4.情報交換
シエルの年齢を13才にしました
途中から13才になっていたので合わせた結果です
2025.07.16
題名変更しました
仮 逃亡中〜星なし転移者と仲間たち
を
星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜
後書にシエルのイメージイラスト載せてます
えっ?どう見ても20台前半だよ?
「ねぇ、見た目は20台前半だよ?」
「はっ?」
「うん、若々しい」
「52才とか無いな」
「ねぇ、レイキ君は見れる?」
レイキ君がタツキ君を見るとあっと言った。
「見えた、23才だ」
「そうなのか?」
顔を触っている。難しい顔をしているけどまぁおいおい、ね。私は女の子を見る。
「わ、私は相川早苗」
「サナエちゃん?可愛い名前」
「ありがとう、シエルちゃん」
「あー俺たちはその、ちゃんとか無しの呼び捨てでいいか?」
タツキくんが聞くので、サナエちゃんと頷く。
「改めてよろしくな、レイキ、サナエ、シエル。で、続きを頼む」
私は転移してからの色々を話した。手を見たらジョブが見えた事、⭐︎の数やジョブの事。レイキ君にも鑑定があると気が付いて念話で声を掛けた事。
それからは見ての通り。
「私のジョブは魔法通信。こちらと元の世界のあらゆる情報を検索できる。他にも魔力を伸ばして索敵したり、魔力を感知したり、毒なんかも感知出来る。検索して調べれば毒の除去、浄化の方法も分かるよ」
「シエルちゃん凄い!」
「そこまでなのか?凄いな、なのに⭐︎無しなのか?」
その話はこれからだね。
「実は鑑定石ではね、⭐︎5までしか見れない。レイキ君と私のジョブは⭐︎6。0.5%しかいない超希少職。俗に言う超激レア」
「それもそうか、元の世界も含めてあらゆる情報が分かる、鑑定が使える、納得だな」
「うんうん、私たちシエルちゃんに助けられてる」
「サナエちゃん、その良かったら呼び捨てにして?」
「分かった、じゃあ私も!」
「「俺たちも呼び捨てで!」」
「「分かった!」」
「シエルは分かった。で、レイキは?」
「俺は創造…あらゆる事象を造ることが出来る」
「はっ?あらゆる…」
「事象ってのが凄いよね?」
「創造…だから壁に穴を開けたりソファを動かせた?」
レイキは頷く。
タツキは唸って
「お前らとんでもないな」
「タツキのダンサーも凄いんだよ!剣豪なんて比べものにならない」
その先の説明はレイキがした。
「剣舞みたいな剣士だ。まるで踊るように優雅でしなやかに、舞う剣士。剣聖が正統派だとしたらダンサーは舞い踊る剣だ。見惚れているうちに斬られる」
私も続ける。
「⭐︎4の中でも希少。しかも、その真価は魔法との相性の良さ。実際に使いこなせた人が少ないから⭐︎4だけど、能力的には⭐︎5に匹敵するって鑑定が」
タツキは呆然としてから
「俺は足手まといじゃない?」
「剣の扱いなら勇者にも並ぶって」
「そうか…良かった。お前たちのお荷物にならなくて良かった」
タツキ…やっぱりいい人やね!
「お前、聞こえてんだよ!反応困るだろうが」
ありゃ、ごめんごめん。
真っ赤になりながらも嬉しそうだ。
隣のサナエは優しい目でタツキを見ている。
「サナエ、君のジョブも凄いぞ」
レイキの言葉にえっと呟く。
「氷魔法のジョブはスキルとは次元が違う。ただ水を凍らせるのがスキル。ジョブは水がなくても氷を出せる。あらゆるものを凍らせるんだ」
「でも、凍らせるだけよね?」
私は隣のサナエを見る。
「サナエ、あらゆるもの…ものは物じゃない」
「えっ?物じゃない…じゃあ」
「そう、魔法でも呪いでも凍らせるの。もちろん、血管とか心臓もね!」
「それじゃあ」
「そう、殺りたい放題」
「…シエル、変な漢字当ててないよな?」
「さぁ?」
「私もお荷物じゃ無い?」
「まったく。ねぇ、私たち最強の組み合わせだと思わない?レイキのジョブは何でも作れる。タツキのジョブは何でも斬れる。サナエのジョブは何でも凍らせる。私はみんなのジョブの使い方やその価値を伝えられる。どう?最強だと思わない?」
「そうだな」
「あぁ」
「そうね…」
みんな心からの笑顔で頷いた。
「ねぇ、タツキ。私と同じ年だよ」
「はぁ?」
まじまじと私を見る。
「元の年齢だよ?」
「そうなのか?えらく若返ったな」
あれ?そうなの。確かに腰痛が無いけど。
そこでレイキとサナエにも年齢を聞いて、さらにレイキに今の年齢を見て貰った。レイキのジョブで年齢が見えるように鑑定に組み込んだらしい。後でやり方を教えて貰おう。
タツキ52→23
レイキ32→18
サナエ28→17
シエル52→13
って何で私だけこんなに若返ったの?ショックだ、中学生だよ。
おばさんが14才とか犯罪だし…。
「シエルはしっかりしてると思ったらそんな年齢だったんだな」
「うん、まぁ子供はいなかったけどね」
「俺は2人の子供が独立して奥さんと二人暮らしだった」
「寂しい?」
「そうだな、少しはな。でも、俺の人生ってこれで終わるのかなって空虚に感じる自分もいてな…少しワクワクしたんだ。それがさ、ダンサーだろ?ショックだった」
「タツキはでも⭐︎無しの私を笑わなかったよ?」
「そりぁなぁ、いい年してな。中学生なんてまだ子供だろ、可哀想だなってさ」
「サナエも背中に手を当ててくれたよ」
「だって私より明らかに若い子だと思ったし。今思えば、あえて私より先に判定を受けたくれたんだよね?多分、タツキの為にも」
「そうだな、お前のお陰で俺の話題はすぐに消えたし、サナエも悪目立ちしなかった。レイキもだ。先にお前が⭐︎無しって言われてたからな」
「まぁそこはね、歳の功でね?それくらいは平気だから」
「ありがとね」「ありがとな」
「ふふっ、そういう2人だから助けたかったんだよ」
良かった、ここのみんなは信頼出来る。
「あ…食事だ」
レイキを見ると立ち上がったソファを元に戻し、壁も塞がれた。
サナエとソファに並んで座ると扉がノックされた。扉を開けると食事を載せたワゴンを押した女性がいた。
新しいポットもある。
「食事です」
ワゴンを置いて去って行こうとしたので
「お水が欲しい」
と言うとチラッとこちらを見て軽く頷いた。お客様に対する態度じゃ無いよね?あれ。
「シエル?」
私はワゴンを押して部屋に入る。
「お水が欲しいって言ったら無言で頷かれた」
と苦笑する。
「そうなの?この部屋も他の人たちと違うよね?」
「うん、まぁこれくらいの方が私は楽だけどね」
「確かに」
笑い合う。
「食べようか?」
と扉が少し乱暴にノックされた。
扉を開けると水差しを差し出された。手を出す前に手を離したので、水差しは床に落ちて割れた。
ガッシャーン。
「キャー!」
わざとらしく声を上げる。
足元の床は水浸しで、足元も靴も濡れた。
「酷い!私たちは勝手に呼ばれたのに…替えの服も無いのに…うわーん」
隣の部屋からすかさずタツキとレイキが出てくる。
「何をしてる?!」
「大丈夫か?」
使用人の女は青ざめている。奥から例の執事風の男性が足早に来た。
「これは…申し訳無い。すぐにふきんと替えの服と靴を。水もお待ちしましょう」
女に指示を出す。すぐに他の女がやって来て先に床を拭いた。いや、私を先に拭きなさいよ!
「冷たいよぉ…」
女は焦って男を見た。
「要らない子は放置なんだ…勝手に呼んでおいて。あ、なら帰して!」
顔を上げて男を見る。目が泳いだ。
「私の一存では?」
「なら王様に聞いて!要らない子って言われてもあっちでは普通に暮らしてた。こっちは嫌だよ!帰して!」
「王様は忙しく…」
「呼んだ後は放置なんだ…」
「あ、明日には必ず」
「こんな仕打ちなのに?わざとらしく水差しを落とされて…服だって濡れて冷たいのに拭いてくれないし」
慌てて女が私の服を拭いて靴を脱がせ、新しい靴を履かせてくれる。
(今さらわざとらしい…)
「おほん、皆様の着替えもお持ちしました。至らない点はお詫びします」
女が水差しと替えの服を持ってきて渡して来る。
「王様に帰してって伝えて。明日、会えた時に言うから。良く考えたらここを出なくても帰れば良かったんだ」
さらに目が泳ぐ。やっぱり帰れないのか…。
「それでは」
そそくさと去って行った。
肩をすくめてそれぞれの部屋に入る。その前に
「誰かいるの?」
薄暗い廊下に声を掛ける。
「なんか変な気配がしたんだけど…変態とかに襲われないよね?」
(見張りがいるね…)
今度こそ部屋に入った。