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意地悪な高校生が意気地なしの元親友と

~意地悪な高校生が意気地なしの元親友と~


じぃぃぃぃぃぃぃ、と。

見つめられていることにユミカは気が付いていた。けれどなにを言うでもなく暇つぶしに課題などを片付けている。

視線の主は元親友のアイだ。最近親友から恋人に起業したので、虎視眈々とイチャイチャを狙っている。今日というおあつらえ向きな日に乗じようという作戦は、今のところ成功する兆しもなさそうだったが。


「ゆ、ユミカ。ちょっといい?」

「うん。どうしたのアイ」

「あ、あのね」


隠しきれていないというか隠そうという意識さえ回っていないらしいポッキーの箱に気が付きながらも、あくまでユミカは普段通りの対応を崩さない。ビビリな恋人が恥じらいながらおねだりしてくるのを待つこの時間を大事にしていきたいらしい。


「……あのね」


あのね、から一向に話が進まず二度目のあのね。

三度四度と繰り返すうちに少しずつスパンが短くなっているのは勇気を振り絞っているのか混乱しているのか。


それでも辛抱強く待ったユミカに、やがてアイはきゅっとポッキーの箱を握りしめながら強い視線を向ける。


「きょ、今日はポッキーの日なんですって!」

「へー。あ、そーなんだー」


ひどく白々しい相槌にも気が付かず、アイは引きちぎるようにして開封したポッキーを差し出してくる。


「だ、だからほら!取りなさいよ!」

「ふふ。ありがと」


にこにことポッキーを取り出すと半ばほどから割れていたが、それはそれで一興とユミカは対して気にしない。

さあ次はどう来るのかと見つめていると、アイもまた一本取りだし、奇跡的に完璧だったそれをユミカの口元に向けてくる。

ユミカもまたそれに応えて自分の分を差し出して、ふたりでお互いのお菓子をぽきっと食べる。


「えへへ♡」


まるで世界一甘いものでもほおばったかのようにとろけ落ちる頬を手で押さえるアイ。

そんな恋人の姿にユミカはほっこりして、それだけで満悦したらしく去っていこうとする背中を見送る―――


「……は?」

「な、なによっ」


危うくほっこりして取り逃がしそうになった恋人の手をがしっと掴む。

動揺した様子のアイだが、ユミカにはその心理が理解できない。


初めてできた恋人とイチャイチャしたいのは彼女も同じこと。

受験も間近な11月、日頃のストレスも相まって彼女の愛欲はほぼほぼピークを迎えているのだ。

それがあんなささやかなシェアハピごときで満たされるわけもなく、むしろ中途半端に満たされた分強烈な飢えをさえ感じる。


恋人とのいちゃいちゃをただ望む純情にして高潔なる飢餓感が、ユミカの理性を調伏し最高のいちゃいちゃを求めて脳が覚醒した。


「口を開けて」

「な、なんでよ」

「いいから咥えて。ほら」


アイの口に強引にポッキーを咥えさせ、その反対側を自分で咥える。

そこまでくればなにをするつもりなのかがアイにも分かったらしい、真っ赤になって硬直する彼女にユミカはゆらりと口角を上げる。


「負けたほうは、勝ったほうにキスね」

「え―――……えぁっ!?」

「ふふ。折れちゃうよ?」

「はぅっ」


慌ててポッキーを咥えなおす華やかな唇。

今からどう転んでもそれを自分のものにするのだと思えばユミカの飢えは咆哮を上げる。


「じゃあ、スタートね」

「あわわわわ」


―――かくして恐るべきゲームは始まった。

その後ふたりがどうなったかについては……知るべきではないことだろう。

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