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星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜  作者: 綾瀬 律
獣人の国ヤールカ

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105.サーラヤの町と人間嫌い

「心配かけた?」

「それはもう。シーちゃんには元気でいて欲しいよ」

「魔力酔い?」

「そうだな。マンティの影響もある」

「あーなるほど」

 ポーチから出した水筒の水をゴクゴクと飲んでいる。


 ふうと息を吐くと

「だいぶ良くなったよ。喉が痛くて、ね。喉が圧迫されるような違和感で。ちょっとキツかった」

「魔力酔いだと頭がフラフラして熱っぽくなる。喉の痛みは、分からないけど。マンティのスキルと関係があるかも」


 シーちゃんは肩をすくめた。

「外に出たい」

「まだダメだよ!」

「むう…」

「髪に付ける飾りを買わないとな」

「白だっけ?」

「白は全拒否、黒は全承諾、青は条件付きオッケーかな」

「私は白で。他は、聞いて」

「分かったよ」


 家から外に出ると管理人小屋に人がいる。

「花はどこで買える?」

「こちらにありますよ!サービスです」

 と言われた。だから適当に貰って戻った。

 タツキたちは改めて商業ギルドに向かい、バーキンは紹介して貰った工房に向かった。

 タツキとレイキは青、サナエは白、そしてバーキンは意外なことに青を選んだ。てっきり黒かと。

「僕にも選ぶ権利はあるでしょ?」

 だってさ。

 俺はシーちゃんといる時は白、それ以外なら青だな。

 その日は一日中、可愛いシーちゃんの顔を眺めて過ごした。



 *****



 目が覚めると後ろからタフに抱き付かれていた。なんでタフってわかるかって?

 細くて長い指と腕を見ればね、分かるよ。振り返るとイケメンのドアップ。眼福。ふるりとするまつ毛を見ていたら目が開いた。私を見てキスをして抱きしめてまた寝た。起きないのかい!


 そのままタフの温もりに包まれていると、やっと目が開いた。

「おはよ」

「おはよう」

「体調は大丈夫そうだね」

「うん、外に出たい」

「分かったよ」

 って事で朝散歩。頭に白い花。


 頭に白い花、と言うかフード被ってるからフード、いやその上に師匠が鎮座してるから師匠の頭に白い花。最早誰の為の花か分からない。

 念の為、顔の横にも花、肩の上や手首にも。付けすぎじゃない?

「間違って襲われたくないだろ?」

 確かに。でも

「子供も襲われるの?」

「明らかな幼児以外はね」

 なにそれ、怖い!


 隣を歩くマンティは元気がない。どうしたんだ?前に回って顔を手で挟む。

「マンティ元気ない」

『そ、そんな事はないのだ』

 思いっきり目が泳いでるよ?

「マンティ、元気がないと心配だよ」

『それはその…』

 おでこを合わせる。

「そばにいてくれてありがとう。私はマンティのお陰ですごく楽しいし、生活も楽になるしとっても助かってるよ!」

『シエル…良いのか?』

「私の守護者なんでしょ?」


 マンティのしっぽがうねうねとご機嫌に揺れた。

「大丈夫だよ、少しくらい寝込んだって。マンティがそばにいる方がお得だからね!」

『そうか、我はお得か!』

「うん、それに…大好きだからさ。毛ざわりいいしあったかいし」

『大好きか!』

「うん!」


 チョロいな。まぁ全部本当のことだけど。

『しかし、やっぱり申し訳ないのだ』

 んーならば、あれいっとくか。

「じゃあ背中に乗せて!」

『お安いのじゃ』

 くすっお安いご用でしょ?もう。


 今日は各自別行動でいいらしく、タフと朝食を食べた。潰れたパスタ、なんて言うのか忘れたけどね。それをトマト味にしたもの。もっちりしてて美味しかった。量が多くて半分はタフの胃に収まったよ。


 ヤールカは獣人の国。もちろん人も暮らしてるけど、圧倒的に獣人なんだって。

 一見すると分からないけど、それっぽい雰囲気はあるらしい。トカゲとかの爬虫類だと目が細長くて瞳孔がやや縦長で細身。

 熊とかだと大柄で毛が濃い、とか。傾向であってそれが全てじゃないから言われなきゃ分からない人が殆どだ。


 朝食を食べた店の人は

「観光かい?」

 と聞いて来た。人って分かるのかな。

「ははっ見た目だけじゃ分からないさ。花だよ!」

 なるほど。

「この国の人間は付けないからさ」

 襲われないの?

「大丈夫さ、肌感で分かる」

 だって。



 その後は商業ギルドに向かう。

 サナエから商業ギルドでハンカチタオルと温泉タオルの納品依頼があったと聞いたので、納品に。

 ビーフジャーキーはサナエにたくさん渡してあったから、先に納品済みだって。


 商業ギルドに着く。マンティに跨った私を見て騒然としたけど、気にしないよ!頭に鳥がいて、その頭に白い花があるからでは断じてない、筈。

 窓口でギルドカードを出すとお姉さんは驚いて私とカードを見比べた。

「し、しゅこしお待ちくだされ!」

 カミカミだね?しかも語尾が変だよ。


 奥からシュッとした男性が揉み手をして出て来た。やっぱり商業ギルドでは揉み手が常備みたいだ。

(シーちゃん、やめて?吹き出しそうになったよ)

 てへっ。

 個室に通されたので

「納品に…」

「ふわふわですな!石けんも是非に!!」

 拝まなくてもね?

 ウタマル石けんとレックス石けんは各50、ふわふわは普通のが30に温泉タオルは20。今春タオルは封印。

 商業ギルドは悪くないけどね?町の印象が悪いから。


 粘られたけどすぐに出るし。そこは体調も悪いし、これが限界。追加納品はしない、と言い切った。

 シェリルさんにまた会いたかったけど、ここの町は早く出たいからね。

 悔しそうなおじさま。ごめんね、文句は冒険者ギルドにどうぞ!と心の中で呟いて商業ギルドを後にした。


 タフと手を繋いで市場に向かう。

 だいたいどの町にも市場がある。そこには雑多な商品が売られている。

 ヤールカは獣人の国だから、食べ物も多岐にわたる。しかも、雑貨は鳥の羽とか羊の毛とか蛇の牙なんてのもある。獣の名残が体にあるから、それを売ってるんだって。

 羊の毛は冬に加工して使えそうだから、買ってみた。ふかふかで気持ちいい。目の細いお兄さんが売ってくれた。


 買い物が終わると公園で休憩。

 する予定だったけどやめた。いや、木陰とかでね?睦あってるんですわ。

 さすが奔放で本能に忠実なお国柄。

 熱い吐息とか喘ぎ声とか聞いて誰得よ?覗き趣味の人でも引くくらい周りを気にしない。

 目に毒だね?

 タフはまじまじと見てたから、脛を蹴ったら悶絶してた。いやらしいおじさんは嫌いだよ!もう。


 借りてる家に戻ったら、タフだけまた出かけた。白い花を青に変えて。まぁ仕方ない。

 私はマンティにもたれかかってお茶を飲んで、のんびりと過ごした。

 さて、手抜きばっかりもなんだし。ご飯作ろう。

 市場ではパスタや調味料を買った。ソースみたいなのが売ってて、魔法通信さんによるとお好み焼きソースみたいなもったり系ソースだった。


 少し物足りなかったから味を足してお好み焼きソースに仕上げた。完璧。

 で、夜はお好み焼きーとたこ焼き。

 たこ焼き器は似た感じのが売ってたんだよ!だからエオンで買った。

 粉を溶いて材料を切って、と。準備はオッケーだね。

 でもその日、夜に家にいたのはサナエと私だけだった。

「サナエは良かったの?」

「私は別にね、男の人と違って堪らないし」

 それもそうか。

 なら今日は2人でタコパだ!


 はい、美味しかったです!サナエの笑顔が見れて良かったよ、例え泣きながらでも。


 一緒にきゃっきゃっとシャワーを浴びて(宿にはシャワーしかない)それぞれの部屋で眠った。

 もちろん腕にはあーちゃん、首元にはラビ、頭の上には師匠とムササビの赤ちゃん、足元にはマンティ。

 もふもふとふかふかとふわふわと…最高だね。




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