表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
31/34

お風呂が完成したよ

この物語は異世界のお話です、現実の物理法則とは違う法則で動いております。

その辺を留意してお読みください。

幕間的なお話になります。

ちょっとあれな表現が出てきます。注意して下さい。




そこには、その身を血で染めるフィーリアがいた。


そして、その足元には、血溜まりに沈む主であるリュシルの姿が有った。


「リュシル様ぁぁぁ!」


彼女の悲痛な叫びが響き渡るのだった。








「ふっふっふ、遂に完成した! 念願のお風呂が遂に完成したぞ!」


「おめでとうございます、リュシル様。」


俺の喜びの声に、そんな俺を見て嬉しそうにしながら、フィーがお祝いの言葉をくれた。


そう、遂に完成したのだ、念願のお風呂が! ブライトウェル工房に頼んでいた幾つかの魔道具の内の一つが完成し、それを組み込んで完成した物が、今、目の前にあるちょっとした倉庫位ある建物だった。


残念ながらこの一棟だけの理由だが。元々この国では、お風呂に入ると言う習慣が無く、普段は大きなタライの様な物にお湯を張って、そこで体を洗うだけと言う物だった。


たまに、カグラの設備を使って湯船に浸かったりしていたのだが、余計に毎日お風呂に入りたい気持ちが膨らんでしまった。


ずっと我慢してきたけど、やっぱり、毎日たっぷりのお湯にゆっくり浸かりたいと思っていた。


無理を言えば大きな桶でも用意して、そこにたっぷりのお湯を張る事も出来るだろうけど、別の所でお湯を沸かして、お湯を持って来る作業はかなりの重労働になってしまう。俺の我儘でそれを無理強いしたく無かったから、今まで我慢してきたのだ。


だが、今後は自重しないと決めた今は、お風呂が無いんなら作っちゃえって事で、お風呂用の建物を立てちゃいました~。


本当は、銭湯の様な男女別々の大きなのを作りたかったんだけど、父さんに許可を貰いに言った所、流石に今までお湯に浸かる習慣が無い所に急に作っても、皆が使いたがるか分からないと言う事で父さんに止められてしまった。


因みに、父さん達は、旅をしていたころに湯治場にある温泉に入った事が有るそうで、お風呂と言う物がどう言う物か直ぐに理解してくれた。でも、流石に他の人が直ぐに受け入れてくれるかは、やって見なければ分からないと言うのが現実だった。


なので最初は、この一棟で様子を見る事にした。一棟しか無いから混浴にでもするのか? と、言う訳では無く、時間帯によって分ける事にした。


取りあえず今日は完成初日なので、身内のみでまずは体験してみようと、言う事になったのだ。


が、今ここに居るのは、俺と弟のアル、妹のシルヴィ、そして、フィーとマーサの5人だけだ。父さんは公務の関係で夜まで時間が取れない、との事で。母さんは夫が公務で入れないのに、妻だけ先に入る事は出来ないと言う事だった。


それなら、夜にみんなで入ろうかと言ったが、楽しみにしてたんだから先に入ってらっしゃいと送り出されてしまった。因みに夜に夫婦水入らずで入る事にしたらしい。一応、姉ズの二人は今頃は王都の学園で勉強に励んでいる事だろう。


と、まあ、細かい事は後にして、今は兎に角お風呂に突撃だ!


「アル、シルヴィ行くぞ!」


「あ、待ってよ兄さん。ほらシルヴィ行くよ。」


俺は掛け声と共にお風呂場の入り口のドアを開く、その後ろをシルヴィの手を引いたアルが続いた。


脱衣所へとやってきた俺達は、服を脱ぎ湯浴み着へと着替える。何故湯浴み着を用意したのかと言うと、今まで公衆浴場とかも無く裸の付き合いなどした事が無い者が、いきなり裸で人前に出ろと言われても抵抗が有るだろうと考えたからだ。シルヴィは、フィーとマーサに着替えさせて貰った。


因みに、フィーとマーサは俺達が出た後に入って貰う予定だ。それまでは脱衣所に併設されている休息所で待っていてもらう事になる。


この休息所も中には簡易ながらも調理場が付いているので、お茶を入れたり出来、こちらも今回作成して貰った魔道具の一つ保冷庫が設置されており、飲み物を冷やして置けば風呂上りの一杯なども楽しめる様になっている。簡易ベッド等も設置されているので仮眠を取る事も可能だ。まあ、二人でお茶を飲みながらまったりして貰えば良いだろう。保冷庫には新作のチーズケーキが入っているからね。


フィーとマーサを残し、俺達はお風呂場のドアを開く。


「わぁ、ひろ~い。」


「へ~、思ってたよりずっと広いんだね~。」


いつもは、余り感情を表には出さないシルヴィが珍しく年相応の表情で目をキラキラさせていた。アルも想像していた物よりも広かった事に驚いている様だ。


そこには、10人ほどがゆったりと入れるぐらいの広い浴槽と、同じぐらいの広さの洗い場が有った。


さっそくお風呂に突撃しようとするシルヴィを止め。湯に浸かる前にはまず体を洗わなくちゃだめと、説明するが納得しなかったので、俺とアルで強制的に体を洗ってやった。最初はぐずっていたシルヴィも体中を石鹸で泡だらけにしてやったら面白いとはしゃいでいたよ。

体を洗い終わって今度こそシルヴィはお風呂に突撃して行った。滑って転ぶなよ~。まあ、一番風呂はシルヴィに譲るとしますかね。


さてと、俺達も体を洗って湯に浸かるとしましょうかね。


「リュシル様、お背中流しますね。」


「ああ、うん、お願い。」


丁度良かった、背中どうやって洗おうか迷ってたんだよね。アルに頼もうかと思ってたけど。フィーが洗ってくれるみたいだから、お願いしちゃおう、って、フィー!? なんでここに居るの?!


「フィー!? なんでここにいるの?!」


「主のお背中を流すのは、従者の務めですから。」


えらく大人しく休息所に行ったと思ったら、こんな事企んでたのか。ああ、マーサがアルの背中を流しに迫っている、アルが驚きの余りあわあわしちゃってるよ。


だ、だが、これくらい想定の範囲内さ、突然だったから驚いちゃったけどね。こういう事も有るだろうと、湯浴み着を用意したのさ。フィー達も湯浴み着を着ているから、ちゃんと大事な所は隠されている、まだ慌てる時間じゃ無い。


「まあ、入って来ちゃった物は仕方が無い、背中を流すのは任せるよ。」


そうして、フィーに背中を流して貰うのだった。アルも諦めたのか顔を赤くしながら、マーサにされるがままとなっていた。


どうせならと、頭を洗うのも手伝って貰った。髪を濯ぐのがちょっと面倒だったからだ。シャワーはシャワーヘッドは良かったのだが、そこまでを繋ぐホース部分がこっちの資材では用意出来なかった。今度魔物の素材で使えるものが無いかしらべるつもりだ。


「ふう、さっぱりした。フィーありが・と・・・。」


フィーにお礼を言う為に振り返り、そして固まる。


そこには、跳ねた水飛沫で濡れてしまった湯浴み着が体に張り付き、体の線が浮き出てしまっているフィーがいた。


この湯浴み着は、透けにくい素材を選んだのだが。その分水を吸っても重くならない様にと生地を薄くしたのだけど、それが裏目に出てしまった様だ。


本人は気づいて無いのか、中が見えなければ良いと気にしていないのか分からないが、俺が固まっているのを見て、どうしたのかしら? と、小首を傾げていた。ああ、もう、その仕草が可愛いな。


アルを見ると、マーサのそのその状態に気づいた様で顔を真っ赤にしていた。アル、ここで鼻血を出すとシャレにならないぞ。おお、何とか耐えたか。って、アルの奴、鼻の粘膜に魔力強化を使ってやがる! 魔力強化で鼻血が出るのを防ぎやがった。あんな使用方法が在るとは・・・、俺もマネしとこ。


ふぅ、これで、よっぽどの事が無い限り大丈夫なはずだ。俺とアルは、何とか試練に耐え、お湯に浸かる事に成功した。


ん? 何故か、フィーとマーサは、俺達がお湯に浸かるのを確認すると浴槽の脇に佇んでいた。すみません、そこで佇まれると目のやり場に困ってしまいます。湯浴み着が体に張り付いちゃって、殆ど裸と変わりりません、大事な部分が透けて無いのが唯一の救いか。フィーとマーサ用の湯浴み着はもう少しデザインを考えた方が良さそうだな。胸と腰下周りにフリルの様な物を付けて体の線が目立たない様にするか。


「ふ、二人とも、そんな所に立ってないで、体を洗ってお湯に浸かりなよ?」


「いえ・・・、主と同じお湯に浸かるなど、従者としてあるまじき行為かと・・・。」


う~ん、何だろ? 今までなら、そこまで硬い事言わなかった気がするけど・・・? ああ、そうか、今はアル達が居るからか。


「フィーもマーサも、もう家族みたいなものなんだからさ。そんな事気にする必要無いって。それに此処には俺達しか居ないんだからさ、こんな時ぐらい遠慮しなくてもいいんだぞ、アルもそれで良いよな?」


俺は二人に、立場なんか気にする事は無いと、そう告げて、アルにも同意を求めると、うんうん、と頷いていた。このままだと落ち着いてお湯に浸かる事も出来ないからね。アルも目のやり場に困っていた様だな。お湯に浸かって貰えばお湯で隠れるからな、目のやり場にも困らないだろう。


「お二人が、それで宜しいのであれば・・・。」


そう言って、フィーとマーサは体を洗い、お互いに背中を流し合うのだった・・・。あー、何だろ、湯浴み着を着ているとはいえ、女性が体を洗う処を目の前にすると何とも気恥ずかしくなってしまうな。


体を洗い終わった二人は、お湯へと浸かる・・・。あの・・、フィーさんや何で俺のすぐ傍に浸かるのかな? 近いです、肩が触れ合っています。マーサは、アルを挟んで反対側で、アルに寄り添っているし。全然落ち着けないよ、ゆっくり落ち着くはずのお風呂が、全く落ち着けませんでした。


そんな中シルヴィは、我が道を行くとばかりに、浴槽を泳ぎ回っていた。俺達だけの時は良いけど、父さん達と入る時はやめとけよ? 多分怒られるから。


ん? 何か漂って来た? 俺はそれを手に取ると子供用の湯浴み着だった。ちょっとシルヴィ!? 何湯浴み着脱いじゃってるの?! 幾ら家族だからと言って、異性のの前で無闇に肌を晒しちゃだめだからね!? シルヴィ曰く肌に張り付いて泳ぎにくかったから脱いだとの事。いやいや、そもそも泳いだりしなければ良い話だよね? はぁ、今度シルヴィ様に水着タイプの湯浴み着を用意するか・・・。


疲れを取る為のお風呂で余計に疲れた気がする。夜中に一人でコッソリ入りに来るか・・・。


まあ、色々有ったが、念願の広いお風呂に入れたから良しとしますか。そうして、程よく温まった俺達は風呂を上がる事にした。


浴槽から出て脱衣所に向かうが、浴槽の縁で石鹸を泡立てて遊んでいたシルヴィが上がろうとしない。


「シルヴィ様、余り長湯をされますとのぼせてしまいますよ?」


フィーが諭すように促すが全く言う事を聞かない。俺は、はぁ、とため息を吐くと、アルとマーサに先に着替えている様に言って、シルヴィの説得に向かう。俺には魔法の言葉が有るからな。


「シルヴィ、早く上がらないと、お前の分のおやつが無くなっても知らないぞ?」


その言葉で、「私の分食べちゃダメ!」と、叫んでお湯から勢いよく立ち上がった。おっと、幾ら妹とは言え、裸を見ちゃまずいからな。俺は直ぐに後ろに向き直る、湯浴み着はフィーが持っているのでフィーに着せて貰う予定だったのだ。


「あ!」


シルヴィのそんな声と共に、脱衣所へと一歩を踏み出した俺の足が何かを踏んだ感触と共に盛大に滑る。


「危ない! リュシル様!」


バランスを崩し勢いよく倒れる俺と俺を支えようと駆け寄るフィー。


「きゃ!」


フィーのの叫びと共に、彼女の奮闘むなしくもつれ合って倒れる俺達だった。


痛っー、何がどうなったんだ? 俺の口を塞ぐように柔らかな何かの感触と甘酸っぱい様な良い匂いに目を開けるとそこには、桃? 目の前には何故か白くて大きな綺麗な桃が、って、もしかして、これってフィーのお尻?! 


「もががもご」(何がどうなって?」


「ひゃん! リュ、リュシル様動かないで下さい。直ぐに上から退きますので。」


えっ?、これって、もしかして、口の上に乗ってるのって、フィーの大事な処? って、え? ちょっと待って、今腰を上げりしたら、フィーの大事な処が丸見えに?! あああ、遅かったよ、しっかり見ちゃったよ、フィーの大事な処・・・。ぴっちり閉じた縦線少しぶっくりとしていて柔らかそうでとても美味しそうだ。って、そうじゃない、フィーまだ生えて無いんだね。って、それも違ぁぁう。あ・・・、もう駄目だ。混乱の極みにあった俺はそこで限界に達した。行き場のない俺の猛りが全て頭に集まって来る。そして、プシュッと言う音と共に俺の鼻から噴き出した。


そこには、その身を血で染めるフィーリアがいた。


そして、その足元には、血溜まりに沈む主であるリュシルの姿が有った。


「リュシル様ぁぁぁ!」


彼女の悲痛な叫びが響き渡るのを聞きながら俺は意識を失った。その死に顔はとても幸せそうだったと言う・・・。









ポタッポタッとおれの顔に雨が当たる、その雨はとても暖かかった。


天国の雨って温かいんだな、そんな事を思いながら瞼を開くと、そこには黒髪の天使が居た。


ああ、ここはやっぱり天国なのか・・・。


でも、何でこの天使は泣いているのだろう? そう思いその天使の頬にそっと手で触れる。


その行為にハッとなった天使が俺を見て、そして、綻ぶような笑顔を見せてくれた。


うん、やっぱり天使には笑顔が似合うよ。


でも、何でこの天使はフィーにそっくりなのだろう? いや、きっとフィーそのものが天使なのに違いない。よし、この天使をお持ち帰りしよう。いいよね?


おっと、どうやら声に出ていた様だ。俺の天使が恥ずかし気に頬を赤く染めてらっしゃる、ああ、もう可愛いな~ぎゅっと抱きしめちゃえ~。


そうして、抱きしめると、俺の天使は湯気が出そうな程顔を真っ赤に染めるのだった・・・。


ハイ、そろそろ現実に戻りましょうかね。途中で気づいていましたさ。最初頭がぼうっとしてて、夢と思っていました。途中で気づいてやっちまったと思ったけど。引っ込みが付きませんでした。


すぐ横ではアルが薄らと顔を赤くして明後日の方向を向いているし、その傍らでマーサが顔を真っ赤にして、多分無意識にだと思うけど、アルの腕に手を絡めて寄り添ってるし。あ、その事に気付いて手を放して湯気が出そうな程顔を真っ赤にしている。


はっはっは、問題はそっちじゃない。この状況をどうやって誤魔化すかやね。フィーの事俺の天使なんて言っちゃったし。って、あれ? フィー? フィー!? どうやら、のぼせて気を失ってしまった様だ。お風呂から出た後にのぼせるなんて!? フィー意識をしっかり持つんだ!。


そうして、こっちでもあわあわとしている、アルとマーサの後ろでは、ホールで用意したチーズケーキの最後の一切れに手を出すシルヴィが居た。いや、マイペース過ぎるだろ・・・。






ちょいおまけ(ちょまけ)





翌朝、朝食後に父さんから呼び止められた。


「あ~リュシルな? あのお風呂は確かに気持ち良かったんだがな、あの湯浴み着と言う奴あれ何とかならんか? 母さんが着けて来たんだが水に濡れて、その、張り付いちゃってな、凄い事になっててな。下手な裸より興奮しちゃってな、父さん暫くぶりにハッスルしちゃってな。母さんとならまだ良いんだが、メイドが背中を流すのにあの格好で来られると、父さん我慢できるか自信が無いんだよだからもうちょっと何とかならないかな?」


うぉぉぉい、父さん息子に何てこと相談してるんだよ! はぁ、分かりましたよ、丁度フィー達の湯浴み着の件もあったから、そっちも用意してみますよ。それにしても、父さん元気だね・・・。









読んで頂きありがとうございます。

タイトルで既に、結果が分かっていた気がします。

暫くは幕間的な話が続きます。多分。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ