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第二十一話

ふっと目が覚めた時、アリアは涙を流していた。

心配そうにポラリスが頭を撫でてくれている。

「魘されていたようだね・・・また鎮痛剤を持ってきてあげるから、待っていて」

そう言うと部屋を出て行った。ぼうっとしながらアリアはさっきの夢を思い出していた。今すぐに、シリウスに逢いたいと強く願った。

部屋の向こうで「うわっ誰だ!?」というポラリスの声と、複数の足音がなだれ込んでくる音がした。そしてすぐに部屋の扉が開かれ、武装した男がアリアを見とめると「いました!」と鋭く叫んだ。

駆け寄ってくる足音がして、シリウスが部屋に入ってくるとアリアは驚きで目を見開きながら、泣き出した。

「シリウス・・・!」

「アリア・・・!」

安堵に揺れる青い瞳に目を奪われていると、強い力で抱きしめられた。広い背中に手を回し、アリアもギュッと抱きしめる。シリウスは全身を硬くこわばらせながらアリアに抱きついた。

先ほどの夢と同じような構図に、涙が溢れてきて止まらない。

「無事でよかった・・・」

ほっと息を吐くシリウスにアリアは縋り付いた。

「愛してるわ、シリウス」

ビクリと体を揺らしたシリウスにアリアは涙を流しながら微笑みかけた。

「約束したでしょ、あなたをきっと、愛するって」

そう言うと、シリウスは信じられないというように目を見開き、思い出したのか?と尋ねた。

「思い出したわ・・・でも、思い出さなくてもあなたのことを愛していた。生まれ変わっても、私のことを愛してくれてありがとう」

シリウスが、目に涙を光らせながらアリアに口付けた。アリアもそれを受けながら、きつくシリウスを抱きしめた。


その後、アリアはすぐさま軍の車で近くの病院に運び込まれ、適切な処置を受けた。

足の怪我や腹部の打撲などはあったものの、大事には至らず数日間の入院後、回復した。

入院中もシリウスが付きっ切りで側にいた。アリアが熱で魘されていても、足の怪我の痛みに苦しんでいても、しっかりと手を握って側にいてくれたので苦しさは半減した。本来、国王であれば公務で大忙しなのでそうはいかないが、王位を退いた今ではそれも許された。

その代わり代理で公務を行っていたグルースさんが後で散々ぼやいていた。


ポラリスには事情を話してお礼を言った。シリウスからも、アリアが危ないところを助けてくれたとして厚くお礼を言われ、ポラリスは恐縮しながらも元気になってよかったと笑っていた。

イザールは傷が回復してから裁判にかけられたが、重い求刑にも関わらずアリアの頼みにより恩赦が出ることになった。元気になってから孤児院の職員やリブラ、子ども達にも挨拶に行き、皆から心配していたと声を掛けられた。まさかレダの生まれ変わりだったとはと驚かれたが、みんなこれまでどおり親しげに話しかけてきてくれた。レプスはアリアに抱きつき、体いっぱいで喜びを現した。


アリアが退院してすぐに、シリウスは王位に復帰した。この機会に出し抜こうとしていたクラテール家の陰謀も、世論からの絶大な後押しにより潰えることとなった。レグルスからも正式な謝罪が出され、一部の過激派の暴走だったと発表された。

アリアとシリウスはシグヌース教会からの許しがおりて、レティクルム立会いの元、結婚式を挙げた。ロイヤルウェディングに加え、再び女神が国の王妃になったことから、民衆は大いに歓迎し、盛り上がった。シグヌースの歴史ある大聖堂で伝統的な衣装に身を包みシリウスと愛を誓い合う。ふと、何百年も前に交わした約束が頭をよぎった。

「生まれ変わって、あなたと同じ時代に生きて、あなたとまた愛し合えるようになるなんて、奇跡みたいね」

美しい大聖堂の中、様々な色の花が2人に降り注ぐ中でそう涙を浮かべながら微笑むアリアに、シリウスは見とれた。

「あなたに出会えたことが、俺の奇跡の始まりだった・・・」

そう言って額にキスをし、額と額をあわせて目を閉じた。

シリウス、やっと見つけた私の帰る場所、私の永遠の故郷、生きる支え、あなたに逢えて本当に良かった。

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