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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
獣人の国ヤールカ

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125/127

121.納品したよ

後書にイラストあります…

 直角のお辞儀で見送られて、次は農業ギルド。もちろん即個室へゴーだ。

 拝まれながら商品を納めていた。リアルでレイキが吹き出しててタツキに睨まれてた。

 姫牛乳もすごく高価なんだけど、なんたってリリの卵は超高級品。私たち3日に1回は食べてるけどね?

 そりゃ拝まれるよね。

 ここでも直角のお辞儀で送り出され、最後に冒険者ギルドへ。


 タフと相談して売るほどある魔魚の鱗を少し売ることにした。シェリルがたくさん買ってくれたけど、まだまだあるからね。

 それに、水龍の鱗も。シェリルに見せたら

「いつ、どこで、これを?!」

 めちゃくちゃ詰め寄られて困った。だから

「湖で?体当たりされた時に剥がれた…みたいな?」

 しどろもどろだった。でやっぱり

「売って欲しい。一つ、いや二つ…」

 拝まれた。水龍の鱗は貴重品。というか、現存していないんじゃないかと言われた。どうしよう、沢山ある。なので、売るのは諦めた。シェリルに止められたから。


 更に水龍の涙を見せたら泣かれた。もういつ、どこでとかも聞かれなかった。

 ここ10年は発見すらされていなかったみたい。どうしよう、暇にあかせて取りまくった。数なんて数えられないほどある。

 しかも、ほかにもあるんだよね。

 チビ龍玉と、スイの歯。水龍の歯は水龍の忘れものと言われ、こちらも超貴重品。いっぱいある。だってさ、全部抜けたから。

 水龍関連の素材さまだある。爪とヒゲと目玉。目玉って怖いと思うでしょ?でもすごくきれいなまん丸の玉。しかも魔力が揺らめくの。陽炎みたいに。

 これは売れないな。タフにもスイと過ごした事は話してないから。水龍の涙は気が付いたら亜空間に入ってたと説明した。それは不思議だけど、納得された。


 で、話を戻して魔魚の鱗を売る。後はワイバーンかな。マンティが張り切って取った時、凄い!って褒めたら喜んじゃってな。見つけるたびに狩ってくる。マイヤーで1体はけてホッとしてたらサーラヤまでにまた5体追加。4体に減ったら9体に増えた謎。

 さらに増えて、今は11体もある。鍛治の町なら買い取ってくれるだろう。

 タフと話し合って2体、出来れば3体は売ろうと決めた。


 冒険者ギルドに入るとタフが窓口に行って

「解体の依頼とワイバーンの納品だ」

 と伝えた。

 ワイバーンは常設依頼が出てるから、職員の目がキランと光った。

「奥へ来な!」

 ニヒルだ。咥えタバコが似合いそう。

(ごふっ…)

(ニヒル、死語?)

 サナエさん、やめて?ジェネレーションギャップで泣くよ!


 奥とは裏路地、ではなく、怪しい部屋、でもなく…解体場だった。

 顎で解体場のカウンターを指して

「ブツを出しな!」

 殺し屋の会話だね。片膝をカウンターに立ててニヤリと笑う職員さん。

(おい…!)

(ブツ…)

 とそんなやり取りをしつつ、タフの陰からワイバーン3体を出した。

 見えない筈の咥えタバコが職員さんの口からポロリと落ちた。唖然としてるね。ふふふっしれっと3体出したよ!

 さぁ、いかが?


「マジかよ…兄さん!助かるぞ!!」

 強面はどこへやら、ニッコニコでタフの手をブンブン振る。ホッとした。どうやら3体引き受けて貰えそうだ。

「これは大捕物だな、おい。お前ら、気合い入れろよ!」

「「せいっ!」」

「男を見せろ!」

「「せいっ!!」」

「ヤローども、かかれー!」

「「おー!」」


 なんか体育会系の乗りだね?

「あっちまで面かしてくんな!」

 言葉よ、その言葉。チョイスがね。

 で、窓口に戻ると

「常設の討伐依頼が出てる。1体50万ガロンだ。素材は引き取りでいいか?」

「あー肉は半分返して欲しい」

「肉は美味いからな!分かったぞ。素材は解体後に金額が決定する。しかし傷も少なくていい状態だったからな。高額になるだろう」

 タフに手を出す職員さん。肘で突かれる。マンティだからね。でもいいのかな。振り返るとタツキ、サナエ、レイキが頷いた。


 タフと私がギルドカードを出す。

「この子が2体だ」

「マジで?」

「マジで。従魔がな…」

 マンティを見る。納得したのか

「分かった。と、お嬢ちゃんはもうBランクだな」


 実はサナエがいち早くBランクになった。シビル・レイでの氷漬けが高く評価されたのだ。私は討伐の貢献度が異様に高い。それが理由でポイントが伸びたみたいだ。

 タツキは本来なら、サーラヤに向かう途中の討伐でマッドベアをタフと協力して討伐してるから認められれば1番にBランクに上がる筈だった。それがあのクソギルマスのせいで、討伐証明を受理して貰えなかったのだ。

 で、ヤールカではもうその事を話さないことにして今に至る。


「なぁ、ここのギルドは人間嫌いとかないか?」

 職員さんは驚いて改めて私たちを見る。

「もしかして、サーラヤの?」

 頷くタフ。

 すくっと立ち上がると深々と頭を下げた。

「我々のギルドが申し訳なかった!」

 ビックリした。他の職員さんも立ち上がって頭を下げる。

「あの無能は、我々ギルドの信頼を失墜させた。あの後、ギルマス以下職員全員が逮捕された。やっと会えた。謝罪もだが、見舞金と慰謝料がギルドから出ている。攫われた女性2人と、討伐の受理を拒否された6人に」


 信じていいの?

「信用出来ないのは分かる。しかし、あのギルマスは特別なんだ!我々は種族で人を差別したりしない。誓ってしない」

 私はその人の手に触れる、

「分かった、あなたの事を信じる…」

 私を見つめると屈んで、目線を合わせる。

「君が寝込んでいた子だね?攫われたのも君だ。こんなに小さな子を…」

 いや、そんなに小さくない!


(ぐはっ…)

 レイキ、失礼だよ!

(対比効果…)

 ぐっそれは確かに。職員さんはとても大柄だったからね。

「終わった事だから。私はみんなのお陰で無事だった」

「それは結果論だ。でもありがとうな!その言葉で救われる。ワイバーンもたくさん」

「まだあるよ?」

 驚いてからくしゃりと笑うと

「お嬢ちゃんには敵わんな!幾らでも引き取ってやる。冒険者ギルドだけで難しければ、商業ギルドと農業ギルドも絡めるからな」

 皮とか素材は商業ギルド、肉は農業ギルドかな。マンティのしっぽがご機嫌に揺れて私の太ももをペシペシする。


「じゃあまた後でね!」

「腐らしてもダメだし、3日後で大丈夫だぞ?」

 そこはね、サナエの出番だ。

(サナエ、頼んだよ!)

(任せて)

「私が凍らせたの。しばらく大丈夫よ」

 驚いてサナエを見てあっという顔をする。

「あんたは、氷の女王か!」


 実はシビル・レイでサナエについた二つ名が氷の女王。それだけ凄いって事なんだよね。サナエのジョブが。

(知らなければスキルと同じことしか出来なかった。シエルのお陰だよ!)

 それもあるけど、サナエが考えて努力した結果だよ。

 で、時間停止についてサナエが凍らせたと言えば誤魔化せることに気が付いた。これはとても大きい。不自然だからね!


「そう呼ばれてるみたい」

 サナエはシビル・レイで大人気で、ガチの求婚もかなりあったみたい。断ってたけどね。

 ふわふわした優しい見た目、女性らしい魅力的な曲線。そしてその能力…モテない理由がない。漁師からしたら嫁に欲しくなるのも納得だ。


「分かった。ならば1週間後に待ってるぞ!」

 ということで、サーラヤで出せなかった討伐証明を出すと驚いていた。数がね?

 そして無事にタツキとそしてレイキもBランクに上がった。それだけの数が討伐されてたんだよね。

 しかもサイクロプスのツノは鍛治の素材として重宝されるらしく、その皮も然り。なので小躍りされた。

 で、ワイバーンの納品は2週間後になった。


 まぁバーキンがみんなの武器とか装備を作るのに2ヶ月欲しいと言ってたし、問題ナッシングだよー!

(ごふっ、だから不意打ち)

 油断大敵だよ、レイキ君。




 

明日が最終話となります


レイキとシエルのイメージイラスト…


挿絵(By みてみん)

生成AIで作成


明日はシエルとシェリルのイラストを載せます

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