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底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
6/34

遺跡を調査してみる



「おはようございます、リュシル様。」


と、いつもの様に笑顔を見せるフィーに。


「うん、おはよう、フィー。」


と、いつもの様に優しく微笑みを向けると、いつもの様に頬を染めるフィーを見つつ。


着替えに手を伸ばそうとして、ガシッと手を掴まれ着替えさせられると言う、いつもの朝を過ごす。




朝食を取りながら、今日の訓練は何をしようかなと考えを巡らせる。


フィーの成長が著しく、いろんな事を教えるのが楽しかった、今は部分強化を中心に訓練中である。


自身は、魔力強化の精度アップと魔力量を増やすのが最近の日課となっていた。


そんな事を考えながら、食後の香茶を飲んでいると。


「リュシル、お前に見せたい物が有るんだが、午後から時間を取れるか?」


と、父さんの言葉に。「はい、大丈夫です」と答える。


「少し歩く事になるから、動きやすい恰好で来なさい。」


と、午後準備が出来たら、執務室まで来るように言われたのであった。




午後、昼食の後に、フィーに用意してもらったハーフパンツと革のブーツに着替える。後サファリハットでもあれば探検隊の気分だな。


フィーを見ると、膝下丈のメイド服と同じ革のブーツに着替えてきていた。


ほぅ、あのメイド服って膝下丈のも有ったんだ。いつもは足元までの長さの物ばかり見てたからなんか新鮮だな。


でも、なんでズボンにしなかったのか、理由を聞いてみたけど、「従者ですからこれだけは譲れません」と言われてしまった。


じゅ、従者ってそう言うものなのかな・・・? まあ、前のよりは動きやすそうではあるかな?足元を見る限りは。


「短いのも似合ってるから良いんじゃないかな? 動きやすそうでもあるし・・。」


実際、似合っていたのでそう言うと、フィーは少し照れた様子で、「ありがとうございます」と言っていた。




フィーと共に、父さんの執務室の前まで来て、扉をノックして名前を告げると、入りなさいと父さんの声がした。


扉を開け中に入ると、父さんが大きな机の前に座り、書類と格闘していた、何でも費用の計算で間違いがあったらしく再度計算中らしい。


すぐ終わらせるから、そちらで待っていなさいと奥のソファーに座っている様に促された。


何処の世界でも同じだなと思い、何とは無しにその書類に目を落とすと、品物の名前、金額、個数、その合計がびっしりと書かれていた。


うわ~、これは大変そうだ、あ、父さん早速間違えてる、1個上の金額に下の個数で計算してる・・・。


「と、父さん・・・、そこ間違ってます・・・。」


と、指摘しておいた、父さんは、「お、おぅ、すまん」とバツが悪そうにしていた。


そうして、このままでは、終わりそうに無いので、父さんを手伝うのであった。




程なく急ぎの執務が終わり、一息つくと父さんがそろそろ出かけるかと切り出して来た。


部屋の出口へと向かう父さんに付いて行きながら。


「これから、何処に向かうのですか?見せたい物とは?」


と、質問すると。


「まあ、着いてから説明するから、楽しみにしていなさい。」


黙って付いてくる様に促された。


屋敷を出た後、そのまま町の方へは向かわず、横手側を通り山側へと向かう道筋を辿っていた。


たしか、そちらには、閉鎖された旧坑道が有ったはずだけど・・・。


大きな鉄の扉が見えて来た事により、やはり旧坑道へと向かっていた様だ。


旧坑道は4代前の領主の時に、坑道を拡張しようとして、地下水の浸水により水没したために閉鎖を余儀なくされたと聞いていた。


まあ、新しく掘った坑道からミスリル鉱が採掘されたらしいから、悪い事ばかりで無かった様だが。


大きな鉄の扉には、人一人が入れる程の小さな扉が付いていて、父さんはその扉の鍵穴に鍵を差し込み開錠すると、扉を開き中に入って行った。


扉をくぐるとそこは10m程の広場となっており、何処かから光を取り込んでいる様で、普通に中の様子を見ることが出来た。


中には撤去されたのか何もなく、入り口横にある大きな棚と机、後は鉱石を運び出すのに使っていたレールが乗っていただろう枕木だけが奥の坑道に向かって残っていた。


父さんは棚から、ランタンを3つ手に取り、念のために持ってなさいと一つずつ手渡し、奥の坑道へと向かって行った。


念のため? と疑問に思いながら付いていくとその理由はすぐに分かった。


坑道内は、壁が淡く光っていて、ランタンが無くても十分に見通せるぐらいの明るさがあった。


父さん曰く、壁に生えている苔が光を発しており、さらに坑道内の空気を浄化してくれているとの事だった。


坑道を父さんに付いて進み幾つかの分岐を右に左にと進む事、二十分程そこに、坑道を塞ぐように鉄の柵が設置されていた。


その柵を通り抜け更に進むと、その先は10m程の半円状の開けた場所となっており、行き止まりとなっていた。


父さんはここが見せたかった場所だと告げて、奥を見てみる様に促して来た。


そう、その奥は行き止まりではなく、一面の人工的な白い壁があった、そしてその中心の位置に人一人が通れる程の扉が有った。


俺にはそれが、扉だと言う事は直ぐに分かった。しかし、この世界では今まで見たことのない形状の扉、前の世界の記憶の中にある扉がそこに存在していたのだ。


かなり凝視していたのだろう、その様子を見て父さんは、満足そうに頷くと。


「凄いだろう? リュシル。恐らく古代の遺跡の一部だろうと思われるんだが、王都の学者達がいくら調べても、何も解らなかったらしく、その入り口らしき物を開ける事が出来なかったんだそうだ。」


そう言って父さんは、扉を見つめていた。


「若いころに父からこれを見せられた時は興奮したもんさ、その後自分なりにいろいろ調べたりしたんだがな・・。結局何も解らず仕舞いでな。」


そう言って、悔しそうな顔をしていた。


「どうして僕にこれを?」


そう質問すると。


「本当はリュシルにはまだ早いかと思ったんだが、な? リュシルも最近色々な事があっただろ? だから、何か興味を示せる物でも有ればどうかと思ってな。」


どうやら、父さん達にかなり心配をされていた様だ。


「心配をかけていた様で申し訳ありません、ですが、その件についてはもう大丈夫ですよ。」


と、父さんに応えてから、フィーの方へと目を向けると、彼女は優しく微笑んでくれた。


その様子に、父さんも何かを感じ取ったのか、表情を緩めていた。


「でも、この遺跡は確かに興味深いですね、もし父さんが許可してくれるなら、僕なりに調べて見たいのですが良いですか?」


そう言うと父さんは嬉しそな顔をして、それなら、「この鍵はリュシルに預けておく」と言って鍵を渡してくれた。


「どうする? このまま調べて行くか?」


「・・・いえ、調べるのであれば色々準備をしてからの方が良いでしょう、それに、父さんもまだ仕事が残っているでしょうから・・・。」


少し逡巡した後、そう答えると、父さんは凄く残念そうな顔をして「え~もう帰るのか~」と呟いていたけど、もしかして仕事さぼりたかっただけだったとか・・・。




3人で再び入り口まで戻って来ると、父さんは扉の近くに有った机の引き出しより幾つかの資料を取り出し、手渡して来た。


「今まで調べた事を纏めた資料と、ここの坑道図だ、遺跡の場所までの行き方だが・・・。」


「坑道の床に有った白い線に沿って進んで行けば良いのですよね?」


父さんの言葉にそう答えると。「なんだ、気づいていたのか」と少し感心した様に呟いていた。


坑道の床には白い線が引かれていて、分岐でもその白線に沿って父さんは進んでいたから一目瞭然なのである。


「なら、大丈夫だと思うが、他の坑道の先は危険な場所もあるから、気をつけるんだぞ?」


そう言って父さんは僕の頭に手を置き撫でて来た。


「はい、分かりました・・・。」


う~ん、中身良い歳したおっさんだから、父親とはいえ同じおっさんに頭を撫でられても余り嬉しくは無かった・・・。


まあ、空気を読んで大人しくしてたけどね。


少し渋い顔をしていると、「ハハ、子ども扱いは嫌だったか。」と言って、手を放してくれた。




父さんと別れた後、資料を収納庫にしまい必要になりそうな道具を準備する為にフィーと共に屋敷へと向かった。


本格的に調査するのは、明日からにするつもりだ、それまでに、資料にも目を通して置かねば。


夜部屋に戻った後、資料を取り出し最初のページから内容を見ていく。


その内容としては、あの遺跡が見つかったのは4代前の領主の時代、旧坑道での鉄鉱石の採掘量が減った事により、新しい鉱脈を見つけるために、坑道を拡張していた時に発見されたらしい。


しかしその時の領主は、遺跡を発見したら直ぐに王都へ報告すると言う取り決めを破り、発見した遺跡の事を王都に報告しなかったらしい。


恐らく報告を行うと王都より調査団が派遣され、その間坑道は閉鎖されてしまい採掘が出来なくなり、新しい鉱脈探しも出来無くなると考えたのだろう。


しかし人の口に戸は立てられないのか、王都側にばれてしまい、その領主は爵位を取り上げられ屋敷の一室に幽閉されてしまったらしい。


そうして、元領主の叔父に当たる人物が代わりに爵位を受けこの領を治める事になったらしい、噂では、この叔父が遺跡の事を王都にばらしたのでは無いかと言われているらしい。


この新領主は、遺跡調査の間の税の免除と、その間に採掘で出る利益分を王都側からせしめたらしい。


これだけ聞くとなかなかやり手の人物に見えるがここからが悪かった。手に入れたお金を自分の事だけに使い、領の事を何もせず豪遊していたらしい。


領が傾くほどだったとか、それに切れた領民が決起して、幽閉されていた元領主を助け出し、新領主を追い出した。


その後、元領主はドワーフ族の知人を頼り、新しく坑道を掘り進め、ミスリル鉱脈を発見し、この領を今の規模まで大きくして、その功績を認められて、子爵位を与えられたらしい。


調査団は、暫く調査を行った後、何も解明出来なかったとして、旧坑道を閉鎖封印指定にしたらしい・・・。


かなりの量の内容だったが纏めるとその様な内容だった。


うむ! 遺跡の事が何も分からん! これでは、旧坑道の歴史だよな・・・。


次のページを捲ると、”ここまでが、旧坑道閉鎖の真相である、遺跡の調査内容とは関係無いので、呼び飛ばしても大丈夫である。”と、書かれていた・・・。


俺は、資料を閉じると。スッパァァァァンと、良い音を響かせて机に叩きつけ、”初めに書いとけよ!!!”と心の中で盛大に突っ込んでいた。


その音に、香茶の替えを淹れようとしていた、フィーがビックゥゥと驚き、「な、何か不手際が有ったでしょうか?」と涙目になっていた。


慌てて、フィーは悪くないからね!?と慰める為に、魔力循環を暫く行う破目になった。


あ、魔力循環と言うのは、フィーに魔力を認識させる為に起こった訓練法なんだけど、事あるごとに魔力を流すやつとか、魔力を循環されるやつとかいって、求めて来てたので、名称を決めました。まあ、それ自体は訓練にもなるから良いんだけどね。



満足そうにニコニコしているフィーを横目に、資料の続きを見て行く事にした。


資料の続きには、遺跡の調査内容と結果が書かれていたが、遺跡の正体にについて、何も分からなかったと言う事が分かった。


遺跡の年代はどの様な測定方にも反応せず不明。


壁面の材質は、金属の様であり陶器の様であり生き物の様で有ると書かれていた。強い力で叩いても凹みすら出来ず、剣で斬り付けても傷一つ付かなかった様である。


辛うじて、特殊な工具で、小さな傷をつける事が出来たが、その傷も見ている間に塞がってしまい、後も残らなかった。扉も同じ素材であるらしと書かれていた。


ううむ、記憶の中にあるあれと同じ素材と思われるな、しかも修復機能が生きているのか、それだともしかすると・・・。


次に、扉の横には10cmX10cmのパネルがあり、そこに触れると古代文字が表示されるが最初の数回は色々な文字が表示されていたがその後は同じ文字しか表示されなくなった。


その後も様々な調査が行われたが、何の成果も出なかったと書かれていた。


そうして、その結果から、この遺跡は神の時代の遺跡であろうと判断され、封印指定とされた様で有る。


他の国にも似たような遺跡があることから、そう判断された様だ。


最後まで、読み終わり資料を閉じると、それを見計らった様に、フィーが香茶を出してくれた、ありがとうと礼を言い一息つく。


ふむ・・・。調査を行ったのが100年以上前となると、今も機能が生きているかは怪しいが、もし生きていれば、扉を開ける事が出来るかも知れないな・・・。


生きて居なくてもなんとか出来るが、こちらにある道具で代用出来る物があれば良いけど。


まずは、明日遺跡に行ってその調査結果次第かな。



一つ懸念があるとすると、フィーの事か・・・。彼女なら、調査にも絶対付いて来るだろうからな。


この遺跡の調査で、俺が過去の記憶がある転生者だと知られるのは極力避けたい。


もしその事を知られた事によって、フィーから拒絶されたらと思うと怖くて仕方が無い、それほどまでに、彼女との関係が近くなりすぎてしまった。


でも、遺跡の事を確認せずには居られない・・・、なぜこの世界にあんな物が有るのか、それを調べれば、この世界に転生した理由も判るかも知れない。


・・・、もし、フィーに拒絶される様なら、この国を出るか・・・、そうして何処か別の国の片隅で一人静かに暮らして誰に知られる事無く死んでいくのも良いかも知れないな・・・。


「・・・嫌・です・・・。」


ん? フィーが何かを呟いたため、そちら見ると、そこには目から涙を流す彼女の姿があった。


「ど、どうしたの? な、何かあったの!?」


俺はあたふたとしながら、慌ててフィーの傍に行く。


「い、いえ・・・、良くは解らないののですが、リュシル様を見ていたら、何処か遠くに行ってしまいそうで、消えて無くなってしまいそうに思えて、急に悲しくなってしまいまして・・・。」


そう言ってフィーは「そんな事有る訳ないですね。」と、涙を拭いながらはにかむ様な表情を見せた。


うぐ、こ、この攻撃はずるいな・・・、これでは俺の方がフィーから離れられなくなりそうだ。


しかし・・、よく考えている事が分かった物だ。フィーは感知能力が高い様だから、何かを察したのかも知れないな。


「大丈夫、フィーに黙って居なくなったりしないよ。だから安心して。今日はもう遅いからそろそろ寝ようか?」


頭を優しく撫でてあげながらそう言うと「はい・・・。」と頷いていた。


「そんなに心配なんだったら、今日は手を繋いで一緒に寝るかい?」


冗談めかして言うと、「だ、大丈夫です。で、ではおやすみなさい。」と言って、真っ赤な顔をして物凄いスピードで出て行った。


その姿を優しく見つめ、これで少しは気が紛れれば良いんだけど・・と呟いた。




その頃のフィーさんは・・・。


「あぅ・・、急に言われたから混乱して飛び出してしまったですぅ・・。せっかくリュシル様と一緒に寝れたかもしれないのにぃ。し、しかも手を繋いでなんて・・・。」


と、落ち込んだり、湯気が出るくらい顔を赤くしたりと、忙しくベッドの上で悶えているフィーさんであった。


さっきの事はすっかり忘れている様なので、ある意味良かったのか・・・な?




次の日の午後、「リュシル探検隊出発~」の掛け声で、フィーと共に遺跡の前にやって来る。


そこには昨日と変わらず、一面の白い壁と、真ん中に小さな扉があった。


今日も昨日と同じ服装で来ている、今日は帽子も持ってきた、サファリハットが無かったので、ハンチング帽になったけど・・・。


逸る気持ちを押さえつつ、ゆっくりと壁に触れてみる。少し暖かい・・・。


そうして、軽く叩いたりしてみたが、やはりバイオセラミックで間違いなさそうだ。


バイオセラミックは、特殊な加工をする事によって、その形状を記憶していて、変形や破損しても、元の形へと自動的に修復する機能を持っているのだ。ただ、大きな破損には特殊な餌が必要になるらしいけど。


バイオセラミックの特徴はそれだけでは無く、衝撃や圧力を加えると、それによって、発電すると言う特徴がある。それを利用する事によってバッテリーに充電して利用したり、電力の消費を押さえたりできる。


そのおかげで、バイオセラミックの寿命は千年とも2千年とも言われている。



今度は、扉の横のパネルを確認しようとしてみるが・・・。


「く・・見えない・・・。」


背伸びをしたりジャンプしたりしてみたが良く見えなかった。


パネルの位置は地面から130cmぐらいの位置にあり、辛うじて手は届くがパネルの表示が全く見えなかった。体は5歳児だからね・・・。


ふと何時もなら抱き上げましょうか? と聞いてくる人が静かなので、見てみると、なぜか悦に入った状態でこちらを見ていた。


そうして、目が合うと、コホンと咳払いを一つして。


「リュシル様、何か御座いましたでしょうか?」


と、何事も無かったかのように言った。


「い、いや、何時もなら、抱きあげましょうか? って聞いて来そうなのに静かだったからどうしたのかな? って」


そう言った途端、フィーはハッとした表情をして、しまったとばかりに両手を地面について落ち込んでしまった。ちょ、手と服が汚れるから立とうよ。


「で、では、改めましてリュシル様、フィーが抱っこでも・・・・。」


「いや、台を持ってきたから大丈夫だよ。」


一瞬の後に立ち上がったフィーが言葉を言い切る前に、そう答えてパネルの前に、収納庫から取り出した木箱を逆さまにして置いた。


後ろでは、フィーが再び崩れ落ちていたけど、まあ、しばらくそっとしておこう。


木箱に上ると丁度良い位置にパネルが見えた。


恐る恐るパネルに触れるとパネルに明かりが点灯し『 locked 』の文字が表示された。


懐かしい文字・・・、前の世界では毎日の様に見ていた文字がそこに表示されていた。


後ろを見てみると、すでに立ち直っていたのか、近くに来てその様子を見ているフィーがいた。


覚悟を決めて、パネルに何度か触れる、やはりと言うか他の文字は出てこない、これは、最初の調査隊が操作方法を間違えた為に、セキュリティロックが掛かってしまっている事で間違いないな。


今度はパネルの四隅をある順番で触れていくすると、文字が変わり『 Maintenance mode  password:* 』と表示され、その下に文字列が表示された。


内心でよしっとガッツポーズをして喜んだ。その表示の変化にさらに、フィーが近づいて来た。


次に文字列に触れてパスワードを入力してEnterに触れると次のメニューが表示される。更にフィーが近づいてきた。あれ?フィーさんなんか近づきすぎでないかい?まあいいけど。


そうして出て来たメンテナンスメニューより、ドアの開閉テストを選択してみるが、エラーの表示と共にセキュリティロックの表示が出ていた、勿論扉も開かなかった。


ふむ・・・、まあ、予想どうりかな? セキュリティロック中はパネルからの開閉操作は一切受け付けなくなるのだ。


では、もう一つの方法を試すとしようか。


今度はメニューよりメンテナンスボックス開閉テストを選ぶと、ガチャと言う音が足元の方から聞こえて来た。


それを確認しようと台から降りる為に後ろを振り向こうとした、そこには、いつの間にか、顔のすぐ横にまで近づいていたフィーの顔が有った、必然的に後ろを向くために顔を横に向ける事となり、俺の唇とフィーの頬が接触する形となってしまったのだ。


うわ! びっくりした~ ここまで近づいていたとは気づかなかった。操作に集中し過ぎてたかな。


謝ろうとすると、フィーがそのままで固まっていた、そうして、手をそっと頬まで持ってくると、顔を真っ赤にして、あわあわと慌てだした。


「ちょ、フィー落ち着いて、ただの接触事故だから、ノーカン、ノーカンだって、そうだ、オークにでも噛まれたと思って・・・。」


「リュシル様以外とは嫌です、後、ノーカンも嫌です。」


と、冷静に返されてしまった。う、うぃ、フィーさんがそれで良いのなら・・・。



えっと、何をやろうとしてたんだっけ? そうだ、メンテボックスの確認だ。


台を収納庫にしまい足元の壁を見てみると、その一部が20cmX20cmの大きさで手前に開かれていた。


その中は、大きなレバーが一つと何かを差し込む様な穴が開いていた、そのほかには、動作チェック用のコネクタを差し込むための端子がいくつも有った、そして、開いた部分にはL字のアームの様な物が付いていた。


俺はそのアームを取り外すと穴に差し込み、大きなレバーを力いっぱいに押し下げる、するとガチャリと何処かから音がした。


その迷いの無い動きに、フィーは驚いた様な表情をしていた。そう、この時俺はこれから起こる事を全く想像出来ていなかった。


アームの頭を持つとそれを回していく、するとそれに合わせて、中央に有った扉がゆっくりと動き始める、まず扉は奥の方へと数センチ動きその後横にスライドしていった。


その時、中の方が気圧が高かったのだろう、外に空気が勢いよく流れ出て来た、その風を顔に受けてしまい、それを避けるために後ろに顔を向けるとそこには、驚いていた事により反応が遅れてしまったフィーのスカートが捲れ上がった姿があった。


小さな悲鳴と共にスカートを押さえ顔を赤くしてこちらを睨むフィー。


「わ、わざとじゃないですよ?」


「もう、本当にリュシル様はスカートの中を見るのが好きなんですから。」


「いや、あの、フィー誤解だからね? スカートの中見ようとしたんじゃないんだからね?」


うわ~なんかすごい既視感がする~。


なんか俺呪われてるのかな・・・。因みに今回、スカートが短くなった影響なのか、ドロワーズも短いものになっていた。太腿が眩しかった。





風も落ち着いたので、アームを更に回し扉を完全に開く。


そこには人が通れる程の通路が奥に続いていた。


何が出て来るのかワクワクしながらフィーと共に中に入り通路を進んで行く。


10m程進むと開けた場所に出た様だ。


中は真っ暗で何も見えなかったが、かなりの広さの空間が有る様だ、ランタンの明かりでは、奥まで見渡せなかった。


因みにこのバイオセラミックは魔力感知にかからないようで、そこには何も無い様にしか見えなかった。


そこで俺は通路から出た直ぐの壁に有るであろうある物を探す。ランタンを持ち壁を見ていくと、それは直ぐに見つかった。


そしてそれを全て押して行く、すると回りが昼の外の様に明るくなった。


一瞬目が眩んでしまい慣れるまで少し待ち。


慣れて来た目で中を見回すとそれはそこに存在していた。



おお・・・と、その威容に感嘆の声を上げると共に何故ここに? と疑問も浮かぶ。


「カグラ・・・、なぜこの艦がここに有るんだ・・・。」


辛うじて絞り出したその呟きに応えられる者は誰もいなかった。




投稿遅くなり申し訳無いです、仕事の関係で家に帰って来ても、疲れて寝落ちが続いていました。

内容についての補足ですが、文中で出て来る、バイオセラミックは実際に有りますが、違う物です名称が気に入ったのでこの名称にしています。次話は早く投稿出来るかな・・・。

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