第6話 【 予知者 】
「で?話ってなんだ?」
ユウキが話を切り出す。
「お前は昔からせっかちだな⋯。少しは腰を落ち着けなさい。まぁいいか。お前を読んだ理由だったな。」
村長が話し出す。
「十年前、お前がハルの育った村を襲った魔人を討伐したのは覚えているな?それからというもの今日まで魔人が人間を襲ったという話を全く聞かん。ここ数十年の中で初めてのことだ」
「ああ、俺もちょくちょく王都にも顔を出しているが魔物の話は聞いても魔人の話はまったく聞かんので何かあると踏んでいる」
ユウキこの話に心当たりがあるようだ。
「そうだ。それについて先ほど王都の上層部から優秀な人材のいる村の長に通達があったんだ。“今から一年後に大規模な魔人の襲撃がある"、と」
ハルは目を見開いた。
「⋯⋯その伝え方、【 予知者 】からの情報って事か。」
⋯⋯【 予知者 】?
ハルがその事について言及しようとした時
「ああ、その通りだ。ハル、【 予知者 】とは王都にいる"異能者"だ。私も直接会ったことはないが、一年後までの自分に危険の及ぶ事象を予知することができるのだ。」
⋯⋯異能者。
以前ユウキに聞いたことがある。
確か、人間の1/1000の割合で持っているとされる魔法では再現できない特殊能力を持った人間のことだ。
中には外観まで変化し迫害を受けるような異能者もいると言っていた。
確かに普通魔法で予言など出来るとは思えないが⋯⋯
「ナナ、その人の言うことは本当なの?信じられるの?」
「そーだよね。そー思うよね。ただね過去幾度と無く予言して今まで一度も外したことないんだよ。」
なるほど。それなら信憑性がある⋯⋯かもしれない。実際に見たわけではないので断言はできないが。
「話はそこからだろ?俺にどうしろと?」
ユウキが話の結末を急かす。
「単刀直入に言おう。ユウキには一年間王都で生活をして欲しい。予知者は基本的に王都から出ることは無い。そして、予知者は自分自身の命の危険しか予知する事はできん。ここまで言えばわかるだろう?」
つまりは、一年後の魔人の襲撃は王都で行われる可能性が高いというわけだ。
「なるほど。話はわかったが、なぜ今なんだ?俺なら一年後襲撃のギリギリに行くのでも問題ないはずだ。」
王都まではオークノ村からは馬車で10日はかかる道のりだ。
しかし、ユウキはずっと短い時間で到着することができる。
「それについては2つの理由がある。1つは、あくまで予知者は自身の命が狙われるときの事柄を予知できる。裏を返せばそれ以外は予知できん。つまり、その前後、地震でいう余震の部分までは予知できないということだ。
"王都襲撃がいつ始まるかわからない"
だから、今から実力者が欲しいというわけだ。」
予知。意外と不便なものだ。命の危険が一年後であるということは、襲撃は何日まえから始まっているかわからないということのようだ。
「それにしても早いだろ。王都の守りが数日で崩されるとも思えねぇ。あそこには俺以外にも2人いるだろ?」
2人⋯⋯?
ハルは疑問に思ったが話は進んでいく。
「話を急ぐな。2つ目の理由を言おう。」
村長が再び話し始める。
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