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第十八話

アリアは夜通し腹痛に悩まされていた。

女性たちがパンのかけらや飲み物などを持って帰ってきてくれたのはありがたいが、全く喉を通らなかった。頼んで拘束を解いてもらい、水をかろうじて飲み込んで腹をさすりながら横になっている。服をめくって確認すると、内出血で酷い青痣になっていた。ずっと高いところにある窓からのぞく月明かりだけが慰めだった。

時折女性達がアリアの様子を見に来てくれる。女性たちもどこかしらやつれて傷だらけだった。

「どうして私達がこんな目に逢うのかしらね・・・レグルスなんて野蛮な組織、潰れてしまえば良いのに」

そう言って彼女はしくしくと泣いていた。アリアは痛みに耐えながら、「大丈夫よ」と慰めた。

「シリウス王が必ず助けに来てくれるわ。それまでの辛抱よ、あなた達は必ず助かる。希望を失わずに待ちましょう」

「でもあなたのその怪我・・・すぐに病院に行ったほうが良いのに、レグルスはきっとそんなこと許さないわ」

「私は、大丈夫。私に何かがあったら、すごく悲しむ人がいるの。その人のために、私は死ぬわけにはいかない・・・必ずここから出て行ってやる」


その時ドアの向こうで人の気配がして、女性達に緊張が走った。開いたドアの向こうには、泥酔したエルナトと男たちが立っていた。

「おい、こっちに来い」

にやにやと笑うエルナトの目に嫌悪感を感じたアリアは目を逸らした。

「こっちに来いって言ってるだろ!」

エルナトが無理矢理アリアを引き立たせ、アリアは悲鳴をあげた。立ち上がると痛みが増してアリアの表情が苦痛に歪んだ。女性がおずおずと進み出てきて、お願いですからその子を離してあげてください、その子は怪我をしているんですと言ったがエルナトは鼻で笑って「そんなこと知ったことか」と言った。

「貴族様は俺たちが怪我をしていようがお構いなしに連れて行って一日中無理な労働をさせていただろう、その時に俺の妹も連れて行かれて死んじまったよ。あの時俺や妹が土下座して頼んだのに聞く耳を持たなかったのはお前らのような貴族たちだった。なら俺がお前らに容赦してやる義理もねえ」

そう言うとエルナトはアリアの胸を鷲掴みにして揉みしだいた。

「辛そうだな、今良い思いをさせてやるよ」

厭らしい声でそう囁くと、アリアのシャツを引き裂いた。アリアは苦痛に顔を歪ませたまま弱弱しい抵抗を続けている。男達から歓声があがった。

「ふん、随分可愛がられているみたいだな」

露になった白い胸元には沢山のキスマークがついていた。

「や、やめて・・・」

「国王に毎晩可愛がられてるんだろう?あのお綺麗な顔をした男がどんな風にお前を抱いているのか教えてくれよ」

そう言って笑うとエルナトがアリアの乳首に吸い付いた。アリアは悲鳴をあげてエルナトの頭を押しのけようとするが、力が入らずビクともしない。壁に押し付けられ、胸を貪られる。女性達からは嘆きの声があがった。男の一人が抵抗を続けるアリアの手首を壁に拘束し、その顔をこちらに向かせた。

「なかなか可愛い顔をしているな。東洋人の女を犯すのは初めてだ」

「はは、あの国王に関わったばかりに、とんだ目に逢う羽目になったな」

嘲笑しながら、キスをしようとしてくるのを顔を背けて避けようとしたが、顎を固定されてそれも叶わない。やめて・・・と弱弱しくアリアが叫んでいると、一人の男が駆け込んできた。

「おい、何をやってるんだ」

「イザールか、何のようだ」

「何の用だじゃない!やめるんだ、手をどけろ!」

そう言ってイザールがエルナトや男達をアリアから引っぺがした。アリアは引き裂かれたシャツを掻き集めるように身をそぼめて、ずるずると壁を背に座り込んだ。

「何だ、邪魔するなイザール」

「本来のレグルスの理想を忘れたか!お前達の行いは最低だぞ!」

「何を今更・・・散々拉致してきた女を犯してきたんだぜ」

「本来それも禁止されているはずだ!レグルスの名を貶める行為だぞ」

「ふん、なんだイザール、その女に惚れでもしたのか」

エルナトが気を削がれて不機嫌そうにそう吐き捨てた。

「違う、この女は大事な交渉材料だ。だがお前達の玩具じゃないんだぞ!非人道的な行いをするな!」

「くそ、頭が固いな・・・」

エルナトや男達はぞろぞろと部屋を出て行った。ほっとした女達が、アリアに駆け寄ってくる。

イザールもアリアを見下ろして、深い溜息をついた。アリアは参っているようで、真っ青な顔をして脱力している。チラリと見える白い肌には青い痣が見えた。

罪悪感を打ち消すようにイザールが部屋を出て行こうとすると、アリアが「ありがとう」と呟いた。

ラナやアリアを裏切って、自分をレグルスに引き渡したやつにお礼だと・・・?

アリアを見やると、疲れた目をして微笑んでいた。イザールはもう振り返らずに部屋を出て行った。

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