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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
異世界転移?

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16.商業ギルトど農業ギルド

 朝からちょっとした騒動はあったけどみんな起きて朝ご飯だ。

 宿の食堂で食べる、ぼそぼそとしたパンに具沢山のスープにサラダだ。スープは塩だけのシンプルな味。サラダも塩を掛けて食べる。やっぱり調味料が少ないのかな?

 市場で調査だね。

 食べ終わるといったん部屋に戻る。身支度をしたら出かけることにした。

 歯磨きをして着替えをする。石けんとジャーキーは男性陣のバックに入れて貰った。

 扉がノックされる。

「行けるか?」

「行けるよ!」

 扉を開けて合流し、まずは商業ギルドを目指す。実は冒険者ギルドの隣が商業ギルド、そのまた隣が農業ギルド。登録はみんなで一緒に行く。


 商業ギルドは入り口に職員が立っていた。

「用件は?」

「登録と買取希望だ」

「ではこちらへ」

 右のカウンターに案内される。きれいな女性が座っていた。私とサナエが椅子に座ってタツキとレイキは後ろに立つ。

「登録と買取ですね?皆さん?」

「いえ、私たちだけ」

「ではこちらに名前と売る予定の商品を記入してください」


 それぞれ名前を書いて私が石けん、サナエがビーフジャーキーと書いた。

 お姉さんはそれを見て

「えっと石けんは分かりますがこちらは?」

 あービーフジャーキーでは分からないよね。

「牛の肉を使った保存食」

「ただの干し肉?」

「少し違うかな」

「まずは登録ですね、商売に関することは基本、このギルドを通してもらいます。主に売るときですね。6ヵ月以上、売買の経歴がないと初期手数料がまたかかりますので注意してください。登録費用は3000ガロンです」


 お金を払うとカードがもらえた。

「次に買取希望を品物ですが、本日はお持ちですか?」

 頷いて石けんを出してもらう。

 牛さん石けんとウタマル石けんだ。取り合えず1個ずつ、お姉さんが置いてくれた木のトレイに乗せる。

「石鹸ですね?中を見ます。えっ…これって…え、なんて滑らかでいい匂い。ちょっと待ってて下さい!」

 バタバタを走って行った。

(異世界チート来たーって感じ?)

(そんな感じだな)(買取価格に期待だな!)

 お姉さんがおじさんを連れて来た。ピシっとしたスーツのおじさんだ。

 お姉さんが小さな声で

「凄いんです」

 と言っている。おじさんは石けんを手に取る。目がくわっとした。これは…と絶句している。


 真剣な目で私たちを見ると声を潜めて

「いくつ売れますか?」

 何て言おう?10、20?

「100ですか?それとも1000いけますか?」

 はい、100??固まった。

「こんなに高品質な石けんは見たことがありません。多めに仕入れたい。このカラフルな袋も素敵です」

 私はタツキを振り返る。

(100って言って、今日は20と言え)

「あの、100ならなんとか用意できる。今日は20個」

「今日のところは充分です。残りはいつ納品できますか?で、こっちの緑のは?」

 目が真剣で怖い。

「み、緑のは洗濯用で…そっちのより汚れは格段に落ちる」

「なんと…ひとまずこちらはある分だけ納品を」


「あの、緑の方は実演するように持ってきたので、何か汚れた布があれば」

 女の人が走っていった。すぐに手に雑巾を持って戻る。うん、だいぶ汚れてるね?

 私はウタマル石けんを擦り付けて水魔法で雑巾を洗ってっ風魔法で乾かす。

 するとなんという事でしょう!あんなに汚かった雑巾がきれいさっぱり真っ白に。

 女の人とおじさんは呆然としている。女の人がまた走っていく。

 そして別の雑巾を手に戻って来た。

「私がやってみます」

 どうっぞどうぞ。

 同じ手順で石けんを擦り付け水で濡らしと風の魔法で乾かすと…なんということでしょう!

 真っ白です。あたりまえだけどね、なんと言ってもウタマル石けん。


「こちらも100個いや、200個納品してほしい」

(詰め替え手伝ってくれる?)

(値段聞いてからな)

「買取価格は?」

「白いほうが1個200ガロン、緑の方が1個300ガロンでどうでしょう」

(すご、え、何倍?7倍と6倍?ぼろ儲けだね。いいのかな)

(もっと高く売るんだろ?)

「う、やっぱりダメですよね。なら250ガロンと400ガロンで」

「はい、それで。白が100、緑が200ですね」

「あ、できれば白も200いけませんか?」

(どう?)

(それぐらいなら値崩れもしないだろ、いいぞ)

「ではそれで。ひとまず今日の分はこれ」


「「ありがとうございます」」

 いそいそと受け取って速攻奥に運んでいたよ。

「買取金は口座に入れますか?現金でお渡しがいいですか?」

「現金で下さい」

「かしこまりました。ではこちらです、お確かめください」

 うん、ちょうどある、

「うん大丈夫」

「ありがとうございます。あとは干し肉でしょうか?見せてください」


 今度はサナエが取り出して見せる。

「普通の干し肉ですね?」

 サナエは試食用の小さなものを取り出す。

「味がしっかりしていて美味しいの。これ試しにどうぞ」

「では遠慮なく…はむっ…!」

 女の人はシュバっと席を立つと主任ー主任ーカムバックー!と叫んだ。

 あわてておじさんが戻って来る。

「どうした?叫ぶなんてお客さんの前だぞ?」

「すみません、でも凄いんです!」

 声を潜めてそう話す。

 サナエはにっこりと笑うと

「どうぞ?」

 おじさんにもジャーキーを勧める。

 おじさんは戸惑いながら口に運ぶ。はむ…くわっ「こ、これは…」

「主任、革命です!保存食の革命です」

「そうだな、これはどれくらい…これだけですか?」

 サナエを見る。一袋出してある。

「おいくらで買い取り出来るの?」

「この重さなら…そうですね、5000ガロンでいかがですか?」

 ちなみにビーフジャーキーはお徳用で1袋380円だった。日本で買うよりも半値以下だね。

 それが5000ガロン。10倍超えた。


「こちらはぜひこの価格で最低でも10袋、希望は30袋です」

(どう思う?)

(そうだな、冒険者に需要があるよな)

(でも出所が俺たちだってバレたくないよな)

(そこだな、でも現金は欲しいし。冒険者相手なら王宮までは話がいかないか?)

(間を取って20袋納品しとく?)

(そうするか)

「では20納品で、今日は2しか持ってきてないの」

「できれば早めに納品をお願いしたいです」

「夕方で良ければまた来ます」

「ぜひお願いします!」

 こうして扉までおじさんと女の人に見送られ深々とお辞儀をされて商業ギルドを出た。


(来たね、異世界チート)

(来たな!これで少しは稼ぐあてが出来た)

(そうだね、次は農業ギルドだね、牛乳とダチョウの卵売るの?)

(あぁしばらくは使う予定もないし)

(値段も知りたいし)

 ということで隣のギルドに入った。

 窓口はいくつかあって、空いている窓口に向かう。

「いらっしゃいませ、農業ギルドですがご用件をお聞きします」

「登録と買取希望だ」

「登録と買取ですね、みなさん登録ですか?」

「いや、俺たちだ」

 タツキが自分とレイキを指す。


「ではこちらにご記入を。販売予定の品目も記入してください」

 タツキは魔鳥の卵。レイキは魔牛の牛乳だ。

 それを見たお姉さんの目が点になった。え、は、とかいって固まった。

「少々お待ちください!」

 走って消えた。早い。すぐにスマートな若い男性と一緒にやって来る。

 男性もタツキとレイキが書いた紙を見て驚いている。

「こちらに」

 案内されて個室に通された。

「納品予定のものは今お持ちですか?」

 2人は頷く。

 男性は大きなトレイを机に置いた。そこにまずタツキがダチョウの卵を置く。腕に抱えるほど大きいまだら模様の卵だ。


 男性は手袋をしてそっと卵の表面に手を触れる。

「間違いありません、魔鳥の卵。しかも朝採れですね…こんなに新鮮な卵は初めてです」

 ほうとため息をついた。卵を撫でる手がなんだかちょっとね?目がいっちゃってる。貴重品なんだろうね?


(1か月に数個しか手に入らない貴重な卵。栄養豊富で大変美味)

 ぐふっ…そんなに?


「いや、素晴らしい。こちらは5万ガロンで引き取らせてください」

「はい」

 タツキは即答した。私の鑑定でもかなりの高額買取だ。


 次にレイキがガラスのピッチャーに入った牛乳を取りだしてトレイに載せる。

 男性はそれにもそっと手を触れる。

「これはまた、魔牛ですか?しかも朝採れですね…貴重な」

 考え込む男性と呆然と見ている女性。

 男性はガラスのピッチャーの重さを確認している。

 中身は2Lぐらいだね。

「こちらは3000ガロンでいかがですか?」

 レイキは頷いた。実際にはただみたいなもんだもんね。


 男性は恭しく商品を預かるとギルドカードと現金を持ってきて2人に渡した。気のせいかな?カードが金色だよ?

「登録料は私の権限で免除と致しました」

「助かる」

売上金を2人で確認して頷く。

「本日はありがとうございました。また手に入りましたらぜひ売ってください。お待ちしております」

 深々と頭を下げられた。

 こうして農業ギルドを後にする。


 少し歩いた先で立ち止まる。

「凄かったな」

「凄いね?」

「魔鳥の卵って貴重なんだな」

「魔牛の牛乳もな」

「うん、使ったお金の分はだいぶ取り戻せたね?」

「あぁ、ただずっと続けられるわけじゃないからな、やっぱり冒険者で稼がないとな」

「そうだね」

「ねぇ冒険者ギルドに寄ってオークとゴブリンの討伐依頼受けよう」

「単体のだな?」

「うん、薬草を取りに行く森に群れがいるみたい」

「群れだと討伐依頼はCランクからだろ?」

「だから単体で討伐する」

「ま、いいか」




※読んでくださる皆さんにお願い※


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