第7話 決意
「二つ目の理由は、ハル、ヒロについてだ。」
俺たちについて?
そんな疑問に答えるかのように村長が続ける。
「ハル、ヒロの才能についてはユウキ、お前が一番わかっているだろう?この2人はいつかお前と同じ"傑人"になる可能性があると思っている。」
⋯⋯傑人。聞きなれない単語が出てきた。
あとで聞こう。どうやらユウキはその傑人のようだ。
「このままお前との訓練を続けていけば、それなりの実力になるだろう。ただ、お前も以前言っていたようにこの2人には実践が足りない。森の動物や魔物では役不足になっている。」
「確かにな。一年前くらいから魔物相手にも大した苦戦をしなくなっていたから、食材集め以外は俺との戦闘をやっていたくらいだ。」
「ただ、そのお前との戦いでは、命が保証されている。その点で2人の成長には限界がくる。」
「なるほど、それでその襲撃の予知と合わせて2人も一緒に王都に行くということか。」
その村長の言葉の意図をユウキは的確に捉えているようだ。
そして話しの結論が見えてきた。
「結論は出たな。ハル、ヒロ王都へ行くぞ。理由は強くなるためだ。どうする?」
王都。何度かユウキから聞いたことのある単語だ。
ユウキと戦うこと以外そこまで興味が無かったからあまり気にしていなかった。
「もちろん行く。な、ヒロ!」
「⋯うん。ちょっと怖いけど、ハルくんが行くなら、僕も行くよ。」
「よし。決まりだ。最後にやりたいこともあるし、出発は2日後だ!準備しとけよ!」
そういうと、いつものように悪魔のような笑い方をするユウキ。
⋯⋯絶対何か企んでる。
その日の夜ハル、ヒロの前にアスナがいた。
「ハル⋯ヒロ⋯王都に行くんだよね?⋯⋯もう帰って来ない⋯の?」
十年間という時間は子供にとってとても長い。
その間ずっと仲良く過ごしてきたアスナにとっては、ハルとヒロの存在は大きなものになっていた。
「おう。王都には行く。強くなりたいからな!」
アスナは下を向く。
「でも、戻ってくるさ!必ず、みんなのところへ!」
そういうとハルは笑顔で笑ってみせる。
「アスナも元気でいろよ?俺らも必ず強くなって戻ってくるから!」
「うん⋯わかった!わかったよ!私もハルたちが帰ってくる時に驚かせようと秘密の訓練をしてるんだ!おばあちゃんに教えてもらってるの」
アスナがいつもの笑顔に戻る。
「そりゃ楽しみだが、俺には勝てないぜ?」
「勝つんじゃないの!えっと⋯秘密!帰ってきてからのお楽しみね。」
「なんかわからないけど、わかった!アスナも頑張れ!俺も頑張る。強くなるそれで⋯⋯」
「それで?」
「俺も秘密!んじゃまた明日な!」
そーいうと、ハルは一人で走って言った。
笑顔だがどこか寂しそうなアスナにヒロがそっと呟くように話しかけた。
「⋯ハルくんね、僕やアスナ、村のみんなを守れるようになる為に強くなりたいんだって。⋯僕もそうだよ。みんなを守るその為に強くなる。だから、安心して。絶対に僕たちは帰ってくるから」
そういうと、無邪気に笑いハルの後を追いかけるように走って行った。
2人が去った後のアスナの顔には寂しさの感情は無くなっていた。
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