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底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
29/34

アルとマーサ用の武器を渡してみる

この物語は異世界のお話です、現実の物理法則とは違う法則で動いております。

その辺を留意してお読みください。





午前中の座学と基礎鍛錬が終わった午後、俺の部屋には少し機嫌が悪い弟のアーベルが椅子に腰かけていた。


「アル、マーサの気持ちも分かってやりなよ。彼女もアルの事を思っての行動なんだからさ。」


「でも、兄さん、僕が強く成りたかったのは、マーサが傷つくのを見たくなかったから、僕が守ってあげたかったからなんだ。それなのに、僕と一緒に戦いたいだなんて。なんで兄さんは止めてくれなかったの?」


アルが俺に戦い方を教えてくれと言って来たその日の夜、マーサが俺とフィーに、自分も戦う術が欲しいと言って来たのが事の発端だったりするのだが。

その事をアルに話していなかったとは思ってもいなかった訳だ。

今日になってそれを知ったアルが怒り出してしまい、双方少し頭を冷やすためにフィーがマーサを連れて、動きやすい服に着替えさせる為に部屋を出て行ったのだ。


着替えが終わるまでにアルの気が落ち着いてくれれば良いのだが。


「止めれる訳ないだろ、あれだけ真剣な顔で言われたら。それに、一緒に連れて行かなかったら、コッソリ付いて来るんじゃ無いかな? 準備も無しに付いて来たら余計に危ないと思うぞ?」


俺とフィーも似たような感じだったからな、何だか他人事に思えなかったんだよな。


「でも・・・。」


それでも何かを言おうとしたアルだったが、丁度その時、奥の部屋で着替えをしていた二人が戻って来た。


「お待たせしましたリュシル様。」


新しく用意した服に着替えた二人、今回どうせならとマーサの服を用意すると同時にフィーの服も新調したのだが・・・。

うん、いいね! 以前の服はシンプルな作りのメイド服だったのだが、今度の服は、エプロンドレス風のデザインを採用した。レストランなんかのウェイトレスの制服に近いのかな? フィーは黒色をベースにマーサは紺色をベースにしている。


「似合いますでしょうか?」


少し恥ずかし気なフィーに俺はぶんぶんと首を縦に振っておいた。マーサはそんなフィーに隠れる様に恥ずかしそうにしていたが、フィーに背中を押されてアルの前へとおずおずと出ていった。


肝心のアルは、そんな様子のマーサを見て固まっていた。


「その・・・、アーベル様、似合いますでしょうか・・・。」


顔を真っ赤にして恥ずかし気に問いかけるマーサに、アルは微動だにせず固まったままだった。

その様子にマーサはやっぱり似合わなかったのかなと、表情を曇らせていた。


「アル?」


呼びかける俺の声にアルはハッとなると。


「に、似合うよ、凄く可愛いよ、思わず見惚れてしまった位だもの。」


その言葉にマーサは顔から湯気が出そうな程に真っ赤になって俯いてしまった。さすがアルさんや自然にそんな言葉が出るとは、将来が末恐ろしいのう。


どうやら、アルの不機嫌もどっかに飛んでったみたいだし、屋敷の裏の運動場に移動するとしますか。


皆にそう伝え移動し始めるのだが、どうもマーサの挙動がおかしい。何だか太腿をもじもじさせていた。そこで俺は思い至る。


フィーさんやもしかして? そう思いながらフィーを見ると、こくんと頷いていた。あ~遂にマーサも例のストッキングデビューですか、と言う事はあっちも・・・。まあ、その事には余り触れない様にしておこう。


そんな様子のマーサを見てアルは小首を傾げていたが、あ~まあ、後で二人きりの時にでも教えて貰って下さい。貧血には気を付けろよ?





屋敷の裏の運動場へとやって来ると、先ずは魔力強化の基礎について話す。


その後、魔力循環を使って魔力の認識と循環させる感覚を覚えさせるのだが、先ずはアルへと行った後、マーサの番になった時にフィーが名乗りを上げた。「マーサさんは私が魔力循環を行います!」と、えらい勢いで言って来たから思わず任せちゃったけど、なんだろ?


魔力を循環させる感覚を覚えるのに、アルが少し手古摺っていたけど、二人ともなんとか覚える事は出来た様だった。後は日々練習して慣れて行くしかないかな。アルには次の強化方法も教えないといけないからね。



そうして、少し落ち着いた所で、二人に今回用意した武器を手渡して行く。


先ずアルには一本のショートソードを手渡す。


「兄さんこれは?」


「うん、アル用のショートソードだ。」


このショートソードは、デザインはよく見かける物にしてあるが、勿論普通の武器では無い。


「まあ、習うより慣れろだな、よく見てろよ。」


そう言って、俺用のショートソードを取り出すと、打ち込み練習用の案山子(打ち立てた木に藁を巻いただけの物だけど)の前に立つ。

そうして、ショートソードを構え横薙ぎに振るう。その動きは特別な物でもなく逆に緩やかな物だった。アルとマーサは案山子に当たって止まるだろうと思っている様だが、その刃が触れた瞬間まるで豆腐でも切るかのように抵抗無く案山子を両断していた。その様子にアルとマーサは驚きの表情を浮かべていた。


「え!? なんで? あんなにゆっくり振り抜いただけなのにあっさり切れるの?」


アルの言葉にマーサも頷いていた。まあ、その理由の説明については後だな、先ずは体験してもらおう。


そうして、アルにも同じように案山子に斬りつけて貰うが、少し食い込んだ所で刃が止まってしまう。


アルは、予想通りと言った様子で俺の方を向く、今度は握り手の所にある丸い部分を押し込みながら斬りつける様に促す。


再度横薙ぎに斬り付けながら丸い部分を押し込む、その瞬間違和感に気付いたのかアルの剣筋が鈍るが、それでもあっさりと案山子を斬り飛ばしていた。


驚きの表情でショートソードを見詰めるアルだったが、恐る恐ると言った様子で丸い部分を押し込み、その瞬間感じた微かな振動に再び驚き俺の方を向いた。


「兄さん、これってもしかして魔道具なの? でも、魔力を籠めていなかったけど・・・?」


その言葉に首を横に振っておく、う~ん惜しいが外れなんだな。


実はこの武器には握り手の所にスイッチが付いていて、それをオンにすると、刀身に微細な振動が発生する仕組みが組み込まれている、所謂高周波ブレードと言う物だ。魔力では無くバッテリーで動かしているので魔力を籠める必要が無い。その為、バッテリーが切れると只のショートソードとしてしか使えないのだけどね、連続稼働も10分程度と短い物だ。但し威力は見ての通りだ、恐らく岩でも切り裂けるだろう。


「残念だけど、魔道具とは少し違うんだ。細かい原理とかは省くけど、刃に微細な振動を発生させて切れ味を増しているだけなんだ。魔力を使わなくても効果を発揮出来るけど、その分連続で使用できるのは10分ぐらいだから、ここぞと言う時に使う様にするのが良いかな。」


「魔道具じゃ無いのにこんな事が出来るんだ・・・。」


アルの呟きに頷くと、このショートソードの使用方法や注意点を説明していく。振動を発生させている間は刃に触れない事や相手の攻撃を受ける時には注意する事などだ、これは、相手の武器を斬り飛ばしてしまって、受け止めると言う行動が出来なくなってしまうからだ。


後は、残稼働時間の確認方法はスイッチを押している間スイッチの縁にバッテリーの残量がレベルメーターで表示される事。そして肝心の充電方法だが、これは鞘の方に仕掛けがしてあり、ショートソードを鞘に納めて太陽の光に当てておく事で充電される仕組みになっている。


そして、一通り説明を終えると、最後に、この剣に頼り過ぎて鍛錬は疎かにしない事と付け加えておいた。後は、護身用として、短剣サイズの物を渡して置く、こちらはマーサにも渡した。




次は、マーサの為の武器だ。マーサからの話を聞いた後、フィーと神楽と俺で話をして用意した物だ。


マーサの前に取り出した武器を置く、それは、木で出来た握り手の有る台座の上に弓を横にして固定した物、所謂クロスボウと言う物だ。勿論普通のクロスボウでは無いけどね・・・。


弓では無く、クロスボウを選んだ理由としては、弓は戦闘で使えるほどの腕前になるにはかなりの時間を要するからだ。それに比べてクロスボウなら狙いを付けて引き金を引くだけなので、今まで弓を使った事が無いマーサでも短時間で使用できる様になると考えたからだった。


まあ、弓と違い連射は出来ないが、女性でも安定した威力が出せるし、後方で援護役をして貰う分には問題無いだろう。それに、おまけの機能も付いてるからね・・・。


そうして使用方法を説明して行く、先ずは台座の側面に有るレバーを引き上げ弦をセットする、そしてボルトを台座にセットし、両手で保持して狙いを付けて引き金を引く、発射されたボルトが的に突き刺さる、と一連の流れを実演して見せる。


次は実際にマーサにやって貰う、クロスボウを受け取ったマーサは、俺がやった様に弦をセットする為にレバーを力一杯引き上げるが。


「え!? 軽い?」


そんな声が聞こえて来た。うん、実はパワーアシスト付きだったりするのだ。俺やフィーなら魔力強化で素手でも弦を引く事が出来たりするのだが、マーサにはまだそこまでは無理だろうし、弦をセットしている間の隙が大きくなるのを避けたかったのも有るから組み込んでみた。弦も自動で巻き上げる機構を付けても良かったのだがバッテリーの消費が激しかったので断念した。


その後、ボルトをセットして、的を狙って引き金を引くが明後日の方向へと飛んで行ってしまった。引き金を引く瞬間に目を瞑っていたからな・・・、保持もしっかりしていなかったから、射出時の衝撃でぶれてしまったのだろう。最初ならこんなもんでしょ、この辺は練習あるのみだな。


まあ、後は練習してもらうとして、もう一つ説明しておかなければいけない機能が有る。


「後は、練習してもらうとして、そのクロスボウ、一つ説明していない機能があるんだ。」


そう言って、マーサからクロスボウを再度受け取ると、握り手の傍にある小さなレバーを90度上に捻り、右手の引き金部の握り手と左手の保持部を持って右手を後方へ引っ張る。すると、クロスボウが前後に別れ、黒い金属質のフレームが現れ、更にもう一つの引き金と握り手が現れる、機構がロックされるまで引き出すと、今まで50cm程だった全長が80cm程までに伸びていた。アルとマーサはその変わり様に驚いていたがこれからが本番ですよ?


俺は新たに現れた握り手を持つと今までの握り手をストック代わりに肩に当てる、そうして、皆には少し離れる様に言うと的へと狙いを定め引き金を引く。


バシュッ、と空気を裂くような音がした後、続いてバガッ! と物凄い音がした、的が砕けその背後に有った大きな岩が二つに割れていたのだ。


静まり返る4人・・・。うお! びっくりした! まさか此処まで威力があるとは・・・、撃った本人まで驚いてしまったよ。アルとマーサなんて驚愕の表情で口を開けたまま固まっているし、フィーも目を見開いて驚いていたよ。


「コホン、あ~、この様な隠し機能があります。威力が威力なので使い所には注意するように。」


咳払いを一つして、誤魔化すようにそう告げると、アルとマーサはコクコクと頷いていた。


その後、細かな使用法方や注意点を説明した所で少し休憩を取る事にした。丁度おやつの時間だったからね。




地面にマットを敷きその上でおやつタイム。本日のおやつはシュークリームだ。外で食べるので手で持って食べれる物にしてみた。


フィーの淹れてくれた香茶を飲みながらシュークリームを食べて暫しまったりとする。


所でフィーさんや零れて手に付いたクリームを舐め取るのは良いのですが、一々艶っぽいのは何とかなりませんでしょうかね? アルなんか顔が真っ赤になってますよ? あ! ちょっと、マーサさんやフィーに対抗してクリームをワザと零さないで、あ~、飛び散ったクリームが顔にかかってエロい事になっていますよ? あ~あ、フィーに食べ物で遊ぶなって怒られちゃってるよ。後、フィーさんや怒るのは良いけど先に顔を拭いてあげてください、たれて来たクリームで更にエロい事になってます。


まったりおやつタイムのはずが、ドタバタおやつタイムになってしまった・・・。




おやつタイムも終わり、アルとマーサは早速練習へと駆け出して行った。俺とフィーはお片付けだ。


マットを片付ける為に立ち上がろうとした所で、強めの風が吹き抜ける。


「きゃっ!」


そんな、マーサの悲鳴が聞こえて来た。何かあったのか? そう思いそちらを見ようと顔を向けた瞬間。


「見ちゃ駄目です!」


フィーの声と共に目の前が真っ暗になった。目を覆う様に柔らかな感触、少しひんやりしていて心地よい。恐らくフィーが俺に目隠しをしたのだろう、更に後頭部に手とは違う柔らかな感触。もう暫くその感触を堪能したかったが・・・。


「フィー?」


「し、失礼しました。もう見ても大丈夫です。」


俺の言葉に、咄嗟に目隠しをしてしまった事に謝罪の言葉を発し、手を放すフィーであった。手での目隠しぐらい幾らでもばっちこいですよ?


目隠しから解放された事により状況を確認する事が出来た。


そこには、両手で前後のスカートを押さえ顔を真っ赤にするマーサと、マーサの方を向き固まっているアルの姿があった。


あ~、一目で状況が分かってしまうな。そうか、アルもあれを見てしまったのか。しかし、アルが全く動ないが?


「アル?」


心配になり声を掛けた瞬間。ブバッ! と言う音と共にアルが血を吐いた!? い、いや、鼻血か? そして、その勢いによって、仰け反ったまま後方へと倒れ込む。


あのままだと頭から地面へぶつかる!? そう思い、魔力強化を発動させ一瞬の内にアルの元へ駆け寄る。


後ろでは「きゃっ」と言う声と共にスカートが捲れ、白い布地を見せるフィーが居たが今はそれ所では無い。その映像は俺の脳内フォルダに保存したから大丈夫だ。


なんとか、アルの頭が地面にぶつかる前に受け止める事に成功した。肝心のアルは気を失い大量の鼻血を出していたが、何と無く幸せそうな顔をしていた。


「アーベル様!」


倒れたアルを見たマーサが、真っ赤にしていた顔から一転、真っ青な顔となりアルの名を呼び駆け寄って来た。


出した鼻血の量が多いので心配だ。暫く横になった方が良いだろうそう思い。


「マーサ! 出した血が多いから暫く休ませた方が良い、アルをそこのマットに寝かせて膝枕をするんだ!」


「は、はい! 分かりました。直ぐに膝枕をします! って、ええっ!?」


俺の言葉に咄嗟に頷いた後、驚きの声を上げ狼狽えるマーサであった。


「何を狼狽えている? 鼻血を出しているから、頭を高くした方が良いはずだ。丁度良い高さの枕が無いから膝枕で代用するだけだろ?」


「いや、あの、でも。勝手に膝枕なんかしたら・・・。」


それでも、覚悟が決まらない様だ、恐らくアルに黙ってそんな事をすれば後で怒られるとでも思っているのだろう。多分喜ばれこそすれ怒られる事は無いと思うぞ?


「緊急事態なんだから気にする事は無いって、アルがなんか言う様なら俺からの指示だって言えばいいからさ、だからさっさと膝枕をする!」


その言葉でマーサは、渋々と言った風を装いながらアルを膝枕していた。うん、ばればれだね、俺とフィーが良く膝枕しているのを羨ましそうに見ていたのを知っているぞ。


その後、水で湿らせた布をフィーから受け取り、血で汚れたアルの顔を拭いているマーサは少し幸せそうな顔をしていた。少しだったのは、心配半分の部分も有るからだろう。




そうして、暫く様子を見ているとアルが目を覚ました様だ。


「あれ? ここは? 僕はどうして・・・?」


うん、まだ現状が把握出来ていないようだな。


「アーベル様、お加減はどうですか?」


「マーサ? あれ? なんでこんな近くに・・・? ちょ、え? なんで?」


心配そうな言葉がすぐ傍から聞こえた事で、マーサの顔がすぐ近くにある事に気付き、そして、マーサに膝枕されている事に気付いたアルが狼狽え始めた。


「アル、落ち着け。急に起き上がると貧血でまた倒れるぞ。ちゃんと説明してやるから。」


焦ったアルが急に起き上がろうしたので、肩を押さえ落ち着くように言い聞かせる。そうして、フィーに水差しを出してもらい、アルに水を飲ませて落ち着かせた。勿論水を飲ませたのはマーサだ。若干アルの顔が赤かったがまあ良いだろう。


「俺もアルが倒れる寸前からしか見ていないからあれだが、簡単に説明すると、急な突風が吹いた事によって、マーサのスカートが捲れ、それによってスカートによって隠されていた物をアルがもろに見てしまい、頭に血が昇って鼻血を出して倒れてしまった。と言った所かな?」


最初の部分は想像だが、フィーの方を見ると頷いていたので間違いないだろう。

説明を終えてアルを見ると、その時の事を思い出したのか顔を真っ赤にしていた、また鼻血を出すなよ? そして、マーサもまた、見られた事を思い出したのか顔を真っ赤にしていた。

湯気が出そうな程顔を真っ赤にする二人を見て、落ち着くまでしばらくそっとしておくかと思うのであった。

所でフィーさんやなんで俺まで膝枕されているのかな? すんごい自然な動作だったので突っ込むのを忘れていたけど、説明がすごくやりづらかったよ? まあ、そう思いながらも注意する訳でもなく二人が落ち着くまでフィーの膝枕を堪能し、まったりするのだけどね。


結局その日はアルの体調の事も有り訓練どころでは無くなった為、そのまま4人でのんびり過ごす事にした。

アルも慣れて来たのか膝枕されながらも楽しそうに俺達と話をしていた。きっと周りの者が見れば兄弟で仲良く日向ぼっこをしている様にみえて、微笑まし気な視線を向けた事だろう。一部の者からはリア充爆発しろ! とか思われてそうだが・・・。


その後解散となり、別れ際アルには増血剤を渡しておいた。これは、以前神楽の企みの所為で同じように貧血になった時に用意した物の残りだ。これから、アルには必要になる事だろう。渡されたアルは何とも言えない表情をしていたけどね、まあ、がんばれ! おれは心の中で応援しておいた。




次の日の朝、マーサに手を引かれ、食堂に入って来たアルは真っ白に燃え尽きていた。

そして、何故か反対にマーサはツヤツヤとして満足そうにしていた。お~い、何が有ったか知っている俺達なら良いけど、知らない者が見たら、ゆうべはお楽しみでしたね? ってなるんじゃないかな。いやまあ、ある意味お楽しみだったのだろうけどね・・・。はぁ、追加で増血剤用意しておくか・・・。









おまけ



アーベルくん視点です



突然の突風、そして、「きゃっ!」と言うマーサの声に、そちらへ顔を向けるとそこには、風でスカートが捲れて可愛いお尻を晒すマーサの姿が有った。


僕の記憶の中にある女性の履く下着は、ドロワーズという太腿までを覆う布だったはずだ。


でも、目の前に見える光景は、お尻を辛うじて覆う程度の布地で、そのまま生のお尻と言っても良い様な、形がそのまま分かる様な物だった。


そのまま、思考が停止した様に固まっていると、両手でスカートを押さえ、お尻を隠す事に成功したマーサが誰かに見られたのか確認するためにこちらに振り向いた。


そのまま固まっていた僕とマーサの目が合う。マーサが何かを言おうと口を開きかけた瞬間、再びの突風。


両手でお尻側のスカートを抑えていたマーサには成す術も無く捲れる前側のスカート。


そして、そこには、マーサの大事な所を辛うじて隠す三角の布地が存在していた。


マーサの綺麗な太腿までのラインが、僕の目に飛び込んで来る。


そうして、僕は頭の中が真っ白になってしまった。



次に目を覚ました時、僕は一瞬何処にいるのか分からなかった。


「アーベル様、お加減はどうですか?」


直ぐ傍から聞こえるマーサの声、あれ? 何か顔が近くないかな? それに、頭に感じる柔らかな感触と温もり、もしかしなくても、マーサに膝枕されてる!? その事実に僕は狼狽えてしまった。に、兄さん達のを見て羨ましく思ってたけど、心の準備が~。


焦って起き上がろうとするが、兄さんとマーサに肩を抑えられて起き上がる事が出来なかった。兄さんの押さえてた方もだけど、マーサの押さえてた方もビクともしなかった、マーサ早速覚えた魔力強化をつかってる?!


その後何とか落ち着いたけど、喉が渇いてたから水差しで水を飲ませて貰えるのは嬉しいのだけど、マーサの顔が凄く近くて恥ずかしかった。



何があったのか兄さんから説明を聞いたのだけれど・・・、聞かなきゃよかった。


その時の事を思い出してしまって、顔が熱くなってしまった。更に近くにいるマーサも顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしているのを見て、その時の光景を頭から追い出す事が出来ず、更に顔が熱くなるのを感じた。


その後しばらく、僕とマーサは頭から湯気が出そうな程顔を赤くして、「あうあう」と唸っていたらしい。



なんとか気持ちが落ち着いたので、どうしてそんな、し、下着を着けていたのかを聞いてみた所、足を保護してくれるストッキングと言う物を履くために、それに合わせた下着にしたのだそうだけど。それなら、スカートを止めてズボンにすれば良いのでは? と聞いてみた所、「従者としてこの服装は譲れません!」と、力強く言われてしまった。その横でフィーリアさんがうんうんと頷いていた。それを聞いていた兄さんが何とも言えない表情をしていたけど、なんでだろ?


まあ、服装に拘りがあるのなら仕方が無いのだけれども、これだけは言って置かないといけない。


「マーサ、その、し、下着は仕方ないけど、おいそれと他人に見せちゃ駄目だからね!」


そう言って聞かせる。だって、あれは、刺激が強すぎるから!


「はい! 決してアーベル様以外には見せません!」


それなのに、マーサの返事を聞いて僕は力が抜けてしまった。いや、そう言う意味じゃなくって僕にも見せる必要は無いからね? 何故か、その答えを聞いていた兄さんは、額に手を当て天を仰ぎ見ていた。その横ではフィーリアさんが更に深く頷いていた。何と無くだけど、兄さんもフィーリアさんと同じやり取りをしたんだろうな、と分かってしまった。


残念ながら、僕の想いは直ぐに打ち壊されてしまった。それは、兄さんから増血剤と言う薬を貰った時に、今後見えてしまう度に鼻血を出されるのは不味いから、慣れておくようにと言われてしまったからだ。


いや、でも、マーサにそんな事強要出来ないし、そう思ってたのだけど、肝心のマーサは恥ずかしそうにしながらも、僕の為ならと了承してくれた。何故か、鼻血を出した時には落ち着くまで膝枕をする事で話が纏まってしまっていたが。



そして、その日の夜、僕の部屋に戻ってから試練の時がやって来た。


「そ、その・・・、どうでしょうか・・・。」


消え入りそうな声で、恥ずかしそうにスカートをたくし上げて行くマーサ。


ごめんマーサ、その仕草だけで、もう鼻血が出そうです・・・。


そうして、僕たちの夜が更けて行くのだった。



次の日の朝、真っ白に燃え尽きた僕を見た兄さんが、「そこまで無理をする必要は無いぞ、徐々に慣れて行けば良いんだぞ。」と言ってくれたけど、その言葉もう少し早く行って欲しかったかも・・・。










読んで頂きありがとうございます。

仕事が忙しくて中々安定した投稿が出来ません;;

今回マーサさんが例の物デビュー、そしてアーベル君もリュシルさんの仲間入りですな!

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