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第三話 アメリカの邪魔は徹底的に!

第三話です。

何やらアメリカさんが仕出かしたようですが、ハワイには関係ない!?

1898年2月15日ハバナ湾、アメリカ海軍の軍艦メイン号が突如爆発、沈没。乗員266名を失う事故が発生した。

爆発の原因に関する証拠とされたものは矛盾が多く決定的なものが無かったのだが、ニューヨーク・ジャーナルやニューヨーク・ワールドなどの二社を始めとした当時のアメリカメディアは、根拠も無くスペイン人による卑劣な破壊活動(サボタージュ)が原因であると主張した。


「メインを思い出せ!くたばれスペイン!」

といった国民を煽るようなスローガンを伴ったこの報道は、アメリカ国民を刺激することとなった。この愛国的で好戦的な風潮はスプレッド・イーグリズムあるいは主戦論として、現代でもよく知られている。


ちなみに爆発沈没した原因は、燃料の石炭の偶然の爆発によるものとするのが現代では一般的であり、現代のコンピューター・シミュレーションによって確認もされている。なお当時のアメリカ海軍でも調査によって、原因をボイラーの欠陥と結論付けているが、加熱したアメリカ国民を抑えることが出来なかったため、開戦へと踏み切ってしまった、、、



1898年4月21日、アメリカとスペインは交戦状態に突入。米西戦争が開戦した。

戦闘は主にカリブ海の島々で行われたのだが、当時スペイン領であったフィリピンでも戦闘は発生している。

開戦当初、香港にはアジア戦隊(艦隊)をアメリカは置いており、その艦隊をフィリピンに派遣。同地に派遣されていたスペイン艦隊とマニラ湾で海戦が発生し、激戦を繰り広げ勝利(マニラ湾海戦)。制海権を確保した。


その後アメリカは、フィリピンに戦後の独立を約束したため各地で反乱を引き起こさせた。

これによりルソン島中部を制圧し、反乱した者たちはフィリピン共和国の独立を宣言して暫定政府を組織したため、当時のアメリカで政権を握っていたマッキンリーは、マニラ市を占領するために、およそ2万人規模の遠征軍を本国より派遣した。


しかし、フィリピンに向かっている途中のハワイにて、ハワイ王国がアメリカ艦隊および輸送船団の真珠湾への入港を拒否。流石につい数年前にクーデターに関わった国の、特に軍隊と軍艦を入港させたくはなかったのである。

そのためカラカウアも


「自由港でもお前らだけは来るな! アメリカぁ!」

と言い放っている。


とは言え補給を済ませておきたかったアメリカは、武力によって入港したが、それによって暴動が発生したため鎮圧に向かったハワイ王国軍と輸送中だったアメリカ軍が衝突。死傷者が出るほど大きな事態となってしまった。

そのためハワイとアメリカは互いに謝罪や賠償金などを請求したが、互いに断っている。

この騒乱によって、アメリカのフィリピン遠征軍は入港したものの補給を受けることができなかったため、北部のカウアイ島に移動。アメリカの補給が到着するまで待つことになり、一か月ほど輸送に遅延することになった。ちなみに食料などは補給できたそう、、

だが遠征軍のフィリピンへの輸送が遅れたことにより、フィリピンの反乱軍がほとんど自力でスペイン軍を降伏させてしまう。そのためアメリカの遠征軍が到着する頃にはすでに元反乱軍が統治を開始しようとしており、アメリカとしてはフィリピンを手に入れたい思惑もあったため、現地で戦闘が発生した。

これによりせっかく独立したフィリピンだったが、アメリカによって再度占領されることとなり、独立を約束していたのに裏切られたフィリピンの独立運動は、その後の米比戦争に発展することとなる。


余談だが、フィリピンの反乱勢力が駐屯していたスペイン軍を降伏させることの出来た一員として、スペインとフィリピンの距離的な理由もあるのもの、密かにハワイのカラカウアが武器の支援などを行なっていたからだと言われている。

しかし資料などは残されていないため、行われなかったと言われているが、カラカウアは戦後にフィリピンをアメリカが統治するといった予言らしきものを言い残しているため、アメリカの邪魔をするために支援をしたのではないかという話も残されている、、、



そしてこの頃、ハワイでは日本人移民の受け入れが活発になっていた。


19世紀初頭において、ハワイでは当時の摂政カアフマヌが政治的実権を握り、摂政に取り入った白人たちが発言力を増した。そして貿易負債削減のため、それまでは食料として栽培されていたサトウキビを輸出用資源として大規模生産を行おうとする動きが1830年代より開始。

1850年には外国人による土地私有が認められるようになったため、白人の投資家たちの手によってハワイ各地にサトウキビ農場が設立され、一大産業へと急成長した。

その後、アメリカ国内において南北戦争が発生すると、この動きはさらに加速。1876年には関税撤廃にまで至り、ハワイは世界有数のサトウキビ輸出国となっていた。

のだが、増加する農場に対し、国内のハワイ人のみでは労働力を確保することが次第に困難になったため、1830年代より国外の労働力を輸入する方策が模索されはじめることとなった。1852年には3年間という契約で、中国より最初の契約労働者がハワイへ来島した。その後も中国より多数の労働移民がやってきたのだが、中国人らは定着率が悪く、契約終了後には独自に別の商売を始めたりするなど、元々住んでいたハワイ人や白人移民たちから嫌われるようになり、中国人に対する風当たりが強くなったことから、ハワイは中国人移民の数を制限し、他の国から労働力を輸入するようになる。

そして日本もその対象の一国として交渉が持たれたのである。


カメハメハ4世の頃より、日本では江戸時代の終わり頃にハワイに移民が送られていたのだが、1886年1月28日に、明治政府と日布移民条約が結ばれ、ハワイへの移民が公式に許可されるようになり、政府の斡旋した移民は官約移民と呼ばれた。1894年に民間に委託されるまで、約29000人がハワイへ渡ったとされている。

官約移民は


「3年間で400万円稼げる!」

といったことを謳い文句に盛大に募集が行われたのだが、その実態は当初は人身売買に類似し、半ば奴隷に近かった。労働は過酷で、現場監督の鞭で殴る等の酷使や虐待が行われ、1日10時間の労働で、休みは週1日、給与は月額10ドルから諸経費を差し引かれた金額であった。

そのため多くの日本人移民が帰国する事態となり、これを知ったカラカウアは、


「日本人移民を丁重に扱うように!」

と言ったことにより、環境改善がなされ、改善以降は移民の帰国率は大幅に下がった。なぜカラカウアが日本人移民を大切にしたのかは、現在でも分かっていないが、環境改善により日本人移民たちもまた、カラカウアを大切に慕ったとされている。


その後、官約移民は終わりを迎えたが、民間の移民会社が30社以上設立され、官約移民時代以上に多くの移民がハワイへ旅立つようになった


とは言え日本人移民の急増により、労働者支配の弱体化を怖れた白人系農園経営者たちは、自らの支配力強化のため異民族の移民同士の対立を利用することを画策。

日中移民のほかに、1903年から韓国人の移民を推進したが、カラカウア国王がなぜか韓国人だけは毛嫌いしていたため、韓国人の移民はごく少数に止まっている。またハワイより賃金の高いカリフォルニア、ロサンゼルスのリトル・トーキョー、サンフランシスコのジャパンタウンなどの日本人街に移る日系移民も増えていったため、カラカウアは賃金の値上げを行ったりして、流出を食い止めようとしていた。


その後も移民の数は減少したりしたものの、定住した日本人移民の子孫が増加したことも合わさり、ハワイの全人口における日本人移民と日系人の割合は増加を続け、現在では日本人移民と日系人はハワイ最大の民族集団となっている。

ちなみにだが、カラカウアは白人系移民の割合が高いことを危惧し、日本人移民の受け入れを拡大したと言われている、、、



そうして時間はあっという間に過ぎていったのだが、流石に余命には耐えきれず、カラカウア国王が崩御することとなる、、、

アレルギー並にアメリカを毛嫌いしていますね、カラカウア、、

次回、カラカウアの崩御


同じく連載している明治大帝が、第3回 一二三書房WEB小説大賞の一次選考を通過しました!

ですので時間があればそちらもご覧ください!


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