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底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
30/34

遊び道具販売を委託してみる

この物語は異世界のお話です、現実の物理法則とは違う法則で動いております。

その辺を留意してお読みください。





ヒュッと風を切る音と共に目標へと向かう通常の物より短い矢。


その矢は、こちらへと向かって来る体長2m程の猪に似た動物フォレストボアの右目へと突き刺さった。


「今です! アーベル様!」


刺さった矢によって怯んだフォレストボアを見て、少女の声が発せられる。


「分かった!」


こちらも、変声前の子供の声を発して、小さな影がフォレストボアの前に躍り出ると、手に持ったショートソードと思しき剣で、そのフォレストボアの首を切り裂いた。


大量に噴き出す血と倒れ込むフォレストボアをみて、こちらを振り向く。そのアーベルと呼ばれた少年は、褒めてと言いたげな顔でこちらを見るが・・・。


その瞬間、先程倒れたフォレストボアが再び立ち上がった。こちらを向いていたアーベルは直ぐには反応する事が出来なかった。


「アーベル様! 油断しては駄目です!」


その言葉と共に、再度飛来した矢がフォレストボアの脳天に突き刺さるが、分厚い脂肪と硬い頭骨により矢は脳には届かなかった様だった。しかし、それにより一瞬だが動きが止まる。


「そうだぞアル、完全に止めを刺すまでは獲物から目を離しては駄目だぞ?」


その声は、フォレストボアの傍らから聞こえて来た。


それと同時に、首と胴が斬り離されたフォレストボアが再び地に伏す。さすがのフォレストボアも首を斬り離されれば生きて居られない様だった。


「ごめんなさい兄さん・・・。」


しょんぼりと項垂れるアーベルを見て、兄さんと呼ばれた少年リュシルは焦った様子を見せる。


「あ~、だけど、最後は油断しちゃったけど、それまでの動きは良かったと思うぞ? マーサとの連携もバッチリだったぞ。」


その言葉を聞いて機嫌が良くなった弟を見てほっとする兄であった。さっきまでの威厳も何処へやらどうやら只の兄ばかの様で有る。所謂ブラコン・・・。


ガシッ!


「きゅ、きゅ~」(あ痛た、痛いです)


「それ以上先は言わない方が身のためだと思うぞ?」


「きゅきゅ~、きゅきゅきゅきゅ~」(マスター、ごめんなさい以後気をつけます~)







「兄さん? 急にどうしたの?」


「ああ、いや、何でもない、モコがお腹が空いた様だったから、もう少しでお昼にするから我慢しろって言っていただけだ。」


訝しげなアルに答えると、フォレストボアを収納庫へと仕舞う。


「リュシル様、近くには危険な生き物は居ないようです。」


周囲の確認を終えたフィーが、マーサを伴って歩いて来る。


「ありがとうフィー。それと、マーサも最後の一撃は良かったぞ、残念ながら止めはさせなかったけど、あの一瞬フォレストボアが動きを止めてくれたから、何とか俺が間に合ったからな、そうで無かったら、アルが怪我をしていたかも知れない。」


まあ、本当は、余裕で間に合ったんだけど、ここは、マーサの手柄にしておいた方が良いだろう。マーサも咄嗟の事とは言え、主のアルに対して強めの言葉を発してしまっていたからな。アルもマーサにお礼を言った事でマーサも嬉しそうな顔になったからこれで良かったのだろう。


そうして、お昼時になったので、何時もの河原へと向かった。



今日は、アルとマーサの連携を見る為に、魔物の森では無く、川の手前側の森へとやって来たのだ。


前回も来ていたのだがその時は、アルもマーサも緊張で、無駄に魔力強化を使っちゃってそれ所では無かったからな、最後はヘロヘロになっていたからな。かなりの進歩と言って良いだろう。


「二人とも大分戦闘にも慣れて来たみたいだから、後何回かは4人での連携を試して、問題無いようなら魔物の森へも行けるんじゃ無いかな。」


「兄さん本当に? やったーこれでこの前のリベンジを果たせるよ。」


いやいや、アルさんや、魔物の森には行くけどワイバーンを倒しに行くわけでは無いですよ? 


流石にアルもそこは分かっていた様で、あの時同時に襲って来たフォレストウルフに翻弄されていたのが悔しかったそうだ。まあ、今の実力なら、一人でも囲まれたりしなければ切り抜けれるでしょ。


そうして、何時もの河原へと出るとお昼にした。


今日のお昼は、フィーさん特製シチューかけごはんだ! なんと、お米を手に入れる事が出来たのだ、獣人の国の一部地域で栽培されている物らしい、うちの館の警備隊の副長さんが獣人でその伝で手に入れる事が出来たのだ。


残念ながらカレールゥはまだ出来ていないのでカレーライスはまだ無理だが、試しにシチューをかけてみた所、これがなかなか美味かったのだ。


アルとマーサもお米を炊いた物は食べた事があるらしいが、シチューをかけて食べるのは初めてとの事だった。


「!? これは・・・。」


恐る恐ると言った様子で口を付けた二人だったが。うん、両方とも単品で食べても美味しいけど、二つが合わさった時思わず納得してしまうほど合うんだよね。


そうして、あっと言う間に二人は食べ終わってしまった。そんなに焦らないでも誰もとったりしないぞ?

俺とフィーはそんな二人を微笑ましそうに見ながらゆっくりと食事を取るのだった。


モコまで、もきゅきゅもきゅきゅと言いながら食べていたよ。あ~あ、シチューで口の周りがベタベタだ。


「手拭を水に濡らして来ましょうか?」


先に食べ終わっていたマーサの言葉にお願いする事にした。


「僕も少し腹ごなしに素振りでもするかな。」


よっぽど魔物の森へ行けるのが嬉しかったのか、アルが立ち上がり素振りを始めた。まあ、俺とフィーはもう少しまったりとする事にするか。


ぼーとアルとマーサの二人を眺めていると川から強めの風が吹き抜ける。


「きゃっ!」と言うマーサの声と同時に、視界を覆うフィーの胸元そしてそのまま抱き寄せられてしまった。ちょ、フィーさん柔らかって、いや、そうじゃ無くて、目線を隠すだけなら抱き寄せなくても・・・、いや、俺としては嬉しいんだけどね。


そうして、風が収まった後、フィーが離れた先には、スカートを抑えるマーサとそれを見て固まるアルの姿が有った。そうして、ぽたぽたと鼻血を出すアル。あれ? 特訓のお陰で鼻血出さなくなったんじゃなかったっけ?


こっそり聞いて見たら、「な、なんか、透けてました。」との事だった。あー、魔力強化で細部まで見ちゃったのかー、しかもマーサさんのあれのレベルが上がっちゃってたかーそれは仕方ないなー。そうだったのかと、おれは遠い目をするのだった。


忘れられていたモコの口の周りは、かぴかぴになっていました、拭き取るのに一苦労しました。


その後、4人での連携を試し問題無い事を確認して街へと戻った。何故か戦闘中アルは、何かを振り切るかのように妙にハッスルしていた。何だろ? この既視感。






「あの、兄さん。今日は僕達も孤児院へ行ってもいいかな?」


街の通りを歩いているとアルがそんな言葉を発した。たしか、前回は疲れ切っていたから、先に屋敷へ帰したんだったな。小さな子供達を相手にするにはかなりの体力がいるからね。


「ああ、良いんじゃないかな。」


今回も、疲れてはいるだろうけど、まだまだ余裕は有りそうだからな。この辺もかなりの進歩だな。


俺の了承を得たアルは嬉しそうにしていた。そして、そんなアルの様子を見て嬉しそーにしているマーサ。うん、二人とも嬉しそうで何よりだよ。



そのまま4人で孤児院の有る通りへの角を曲がった所で俺は動きを止めた。急に立ち止まった俺を見て訝し気な顔をする3人を制して近くの物影へと移動する。


理由を聞きたそうにしている3人に、先に見て貰った方が良いだろうと、物陰から孤児院を見て貰った。


そこには、孤児院の入り口から中を覗き込む人物がいた。魔力強化を使っても人物を特定できないぐらい離れているので何とも言えないが、何だか妙に興奮しているように見えた。


それを見た途端飛び出して行こうとするフィーを取り押さえるのに苦労をした。取り押さえる時にフィーの胸を揉んでしまったのは勘弁してほしい、だって、身長差で両脇を抱えて取り押さえるとか出来なかったんだもん。しかし、フィーのそれが思ったより育っていた事には驚いた、どうやらフィーは着痩せするタイプの様だ。ただ、揉んでしまった時に艶っぽい声を出すのは辞めて下さい、まあそのお陰で暴走が止まったんだけどね。


まだ今の所中を覗いて興奮しているだけなので何とも言えないのだけど、事案が発生してからでは遅い訳で。ただ、この距離だと取り押さえる為に近づいてる間に気付かれてしまう可能性がある。そのまま逃げてくれるならまだ良いが、孤児院に駆け込んで子供達に被害が出ても不味いだろう。


と、言う事で、ここはモコに頑張って貰おうかと思う。モコなら気づかれずに近づく事も出来るだろうし、モコが一撃を食らわせて、怯んだすきに俺達が駆けよって取り押さえれば何とかなるだろう。


「モコ、突撃だ。」


「きゅきゅ!」


俺の突撃の指示に、シュタッのポーズを決めたモコが駆け出してゆく。固唾を飲んで見守る中、順調に近寄って行くモコ。


そして、後数メートルの所まで近づくとさらに勢いをつけて駆け出し、そして、一気に飛び上がるとその人物の大事な所に噛みついた。


「ぎゃー。」


そんな叫びを上げてその人物は仰け反る様にして飛び上がった。その瞬間駆け出す俺達4人、フィーは余程心配だったのか、先行してかけて行った。


そして、その人物をしっかり確認出来る距離まで近づいたのだが・・・、あれ? あの人ってもしかして?


その人物の正体に気付いた俺がフィーを止めようとしたが、時すでに遅く、フィーがその人物の腕を捻り上げ地面に組み伏せた後だった。


当然、そこまでの騒ぎとなると、孤児院の中にも聞こえる訳で、広場で子供達と遊んでいたローリエとマルメさんが何事かと慌ただしく駆けて来た。


「一体何が有ったの、って、フィー? それと、トーマスさん? 何がどうなっているのかしら?」


そう、今フィーに組み伏せられているいる人物は、幾つもの商家を束ねる大商家のトーマスさんだった。因みに父さんの冒険者仲間だった人物でもある。


彼は、以前孤児院での商家とのトラブルの時にも代わりとなる商家を紹介して貰ったりとお世話になった人物だった。それに確か、リース院長とも顔見知りのはずだが・・・。


「あ痛たた、わ、私にも何でこんな事になっているのか分からないのですが・・・。」


彼はフィーに組み伏せられ涙目になりながらも何とか答えるのだった。えーと、フィーさんやもう解放しても良いのですよ?


「いいえ、彼は、孤児院の子供達に欲望の眼差しを向け非常に興奮していました。たとえ知人であろうと看過する訳にいきません。」


フィーは子供達の事になると容赦がないからな。まあ、俺も子供達に危害を加える様な相手には容赦する気はないけどね。


その話を聞いたローリエとマルメさんが、蔑む様な視線をトーマスさんへと向ける。


「な! わ、私が子供達に欲望の目を向けてたなんて。は! ち、違います私が興奮していたのは子共達が使っていた遊び道具をみていたからです!」


あ~、トーマスさん必死だな・・・。でも、この流れでその言い方だと多分皆勘違いすると思う。


ほら、案の定皆、遊び道具で興奮する変な性癖の持ち主だと思って引いちゃってるじゃない。あ、でも、フィーも触っていたく無かったのかトーマスさんから離れたな。仕方が無いここは助け舟を出すか。


「あ~、皆。多分トーマスさんの言いたかった事は、珍しい遊び道具を見て、もしこれを商売として売りに出せば、幾ら儲けが出るだろうと想像して、その金額に思わず興奮しちゃったって所じゃ無いかな?」


トーマスさんはやり手の大商人だからね。と、付け加えて説明してあげた。その言葉にトーマスさんは、ぶんぶんと頷いていた。どうやら、合っていた様だ。でも、その、いくら何でも泣いて感謝される程じゃ無いと思います。


「一体、何事ですか!」


そんな、声が辺りに響き渡るのだった。騒ぎを聞きつけたリース院長が建物の中から出て来た様だった。


「本当に、何があったのですか?」


泣きながら俺に縋り付くトーマスさんとそれを引き剥がそうとするフィーリア、そしてそれを囲む様に困った顔の面々を見て、リース院長が疑問符を浮かべ小首を傾げながら呟いていた。あ、何か今の仕草ちょっと可愛いと思ってしまった。まあ、本人には言わないけどね。いい年した大人をからかうんじゃありませんと怒られそうだからね。



兎も角、少し落ち着いたトーマスさんを伴って、応接室へと案内されてやって来た。


今、この部屋にいるのは、リース院長、トーマスさん、そして、俺とフィーの4人だけだ。他の面々はおやつを渡しておいたので、子供達とおやつタイムのはずだ、アルとマーサは此処に来るのは初めてだけど、年齢も近いから直ぐに仲良くなる事だろう。


それにしても、なんで俺達まで? いや、正確には俺まで、か、トーマスさんがどうしてもと懇願してきたからなんだけど。フィーは何故かトーマスさんを警戒している様で、俺の傍から離れようとしなかったから同席している。俺とトーマスさんの間に陣取って、俺をトーマスさんから引き離そうとしている様で、フィーさんちょっとくっつきすぎです、俺の肩のあたりが凄く幸せな感じになっています。


そうして、それぞれ挨拶を交わし、リース院長とトーマスさんが配給に関する話を終えた後、この孤児院の話となり、そして、子供達が遊んでいた遊び道具の話となった。


「え! あの遊び道具は、リュシル君が持って来た物なのかい? 一体何処で手に入れた物なんだい?」


そう言って、詰め寄って来るトーマスさん。フィーが一生懸命手でガードしてくれなければ、目の前に迫られていた事だろう。


「あ、いえ、何処かで手に入れた訳では無くて、神代の頃の文献を調べていて見つけた物を少し手を加えて、子共達向けに作成した物なんです。」


迫り来るトーマスさんの暑苦しさに負けて、素直に応えてしまった。トーマスさん、普段は温厚で人当たりも良いのに、なんでお金儲けが絡んで来ると、あんなに暑苦しくなるのだろう?


「そうか、あれは、リュシル君が作った物だったのか。どうだろう、あれを、売り出して見ないかい?」


トーマスさんの言葉に少し考えを巡らせてみる。初めの頃だったら、断っていたかも知れないが、自重するのを辞めた今なら売り出して見るのも良いかも知れない。将来の事も考えて少しずつお金を貯めておけば安心だろう。ただ、こちらで、製造販売をするとなると大変だから、トーマスさんに委託する事になるのかな?


「そうですね、売り出す事自体は構いませんが、僕個人でとなると無理があるので、トーマスさんに委託すると言う形でお願い出来ますか?」


「おお、本当かい? そう言ってもらえるなら、僕の商会で製造販売等を引き受けるよ。」


最初からトーマスさんもそのつもりだったんだろう。話はすんなりと通ってしまった。


「なら、後は売上金の分配についてだが、製造費なんかを差し引いた後の金額を折半にするって事でどうかな?」


ええ、折半って言う事は半分て事だよな? 製造費なんかを抜いた売り上げが金貨10枚とかだったら、その半分金貨5枚が俺の取り分になるのか。でも、アイデアを出すだけでそんなに貰っちゃって良いのだろうか? 多分2割ももらえれば十分なような気がする、がっついても良い事が無いよな、自重しないと言っても限度があるよね?


「あ~いえ、僕はアイデアを出すだけなので、2割も貰えれば十分かと・・・。」


転生前の小市民君が出てしまうのでした。


「あ~リュシル君は商売人にはあまり向かないみたいだね、こう言う時は取れるだけ取らないと駄目だよ?」


トーマスさんは呆れた様な様子だけど、俺としてはそこまでお金に固執するつもりは無いんだよな、フィーと二人不自由無く暮らして行けるだけの資金があれば十分なんだから。


「ふむ、流石に2割だと、私が儲け過ぎてしまうからね。そうだね、せめて3割とかでどうだろう?」


あ~取れるだけ取らなくちゃだめとか言ってる割には、こちらの割合を増やすなんて、トーマスさんもお人好しなんだと思うな。


「分かりました、それでお願いします。でも、一つお願いしたい事が有るのですが。」


「ん? なんだい。私で出来る事なら何でも言ってくれて構わないよ?」


快く了承してくれたトーマスさんへ考えていた事を話して聞かせる。


「貰えるお金の3割の内の1割分を他の領地にある此処みたいな孤児院で、もし生活に困っている所があるなら、寄付と言う形で食料品や衣料品を届けてあげて欲しいんです。各地に傘下の商家を持っているトーマスさんなら簡単だと思うのですが。トーマスさんの商会の名前でって事にして構いませんので。」


「それは構わないけど、そんな事をして、リュシル君にどんなメリットがあるんだね?」


まあ、そうだろうね、普通なら何の見返りも求めずそんなことするはずないもんね。


「あ~まあ、純粋にそれによって、飢えに苦しんだり、寒さに震える子供達が一人でも減ってくれれば嬉しいかなって。それに打算が無い訳でも無くて、それによって助かった子供の中に有望なギフトを授かる子供もいるかも知れない訳で。そんな子供をトーマスさんが引き抜く時も恩を感じてスムーズに話が進むだろうし。トーマスさんの商会が大きくなれば、僕の元に入って来るお金も多くなるかなと。」


そう言って、俺は照れくさそうに頬を掻いた。


「君はやっぱり商売人には向いていないようだね。」


そう言ったトーマスさんの顔は先程までの柔和な笑顔では無く真面目な顔になっていた。


「商売人は基本的に目先の儲けにしか目が行かないからね、利益になるのかも分からない、そんな先の先までの事を見据えて行動する事はまず無いんだ。君はやっぱり領主の子共だって事かな?」


う~ん、これって褒められているのかな? その言葉を発した後、トーマスさんはいつもの柔和な笑顔へと戻ると、「ただ、あのエルンストから君の様な息子が生まれたってのが信じられないけどね。」と、付け加えていた。


そうして、話が終わった様なので、サンプルとなる予備や自分たちで遊ぶ分として持っていた遊び道具を一式、遊び方の説明書と一緒にトーマスさんに渡して、子供達の晩御飯の準備の為に部屋を後にしようとした所で。


「あー! そうだった、肝心な事を忘れていた。リュシル君、屋敷の厨房に設置されていた魔力コンロと言う魔道具は君が発注して設置したって聞いたんだけど間違いない?」


俺はその言葉にそうですと頷きを返す。


「良かった、エルンストの奴に聞いたら、リュシル君が設置したから本人に聞けっていって何も教えてくれなかったんだよ、それで、何処にいるか聞いたら、もう少ししたらこの孤児院へ顔を出すはずだからって、全く友達甲斐の無い奴め。」


そこまで一気にまくしたてると一息つくトーマスさん。ちょっと顔が近いですよ? ほら、フィーが間に割って入って押しのけている。


「魔力コンロがどうかしたのですか?」


「ん、ああ、そうだった、あの魔力コンロを発注した工房を教えてくれないか?」


ああ、そう言う事か、トーマスさんは魔力コンロを見て、あれは売れると思ったんだろう。それで、何処で作っているのか知りたい訳か。まあ、俺がその開発者の一人だと言う事は黙っておこう。


「たしか、工房道りにある、ブライトウェル工房と言う処ですよ。」


「何? ブライトウェル工房だって? ヴェルの所の工房じゃないか。エルンストめ、知ってて黙ってやがったな。まあ、良い、そのお陰で有意義な商談が一つ纏まった訳だしな、今回は許してやろう。」


トーマスさん話し方が段々素に戻って来てる様ですね。全く父さんは相変わらずだな。まあ、こっちも思っても無かった商談が一つ転がり込んで来たのだから許してやろう。


「ありがとうリュシル君、私はさっそくヴェルの所に行って来るよ。また今度ゆっくり話をしよう。では、リースさんもお体に気を付けて、もう歳なんですから無理をしないで下さいね。それじゃあ。」


そう言ってトーマスさんは跳び出して行った。なんて騒々しい人なんだろ。


「そう言えば、リース院長ずっと静かでしたけど、どうかされたんですか?」


「はぁ、いや、どうも私は奴の事が苦手でね。金儲けが絡んだ時のあの暑苦しいのがどうしてもなじめないんだよ。」


リース院長に此処まで言わせるとは、トーマス恐ろしい子。


トーマス氏を見送った後、子供達の為の夕ご飯を作りに厨房へ向かうのだった。因みに孤児院にも魔力コンロを導入済みだったりする。



そして、今日の夕ご飯は、子供達からリクエストのあったハンバーグだ、だが、普通に出したのでは芸が無いので、パンズで挟んだハンバーガー風にしてみた。


葉野菜とスライスしたトマト、目玉焼き。そして、スライスチーズが無いので熱々のハンバーグの上に削ったチーズをたっぷりかけてある。普通サイズだと子供達には大きいので、小さめサイズの物を3個用意させていただいた。味もそれぞれ違うぞ。


後はフライドポテトとオニオンリング揚げ、つくね団子入り野菜スープと良く冷えた果実水だ、ハンバーガーセット風にしてみたよ。


そうして、キラキラと目を輝かせる子供達に配って行ったよ。なぜかその中に同じように目をキラキラさせているアルが居たのだけれど。まあ、子供達と仲良くなれた様で良かったよ。


皆の食いっぷりを眺めながら、こちらは大人サイズのハンバーガーにかぶりつく、あ~平和だな。


所で、男の子の何人かが鼻に詰め物をしている様なんだけど、後、3人程頭にでっかいたん瘤作っている様なんだけど・・・(その内の一人はヨーンだったりする)。マーサは何故か落ち込んでるし。まあ、その辺のフォローはアルがやるだろうし、気にしないでおこう。










読んで頂きありがとうございます。

この後暫くは、幕間的な短めなお話になるかと思います。


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