「心配してんだよ」

「昨日の夜も扉の前でウロウロしてたからな」

 タツキの言葉にサナエが吹き出して

「ぶふっ…それは飼い主を真似したんでしょ?」


 タツキとレイキの顔が赤くなる。じっと見れば

「見た目だけは儚気だからな!」

「そうだ、見た目だけな!」

 ふふっそうか、飼い主が心配してたから…気になったんだね。リリの胸元を撫で、姫と王子の首元を撫でる。満更でもなさそうな顔で撫でられている。可愛い。

「優しい飼い主さんで良かったね!」


 歯が、それにしてもなぁ。

「あー、お魚…食べ損ねた」

「持って帰って来たぞ」

「えっ?」

「食べたいって言うと思ったから」

「でかした!」

「お礼はレイノルドにな」

「うん、後で会いに行く!」

「で、お前はいつまで寝てんだ?」

「タツキー抱っこ!」

 渋い顔をしながらも

「仕方ないな…」

 抱き上げてくれる。ふふっお父さんだ!

「誰がお父さんだ!せめて兄にしとけ」


「…ダメ、お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんは1人だけ。ハル兄ちゃん、どうしてるかなぁ」

 そこで昨日、私が泣き出した理由を話する。

「でね、思い出しちゃって…ほんと、思春期って情緒不安定だよね」

「うん、分かる気がする。私もお魚料理見て同僚との飲み会という名の愚痴会を思い出したし。友達もね、あの男マジ死なす!って…懐かしいなぁ」

サナエさん、マジ死なすって楽しそうに言ったね?


「あるよな、ふいに来るからな。構えていればなんてことないんだけどな」

「そうだなぁ、俺も干物とかでたらヤバかったかも」

 そんな話をしていたら、扉をノックする音がした。

「あぁ朝食だな、運んでくれるって言ってたし」


 レイキが扉を開けに行き、私を抱えたタツキは椅子の背に掛けてあったローブをとっても私に被せた。

「やっぱり顔は見せない方がいいの?」

「うん?あぁ、昨日のみんなの反応見ただろう?」

「どんな?」

 タツキは呆れた顔をして

「みんなお前の顔を見て顔を赤くしていた。それだけ儚げで珍しい色なんだよ、自覚しろ」


 あー、あの目線はそっちか。

「そう言われてもね…自分の顔は見えないし」

「笑いをこらえて俯いているだけで、肩を震わせて泣くのを堪えてる風に見えるんだ」

「えー…」

 それはまたなんて言うか、ご愁傷様?


 そんな会話を小さな声でしている内にテーブルに朝食が並べられていた。

「食べ終わる頃にまた伺います」

 宿の職員が丁寧に頭を下げて出て行った。

「食べるか」

「うん、お腹空いた」

「途中で泣き落ちしたからだろ」

 そうとも言う、キリッとな。


 タツキにため息を吐かれた。解せぬ。

 朝食は堅パンと普通の食パンの間くらいのやや硬め。それでももっちりしていてなかなか美味しい。

 やっぱり高級なお宿は独自のレシピがあるのかもね。

 美味しい朝食を食べて、まったり…する時間もなく、石けんの詰め替え作業。

 今春タオルのセットもしないとね。



 ビーフジャーキー 30袋

 ハンカチタオル 30枚


 が商業ギルド


 牛さん石けん 100個

 ウタマル石けん 100個

 レックス石けん 25個

 今春タオル 10枚


 がリーブラン商会。


 ウタマル石けんはカラフルなオーガンジーのポーチに、レックス石けんは綿のレース付き袋に、そして今春タオルはカラフルな紙袋にイン!

 昨日渡す予定だった分も入っている。そして試供品としてレックス石けんと石けん台もね。

 手分けしたらすぐに終わった。


「今日は冒険者ギルドから買取の査定だよね?」

「そうだな、それ以外はレイキが姫牛乳を納品ぐらいか」

「午前中は時間ありそう?商業ギルドと農業ギルドとリーブラン商会に納品したら、買い出しに行きたい」

「冒険者ギルドにも寄ってみるか?査定がいつ頃でるか聞きたいし」

「うん、で買い物が終わってお昼ご飯を食べたら部屋に籠るね!」

「おう、なら準備して行くか」



 着替えて出かける準備をする。といってもポーチを持ってラビを肩に載せてあーちゃんを抱いてローブを着るだけだ。

 さぁ行きますか。

 宿を出て冒険者ギルドに向かう。はい、いつも通りタツキと手つなぎ中。

 もう習慣になっていて自然と手を繋いでいる。子供が親の手を握るみたいな感じ?

 あったかくて大きな手は安心感があるんだよね。

 それなりに朝早い時間だけど、もう人は動き始めている。

「あ、この時間ってギルド混んでるかな?」

「ん?あぁどうかな。もし冒険者ギルドが混んでたら商業ギルドに行くか」

 と言いながら歩いていると、たくさんの人が冒険者ギルドに吸い込まれていく。

 依頼を受ける人たちかな?


 扉を開けて入ると賑やかだ。そういえばいつも人がいない時間ばかりだったから新鮮。

 冒険者ギルドとはかくあるべき、って感じ。思わずきょろきょろしたらタツキにチョップされた。新しい技だね?


 買取依頼の窓口は空いているので、そこの職員さんに声を掛ける。

「昨日買取を依頼したんだが、いつ頃査定が終わるか聞きたい」

「ん?あぁガウディたちの分か…お昼までに終わるから、それに合わせて来てくれって伝言を頼もうと思っていたんだ」

「そうか、俺らはこのまま町に出るからガルたちには別で伝えて欲しい」

「おう、じゃあまた昼までに顔出してくれ」

 タツキは了解の意味で手を挙げて私たちはギルドを後にした。

 ちなみにリリと姫、王子は部屋でまったりお留守番中だ。


 隣の商業ギルドに向かう。

 扉を開けて入ると昨日のサリバンおじさまがすっ飛んできて、個室へと案内される。

「残りの納品に来ました。干し肉と手拭き布です」

「確認いたします…干し肉30袋に手拭き布が30枚、確かにお預かりしました。お支払いはいかがされますか?」

「口座にお願いします」

 サナエと私はギルドカードを取り出して渡した。

「私が干し肉、彼女が布です」

 サナエが配分を伝える。自分たちのお金にする訳ではないけど、分散することは必要と言うことで。

 現金はある程度手元にあるから、しばらくは収入を口座に入れることにした。


 カードを受け取って、

「今回はありがとうございました。実はあの手拭き布、商品名を「ふわふわ」と名付けて売り出したところ、口コミで大人気となりまして。「ふわふわ」を購入するために王都から護衛を付けた商団が来ることになったんです。物資の輸送もしてもらえることになりまして…本当に御二方のお陰です。ありがとうございました」

 深々とお辞儀をして送り出された。

「良かったね、南部は物資不足だって言ってたし」

「そうだな、俺たちは稼げるしな」


 次は農業ギルドだ。実は姫、とってもお乳の出が良い。王子が最優先とはいえ、それでも充分なほどお乳が出るのだ。張ってしまうので、出さないといけない。

 だからレイキは定期的にお乳を搾っている。その新鮮な姫牛乳を大きな鉄製の保存容器(レイキ作)に貯めてるんだけど。

 約30L入るその容器が10本超えた。

 自分たちだけで消費するにも限界があるし、今は移動中なのでチーズを作るにしても時間も設備もない。

 そんなこんなで貯まる一方の牛乳を農業ギルドに卸すことにしたのだ。

 なぜなら農業ギルドからもう少し多く仕入れたいと言われたから。


 足が速い牛乳は扱いが難しい。だからこそ、新鮮な牛乳はなかなか手に入らないのだ。しかも魔牛の牛乳は栄養価がとても高いのだ。

 そんなこんなでお願いされて、それならと納品に来たのだ。

 農業ギルドに入ると奥から人が早足でやって来て、また個室に案内される。

「本日は魔牛の牛乳ですね?どれくらい…」

 揉み手だ、リアル揉み手だ。

「ぐふっ…ん、ん…これくらい」

 吹き出しながらもなんとか耐えたレイキ。流石だ!隣のタツキは呆れ顔、サナエはぽよんだ。



 ドンッ



 30Lの容疑がドンっとね。2つほど並んでる。職員さんも目を丸くしている。

「こ、これは…どちらで購入を?」

 指したのはレイキ作の保存容器のほうだ。え?まさかの容器の方?

「ぶほっ…」

 タツキが噴出した。だってね?食いつくところがそこ?

「それは秘密で…」

 レイキ作、買ってないからね。

「ですよね、中身はどれくらい?」

「30Lだ」

「すべて買い取り可能ですか?」

 レイキが頷けば

「ありがとうございます」


 2Lで3000ガロンだから30Lで45000ガロン。それが二つ。もちろん容器は即回収したよ。

 労力はレイキの乳しぼりのみ。ぼろ儲けだね!

 レイキにさりげなく頭を叩かれた。


 こうして農業ギルドでも深々と頭を下げられて出てきた。



「市場でいいか?」

「どうしよう?食料はやっぱり市場だよね?」

「そうだな、行ってみよう」

 公園の脇に市場があると宿で聞いたのでそちらに向かう。

 公園を横切るとあのふわふわのパン屋さんが屋台を出していた。良かった、続けられたんだ。

 店主も奥さん(多分)も笑顔だ。


 そこを通り過ぎて市場の入り口が見えた。

 さぁ食材を仕入れるぞ!



 はい、満足です。いっぱい買いました。

 小麦粉

 塩

 砂糖

 コショウ

 唐辛子

 野菜各種

 肉(オーク以外)

 魚(主に白身魚)

 貝(ハマグリ風)

 エビ(車エビ風)

 イカ(アオリイカ風)

 果物各種(オレンジ、キウイ、イチゴ、ブトウ、リンゴ、桃)



 いや、果物がね…最高に嬉しい。

 エオンで生クリーム買えばケーキが作れる。

 エオンで売っているケーキは親しみやすいお値段のが多いからね。

 生ロールケーキとかは自力で作らないと。

 フルーツタルトとかね、ガチの方を作りたい。でもそういうのは落ち着いてからかな。

 ほくほくして買い物を終えた私たちだった(主に私)





※読んでくださる皆さんにお願い※


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