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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
異世界転移?

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37/127

37.素材の買取金額は?

12日目

「……そうか…分かった。つまり、それなりに戦えると?」

「うん、タツキは一瞬でオーク2体の頸動脈をチョン」

「…わ、分かった分かった。あぁ、それからリーブランの件な。本人からも謝罪があったし、商会からも正式に謝意があった。で、今日の宿と夕食はあちら持ちだとさ。レイノルドもいい勉強になっただろう。まぁ高い勉強代だったがな。大切にしてた馬たちは可哀想に…」

 最後は適当に遮られたよ。

 

 チラリとガルを見る。打ち合わせをしておいたのだ。メッシとレイキと私が協力して、なんとか体を治せたと。だから馬たちは連れて来たと。

 そう報告して、彼に馬を返すと決めた。元から貰うつもりは無かったけど。でもあそこで治す訳にはいかなかったからね。私のジョブは公に出来ないし。


 自分も放り出されて、でも私が先に馬に近寄っても文句も言わなかった。馬が立ち上がったのを見て泣きそうになってた。もう連れて行けないと分かってる馬を抱きしめて謝っていた。

 だから、返そうって思った。あの人の為じゃない。あの馬たちがもう、ご主人の役に立てないと泣いていたから。

 臆病な馬が、夜の街道をあそこまで荷物と主人を守って走った。どんなに怖かっただろう。倒れてもう死ぬと悟って…思ったのはもう、主人の役にたてないこと。

 死ぬのが怖くない筈がない。なのに、だ。それ以上の想いを持ってるのなら、そばにいさせてあげたい。

 だからあの人の為じゃない。


「あーそれな、実は…連れて帰った」

 ポカンとアントニオさんが口を開ける。顎が際立つ。

(猪木…)

(ぐっ、お前…本当に俺の腹筋を試すな!)

(もう割れてるんじゃない?)

(シックスパックだ!)

 レイキ、そりゃ凄い。どうりで硬いわけだ。


「ま、待て。骨折してたんだろう?」

「あぁ実はな、メッシとそのレイキとシエルも手伝ってな、なんとか治せたんだわ」

 ガルが苦し紛れに言い募る。

(誰のせいだよ…)

(黙秘します!)

(…)

 そんなやり取りをしている間に、話は進む。


「2人は治癒魔法が?」

 ギルマスが私とレイキを見る。私は首を振る。使えない。いや、レイキは使えるけどね。私は細胞や骨を活性化させてるだけ。治癒ではない。

 レイキが西洋医学なら私は東洋医学だから。

「まぁそういうこった」

「はぁ、マジか…そりゃまぁ良かったな。返すのか?」

「そうだな、飼い主のそばがいいだろうさ」

「分かった、それも伝える。明日町を出るか?」


 それもガルと打ち合わせ済み。私たちが食材を仕入れたり、オークの素材を売ったりする時間が欲しいと言った。南部の町ではここが1番大きいから。

「明日までは確実に泊まる。その後は出発するか、もう1泊するかまだ決めてない」

「リーブラン商店には伝えておく」

「素材の買取を頼む」

「ここに出せるか?」

 首を振る。無理だ、オークは結局40体だ。ゴブリンやコボルトの耳もそれなりの数がある。

「無理だな」

「なら解体場に行く。ところで、空間拡張カバンか?」

「あぁ」


 レイキ作だもんね!時間遅延の。亜空間は時間停止だからこっそりお肉はそっちに移してるよ!

 で、ギルマスの部屋を出て解体場へ。

 大きな倉庫?カウンターが沢山ある。

「ここに出してくれるか?」

 ひとまず分散して持ってたオークの素材、皮と爪と牙を出す。

 翼もオークとマッドベアの素材を出した。オークの魔石は討伐証明だからどうするんだろう?

「オークの群れは討伐依頼が出てるから達成扱いだ。10体単位だからそれ以上は素材として買い取るぞ」

「魔石は分配するから売らないぞ」


「肉は?」

 沢山あっても時間遅延ということになってるでは不自然だから、ある程度は売ろうと決めてた。

「売れるよ!どれくらいいる?」

「売れるだけ買う」

 ならば、と。タツキが持ってる分でいいかな。

 ドンッとタツキがカバンから出す。20体分だ。

「これはまた、しっかりと処理されてるなぁ。もう少し欲しいが?」

 ならばとサナエが追加で5体分出した。

 オーク1体で最大9人のメンバーを5食は賄える。それだけ沢山取れるのだ。

 サウナリスまでの残りの工程を考えたら残りは充分だ。

「こりゃ助かるな!王都からの物資がしばらく途絶えたからな。肉は貴重品なんだ。これだけ大量だと査定に時間がかかる。明日の昼以降でいいか?」

「大丈夫だ!」


「あの、ゴブリンとコボルトの討伐もあるんだが?」

「数が多いのか?」

「それなりに…」

「ならここで出してくれるか?」

 各自のカバンから出した。ゴブリンは200ほど、コボルトは60ほどか。けっこうな数だな。

 猪木の顔が歪んだ。

「こりゃまた酷いな…こっちも数を数える。また明日だな」


「頼んだ!」

 タツキは猪木に答えた。

 ぶはっ…レイキがまた吹き出していた。

(猪木…)

 サナエもぽよよんとしながら呟く。

 タツキに頭を叩かれた。

 (だから集中出来ないだろ!)

 だってね…?



「宿の案内を付けるぞ」

「あー、その前に商業ギルドと農業ギルドに行きたいんだが?」

 さすがタツキだ!切り替えが早い。

「ん?隣とその隣だ」

「用事があるんだ、終わったら戻るから待っててくれるか?」

 ガルたちはギルド併設の食堂で先にお昼ご飯を食べると言うので、そこで一旦別れた。



 さて、まずは商業ギルドだね。

 扉を開けて入ると閑散としてる。やっぱり品物が来ないからかな。職員が近づいてきて

「ご用件は?」

 と聞くので、買取希望と伝える。王都から来たと言うとカードの提示を求められた。話がいってるかな?

 サナエとカードを取り出して渡すと、驚いてから

「こ、こちらへどうぞ!」

 声裏返ってるけど大丈夫?

 カウンターの奥へと進み、個室に案内された。

 すぐにピッタリとしたスーツを着こなす壮年の男性が入って来た。

「ノースナリスの商業ギルドを任されているサリバンと申します。シエル様、サナエ様、お待ちしておりました!」


 様ですかい、やっぱり情報はいってたんだな。

「早速ですが、例の石けんと携帯食を納品でよろしいでしょうか?」

「そう、でね…もう一つ持って来たものがあって…買取が可能なら」

「新商品ですか?こちらへ」

 ささっと木製のトレイを出して来た。そこに載せたのはハンカチタオル。いわゆるパイル生地はこちらには無い。

「触っても?」

「どうぞ」

「!!これは…なんて柔らかい」

 だよね?ふわふわだよね?さぁおいくら万円?

 タツキにペシッと叩かれた。

「これは…おいくつ納品可能ですか?1枚1000、いや、1200ガロンでどうでしょう?」

 いいね、いいね!これはエマゾンで10個、ランダムカラーでなんと1000円だった。それが10倍以上。良きです!


「10枚」

「う、もう一声!」

「20?」

「後少し…」

 ならば

「50!」

 ファイナルアンサーだ!

「よし来た!50お願いします」

 サリバンさんはノリがいいね?

「では、明日に50枚持ってくる」

「ありがとうございます!」

 久びさに見たよ、直角のお辞儀。


 それから石けんは各200、ジャーキーは粘られて50納品することに。現金ゲットだぜい。

 今日は石けん各200、ジャーキーは20だけ納品、残りは明日だ。


 牛さん石けん 200×250=50000

 ウタマル石けん 200×400=80000

 ジャーキー 20×1000=20000



 今回も現金で貰った。おう、ずっしりだね!

 入り口までサリバンさんと他の職員に見送られて商業ギルドを後にした。

 次は農業ギルドだ。

 入るとすぐに職員が近づいてきて

「要件は?」

 と聞く。タツキが買取希望と言うと品目を聞かれた。小さな声で魔鳥…と言うと即、慇懃に個室へと案内された。

 そこには大きなトレイが鎮座していた。

「ようこそ、魔鳥の卵ですか?肉ですか?」

「卵だ」

 なんならワイバーンの肉もあるよ!あり過ぎて食べきれないと思う。タフは料理出来ないし、迷惑料として取っとけといわれてね?7mはあるんだよ。だから肉もたくさん。食べきれないよね?時間遅延って伝えてるし。

「後は…ん、ワイバーンの肉も…」

 ピキリと笑顔で固まった職員さん。


 …しばらくして復活!した職員さん。ぜひ!

 タツキが引くくらいの熱量で迫られてた。ぷくくっ。頭を叩かれた。なぜだ?


 そして、魔鳥の卵は前と同じ5万ガロン。

 タツキの姫牛乳も2Lで3000ガロン。納品は10Lだ。やっぱり王都からの物資が来ないからと凄く喜ばれた。

 牛乳は鮮度が大事だからね!


 魔鳥の卵 5万

 牛乳   15000


 で、ワイバーンのお肉。こちらは10kgでなんと!30万ガロンだった。ひょえー。

 100gで3000円也、超有名な銘柄牛にも引けを取らないね?

 で、納品は100kg、だってね、それでもまだまだ沢山ある。これはタフに返さないと、もらい過ぎだ。


 ワイバーンの肉100Kg 300万


 流石に口座に入れて貰ったよ。でも農業ギルドでも肉は扱うんだね?どうやら魔法通信で調べると、商業ギルドでは生鮮品は扱わないみたい。それは農業ギルドの管轄らしい。難しいな。


 順調に販売も終わったので、冒険者ギルドに戻る。

 ガルたちもお昼を食べ終わってたので、ギルド職員の案内で宿に向かう。もちろん、お馬さんたちも一緒だ。

 宿の前にはレイノルドさんともう1人が待っていた。そして馬たちを見ると走り寄り、体を確かめている。そして本当に歩けているのを見て、泣きながらその首を抱きしめていた。

 うんうん頷きながら見ていたらタツキに顔を抱えられた。

(泣いてるぞ?おかん)

(おかんは涙腺が緩いんだよ…)

 サナエが背中をトントンしてくれる。レイキは頭をポンポンだ。

 泣き顔をあげたレイノルドさんはメッシに頭を下げていた。対外的にはメッシが治したって事にしてる。


「いや、俺は、その…」

 しどろもどろだ。演技、演技は大切!メッシが治したんだからね。レイノルドはキラキラした目でメッシを見ている。僅かに頬が赤いのは気のせいだよね?


 こうして無事にお馬さんは飼い主の元に戻り、私たちは従魔ごと部屋に案内された。

 パーティーで1部屋。といっても共通の居間があって各4部屋もある。凄い!夢にまで見たスイートルーム?

 あーちゃんと部屋を走り回ったらタツキに捕獲された。

「いい加減、落ち着け!」




※読んでくださる皆さんにお願い※


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