↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/33

第20話 バスケでの勝負

 その後、映画を見たり、カフェレストで食事をしたり、なんて普通に普通のデートを楽しんだ。

 雰囲気は悪くないけど、南潟先輩は多少の距離感というか、「騙されちゃ駄目よ、こいつはこういう男なんだから」って警戒もあって中々打ち解けてくれない。

 何か、もう一つあればいいんだけどな。


「先輩、ボール貸して貰えるみたいですよ?」


 俺はそう声をかけた。

 大きな公園を歩いていて、目の前にそんな看板を見かけたからだ。

 日曜日というだけあって、公園も人であふれている。

 そんな中を俺たちはぶらぶらと歩いていた。

 なぜそうなったかと言えばさっきボートに乗ろうとしたら、恥ずかしいから嫌だと断られて、ここに来た目的がなくなったからだ。

 で、何をしようか迷っていたら、バスケットコートがあったのだ。

 塗装の剥がれた古いストバスコートだが、隅の管理事務でボール貸し出しをしているようだ。


「そうね。やりたいの?」

「はい、先輩と勝負してみたいです!」

「でも、あたし、こんな格好だし」


 南潟先輩は、自分の格好を見る。

 ペプラムとやらは、まあ、長めのシャツと考えていいとして、ミニスカートは気になるんだろう。

 全力で飛んでもペプラムのせいで捲れることはないだろうけど、それでも、激しい動きにミニスカートは心細いんだろう。

 こんな時は、あれだ、煽ってみるのがいい。

 郷羽先輩とか、あっさり煽れてるし、俺も結構そういう挑発的なのも出来るようになってきてるからな。


「あれ? もしかして怖いんですか? 素人の俺に負けるのが?」

「は? そんなわけないでしょうが。ていうかね、そんな安っぽい煽りに乗ると思ってんの?」

「あ……すみません」


 さすがに南潟先輩相手には無理か。

 これが郷羽先輩なら、あっさり乗ってくれるんだろうが、同じ貧乳でもこっちは手強い。


「そういう煽り入れてくるって事は、バスケに自信があるって事ね? 体育で多少うまく行ったんでしょうね、素人同士なら身長が高ければ有利だからね」

「いえ、そんな」


 南潟先輩が、俺の直近に来て、身長差を確認する。

 俺も長身だが、南潟先輩も女の子の中では長身だから、顔が近くて困る。


「でもね、バスケは身長だけじゃないのよ。それを教えてあげるわ。対戦したいならしてあげるわよ」

「は、はい」


 結局煽りに乗るんだ、この人。


「負けたら、飲み物奢りね?」


 しかも結構ガチギレしてないか?

 キレ気味の南潟先輩は、驚いて半ば呆れている俺の答えを待たずに、管理事務に行ってしまった。


「最初に言っておくけど、身体に触る目的でファールしたら、デートはその場で終了するから。いいわね?」

「分かってますよ。触りませんって」


 そんな貧相な胸をさ。


「じゃ、あんたの先行でいいわ」


 パスの要領で、俺にボールを投げる南潟先輩。


「さ、どこからでも来なさい」


 腰を低くして、トップの位置で構える先輩。

 うん、本気なのは分かったけど、ミニスカートでそんなに腰低くすると、ちょっと危ないんですけど。


「じゃ、行きます」


 俺が、持っているボールをバウンドさせ、南潟先輩に向かった瞬間の事。


「わっ!?」


 走り込んで来る南潟先輩。

 いきなりだったこと、トップスピードがあまりにも早かったことから、俺は何の反応も出来なかった。


「はい、終りね?」


 俺のボールは、俺が何の反応も出来ないうちにあっさり奪われた。


「あんたね、目の前の敵がいるのに、バウンドのストロークが大きすぎるのよ。それは長距離を走るときには向いてるけど、バウンドが長いと、ボールから手が離れてる時間が長くなるから奪われやすくなるわ。あと、相手は直接触れることが出来ないから、身体でボールを守るのよ、こうやって」


 そう言いながら、南潟先輩が、右手でボールを低く速くバウンドさせながら、俺のいる方に左手を伸ばして、けん制する。

 なるほど、確かにこれだと、ボールを奪えない。


「分かりました」

「じゃ、次はあたしの番ね。構えなさい」

「はい」


 俺は、南潟先輩が構えていたように、コート奥、ゴールの真下くらいに両手を広げて構える。


「…………はあ」


 南潟先輩はそれを呆れたように見て、ため息を吐く。

 明らかに俺の行動がそうさせているんだろうけど……何が悪いの?

 先輩は黙って、俺に近づいて来て、エリア内に入る。

 俺が警戒して腰を落とすと、南潟先輩は俺から一メートル向こうのそこからシュートを打った。


「あ……れ……?」


 それは、あっさりゴールネットをくぐり抜けた。


「そんなに奥に守ってたら、シュートされるに決まってるじゃないの。基本的にペイントラインに入った相手は、シュート打って来るから、それを妨害するのよ」

「すみません、ペイントラインって何ですか?」


 当たり前のように知らない言葉を話してくる南潟先輩。

 やっぱりこの人、バスケットさせると活き活きしてくるよな。


「んー、その中に入ると、オフェンスは三秒以内に出て行かなきゃならないのよ」

「そうなんですか」

「そう、だから、そこに入って来るって事は、確実にゴールを打って来るわ。だから、まずはそこに入れさせないこと。そして、入れてしまったらゴールを打たせないこと。それがバスケのディフェンスの基本よ」


 俺はどうしてこんなところで、バスケの講義を受けているんだろう、なんて思うが、先輩が楽しそうだから、続けさせよう。


「そもそも、マンツーマンディフェンスはね──」


 俺は南潟先輩の講義を聞いて理解することに専念した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。