第4話 3人の日課
---十年後---
ギィヤァァァァ!!!
田舎にある村、オークノ村。
この村に三年間、毎朝響く悲鳴で多くの村人達は起床することが日課になっていた。
ったく。毎日毎日うるせーなー。
ひとりの村人が寝癖のついた頭を掻きながらそう呟く。
しかし、その顔は薄っすらと笑みを浮かべており、憎悪のそれとは真逆の感情であることは明白であった。
ぬおぉぉぉぉーーーーー!
という、間の抜けた声と同時に影が村人の家の壁めがけて飛んでくる。
その影は壁を突き破り村人の寝室まで転がってきた。
「いてててて⋯⋯やり過ぎだよ。バカになっちゃうわ。」
そう呟くのは16歳になるこの物語の主人公『ハル』
三年前、ハルの住んでいた村は" 魔人 "に襲われ壊滅させられた。
その時ユウキに救われ、以来このオークノ村に住んでいる。
ハルは強くなるべく、こうして毎日ユウキとの特訓に励んでいるのである。
村人はそんな様子のハルに満面の笑みで額に青筋を立てる。
「ハル!!!!またか!!!家を壊すんじゃねーーーー!!!!」
「ごめんよ!!ヒロシおじちゃん!!後で肩たたきするから!!」
そういうと、壊した壁の穴から外へ元気よく走っていく。
「まったく⋯⋯」
村人はそんなハルをみてため息混じりに微笑む。
「どうした。もう終わりか?」
ユウキは悪魔のように笑いハルに問いかける。
「まだまだー!!今日こそ一発入れてやる!!」
そう言い、ハルは両手に力を込める。
《 光槍 》
そう名付けたその技は辺りの光を集め丁度短剣ほどの長さの光の槍を作り出す。
そして、右手の光槍をユウキ目掛けて放つ。
光槍が凄まじい速度でユウキに迫る。
しかし⋯
「まだまだおせー。」
ユウキはそういうと、余裕を持って光槍を避ける。
「⋯⋯《 魔法反射鏡 》」
小さな声でそう唱えたのは、5歳になるハルの弟『ヒロ』である。
この魔法は光魔法と水魔法の合技であり、魔法反射鏡を作成する際に使用した魔力以下の魔法を跳ね返すことができる行動魔法である。
魔法反射鏡により反射された光槍はガラ空きのユウキの背中に迫る。
それと同時にハルはユウキとの距離を詰めていた。
さらに
「⋯⋯《 超重力 》」
ヒロは雷魔法である超重力をユウキにしようする。
一般的な人間ならば潰れたヒキガエルになるような力だ。
「うらーーーくらえーーー!!光槍!!!」
残っていたもう片手の光槍を力一杯放つ。
ユウキには光槍が前後から迫り、超重力によって動きを制限されている。
「甘すぎて話にならんわ。」
欠伸をしながらユウキは背後から迫る光槍を見もせずに掴み取ると前に進む力に逆らわない程度に少しずつ横から力を加え軌道を変える。
その動きの流れのまま、たった今ハルから放たれた光槍にデコピンをする。
すると光が散るように光槍が砕けた。
軌道を変えられた光槍はヒロの方へ飛んでいる。
「⋯⋯あぁ⋯⋯」
ヒロの口から声が漏れる。
「させるかーーーー!!」
ヒロの前にハルが壁となりその瞬間、衝撃波とともにハルが吹き飛ぶ。
「ぐわぁぁーーー」
例のごとく遥か遠くへ吹き飛ばられるハル。
それをオドオドしながら眺めるヒロ。
悪魔のような笑みでそんな2人を見つめるユウキ。
毎日の特訓。
これが3人の毎日の日課であった。
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