表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第三話 妖婆、現る。、

 「簡単に言うと、私と小太郎が兄弟になるという契約じゃ。」

 『俺と君が兄弟だって?!』

 「そうじゃ。 魔族の私たちは人間と契約することで、魔気を供給してもらい、あらゆる能力を行使できる様になるのじゃ。 」

 少女は回復したのか、普通に話せている。

 どんな技を使っているのだろう。

 『何で俺が特別なんだよ。 俺には大した取り柄はないぞ…強いて言うなら、妹が好きな所だけだな。 』

 「お主はそれでいいのじゃ。 それより、お主には妹がおるのか?」

 『まっ、まあな。』


 (妹は2次元です。なんて言えねぇ……)

 

 いつもの俺なら、どんなリスクが有ろうとも無我夢中になって、契約を結ぶだろう。

 だってそんな契約、俺得過ぎる。


 「今ならなんと!…純粋で可愛い妹が契約するだけで手に入るのじゃぁぁ…わっはっは。」


 少女は起き上がると、すかさず自身の胸元に、俺の手を押し付けた。


 「ひゃひっ…どうじゃ?小太郎。 ほれほれぇ。」


 『純粋な妹ならこんなことしねぇよ、手ぇ離せっ!』


 間髪を入れずにツッコミを入れて少女の手を振り払おうとしても、強靭な握力は小太郎の手首を決して離さなかった。


 (くっ!…なんてパワーだ。)


 「話の分からんやつじゃなぁ。 この童貞おとこぉ〜! 童貞なのも魔気生成には重要なんじゃぞ?」

 『ちっ、ちげーよ! …こう見えても俺はいい大人なんだよ!』

 「どっこがぁじゃ? 泉の水面で確かめてみぃ。」

 「何を言って…」 小太郎は泉の縁に手を着き、水面を覗き込んだ。


 『ん???』

 驚きのあまりぐうの音も出なかった。

 目の前に反射して映る自分の姿に。


 「どうしたのじゃ。」

 『何故俺が…このアラフォーのおっさんが…金髪美少年になってるんだよぉ!』

 「あぁ、うるさいうるさい。分かったからそう騒ぐな。殺すぞ。」

 『…………………はい、すみません。』


 (なんだこの仕打ちは。胸を触らせながら、騒ぐなとか、殺すぞとか言って。どんな拷問なんだ。どんなに鍛えられた軍人でも、悶え苦しむぞ!?それに今の俺の変わり果てた姿を目にして、落ち着いている方がおかしい。)

 

 少女は一呼吸おき、商談を再開した。


 「直ちに契約じゃ。 さもなくば、妖婆(ハグ)がもうきてしまうぞ。」

 『妖婆って?』


 少女に向かって質問を投げかけた-その時だった。


 「############!」

 言葉になっていない金切声が神殿の方から聞こえて来た。

 神殿を慌てて眺めてみると、巨大な女体の見た目をした巨躯が仁王立ちしているじゃないか。


 「とうとうお出ましじゃな。 ケラッハ・ヴェール。」

 『なんだあれっ…なんて言うか、キモ。』

 「あれは創造神ソルスが大昔に生み出した災厄(デザストル)モンスター。…そして、すでにし崇拝されなくなった女神の成れの果てじゃ。」 

 

 顔面はのっぺらぼうで、何とも不気味だ。

 さっき少女が縛られていた十字架を持っているが、お目当てのものが無くて、怒り狂っているように見える。

 

 「もう時間がない。 小太郎…っそのキス…せぬか?」


 『何でこの状況でキスなんだよ! 頭イってんだろ!』


 「ハハッ早くしろ!…っでないと! 契約のキスじゃ! はよせぬと、おぬしと二人で共倒れじゃぞ!!」


 『あぁぁ! もうどうとでもなりやがれぇ!』


 「ほれっ……ちと寄れ。」


 少女は少し照れながら、口づけをした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ