第27話 寝ているBを揉む
「こんにちはー、うわっ!?」
放課後三十分ほどしてから、部屋を訪れる。
室内がしんとしていたのでまだ郷羽先輩はいないと思ったら、既にいた。
いた、というか熟睡していた。
机の上には、空になった弁当箱。
本当に夕方も弁当食べたとは思えない、それだけの食欲があるなら美羽流みたいに巨乳になっているはずだ。
ということは、だ。
この貧乳、昼のあれから寝落ちして今まで寝てるって事になる。
……熟睡ですやん、子供ですやん。
まあ、それはいいよ、うん。
疲れてうっかり寝ちゃったんだろう。
まあ、疲れた原因はガチ泣きだから、俺にも責任がなくもない。
授業をサボることは生徒会役員としてあるまじきことだが、気分が悪くなって横になっていた、とか言い訳のしようもある。
どうせいつも授業は寝てるとか言ってたから、授業の遅れもいつものことだろう。
問題は、その寝相だ。
多分、元は机にうつ伏せで寝たんだろう。
それがどうしてこうなったか、上半身が床に倒れていた。
この体勢のままよく眠れるな、とは思う以前に、この人お嬢様だろうが、などと思う。
とりあえず、頭を打って気絶、とかでもなさそうだから、心配はいらないだろう。
本当に疲れたと思っていい。
ただ、その格好だ。
膝から腿の辺りはまだ椅子に乗ったままで、頭だけ床についている。
そして、両腕は万歳のように掲げている。
髪は結構乱れているけど、まあ、手櫛で何とかなるレベルだ。
まあ、一言でまとめると、低い鉄棒で膝でぶら下がっている状態。
それを女子の制服でやってしまうとどうなるか。
決して短くはない郷羽先輩のスカートでも、重力の関係で捲れ上ってしまう。
「…………」
うん、俺もちょっとは抵抗したんだよ。
Bのパンツなんて何ともないって。
それ以前にあの郷羽先輩のパンツなんて見ろと言われても拒否するだろって。
そう、何度も思ったんだ、これだけは信じて欲しい。
だけどさ、目が離せなかったんだ。
いや、パンツは別腹でしょ!
BとかFとか関係ないでしょ!
見ちゃ駄目だ、とは思っているが、どうしても見てしまう。
郷羽先輩のパンツは、お子様な本人とは異なって大人っぽく、少し緑がかった光沢のあるものだ。
素材が木綿以外のやつだ、俺も詳しくは知らないが、見た目はシルクっぽい。
それに二段の短いレースが編み込まれてる。
本人とは正反対で上品な感じだ。
正直、仕草の上品さが今日の号泣で失われた以上、これがこの人をお嬢様というステータスに留める最後の一つだろう。
とは言え、俺も確かにこの先輩をいじめ抜いてはいるが、寝ている女の子のパンツをずっと眺めてるのは流石に可哀想だと思う。
とは言っても、呼び出された以上、帰るわけにもいかないし、今、目を覚ますと俺がパンツをじっと見ていたと思われても仕方がない状況だ。
いや、これまでの関係上、俺が自分で郷羽先輩をこんな態勢にしたんじゃないか、なんて思われる可能性もある。
さすがにこの体勢はどうしても見てしまうし、たとえ後ろを向いていても一度は見たことになる。
しょうがないな、身体を起こして、それから目を覚まさせてやるか。
「失礼しますよ、っと」
女の子の身体。
ではあるんだが、Bの身体なんて男と変わらないだろうから気を使う必要もないか。
俺は手を引いて起こそうと思ったが、脱力してる人間って、手だけでは起き上がらない。
しょうがないから、脇から手を入れて、身体ごとを起こしてやるか。
「よっと……」
郷羽先輩の脇の下は、思った以上に柔らかかった。
胴の側も、二の腕の側も、あまりにも柔らかくて、俺の方が挟まれている気持になる。
しかもやたら温かい。
いや、まあ、体温測る場所だから温かいのは郷羽先輩の体温そのものだろう。
それよりも、この人はどうしてこんなに柔らかいんだ?
だってBだぞ? Bなんておっぱいじゃないんだぞ?
スズキで言ったらザコだぞ?
セイゴですらないぞ?
「ふにゃぁ……」
のんきに熟睡しやがって。
ムカつくし、少しくらい胸揉んでやろうか?
Bだから男の胸揉むようなもんだろ?
俺は、郷羽先輩を椅子の上に座らせると、うつぶせで寝かせる。
そして、脇の下の手を──。
「おっと、手が滑った」
俺はバランスを崩して、前のめりになってしまった。
後ろから郷羽先輩のBに手の平を当てる。
ま、じか……。
何だこの柔らかさは?
これがBだと?
俺はもっと固いものだと思ってた。
自分のふくらはぎの筋肉くらいのものだと思ってた。
だけど、違った。
何だよこれ、これでBだと?
だったら、Fって一体どんな柔らかさなんだ……?
俺は、何もかも忘れて、ただ、必死にBを揉み続けた。




