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底辺召喚術師のシュウカツ事情  作者: なおさん
第1章
13/34

孤児院へと行ってみる(後)




昨日も通った裏道りを進むと孤児院が見えて来た、そのまま近づいて行くと孤児院の広場で子供たちが遊んでいるのが見えた。


そして、広場の脇で二人の人物が話しをしていた、その一人はローリエでありもう一人は40歳ぐらいの女性・・・。


「院長さま・・・。」


フィーがそう呟くのが聞こえた、そうして駆けだそうとした所を思いとどまると俺の方を見て戸惑いの表情を見せた。


その様子に頷いてあげるとフィーは表情を明るくし、そして、その背中をそっと押してあげるとフィーは彼女に向かって駆け出して行った。


「院長さま!」


その声に気づいたその女性が振り向くのと同時にフィーはその胸に抱き着いた。その女性は抱き着いてきた少女に一瞬驚いた表情をしていたが、ローリエから今日フィーリアが来る事を聞いていたのだろう、すぐにその少女がフィーリアだと気づき優し気な笑顔を見せるとフィーリアの頭を優しく撫でるのだった。


「あい・・だがっだ・・です・・・。」


フィーは涙に濡れた顔をあげると、涙声でそう呟くのが精一杯だったようでそのまま言葉に出来ず嗚咽をこぼし続けた。


その様子を見たその女性は何も言わなくて良いとばかりに、フィーの頭をそっと抱きしめて優しく頭を撫でてあげていた。


そんな様子の二人へとそっと近づいて行くと、それに気づいたその女性が何かを言おうと口を開きかけるが、俺は何も言わなくても良いと首を左右にゆっくりと振り人差し指を立て口に当てる仕草をした、その様子に彼女は目礼をし、俺はゆっくりと頷くとフィーを優しく見守る。


「院長さま、その、ごめんなさい、いきなり抱き着いたりして・・・。」


少し落ち着いたのかフィーが顔をあげそう言うと。


「ふふ、いいのよ、フィーリアもこんなに大きくなって、元気そうでなによりだわ。」


「はい! 院長さまもお元気そうで何よりです。」


そうして二人は嬉しそうに微笑み合っていた。暫くそうしていた後、彼女は俺の方を向き。


「リュシル様もお久しぶりですね。」


「ええ、お久しぶりです、リース院長もお元気そうで。」


二人のそのやり取りに、フィーとローリエは「二人は知り合いだったの?」と驚いていたが、領主館の方で何度か会ったことがあるのだが、最後に会ったのはたしか半年程前だったか。


「リュシル様は前にお会いした後に何かあったのですか?」


「えっと、それは、なぜそう思ったのですか?」


俺の顔をじっと見つめていたと思ったら不意にリース院長が訊ねてきたが、俺は内心で少し焦りながらも誤魔化す様に質問を返した。


「前にお会いした時はまだ子供っぽさが抜けていない感じだったのですが、今は子供とは思えないほど落ちついて見えた物ですからこの短期間でいったい何があったのかと。」


うう、リース院長は何故か鋭いんだよな、人の事を良く見てると言うか、これは下手な事を応えられないな・・・。


「そう、ですね、何かあったとするなら、フィーリアが従者となった事位かと、彼女は色んな意味で僕の支えになってくれて居ますので、そのお陰かと。」


そう言ってフィーに優しげな目を向ける。まあ、嘘は言ってないかな、実際フィーがいなければ今頃はどうなっていたかわからないもんな・・・、本当に感謝している。そんな言葉にフィーは恥ずかし気に俯いていたけど。


「・・・そうですか、この娘がリュシル様の支えになっているのであれば喜ばしい事です。この娘自身もとても幸せそうにしている様ですし。」


数秒程の間があったが、まあリース院長もなんとか? 納得してくれたのかな? そのフィーは、頭から湯気が出そうな程真っ赤になっていた、その様子にローリエは苦笑いを浮かべていた。


「院長さま、この中に銀貨が15枚入っています、これを孤児院の為に役立てて下さい。」


そんな様子のフィーは誤魔化すかの様にそう言って小さな袋をリース院長へと差し出した。


「このお金はどうしたのですか?」


「はい、私が狩りと採取で手に入れたお金です。」


リース院長は少し驚いた様な顔をしながらフィーへと問いかけ、その問いにフィーが答えると、リース院長はフィーをじっと見つめ小さくため息を吐く。


「このお金は受け取れません、これは貴方があなた自身の為に使いなさい、今は使い道が無くてもこの先何があるのか分からないのですからその時の為に取っておきなさい。」


「で、でも院長さま・・・。」


リース院長は差し出されたその小さな袋をそっとフィーの胸元へと押し戻し、更に何かを言い募ろうとしたフィーに対し、静かに首を左右に振る事でそれ以上何も言わせなかった。


「その気持ちだけで十分ですよ、ありがとうねフィーリア。」


悲し気な表情を見せるフィーの頭にリース院長は手を乗せ優しく撫でながらお礼を言った。


ああ、やはりリース院長はお金を受け取ら無かったか、以前配給のトラブルが有った時も父さんがお金を渡そうとしたのを固辞していたからな。


フィーは残念そうにしていたが、頭を撫でられて嬉しかったのか笑顔を見せていた。さて、次は俺の番かな・・・。


「リュシル様、ローリエにお話があると聞いたのですがどういったご用件でしょうか?」


「そうですね、少し込み入った話になるので何処か落ち着ける場所が有ればそちらでお願いしたいのですが・・・。」


「それでしたら、応接室の方でお話を伺いする事にしましょう。」


フィーの頭から手を放すと俺を見てリース院長は訊ね、それに答えると応接室で話す事となった。


リース院長は子供たちに「この人たちとお話をしてくるから何かあったら、直ぐにマルメに言いなさい」と注意をして、俺達を伴って建物の中へと入って行った。


応接室へと入り、ソファーへとリース院長とローリエ、机を挟んで反対側へ俺と・・・、あれ? フィーは? 後ろを向くとフィーはそこに佇んでいた、そんなフィーに俺は内心で苦笑いを浮かべ、俺の隣を手でポンポンと叩きここに座ってと促した。


フィーは戸惑いの表情を浮かべていたが、リース院長が静かに頷いたのを確認すると俺の横に座るのだった。


「ええと、お話の前に少し確認しておきたい事が有るのですが良いですか?」


「はい、なんでしょうか?」


確認したい事があると伝えると、リース院長ははいと答えた。


「ありがとうございます、確認したい事と言うのは、ローリエさんは今現在は、孤児院の一員と言う事で間違いないのですよね?」


「はい、そうなります、まだ成人を迎えて居ないのでそれまでは私が保護者となるので間違いないかと。」


俺の質問にリース院長は、どうして今そんなことを? と訝し気な表情で答えた。


「成程、あとローリエさんは昨日は長芋を取りに来ていたとの事ですが、風邪をひいた子や他の子供達の為との事と聞いたのですが、要するに孤児院で生活していくための行動の一つと言う事ですよね?」


「ん~そう言う事になるのかな? うん、孤児院の皆は私にとって家族と同じだもの、昨日の事も孤児院での生活の一部で間違いないと思う。」


ローリエは少し考えた後その様に結論付けた様だ。


「分かりました、それでは、本題のお話なのですが、昨日ローリエさんに協力してもらい倒したフォレストボアですが、ギルドで買い取って貰ったらなんと銀貨90枚になりました。」


どんと机の上に銀貨の入った袋を置くと、ローリエは目を丸くして驚き、リース院長もフォレストボアが銀貨90枚・・・?、と呟き驚いていた。まあ、リース院長は相場を知っているからの驚きで、ローリエは銀貨90枚に驚いていたんだろうけど。


「どうやら今までに無い大きさのフォレストボアだったみたいで、色々な付加価値でその値段になった様ですね。」


銀貨90枚の理由を説明すると、リース院長はなるほどと頷いていた、ローリエは驚いたまま固まっていたが・・・。


「で、ですねこの銀貨90枚を昨日の3人で分けると、一人頭銀貨30枚となります。」


そう言いながら、袋から出した銀貨を30枚づつに分けて置き、まず、俺とフィーの前に30枚づつ移動させる。


「そして残りの30枚がローリエさんの取り分になるのですが・・・、先程聞いた話ですとローリエさんはこの孤児院の一員として狩りに参加したとの事なので、このお金は孤児院の物と考えるのが妥当かなと、なのでローリエさんの保護者でもあり孤児院の代表でもあるリース院長へお渡ししますので、孤児院の皆で分けるなり、孤児院の為に使用するなりして頂ければと・・・。」


そう言って残りの30枚はリース院長の前に差し出すと、リース院長は少し呆れた表情をして口を開く。


「私がローリエから聞いた話では、フォレストボアに襲われて危うく殺されそうになったのを助けて貰ったと聞いたのですが、それだとお金を受け取る理由が無いのでは?」


「いえ、あの時はフォレストボアに隙が無くて攻めあぐねていた所にローリエさんが現れ、フォレストボアの意識がそちらに向いてくれたお陰でその隙を突くことが出来、フォレストボアを倒すことが出来たのですから、ローリエさんにもお金を受け取る資格はありますよ。」


リース院長もこちらの意図に気づいている様で、色々と理由を付けて断ろうとしてくるが、こちらもそれで引くわけにはいかない。


「それに、リース院長も院長になる前は、同じように狩りで手に入れたお金をこの孤児院に入れていたと父さんから聞きました。まさか、自分は良いけど他の人は駄目なんて言わないですよね?」


その言葉にリース院長はあの男はまた余計な事をと小声で呟きため息をつく。


「はぁ、分かりました、このお金は孤児院の皆のために使わせて頂きます。」


半ば諦めた様なリース院長の姿に俺は内心で苦笑いをうかべた。「本当にこの半年で何があったのかしら・・・。」とリース院長は呟いていたが、まあ、色々あったからなあと俺は遠い目をしていた。


その後は4人でフィーが5年前にこの孤児院を出て行った後の事などを話したり、父さんと昔パーティーを組んで狩りをしていた時の事を聞いたりした。何故か父さんの失敗談ばかりだったけど、さっきの件の意趣返しなのかな・・・。


フィーもローリエもリース院長も三人共とても楽しそうにそして幸せそうな顔で話合っていた、俺は父さんの失敗談ばかり聞かされて、こんな時どんな顔をすればいいのか分からず何とも言えない表情をしていたと思う。


丁度その時応接室の扉がノックされ、マルメさんの声が聞こえた、リース院長がその声に答えると扉が開きマルメさんが入って来るがその顔は浮かない表情をしていた。


「何かあったのですか?」


リース院長のその声にマルメさんはチラリとこちらを見てここで言って良いのか迷っている様子を見せた、その様子にリース院長が頷き先を促すと、マルメさんは話し出す。


「あの・・、今日届いた配給の食料品なんですがとても子供たちに食べさせれる様な物では無くて、その一度見て頂けますか?」


実際に見て貰った方が早いとマルメさんはリース院長を伴って部屋を出て行く、俺達もその様子が気になりその後を追った。


「なんですかこれは!」


建物の裏手側にある倉庫の前で、置いてある木箱の中身を見てリース院長は声を荒げていた。


「そ、その申し訳ありません院長、私が受け取るときにしっかり中身を確認していれば・・・、いつもの商家の者だったのでつい問題無いだろうと思ってしまって。」


リース院長の声にビクリと体を震わせてマルメさんが申し訳なさそうに答えた。


「ああ、いえ、ごめんなさいね貴方に対して怒っていたのでは無いのですよ。」


そう言ってリース院長はマルメさんを慰めていたが、俺達もその木箱の中を覗いてみる。


「っ!」


「え?」


「何これ、酷い・・・。」


それぞれ、俺、フィー、ローリエの見た瞬間の様子である、俺はこれを食料として渡すなんて本気かと思い、フィーはこれが食料品? なんで? と疑問に思い、ローリエはその仕打ちに悲しくなったと言った所か。


その木箱の中身は家畜の飼料にするような屑野菜や芽が出てとても食べれない様な根野菜や腐りかけている果物と言ったものが入っていたのだ。


「リース院長、これはいったい?」


俺は何があってこんなことに? と疑問に思いリース院長へと理由を聞いてみる事にした。


そのリース院長はこんな事を関係の無い俺に話しても良いのか、しかも領主の息子である俺に話して巻き込んでしまって問題にならないのかと考え、暫く逡巡していた様だがそれでもいずれ分かる事かと考えて話し出した。


「こんな事をリュシル様に話すのもどうかと思うのですが、実は昨日私が出掛けていたのも今回の件に関係が有るのです、事の始まりは本来なら届く予定の日になっても食料品が届か無かったのです、天候などの影響で数日ぐらいなら遅れる事も以前にはあったのですが、今回は5日経っても何の音沙汰もなかったのです、そうして、昨日孤児院の備蓄も底をついてしまって仕方なくその商家へと出向いて確認に行ったのですが・・・。」


そこまで言ってリース院長は大きなため息を吐くと少し疲れた様な表情でその続きを話し出した。


「どうやらいつも食料品を頼んでいた商家の主が急病でその家督を息子に引き継いだらしいのですが、その息子は今まで猫を被っていた様で、家督を継いだ途端にやりたい放題始めたらしいのです、前の主の時には子供達の為にと利益度外視で食料品を届けてくれていたのですが、今の主は利益が出ないと言う事で何もせずにそのままにしていた様なのです、私が直接出向いてそれを指摘したことで渋々ながら食料品を直ぐに届ける話になったのですが・・・。」


リース院長は結果はこの通りと言わんばかりの目で目の前の木箱を睨んでいた。


その話を聞いたフィー、ローリエ、マルメさんはそれぞれ怒りを露わにして怒っていたが・・・。


「「「「っ!?」」」」


俺以外の4人は突然黙り込む、ローリエは腰を抜かしてその場に座り込んでしまい、フィーはそんなローリエに抱き付いて震え、リース院長は流石と言うか特に変わった様子は無くただ額に大量の汗を浮かべてはいたが、そしてマルメさんも地面に座り込んでいたが何故か頬を染めうっとりとした表情をしていたけど・・・?


「リュ、リュシル様、その殺気を止めて頂けませんか?」


リース院長がなんとか声をかけてきた事で怒気が漏れていたことに気づいた俺は慌ててそれを止めた、それによって4人はほっとした表情をしていた。


「あ~ごめんね、ちょっと殺気が漏れちゃってたみたい。」


ちょっと失敗しちゃったと言う様子で謝る俺に、いやいやそんな軽く言われてもと困惑した表情を見せる4人であった。


「とにかくこの件は父さんに報告しておきますので、その商家の主には然るべき罰が行くと思いますよ?」


そう言って安心させようと思いニッコリと微笑むのだったが、なぜか皆怯えた表情を浮かべていた。あれ?


「コホン、その件については父さんに任せるとして、今は当面の食料をどうするかですね。」


誤魔化す様に咳払いを一つして当面の食料の事をどうするかと切り出すのだった。


流石に今後同じ商家に頼みたいとは思わないだろうから新しい商家を探さなければならない、新しい商家が直ぐに見つかるとは思えない為、それまでの間の食料は別途用意する必要が有るのだ。


まあ、暫くの間であれば、フォレストボアの報酬が有るので市場等に買い出しに行けば何とかなるだろうが、個別に購入するのと纏めて購入するのでは最終的に掛かって来る費用が違って来るから商家が見つかるまではかなり節約する事になるだろう、そうなると子供達の食べれる量も少なくなってしまう訳で・・・。


「そうですね、暫くの間は市場での買い出しで何とかするとしても・・・、フォレストボアのお金があって本当に助かりました。」


リース院長のその言葉に、うん、まあ確かにそうなんだけどね・・・、でも、フォレストボアのお金は、本当なら子供達の生活が今より良くなる様な事に使って貰いたかったと言うのが本音だ。


こんなしょうも無い事でそれを使わせたくは無かったのだけど・・・。


「リース院長、今日はフォレストボアの討伐祝いをしましょう。」


「は? え、はい?」


突然の言葉に一瞬リース院長はきょとんとした顔をしていた。


「フィー悪いけどこれで食材を買いに行ってくれるかな? 僕はその間にグラスラビットの肉を準備するからさ。」


そう言って銀貨を10枚程フィーへ手渡すと彼女もなんでこのタイミングで?と疑問符を浮かべていたが、俺が目の前の木箱に一瞬目を向けるとその意図に気づき「はい!、分かりました。」と元気な返事を返してくれた。


「後、ローリエさんも一緒にお願いできますか? フィーも5年ぶりになりますから、この辺も大分変っているでしょうから。」


「え、ええ、それじゃあフィー一緒に行きましょうか。」


ローリエも最初は戸惑いの表情を浮かべていたが、フィーと買い出しに行けると言う事で疑問に思いながらも一緒に出かけて行った。


取り残された形のリース院長とマルメさん、マルメさんはなぜか潤んだ目で俺を見ていたので敢えて触れない様にして、リース院長に解体場(元剣術道場だった為調理場も広く獲物などの解体場があった)の使用許可を貰いグラスラビットを取り出し解体を始める。


グラスラビットの皮をを剥ぎ内臓を取り出し処理をした後に、それぞれ肉を取り分けて行く、それを見ていたリース院長は感心した様子をしながら本当に半年の間に何が有ったのかしらと呟いていたので、もうその話には触れないで下さいと内心で苦笑いを浮かべていた。


一通りの切り分けが終わった為に次の準備に入る、森に行った時に手に入れた竹を取り出しナイフて切割り長さ30cm程の竹串を作っていく、その最中に買い出しからフィーとローリエが戻って来たその手には一杯の食材を抱えていた、そんな二人に野菜と肉の切り分けをお願いした、その時に出来ていた分の竹串に野菜と肉を刺してサンプルを見せて準備して貰った。


残りの竹串を作った後二人にその場を任せてリース院長を伴って外の広場へとやって来た、俺だけで向かうと子供たちに警戒されてしまうといけないからね。


リース院長を見た子供たちが周りに集まり、傍に居た俺にこの人誰? と視線を向けて来た。そんな子供たちにリース院長は俺の事を知人の子供と説明していた。


「ちゅうもーく、これが何か分かるかな~?」


俺は手に持った物を子供たちに見える様に掲げると子供達から驚きの声が上がる、それはリフィルの実と言う名前で小さなリンゴの様な果物で姫リンゴ位の大きさと言えば分かりやすいかもしれない、但し味は熟した桃の様な味で、食感はシャクシャクとした梨の様な食感をしており、取れる量が少ないためなかなか市場に出回らず高額で取引される果物である。この実も森で手に入れた物だったりする、かなりの高さの木に隠れるように実が生っていて、下からだとまず気づけない様な状態だったりする。


「もし、僕の手伝いをしてくれるのなら、この実をあげるけどどうする?」


その言葉に皆それぞれやると言ったり頷いたりしていた、よしよし、こう言う事は皆で参加した方が良いからな。


そうと決まれば皆に指示を出して行く、まず体も大きく体力の有る子達には、広場の周りの壁の所々崩れてしまっている個所に落ちているレンガや手頃な大きさの石を集めて貰う、その他の子達には枯れ枝を集めて貰った。


そうして集まったレンガ等を使い簡易のかまどを作っていった、そして出来たかまどの上に大きな鉄板と金網を乗せて出来上がりと言う訳だ、因みにこの鉄板と金網はカグラの船内を見て回った時に物質召喚術の練習代わりに召喚契約(登録って言った方が良いかも)を行った物の一つだ、まさかこんな時に役に立つとは思わなかったけど。


子供たちもカマド作りを興味津々に見ていたのでどうせならと手伝ってもらった、完成したかまどに薪をセットして火を点ける、集めて貰った枯れ枝は着火用に使わせて貰った。ああ、ちゃんと子供達にはリフィルの実を渡しておいたよ働いたらそれに対する報酬が貰えるって言うのは大切な事だからね。


丁度カマドの準備が出来たタイミングでフィー達が串に刺した食材を持ってやって来た、うん丁度良いタイミングだね。


子供たちはカマドを見てそこで何かを焼くのだと薄々は感づいていたのだろう、お盆の上に乗った山盛りの食材に目をキラキラとさせて期待の眼差しでこちらを見ていた。


「え~今から、あの食材を焼いて皆で食べようと思います、異論のある人~?」


異論が有るはずもなく皆は歓声をあげて喜んでいた、よし、早速焼いて行くとしようかな。


串に刺した食材を網の上に乗せてどんどん焼いて行くと辺りに肉と野菜の焼ける良い匂いが漂い始めた、その匂いに子供たちは今か今かとギラギラした目を向けて来る、おおう、ちょっと引いてしまうほどの真剣な目だった。


焼きあがった物を子供たちにそれぞれ渡すとなぜか皆”まて”をされている犬の様に串を手に持ちリース院長を見ていたそんな様子の子供たちに苦笑いを浮かべて「遠慮なく頂きなさい。」とリース院長は声をかけると子供たちは串焼きに齧り付いていた、そんなに急いで食べなくてもまだまだ有るんだけどなと内心苦笑いを浮かべながら次の串を焼いて行く。


今回は急な事だった為味付けは塩だけとなったけど皆美味しそうに食べていた、今度は他の味付けも出来る様に色々用意しておくか・・・。


さてと串焼きはフィーとローリエに任せて隣の鉄板で大人用に肉野菜炒めを作っていく、材料は串焼きに使っていた物をベースにしてニラと唐辛子を刻んだものを加え辛みを付け塩で味を調節、隠し味としてリフィルの実でまだ未熟で酸味が強い物を細かく刻んで加えてみた。


出来上がった物を一口食べてみる・・・、ビールが有ればな・・・、有っても5歳児の体だから飲めないけどね。リース院長達にも概ね好評だった。


食事が終わった頃には日も傾いて来て、お腹いっぱいになった子供達は眠くなった子供が出始め為早々に部屋に引き上げさせた、片づけを行った後俺とフィーも引き上げる事にした。


「リュシル様、今日は本当にありがとうございました。」


「いえ、子供たちが皆喜んでいた様で何よりです。」


見送りに来たリース院長がお礼の言葉を言って来たが、俺としては子供達の喜んだ姿が見れたので満足だった。


続いてフィーと挨拶を交わし終わったローリエが近づいて来た。


「リュシル色々ありがとうねあの時二人が居なければ私はどうなってたか分からなかったわ、それにお金の事も・・・、あのお金が無ければ明日から子供たちに食べさせる物も用意出来ない処だったもの・・・、だからこれは私からの感謝の気持ちね。」


そう言ってローリエは俺の頬に軽く口づけをして「ザクツ兄が居なければ惚れてたかもね。」と呟いていた、突然の事に俺は固まり、それを見たフィーはローリエから俺を引っ手繰る様にして奪いぎゅっと抱き締めると「リュシル様はフィーのだから取っちゃ駄目ー!」とローリエを睨み、そんな様子を見ていたリース院長はあらあらと呆れた様な様子で俺達を見ていた。


すんませんリース院長見てないで助けて下さい・・・。


その後何とか別れの挨拶を交わして、屋敷へと戻ったのだがその間フィーは俺を離してくれなかった。


そして夜に「あ~だからなリュシルや何度も言っているが・・・以下略」と父さんに注意されるのだった。








読んで頂きありがとうございます。

うう、日曜日中に投稿が間に合わなかった・・・。急な仕事が入ってボロボロでした。

それは兎も角として、やっと孤児院編が終わり、では無くて次回も孤児院が少し絡んで来るのですが、多分幕間的な話になるかと思います。

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