花火大会の日に
私は3人にお土産を渡した。「流石、都会」と驚いていた。私達は軽食やデザートを食べた。
「全部、美味しい」
「ありがとう」
その後、カラオケに行った。流行の歌を熱唱したが、何処か物足りない。
私達は海に行った。
「懐かしいな」
大橋がなければ、孤島になるような小さな町はつまらない、と思ったことは何度もある。だが、それが良いのかもしれない。ただ海を眺めていた。
その後、クレープ屋に行った。味は昔と変わらない。本屋や100均にも行った。
私達は神社の夏祭りに参加した。大きな祭りで、人で賑わっていた。出店で食事を取ったり、遊んだりしていると、大地が「ちょっと行きたいところがある」と千花を連れて行った。だが、時間が経っても帰ってこない。私と雄斗は手分けして探すことにした。すると、大地の顔が見え、その向かいには千花もいた。話しかけようとすると、その時、真剣な眼差しをした大地は千花の手を握り、2人が見つめ合っていた。私は嫌な予感がしたので、その場を走り去った。本当に終わったんだ。伝えられずに。今となっては伝えることすら許されない。叶わないと知っていても、現実を受け入れられず、心の奥底では期待している自分がいることに気が付いた。諦めようと思えば簡単に諦められると思っていた。時が経てば、薄れていくように、人の気持ちは単純に変えられると思っていた。大人にもなって、こんな痛みを知るなんて。
雄斗が「いた?」と訊いたが、首を横に振った。暫くして大地と千花が来た。顔も合わせられないでいると、花火が打ち上げられた。少しずつ光を失い、落ちていくのは桜のようだ。その時、頭の中で「離れていても、ずっと友達だからな」という言葉が聞こえた。花火が綺麗なのは昔も今も変わらない。やはりこの4人でいる時間が大好きだ。その後、帰宅したが、今でもあの日の花火は忘れられない。
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