第9話 ユウキの相棒×2匹
「よし、じゃあ早速行くか!」
そういうと、ユウキは森とは逆の方向に歩き出す。
「⋯⋯亜竜の縄張りは山の向こうにあるんじゃ?」
ヒロがユウキの後についていきながら問う。
「あーーまぁそーなんだが、山2.3個超えなきゃいけないから歩いて行ったら着くのがいつになるかわからねーだろ?だから、別の方法で向かうんだ」
そういうと、開けた場所の中心でユウキの足が止まる。
「よし、この辺でいいか」
そう呟くと、ユウキは持っていたナイフで親指の先をサッと切り、血をその場に数滴落とす。
「ミントーー!サリーー!出ておいでーー」
何もない空間にユウキが叫ぶ。
魔法陣や詠唱は一切ない。
ハルとヒロはなにが起こるのかユウキの挙動に注目している。
バリッッッッ!!!
雷でも落ちたような音が鳴り響いた。
どこからの音なのかハルとヒロは辺りを見渡す。
「⋯⋯空間が⋯⋯。」
ヒロがそう呟くとハルはヒロの視線の先に目を向けるとユウキが先ほど血を垂らした場所の上部の空間に亀裂が入っている。
バリッッバリッバリ!!!
どんどん割れていく。向こう側は真っ暗だ何も見えな⋯⋯?
いや、何かあるあれはなんだ?毛が生えた白と茶色の何か。
でかい。全長五メートルはあるのではないだろうか。
そんな二匹の生物が空間をこじ開けながら徐々に出てくる。
「「⋯⋯!!!!」」
ハルとヒロは口と目を開けたまま何も言えないでいる。
そうこうしていると、その二匹は空間の亀裂から出てきた。
不思議なことに二匹が出てきた瞬間空間の穴は綺麗に治っている。
無言で説明を求めているハルとヒロにユウキが話し出す。
「紹介しようこの子たちは、俺の相棒、ミントとサリーだ。種族は〈 次元猫 〉だ。」
見た目は、猫だ。ただ全長が5メートルほどある。
虎の様な模様が全身にあるのだが、その模様は赤黒く光を放っている。
二匹は欠伸をしたり、ユウキに寄り添ってゴロゴロと気持ち良さそうな声を出している。
「次元猫⋯⋯?聞いたことない。」
ヒロが考え込んでいる。
その横でハルは⋯
「すげーー!!すげーーーよ!!カッコいい!!マジで痺れる!!世の中にはこんなカッコいい生物がいるのか!!」
テンションが上がっていた。
「⋯⋯まって、ユウキ。ユウキは剣士だよね?ミントとサリーを従える技能は魔物師のものだよね?ユウキは魔物師だったの?」
そんな質問を受ける側のユウキはミントとサリーに上に乗っかられ戯れられている。
「ああ、そのことか俺は剣士、魔術士、魔物師全ての技能を持ってるぞ!⋯⋯いで!!サリー!爪が頭に刺さってるよ!!」
サラッと凄いことを言うと戯れに戻る。
「⋯⋯そんなことって可能なの?」
などとヒロはブツブツと色々と呟いている。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「よし!そろそろ行くか!」
頭から血を流し、両腕をミントとサリーに甘噛み?されながらユウキが呟いた。
「⋯⋯!ユウキが傷をおってる⋯⋯」
そんな様子をみてハルが目を見開く。
修行中、いや、出会ってからユウキが他の生物に傷をつけられたところを見たことがなかった。
「2人ともミントの体に乗れ。今から次元を渡るぞー。安心しろ。いきなり亜竜の目の前に転移することはないからな。⋯ミントとサリーが食っちまうからな。」
基本的に終始非常識なことを言っているが、最後の呟きは聞かなかったことにしよう。そうしよう。
ハルとヒロは目線だけでそう会話したのであった。
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