113.冒険者ギルドにて
雨の中、湖畔の町であるシビルレイに着いた。棟貸しの宿を借りて一息つくと、外に出た。冒険者ギルドで魔獣の解体依頼と納品。いい依頼があればそれを受けに。
後はサーラヤの奴らがどうなったのか、情報収集。それらを終わらせて宿に帰る。
移動で疲れたからか、夕食は焼肉と焼き魚で簡単に済ませると(それでも充分に美味しい)、シャワーを浴びた。
バーキンが部屋に訪ねて来て誘われたから、乗った。シーちゃんのそばにいる為には発散させないと。間違いがあってはいけないから。
翌朝、目が覚めたらバーキンはいなくて。居間にはタツキだけがいた。シーちゃんは部屋にいない。慌てて庭に出ると魔女がシーちゃんに抱き付いていた。
全く油断も隙も。シーちゃんを抱えて家に入って部屋に放り込んだ。
魔女はダメだ。魅力的過ぎる。
なのにシーちゃんは相変わらず警戒心が薄い。慎重な癖に信じやすくて。そばにいれば懸命な姿にヤラレる。儚げなな見た目と豪胆さと、なのにとても繊細で優しい。良く気がつくからその分、色々と背負ってしまう。だから目が離せない。
シェリルの目はシーちゃんを求めている。同族だからか、分かってしまう。気をつけないと。
朝ごはんを食べた後にまた冒険者ギルドに行ってから、湖の漁を手伝う。れっきとした依頼だ。この時期だけ解禁される貝の漁だ。シーちゃんに貝殻をあげたくて頑張った。必要なのは、その貝から取れる真珠という装飾品と、貝の身。だから貝殻は加工場で捨てられる。それを貰いたくて漁を手伝った。
もちろん、真珠と身も安く買えるからたくさん買った。喜んで欲しくて。
夕方に終わって宿に帰るとソファで魔女がシーちゃんを抱っこして横になっていた。
俺に気がつくとふっと笑う。クソッ、嬉しそうにしやがって。しかも、あの頭から被る布は…スライムコーティングしてある。ならば作ったのはシーちゃん。
魔魚の鱗を飾りとして付けたそれは、とてもきれいで悔しいが魔女に似合っていた。
あれを自分の為に作って貰ったら、それは嬉しいだろう。シーちゃんはあちらの世界の年齢を引き摺ってるからか、どこかで達観している。きっと魔女のことも年下の美女とか思ってるんだろう。ってかなんで気が付かない?鋭い割に、意外と抜けてるからなぁ。
魔女の手はシーちゃんの腰に添えられていて、いやお尻か?細い割にお尻は柔らかいからな。全く、難攻不落の魔女まで落としたか…。
シーちゃんは目を覚ますとシェリルを見て俺を見てまたらシェリルを見てふわりと笑った。
シェリルが固まって、その頬が赤く染まる。全く、末恐ろしい。シーちゃんはシェリルから体を起こすと
「タフ、お帰り。何かいい事あったの?」
「ただいま。なんで?」
「ふふっ嬉しそうだから。それに何か、お魚?の匂いがする」
ととっと走り寄って来て服の匂いを嗅ぐ。だからそういうところだよ!シーちゃんから離れたくないのは。
「これだよ」
と見せれば
「うわぁ、タフ…ありがとう!」
満面の笑みだ。良かった、喜んでくれて。
「美味しい夕食作るね!」
だから大好きなんだ!それと真珠もカバンから取り出す。驚いて手の中のそれを見つめるシーちゃんは少し目を潤ませて
「売ってくれるの?」
「全部あげる!シーちゃん好きそうだなって思って」
驚いて俺に抱き付いて来た。いつもは俺からだから嬉しい。ぎゅうぎゅう抱きしめて思いっきりキスをした。
呆れながらも拒否しない。本当に狡いんだから。
「ありがとう。タフとお揃いの何かを作るよ!」
だからほうとそういう所。可愛くて仕方ない。まだまだ魔女には負けないぞ。
シェリルに抱きしめられてソファで寝ちゃった。人の気配で目が覚めるとタフだった。なんか外の匂い、いやお魚?かな。なんだか嬉しそう。やり切ったって顔。
そしたらなんと、ホタテ貝の貝殻をたくさん貰って来てくれた。ホタテの身と何故か真珠も。
真珠貝がホタテ仕様なの?だとしたら凄いよね!美味しくて貴重な真珠が取れるなんて。
貝殻は手の平に乗るくらい大きいから、小物入れに加工出来そう。プレゼントに真珠のネックレスとか入れたら可愛いかもね。
タフが私の為に買って来てくれたと分かるから凄く嬉しい。真珠はお金を払うって言ったけど受け取ってくれなかった。美味しい食事とお揃いの何かでいいよ、だって。
だから夕飯はアレだな。
良くわからないけど、見た事がない野菜が売ってたとわざわざ買って来てくれたのはなんと、グリーンアスパラ。完璧だね!
お鍋でご飯を炊いて、あら汁を作る。魚介類サラダにメインはアレだよ。みんな帰って来たから焼きますかね!
「何か手伝うか?」
レイキにはご飯にわかめを混ぜてもらう。わかめご飯だ。藻塩をパラパラと。
後はドレッシングを作ってもらう。ごま油(マイヤー追加で購入)とお塩、鷹の爪、コショウ。サラダにかけてたら出来上がり。
フライパンで焼いていたらいい匂いが漂う。味付けはお醤油のみ。ホタテには塩でとサラダ油で下味をつけたから。香ばしい匂いが漂う。
マンティは相変わらず背後で喉を鳴らしながらウロウロ。もう少しで出来るよ!
シェリルはあの後、仕事で出たから私たち4人にタフだ。バーキンも外出してる。
お皿に盛って置く。
「頂きます!」
「「「頂きます!」」」
まずはサラダ。シャキシャキだ。イカとワカメがいい感じ。あら汁を啜ってワカメご飯をパクり。
うまぁいい!
そしてメインのホタテとアスパラガスの醤油炒め。
パクりッ
うおぉーー、美味しい!ホタテはぷりんぷりんだね。敢えてしっかり目に火を通した。新鮮だから生食もいけるけど、個人的に生より火を通した方が好き。
これは美味しいぞ。タフのお手柄だ。
チラッと見れば黙々と食べている。目が合うと嬉しそうに笑って、エアーしっぽがブンブンだ。
「シーちゃん、最高!」
「美味いな…」
「うん、本当においしい!」
「浜焼きのイメージだが、これもまた美味いな」
「浜焼き?」
「貝殻ごと網で焼いて食べるんだ」
タフがこちらを見て
「明日も手伝いに行ってくる!殻ごと買わせてもらうよ」
「俺も行く!」
「俺も!」
「わ、私も!」
女性でも手伝えるの?
「そうか、サナエは内職の方を手伝えばいいぞ!頭の花は忘れずにな」
マンティもあーちゃんもおかわりした。で、タツキとレイキはリリや姫、黒馬たちに食事を持って行ったよ。
でもさ、魔獣は食事が要らないんだよね?契約者の魔力があればいいんだって。みんな良く食べるけど、謎だ。
ここの家のシャワー室は無駄に広い。だからそこにレイキ作の浴槽を出して貰った。サナエとお風呂だ。
しっかりを背中を洗ってもらうと気持ちがいい。私もサナエの背中を洗う。
シャンプーやトリートメント、ボディソープはもちろん魔法通信であちらの物を買った。オハコでね!ダバァのボディスクラブの匂いが好きだから。サナエも
「いい匂い」
というので、一緒に使ってる。
お風呂上がりでは髪の毛を魔法で乾かして、姫牛乳から作ったコーヒー牛乳を飲む。もちろん、キンキンに冷やして。サナエの氷魔法で保冷庫を作ったからね。レイキが。そこに冷やしたいものは保管してるんだ!
飲み終わるとサナエにお休みなさいを言って部屋で寝た。明日は体を動かしたいなぁ。
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