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底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
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この世界の事や自分自身の事を考えて見る


そこは何も無い空間だった・・・


白い空間、そこで俺の体は少しずつ分解されていった・・・


痛みも何も感じない・・・


そうして全てを分解されて俺の意識は途絶えた・・・





俺はゆっくりと瞼を開く。


そこには、心配そうに顔を覗き込むフィーリアの顔があった。周りには父さん達の顔もあった。


後頭部に柔らかい感触、どうやら俺はフィーリアに膝枕をされて、長椅子に寝かされていた様だ。


俺が目を覚ましたため、ほっとした様な顔になるフィーリアと父さん達。


「お加減はどうですか?どこか痛い処はありませんか?」


フィーリアの声に俺は答える事が出来なかった。


今、俺の頭の中は色々な事が巡っていて、かなり混乱していたからだ。



俺が黙っていると。


「あ~、リュシル。その・・、な?、ギフトなんて無くても人は生きていけるんだ、


 ギフトと関係無い事で偉業を成し遂げた人は、いくらでもいるんだ、だから、そのぉ、そう気を落とすな?」


父さんはそう言って慰めようとする。父さんそれ・・・余計落ち込むかと・・


どうやら父さん達は、俺があまりのショックで気を失ったと勘違いしている様だ。


「いえ・・、大丈夫ですよ。寝不足だったので貧血で倒れてしまったのでしょう。」


体を起こしながらそう答える。



「でも・・まだ少しふら付くので、自分の部屋で休ませてもらいますね?」


「あ・ああ、そうだな、無理をせずに少し休んだ方がいい。」


フィーリアに手を貸してもらい立ち上がり。父さん達と出口へ向かう。


心配なのか司祭様も出口までついてきた。



司祭様と挨拶を交わし馬車に向かおうとした所で司祭様から声をかけられる。


「リュシルや、ギフトはその者に適した物が女神より授けられるのじゃ、必ず何か意味があるはずじゃ、良く考えるのじゃぞ」


「・・・はい、ありがとうございます。」


司祭様に答えて馬車に乗り込む、帰りの馬車の中では皆黙ったままだった。



屋敷に戻って来た俺は、父さん達と別れて自分の部屋へ向かう、今の時間姉弟達は、座学の時間の為顔を合わせずに済んだのは幸いだ。


きっと顔を合わせると、いろいろと聞かれて一人になる事が出来なかっただろうから。



フィーリアと共に部屋に戻り、ベッドの縁に腰をかけ、ふぅ・・と息を吐く。


フィーリアは心配そうな顔で俺の近くで静かに佇んでいた。



「ごめん、フィーリア少し一人にして貰ってもいいかな?」


そう言った時のフィーリアの顔は、物凄く悲しげで今にも泣き出しそうな顔をしていた。


何かを言いたそうに口を開きかけたが、その言葉を飲み込み。


「はい・・分かりました。でわ、何か御座いましたらすぐにお呼び下さい。」


と、一礼をして部屋から出て行った・・・。


本当にごめん・・・俺は心の中でフィーリアに謝罪をした。



一人になった俺はベッドに横になり今の現状を把握しようと考えを巡らせる。



俺の名前は、リュシル・クロノーツ、5歳、父さんはエルンスト・クロノーツでここクロノーツ領の領主をしていて、母さんはイレーヌ、そして姉が2人と弟と妹が1人ずつ、俺は長男で、後継ぎで、ギフトを授かれば、父さんの役に立てるんだと期待していた・・・。


ここまでは、問題ない。問題なのは頭の中にあるもう一つの記憶?


比嘉 透、27歳、4人兄弟の末っ子で、軍に所属していて、配属先に向かう途中のシャトルで事故がありそこで記憶が途絶えている・・・。


どうしてこんな記憶がある?



いや・・・多分何となくわかっている。ステータスに記載されていたあの称号・・・。


俺は、ステータスと念じると、頭の中に、文字と数字が流れ込む。


そして、称号の項目にある文字 ”転生者”・・・。



やはり、そうなのか、どうやら俺はシャトルの事故で死んでしまい、この世界でリュシルとして生まれ変わったと言うわけか。


そして、記憶が無いまま5歳まで育ち、何かのきっかけ・・・いや、おそらくギフトを授かったのがきっかけで記憶が蘇ったのだろう。



・・・まあ、事故で死んでしまったのなら仕方ない、まだ遣りたい事も沢山あったが。


転生して別の人生を歩めるのだから、悲観することも無い。


こっちの世界で楽しく生きて行ければそれでいいだろう。



そこで、俺は、体を起こし一息ついた。



コン コン と扉をノックする音。


「リュシル様、そろそろ昼食の時間になりますが、いかがいたしますか?」


扉の外から、フィーリアの声が聞こえた。もうそんな時間か。


「食欲が無いからお昼はやめておくよ、僕の事は気にせずにフィーリアは昼食に行っておいで。」


このままだと、フィーリアも昼食を取らなさそうだったので、一言付け足しておく。


「・・・はい。では、失礼いたします・・・。何かありましたら、すぐにお呼び下さい。」


返事に少し間があったけど・・・。立ち去る気配はあったので、大丈夫だろう。



俺にはもう一つ気になる事があったので、そちらに意識を戻す。



それは、今いるこの世界の事だ、生まれてから今日までの間で学んだ事や体験した事と、今回のギフトやステータスの事。


それらを加味して、俺はこの世界の事を知っている?。


いや、それは正確ではないか・・。


そっくりな世界観を知っている、が正しいだろうか。


前の世界で良くプレイしていた、セブンワールドオンラインと言う感覚変換型VRを使ったオンラインゲームがあったんだが。


その世界観やゲームシステムとそっくりなのである。


セブンワールドオンラインには、7つのワールド、世界がありそれぞれが独自の進化をした世界観を持っていて、プレイヤーはその内の1つを選んで冒険する仕組みになっている。


その三つ目のワールドとよく似ているのだ。



では、この世界はゲームの中なのかと言うと・・・それも違うと言う事だけはわかる。


感覚的な話になってしまうが、これは現実なんだと当たり前の様に思えて来るからだ。


それは、この世界で5年の間生きて来たからだと思う。


その5年間が俺にこの世界が現実だと訴えかけてくる。


たまたま、似た世界に転生したのか、理由は判らないが・・・。


今考えても仕方が無いか、その内理由も判るかも知れないし。



ふ~っと俺は深く息を吐き、窓の外に目を向ける。雲一つない晴天だった。



なんとか気分も落ち着いた所で、ステータスの詳細を確認しておくかと思いステータスを開く。


先ずは名前、性別、年齢と来て、その後は能力値が並んでいるか、この辺はゲームと同じだな。


耐久力が6かまだ子供の体だからこんなもんか。


魔力が120か、お~すごいな、ゲームで一番魔力の高い魔術師で最大に強化して最上級の装備着けても100超えた事無かったのにな~。


で、次が攻撃力5、う~んさっきの魔力と比べるとなんだかな~って感じかな~、歳相応ともいえるんだがな~。



・・・・・・・・、ちょっ、まってや、何なんこれ? 魔力120って、どないなっとるん?


く・・、思わずなんちゃって関西弁になってしまったけど、初めにステータス見たときはたしか一桁しか無かったはずだけど。



俺は魔力に関係する、知力と精神力を確認してみる。


知力70、精神力50・・・、確かに、魔力は知力と精神力の合計だから合ってるんだけど。


何でこんな数値になってるんだ? 他の能力値は普通なのに・・・。



う~ん、考えられるとすると、記憶が戻った事と関係があるのかな?


記憶が戻った事によって、その分の知識とかが反映されたって所かな?


それにしても、異常な数値だけど。それだけ、前の世界の知識がすごいってことなのかも知れない。


しかし、魔力120か・・・、これが魔術師とかなら、すごい事なんだろうけどな。


物質召喚術師じゃな・・・。



物質召喚術師って、攻撃、回復、状態変化系の魔法とかスキルとかが無いんだよね、たしか。


物質召喚術と収納庫のスキルのみ、なんだよね。


まあ、収納庫とか容量が魔力依存だから、かなりの容量になる気はするけどね。



まあ、無いものは仕方が無い、軍に居た時も無いものに拘り過ぎても碌なことが無かったからな。


いつも有るもので何とかしてきてたからな。


少しずつでもいいから、出来ることを見つけていくさ。

 

そうして俺は、ベッドの上で横になった。


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